ビジネスのあらゆる側面を理解することは、競争優位性を保つ上で極めて重要です。しかし、データがサイロ化していると、主要業績評価指標(KPI)を追跡することすら困難になります。ましてや、高度な予測分析など到底不可能です。
ビジネス・インテリジェンス(BI)システムは、貴重な情報を意思決定者の手に渡すことを可能にします。これらのプロジェクトは必ずしも簡単ではありませんが、それに見合うだけの効果、すなわち、企業全体にわたるより効果的なリアルタイムの意思決定とパフォーマンスの最適化が期待できます。
ビジネス・インテリジェンス(BI)とは
ビジネス・インテリジェンス(BI)とは、組織が戦略を推進し、データを分析し、インサイトを導き出して意思決定者に情報を提供するために使用するシステムを指します。効果的なBIの実践により、リーダー/マネージャーからサポート/業務担当者まで、組織内のすべての人々が、単一の信頼できるデータソースから導き出された共通のインテリジェンスに基づいて行動できるようになります。
BIには、他のデータドリブン手法と共通する部分が多くあります。その違いを理解し、それらがどのように連携してより大きな価値をもたらすのかを理解することが重要です。
ビジネス・インテリジェンスとデータサイエンスの違い
BIとデータサイエンスは密接に関連していますが、異なる領域です。
- データサイエンスは、ますます増大し、多様化および複雑化するデータセットから意味やインサイトを引き出すための学際的な領域です。予測分析で将来の結果を予測し、規範的分析でそれらの結果に備えるための最適なアクションを決定します。
- BIは、企業の業績を把握し、実用的なインサイトを提供するためにビジネスデータを分析することを指します。BIは、過去の事実を分析します。
ビジネス・インテリジェンス、データ分析、ビジネス分析の違い
- データ分析とは、データセットの調査や分析モデルの作成を通じて、情報のパターンを明らかにし、結論を導き出すことを指します。ビジネス分析はデータ分析のより具体的な応用で、ビジネスデータを分析することを指します。
- ビジネス分析には、将来を予測し、意思決定を導くためのデータマイニング、機械学習、統計分析などが含まれます。
- BIは、何がうまくいき、何がうまくいかなかったかを明らかにし、企業が次に何をすべきかを示唆します。一方、ビジネス分析は、将来起こりうる出来事を示唆します。
企業では、日々の業務と将来を見据えた計画や意思決定の両方を推進するために、ビジネス分析とBIを組み合わせるケースが増えています。
従来のBIと最新のBIの違い
現在ビジネス・インテリジェンスとして知られているものは、1990年代後半から存在しています。BIは、業界、地域、企業の規模を問わず広く利用されています。しかし、データベース技術の進歩により、BIの戦略的価値は近年飛躍的に高まっています。データサイエンスとデータ分析の機能が成熟し拡大するにつれ、最新のBIソフトウェアは、企業が近年取得できるようになったビッグデータのセットをより多く取り込み、分析できるようになりました。そして取り込まれるデータの量、多様性、頻度はますます増加しています。
これにより、BIシステムとその専門家は、ビジネスにより大きな価値を提供し、長期的な成功により貢献できるようになりました。同時に、使いやすいセルフサービスのBIツールが開発され、機械学習機能やインテリジェントな自動化機能がBIシステムへに追加されたことで、より多くの組織がデータに基づくインサイトを取得できるようになりました。
主なポイント
- ビジネス・インテリジェンスとは、より良い意思決定を導くインサイトを提供するために使用されるデータ分析戦略およびテクノロジーを指します。
- BIは数十年にわたって存在していましたが、現在では欠かせない戦略的テクノロジーとして定着しています。
- 情報のデジタル化とテクノロジーの進歩により、BIのパワーが民主化され、増幅されました。
- ビジネス・インテリジェンスのユースケースは、ほぼすべてのビジネス機能とロールを網羅しています。
- BIを効果的に活用することで、収益の増加や、俊敏性、効率性、生産性の向上など、さまざまなビジネス上のメリットが得られます。
ビジネス・インテリジェンス(BI)の定義
ビジネス・インテリジェンス(BI)は、データの包括的な収集、統合、分析、提示を行うテクノロジーや戦略を指します。BIは、ビジネスに関する情報を提供し、企業全体の意思決定をガイドします。優れたBIシステムは、社内のさまざまなシステムや外部ソースからデータを収集し、主要業績評価指標(KPI)を使用して、過去、現在そして未来の事業運営の状況を把握できるようにします。データは、レポート、データ可視化、ダッシュボードなどの形式で、組織内の権限を持つ従業員に提供されます。
ビジネス・インテリジェンスの仕組み
ビジネス・インテリジェンス・システムは、事業運営と業績に関する詳細な分析を提供します。まず、社内の複数のエンタープライズ・ソフトウェア・アプリケーションと、外部ソースに存在するデータを収集する必要があります。データは、構造化データ、非構造化データ、履歴データ、リアルタイムデータなどさまざまです。多くの場合、データは中央のデータウェアハウスまたは小規模なデータマートに収集されます。また、ログファイルなどのRAWデータが存在するデータレイクに保存されることもあります。データ統合ツールや管理ツールを使用すると、RAWデータを抽出、変換し、データウェアハウスにロードできます。
データの保存場所
データレイク。データレイクは、さまざまな種類のRAWデータ、構造化データ、半構造化データ、非構造化データを格納する大規模な(時には巨大な)ストレージリポジトリです。各データタイプは、データレイク内では元の形式のまま保存されます。データは、社内外の多数のソースからレイクに投入されます。使用されるストレージ媒体は安価なものが多く、分析に使用できるようにデータを抽出、変換、ロードするには、専門知識が必要です。
データウェアハウス。データウェアハウスには、データレイクから抽出されたデータや直接保管されたデータが含まれます。データウェアハウス内のデータは指定された形式で保存され、定義されたスキーマを使用します。構造化されている場合もあれば、コンテンツを説明するメタデータ付きのビデオファイルのように半構造化されている場合もあります。データウェアハウスは通常、企業内のあらゆる部門のデータを格納する大規模なものですが、典型的なデータレイクほどの規模ではありません。承認されたビジネスユーザーやアプリケーションであれば容易にデータにアクセスできますが、企業はセキュリティやアクセス速度の観点から、データをデータマートに分割して保存することを好む傾向にあります。
データマート。財務、営業、マーケティングなど、1つのテーマや部門に関連するデータの集合体です。スタンドアロンのデータマートや、データウェアハウスからの分割などがあります。データマートは構造化されており、承認されたビジネスユーザーやアプリケーションがアクセスできるようになっています。
データベース。データベースは、データウェアハウスやデータマートの構成要素です。

次に、BIソフトウェアは、データ準備、クエリ機能、データマイニング、予測分析、テキストマイニング、統計分析などの高度な分析を含む、さまざまなデータ管理、レポーティング、分析、コミュニケーション機能を提供します。また、その結果得られたKPIやその他のインテリジェンスをビジネスユーザーに配信し、インサイトを提供します。ユーザーはこれらを指針に戦術的および戦略的行動を取ることができます。

BIのユースケース
ビジネス・インテリジェンスは、ビジネス機能や部門全体に大きな価値をもたらします。そのため、利用可能なデータやテクノロジーの増加とともに、BIのユースケースも拡大し続けています。ほとんどのユースケースは、ビジネス価値ごとに以下のように分類できます。
パフォーマンス管理: 多くの企業は、ビジネス全体および主要機能(買掛金や在庫など)について、複数のKPIを追跡しています。BIの最も大きな利点のひとつは、幅広いKPIを容易に監視し、レポートできる能力です。これにより、ビジネス目標の達成状況を確認できるだけでなく、欠点や問題を早期に発見できます。また、経営陣やマネージャーはBIツールを使用して、根本原因と解決策を明らかにできます。
より迅速で優れた意思決定: 高度なBIツールは、ビジネスユーザーの業務を支援するため、データをより包括的で理解しやすい方法で提供します。情報に基づくデータ主導の意思決定は、競争が激しく変化の速い市場において、かつてないほど重要になっています。
ビジネスプロセスの最適化: リーダーやマネージャーは、BI機能を活用して、大量の業務データや取引データの中に潜む非効率性や生産性のボトルネックを特定できます。BIは、これらのデータを収集・分析することで、リーダーやマネージャーが、製造現場、サプライチェーン、営業やマーケティングのワークフロー、ITネットワーク、顧客や従業員の体験など、さまざまなプロセスを調整できるようにします。
市場と顧客に関するニュアンスの理解: 営業およびマーケティング部門は、BIを使用することで、大量のデータストアから既存顧客および見込顧客のニーズや購買行動に関する詳細な情報を抽出できます。最新のBIツールは、社内外のビッグデータを融合し、顧客に対するアプローチを最適化することで、最終的に売上、市場シェア、顧客生涯価値、および顧客ロイヤルティを向上させます。
戦略的計画立案のためのインサイトの向上: BIは、組織の戦略と方向性をガイドするためのインサイトを提供します。経営陣、役員、戦略担当者、研究開発担当者は、BIツールをビジネス分析と併用することで、現在のビジネス環境だけでなく、将来のシナリオについてもより深く理解できます。
ビジネス・インテリジェンスの利点
BIは、部門や職位を問わず、ビジネスユーザーに重要な情報と現実的な基盤を提供し、より効率的な業務遂行を支援します。これにより、以下のような多くのビジネス上の利点とポジティブな成果がもたらされます。
- ビジネス・パフォーマンスのより正確で詳細な理解
- 意思決定者間のより良いコミュニケーション
- ビジネス、財務、業務上の課題に対する早期警告
- 継続的かつ正確なベンチマークと競合他社分析
- より包括的で高品質なビジネスデータへのアクセス
- キャッシュフロー、市場、需要のトレンド予測の強化
- 業務効率や生産性の向上
- より多くの情報に基づく、より正確で迅速な意思決定
このような利点は、収益の増加、利益率の向上、より正確な財務計画および分析(FP&A)、リスク管理の改善につながります。
ビジネス・インテリジェンス戦略の構築方法
ビジネス・インテリジェンス・ソフトウェアはデータ可視化を通じて意思決定を強化します。しかし、成功を確実なものにするには、BI戦略を十分に検討し、望ましい結果を達成するために必要な人員、プロセス、テクノロジーなどを連携させる必要があります。
BI戦略の策定は、複数のステップから成り、そのプロセスは現在のデータ状況の評価およびプロジェクトに専念するエグゼクティブ・スポンサーの選定から始まります。また、社内および社外の主要な利害関係者と、ビジネスのさまざまな部門から構成されるBIガバナンスチームを編成する必要があります。大規模な企業では、戦略的インサイトを加速するために最高データ責任者(CDO)を任命すると良いでしょう。
適切な人材が揃ったら、BI戦略で何を達成したいのかに焦点を移します。これには、達成可能な具体的な目標の設定、進捗を測定するための主要業績評価指標(KPI)、データの共有と文書化の方法についての計画などが含まれます。その他の成功のカギとなる要素としては、利害関係者と共有するための明確なBI導入ロードマップ、新しいBIプラットフォームとツールの選択、アーキテクチャとデータソースの決定に関する合意、データマッピングとインフラの準備、BIガバナンスプロセスの確立などがあります。
全社的なBIプロジェクトは大きな取り組みですが、その成果は、より迅速なデータ収集、分析、意思決定という形で現れます。これらはすべて、コスト削減と収益向上につながります。BI戦略の成功と改善点を評価するためには、少なくとも年に一度は見直しを行うことが不可欠です。
BIが企業によるデータに基づく意思決定を支援する6つの方法
前述の通り、BIのビジネス・ユースケースは多くの部門に適用できます。では、実際にはどのように使用されているのでしょうか?ここでは、BI機能を活用したデータに基づく意思決定について、各部門ごとに紹介します。
- 財務: BIツールとプロセスにより、財務および業務に関するリアルタイムの戦略的インサイトが得られます。財務担当者からCFOに至るまで、財務部門は、信頼できるデータを使用して財務および管理レポートを改善し、運用コストと資本コストを削減し、財務リスクを管理し、コンプライアンスを維持するためにBIを活用しています。
- IT: CIOやIT責任者は、変化するビジネスモデル、動的なテクノロジーや市場環境、そしてグローバル化やリモート運用の課題に対処しなければなりません。BIは、インサイトによりIT責任者を強化します。IT責任者は、主要な利害関係者と協力してデータとシステムを統合することで、刻々と変化する市場でより優れた意思決定を下すことができます。また、自身の業務をより適切に管理し、企業内での立ち位置を高めることができます。
- 営業: BIは、異なるシステム(在庫、出荷、請求、顧客財務、支払)からのデータをインサイトに変え、営業リーダーやチームが予測、計画、予算を立て、現実的な販売目標を設定できるようにします。顧客および販売データへのリアルタイムの可視性により、ユーザーは見込顧客から注文処理までの販売パイプラインを最適化できます。
- 業務: BIはCOOが業務を大幅に改善できるよう支援します。現在、特にメーカーでは、分散した施設を可能な限り効率的に管理し、産業用IoTプロジェクトでビッグデータを活用することが求められています。BIは、業務管理者にグローバルな製造に関するインサイトとリアルタイムの可視性を提供し、ボトルネックやサプライチェーンの混乱を特定して未然に防ぐことで、品質を維持しながらコストを削減できるようにします。
- カスタマーサポート: サイロ化されたソフトウェアから顧客データとトランザクション・データを取得する統合BIソリューションにより、カスタマーサポート・マネージャーおよび担当者は、顧客に関する包括的かつ最新の情報を取得できます。これにより、問題の解決が迅速化され、サービスコストが削減され、顧客満足度とロイヤルティが向上します。
- マーケティングおよびカスタマー・エクスペリエンス管理: 今日の顧客は、自分が望む方法、場所、タイミングで商品を購入したいと考えています。BIは、カスタマー・エクスペリエンスおよびマーケティング責任者に、顧客中心のアプローチを取るためのインサイトを提供します。これにより、よりパーソナライズされ、関連性が高く、一貫性のあるエクスペリエンスを、さまざまなタッチポイントや製品を通じて提供できます。
ビジネス・インテリジェンスの手法とは
最新のビジネス・インテリジェンスには、ビジネスユーザーが業績を監視し、改善するためのさまざまなプロセスが含まれています。以下では、ビジネス・インテリジェンスの仕組みを理解するために知っておくべき最も重要な機能について説明します。
クエリ。クエリとは、データベース・プログラミング言語を使用して、データセットに特定の質問をすることです。クエリは、BIプロセスの初期段階で行います。
データ準備。RAWデータを、分析に活用できるよう準備するプロセスです。複数のソースからデータを収集し、データの評価、クレンジング、検証を行い、必要に応じてデータの変換や強化を行います。
データマイニング。ビジネスデータのマイニングとは、例えば統計、AI、機械学習アルゴリズムなどを使用して、大量のデータセットからパターン、傾向、異常値を特定するプロセスです。
レポート。表、スプレッドシート、PDFなどの形式で、データ分析を他のユーザーと共有することを指します。ユーザーは、表をスライス&ダイスして変数間の新たな関係性を明らかにするなど、データ傾向を確認し、情報を活用できます。
データ可視化。レポートの次のステップであるデータ可視化では、チャート、グラフ、ヒストグラムなどのより理解しやすい形式でデータ分析を提供します。
ベンチマーク。BIツールは、ユーザーが自社の業績データを同業他社と比較(ベンチマーク)できるよう支援します。
記述分析。BIの記述分析では、ビジネスで起こったことまたは起こっていることを説明します。
統計分析。統計分析とは、データを収集・解釈し、パターンや傾向を明らかにするものです。BIの統計分析は、記述分析の結果をさらに詳しく調査し、なぜそれが起こり、次にいつ同じことが起こるのかを明らかにします。
ビジネス・インテリジェンス(BI)ツールの種類
ビジネス・インテリジェンスには、さまざまなテクノロジー機能やアプローチがあります。その最も一般的なものは以下になります。
オンライン分析処理(OLAP): 多くのBIアプリケーションの背後で動作するOLAPは、ビジネスデータの多次元分析を行います。複雑な計算、傾向分析、予測シナリオ計画、高度なデータモデリングを可能にします。
アドホック分析: アドホック分析またはレポートとは、ビジネスユーザーが必要に応じてリアルタイムのデータレポートを作成することを指します。多くの場合、外部の支援なしに特定の質問に迅速に回答するために実施されます。この機能にはOLAPが使用されることがあります。
リアルタイムBI: データが発生すると同時に分析を実行し、より迅速で適切な意思決定を支援する機能です。これに対して、従来のBIアプローチでは、過去のデータを分析して何が起こったかを判断していました。
オペレーショナル・インテリジェンス(OI): リアルタイムBIのサブセットであるOIは、ストリーミング・データフィードや、イベントデータなどの業務データに対してクエリを実行します。分析結果は、短期計画や意思決定のための業務指示またはインテリジェンスとして提供されます。
SaaS型BI: 組織のデータセンター内でサポートされるオンプレミス型のBIソリューションとは異なり、SaaS型(Software-as-a-Service)BIアプリケーションはベンダーがホストし、オンラインでアクセスします。
オープンソースBI(OSBI): OSBIソフトウェアは、開発者コミュニティによって作成され、継続的に改善されています。ソフトウェア・ライセンスは不要ですが、サポート、ドキュメント、特定の導入に合わせて微調整されたコードには料金がかかる場合があります。OSBIの実行には、技術的な知識が必要です。
組み込みBI: 組み込みBIとは、BIプラットフォームからBIレポート、ダッシュボード、可視化を他の業務アプリケーションに統合することを指します。これにより、情報へのアクセスと意思決定の改善と迅速化を図ることができます。
ロケーション・インテリジェンス(LI): BIにおけるロケーション・インテリジェンス(別名:空間インテリジェンス)とは、地理空間データセットを分析し、可視化して、ビジネス・インサイトを得るプロセスです。例えば、企業は人口統計、交通、天気などのデータをスマートマップに重ね合わせることで、特定の場所で特定の事象が起こる理由をより分かりやすく可視化できます。
セルフサービス型ビジネス・インテリジェンス(SSBI)
セルフサービス型ビジネス・インテリジェンス(SSBI)は、BIの専門家にレポートやダッシュボードの作成を依頼する必要なく、ユーザーがBI機能を自ら利用できるようにします。ビジネスユーザーは、より柔軟で使いやすいSSBIシステムを活用することで、データマイニング、コーディング、BI、統計分析の知識を持たなくても、データ分析、レポート作成、可視化を自分自身で行い、データに基づく意思決定を下すことができます。ビジネスユーザーがBIを迅速に利用できるようになることで、ITおよびBIチームはより価値の高い作業に集中できるようになり、その結果プロジェクト全体のROIを高めることができます。
注:明確な原則やガバナンスがなければ、BIの民主化により、データや情報の新たなサイロ化を招くリスクが生じます。また、SSBIツールがデータの品質や一貫性の低下、分析の誤り、コンプライアンスの欠如といった問題を悪化させないよう、厳格な監視も必要です。
ビジネス・インテリジェンス・プラットフォーム
ビジネス・インテリジェンスには、分析やデータインポートを可能にするさまざまなテクノロジーなど、多くの可動部分が関わっています。BIプラットフォームは、それらを単一の製品に統合します。
ビジネス・インテリジェンス・プラットフォームは、完全なBIシステムの構築を支援します。すべてのBIプラットフォームは、分析、データ配信、統合機能を提供します。より高度なプラットフォームでは、データのインポートやクレンジング、より複雑で多様なデータ分析の実行、リアルタイムのレポートやダッシュボードの作成と提供などのタスクが可能になります。
BIプラットフォームの選択方法
他のテクノロジーの購入と同様、BIプラットフォームを選択する際には、主要な利害関係者に対し、彼らの仕事をより効率的にする機能や性能について質問する必要があります。より一般的には、BIプラットフォームの評価時に次のような質問をベンダーにするとよいでしょう。
- データニーズが増加した場合に拡張可能か?
- 既存のシステムやサードパーティのシステムと統合可能か?
- どのようなタスクを自動化できるのか?
- どのようなデータ分析機能が含まれているか?
- 事前構築済みのレポート機能は含まれているか?
- ダッシュボード、レポート、および主要業績評価指標をカスタマイズできるか?
- ソリューションのコストはいくらで、オンプレミスとクラウドのどちらで実行可能か?
- データはどのように保護されるのか?
ビジネス・インテリジェンスの例
ビジネス・インテリジェンスは、あらゆるレベルのビジネス上の意思決定に役立つインサイトを提供します。データ分析、レポート作成、可視化機能により、BIはユーザーが事業環境をより容易に理解できるよう支援します。
新たな資金調達が必要な企業を例に考えてみましょう。その企業では、事業を管理するために大量のデータを保有しています。しかし今、そのデータをより緻密に分析し、チャートやグラフなどの理解しやすい形式で潜在的な投資家に提示する方法が必要となっています。これらはBIの得意とするところです。BIはまた、ある市場が新製品のターゲットとして適切かどうかを判断したり、財務パフォーマンスを予測したりするのにも役立ちます。
ビジネス・インテリジェンスの未来
ビジネス・インテリジェンスは大きな進歩を遂げました。かつてはデータサイエンティストや、そのような専門家を雇える企業のための領域でしたが、今ではビジネス・パフォーマンス管理や戦略的計画において不可欠な要素となっています。
今後さらにBIの普及が進むであろうことを示唆するトレンドのいくつかを以下にご紹介します。
全社的アプローチの魅力: BIは単独で機能するものではないという認識が組織に広がっています。ビジネス分析やオペレーショナル・インテリジェンスと組み合わせることでより大きな価値が得られるのはもちろんですが、組織全体のための機能として構想・管理することで、すべての部門とロールに最適なサービスが提供されます。
BI as a service(サービスとしてのBI): データストアの増加と多様化に伴い、ほぼすべてのデータと分析イノベーションにクラウドサービスが不可欠になることは明らかです。そのため、より多くの企業がクラウドに移行し、SaaS BIを導入しています。
組み込みAI: 変化の激しいビジネス環境で迅速かつ的確な意思決定を行うには、現場の従業員が基幹業務アプリケーション、モバイルデバイス、イントラネットを通じて、重要な情報にリアルタイムでアクセスできる必要があります。
SSBIの改善に向けた取り組み: 企業は、データサイエンスやアナリスト不足に直面する中、すべての従業員がデータを活用できるようにするためのSSBIツールを求めています。SSBIは、ユーザーがデータマイニング、コーディング、BI、統計分析の知識を持たなくても、データ分析、レポート作成、可視化を自分自身で行い、データに基づいて意思決定できるようにします。
インテリジェンスと予測分析の統合: 予測分析をBIプラットフォームに統合することで、企業はさらに多くの意思決定を自動化し、インテリジェンスを活用してより優れたシナリオ計画を策定できます。BIベンダーもまた、AIと高度な分析を自社のツールに取り入れています。
可視化機能への注目: データのプレゼンテーション機能やナラティブ機能に対する理解が深まるにつれ、より実用的で、分かりやすく、リアルタイムの優れた可視化機能に対する需要が高まっています。
顧客中心主義の高まり: マーケティングやカスタマー・エクスペリエンスの責任者は、顧客の需要や行動についてのより詳細な情報を提供できるBIプラットフォーム、特にリアルタイム機能を備えたBIプラットフォームを必要としています。これにより、マーケティング担当者はより効果的で測定可能なカスタマー・エクスペリエンス・プログラムを作成できます。
ビジネス・インテリジェンス・ソリューションの選択時に考慮すべきこと
適切なBIスイートまたはプラットフォームは、ビジネスユーザーに各自の役割に関連するリアルタイムの可視性を提供します。また、トレンド、機会、課題を特定し、根本原因を即座に突き止め、対策を講じられるようにします。高度なビジネス・インテリジェンス・ソフトウェアおよびプラットフォームは、システムに組み込まれたデータ分析機能、レポート作成機能、ダッシュボード、その他の統合プロセスを活用して、これらを可能にします。
BIソリューションは数多く存在し、特定の目的に特化した単発のツールから、大手ソフトウェアベンダー、ニッチなサプライヤー、そして増加するスタートアップ企業が開発したソフトウェア・スイートや統合プラットフォームまで、さまざまです。以下では、BIソリューションを選択する際に、まず初めに考慮すべき事柄について説明します。
貴社にはどのようなデータ分析および利用ニーズがありますか?データサイエンティスト・チームをお持ちですか?それとも、ユーザーが各自でレポート、KPI、ダッシュボードを作成する必要がありますか?データが必要な人や、そのデータを使って何をしたいかによって、選択肢は異なります。
どのようなビジネス上の問題を解決したいとお考えですか?BIで回答したい質問は何でしょうか。BIシステムを導入してから、そのシステムの機能に合わせてビジネス要件を調整するのではなく、ビジネス要件を明らかにしてから、最適なBIシステムを見つけましょう。
データの保管場所とデータの種類は?BIツールを検討する際には、データ環境を考慮することが重要です。既存のデータ・インフラストラクチャを理解することで、最適なソリューションを見つけることができます。たとえば、所有するデータのほとんどが構造化されておらず、サイロ化されている場合、データのクレンジングと準備に対応できるソリューション、またはデータ専門家のサポートが必要になります。不完全なデータからレポートを作成するには、専門家の助けが必要です。
貴社のビジネスケースと予算は? ソリューションを検討する前に、貴社で負担できる金額を確認しましょう。BIソリューションがもたらすであろう利益を考慮した現実的なビジネスケースを構築することで、適切な予算が見えてきます。
ビジネス・インテリジェンスの導入に成功した同業他社の知り合いはいますか? BIソリューションの導入に成功した他の企業の話を聞き、その企業が得たベストプラクティスを貴社のシナリオにどのように適用できるかを検討しましょう。また、その企業がシステムインテグレーターを利用したのか、社内のIT部門を利用したのかについても尋ねましょう。
ユーザーに必要なビジネス・インテリジェンスのスキルとは何でしょうか? 今日のBIシステムは、経営陣から業務や営業マネージャー、そして最前線のカスタマーサービス担当者や工場作業員まで、あらゆるレベルのビジネスユーザーを対象に設計されています。
ビジネス・インテリジェンス市場は著しい成長を遂げており、それには正当な理由があります。信頼性が高く、正確かつ最新の情報を共有し、それをもとに事業を前進させることがこれまで以上に重要になっています。
BIソリューションやサービスを適切に活用することで、社内のビジネス・プロセスの最適化、意思決定の加速と強化、収益の増加、競争優位性の獲得、運用効率の向上など、さまざまなメリットを得ることができます。また、BIシステムは企業が市場動向を把握し、ビジネス上の課題を特定して、それに対処するのにも役立ちます。
NetSuiteが貴社のBIの価値を向上
ビッグデータや小規模データなど、その大小にかかわらず、データはビジネスに関するあらゆる情報を含んでいるため、分析に最適です。組み込みの分析機能とレポート作成機能、ダッシュボード機能を備えたNetSuite SuiteAnalyticsは、このような分析と発見に最適なソリューションであり、企業業績に関する実用的なインサイトを提供します。SuiteAnalyticsは、組織全体からのリアルタイムのビジネスデータを一元管理します。また、構成可能なダッシュボードと、意思決定に不可欠な主要業績指標の自動レポートを提供します。その他の機能には、保存、共有、再利用が可能なワークブックがあり、ピボット機能やチャート機能を使用してデータをフィルタリングし、分析できます。また、特定の条件に一致するようフィルタリングされたデータをすばやく確認できる、保存検索機能も備えています。SuiteAnalyticsは、定義されたロールに基づいて従業員のデータアクセスを制限するロールベースのセキュリティにより、ビジネス・インテリジェンスを保護します。
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ビジネス・インテリジェンスに関するよくある質問
ビジネス・インテリジェンス(BI)を利用しているのはどのような組織ですか?
最新のビジネス・インテリジェンスは、さまざまな事業部門や機能で使用されています。従来のBIシステムは、データのクエリ、レポートの実行、ダッシュボードの提供に、ITまたはBI専門家のスキルを必要としていました。しかし、今日のBIシステムは、経営陣から業務や営業マネージャー、そして最前線のカスタマーサービス担当者や工場作業員まで、あらゆるビジネスユーザーを対象に設計されています。これらのBI機能は、ビジネスユーザーがすでに使用している他のアプリケーションに組み込むことができ、より迅速かつシームレスなインサイトの提供が可能となっています。
ビジネス・インテリジェンスは意思決定をどのようにサポートするのでしょうか?
ビジネス・パフォーマンスを管理し、データに基づく意思決定を行うためには、ビジネス全体で何が起こっているかを正確に把握することが重要です。しかし、データがさまざまなシステムに散在している場合、分析を実行し、主要業績指標(KPI)を計算して監視し、その貴重な情報を意思決定者の手に届けることは困難です。最新のBIシステムは、エンタープライズ・ソフトウェア・アプリケーションと外部ソースの両方からデータを収集して統合し、単一のデータリポジトリを作成します。その結果、より効果的かつリアルタイムの意思決定が可能となり、組織全体のパフォーマンスが最適化されます。データ準備、クエリ、高度な分析、そしてその結果得られたインテリジェンスをビジネスユーザーに届けるための機能も、戦術的および戦略的意思決定に役立ちます。
ビジネス・インテリジェンスはデータサイエンスの一部ですか?
ビジネス・インテリジェンスとデータサイエンスは密接に関連していますが、異なる領域です。データサイエンスは、データの理解、保存、処理、分析に使用される技術に焦点を当てた学際的な分野であり、貴重なインサイトを抽出して組織に伝えることを目的としています。BIはビジネスデータの分析を指し、その目的は企業の業績を把握し、実用的なインサイトを提供することです。