企業が成長するにつれ、いつかはスプレッドシートでは対応できなくなる段階に達します。そこで、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)ソフトウェアの出番となります。簡単に説明すると、ERPシステムは、主要なビジネス情報を収集して整理し、組織が拡大しても無駄のない効率的な業務運営を支援します。日本では統合基幹システムとも呼ばれます。ほとんどのビジネス・プロフェッショナルは、ERPという用語を聞いたことはあっても、エンタープライズ・リソース・プランニング・システムがチームにどのように役立つかは正確に理解しているわけではありません。
エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)とは
ERPとは、ビジネス・ソフトウェアのカテゴリの1つで、会計、製造、サプライチェーン・マネジメント(SCM)、営業、マーケティング、プロフェッショナル・サービスなどの部門からの入力を収集する中央データベースを活用して、ビジネス・プロセスを自動化し、インサイトと内部統制を提供します。
あらゆるビジネスでは、複数の利害関係者が協力して業務が機能しています。ところが、重要な情報が断片化されたシステムに分散している場合、業務が困難になります。たとえば、会計チームとFP&Aチームでは、支出を追跡するためのスプレッドシートが別々に存在するために数値が異なっている可能性があります。
ERPシステムでは、データを一元化することにより、部門横断的な可視性の実現、効率的な分析、データの競合の解決、プロセスの改善の推進を実現します。その結果、従業員が必要なデータを探すために費やす時間が短縮されることにより、コストが削減され、生産性が向上します。
ERPとは(動画)
主なポイント
- ERPは、共通データベース内のさまざまな部門から情報を収集し、リーダーが現実に即した単一のビジョンで企業の実際の状況を監視できるようにする、重要なビジネス・ソフトウェアです。
- ERPシステムは、財務、製造、在庫および販売管理、カスタマー・コミュニケーション、販売、マーケティング、プロジェクト管理、人的資源管理などの重要なビジネス部門を統合します。主要な機能の1つは、各部門の詳細な分析とレポートです。
- ERPによって組織全体に対する可視性がもたらされることにより、非効率的な手動プロセスを把握し、成長機会を明らかにすることができ、時間と資金を大幅に節約できます。
- ERPソフトウェアには、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドなど、複数の導入モデルがあります。クラウドERPは、近年非常に一般的になりましたが、最適なアプローチは企業のニーズによって異なります。
- 企業では、最終候補となるソフトウェア・プロバイダを絞り込む前に、その候補の機能、実装モデル、統合要件、および総所有コストを理解しているかを確認する必要があります。
ERPの意味をやさしく言いかえると?
ERPは、エンタープライズ・リソース・プランニングの頭文字を取ったものです。簡単に説明すると、ERPは、企業がさまざまな業務の領域を単一のプラットフォームで、効率的に管理、処理を行うことができるテクノロジーです。ERPの中心は、共有データベースを提供することにより、異なるビジネス部門の従業員が同じ情報にアクセスできることであり、意思決定の改善とコラボレーションの向上を実現できます。
基幹システムとは
基幹システムとは、財務、顧客関連、在庫管理、サプライチェーン・マネジメント(SCM)など、特定のビジネス機能を実行する一連のテクノロジーインフラストラクチャです。
たとえば、紙ベースのシステムを使用して在庫の追跡や記録を行っている卸売販売会社では、時間がかかり、エラーが発生しやすいプロセスとなるため、企業の全体的な効率性に影響を与えています。紙ベースの在庫管理では、データは物理的な場所に保管されるため、関連する関係者以外はアクセスが制限され、特に大量のデータがある場合は処理も困難です。倉庫管理システム(WMS)などの基幹システムに移行すると、主要な倉庫業務が自動化され、データが一元化されます。それによりヒューマン・エラーを削減し、リアルタイムに在庫を追跡して、倉庫業務プロセスを最適化できます。
ERPと基幹システムの違い
エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)は、財務、顧客関係、在庫管理、サプライチェーンなどのビジネス・プロセスを処理する基幹システムを、1つの統合プラットフォームに統合します。基幹システムは、特定の1つのビジネス部門内での実行に限定されるため、Application Program Interface(API)を介して2つの異なる基幹システムが統合されない限り、他の事業部門との連携が制限される点が異なります。
エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP) | 基幹システム | |
---|---|---|
範囲 | 複数のビジネス部門 | 1つの特定のビジネス部門のみ |
データ共有 | 組織全体のエンドツーエンドの可視性 | APIを介して統合しない限り、特定の部門に分離される |
統合 | 元々の機能で事業部門間が統合された単一のプラットフォーム | 他の事業部門や他のプラットフォームに統合可能 |
ERPシステムの13のコンポーネント
ERPは、バックオフィスやフロントオフィス業務など、ビジネスのさまざまな側面に対応した機能の集合体である複数のモジュールで構成されています。
ほとんどの企業では、最新のERPが「すぐに使える」状態で自社の業務をサポートしてくれることに気づいていますが、一部の企業では、自社開発システムとレガシー・システムを統合することや、ITスタッフによって、必要とする機能を追加するためのコードを記述できる広範な組込み機能を追加することが必要になる場合があります。
ただし、カスタム・ルートに進む前に、自社のプロセスをよく確認する必要があります。最新のERPソリューションがサポートする事前構築済みの機能や構成は、数千社の企業から収集されたベストプラクティスに基づいています。

基幹ERPモジュール
- 財務管理: すべてのERPシステムの基盤である財務モジュールは、一般の会計とすべての財務データを管理します。買掛金(AP)と売掛金(AR)を含むすべてのトランザクションを追跡し、照合と財務報告を処理します。
- 人的資源管理(HRM): 人的資源管理(HRM)または人材管理(HCM)モジュールは、人材管理モジュールのようなものです。利用可能なPTOやパフォーマンス・レビューなどの詳細情報を含む従業員レコードを保持し、さまざまな部門やターゲット層における労働力の傾向を引き出すことができます。
- サプライチェーン・マネジメント(SCM): サプライチェーン・マネジメント・モジュールでは、企業はサプライヤーから製造まで、お客様の手元に届くまでの商品の流れを管理できます。すべての資材が適正な場所に確保されていることを確認し、機械や作業員のスケジュールを正確に立てることにより、生産が円滑に行われるようにします。
- 顧客関係管理(CRM): CRMは、さまざまな業界の企業で一般的なモジュールです。クライアントとのすべてのコミュニケーションを追跡し、リード・マネジメントを支援し、カスタマーサービスを強化して売上を伸ばすことができます。
その他のERPモジュール
- 製造: 製造(新しいタブで開きます)は複雑になる場合があり、このモジュールは、企業が製品の製造のすべてのステップを調整するのに役立ちます。このモジュールは、需要に応じて生産されていることを確認し、進行中のアイテムと完成したアイテムの数をモニターできます。
- 在庫管理: 在庫管理モジュールは、現在の在庫水準をSKUレベルまで表示し、それらの数値をリアルタイムに更新します。在庫関連の主要な指標も測定します。製品ベースの企業では、現在の需要と予測される需要に基づいて手持在庫を最適化するためにこのモジュールを必要とします。
- プロジェクト管理: サービス事業では、多くの場合、プロフェッショナル・サービス・オートメーション(PSA)またはプロジェクト管理モジュールを使用して、プロジェクトに費やされる時間やリソースなどのプロジェクトの計画や進捗管理を行っています。クライアントへの請求を簡素化し、プロジェクトに携わるスタッフ間のコラボレーションを促進できます。
- eコマース: eコマースモジュールにより、小売業者およびブランドは、オンライン・ストアのバックエンドとフロントエンドを管理できます。このアプリケーションを使用して、サイトのルック・アンド・フィールの変更や、製品ページの追加、更新を行うことができます。
- マーケティング・オートメーション: このモジュールは、すべてのデジタル・チャネル(電子メール、Web、ソーシャル)にわたるマーケティング活動を管理し、組織がメッセージングを最適化およびパーソナライズできるようにします。マーケティング・オートメーション・ツールは、リード、販売およびカスタマー・ロイヤルティを高めることができます。
- 調達: 調達モジュールは、原材料や完成品の購入を管理します。需要計画と連動させることにより、見積や発注書の要求を自動化し、過剰購入や購入不足を最小限に抑えることができます。
- 販売管理: このアプリケーションでは、すべてのチャネルから入る顧客の注文をモニターして優先順位付けし、納入までの進捗状況を追跡します。販売管理モジュールは、発送と配送時間を高速化し、カスタマー・エクスペリエンスを向上できます。
- 倉庫管理: 倉庫管理モジュールは、受領、ピッキング、梱包、出荷などの倉庫活動を管理します。これらのタスクをより効率的に行う方法を把握することによって、倉庫で時間とコストを節約できます。
- 人材管理: 人材管理(WFM)モジュールは、勤怠と労働時間を追跡し、一部のモジュールでは給与を管理することもできます。このツールは、部門、チーム、個々の従業員ごとに欠勤や生産性を記録できます。
統合されたシステムによって、業務を整理してプロセスを改善し、業務上の問題を削減できます。重要な情報の照合や共有に電子メールやスプレッドシートに過剰に依存しているということは、ERPが必要であることを示しています。スプレッドシートは、手動で頻繁に更新する必要があり、そのため情報が古くなっていることが多くなります。機密データを電子メールで共有すると、セキュリティ・リスクが顕在化し、必要なものを見つけることが困難になる可能性があります。システム間の統合が不十分であることは、ERPの導入準備ができていることを示しています。すべてのモジュールを1か所にまとめることにより、ビジネスが簡素化されます。このシステムでは、すべての主要なビジネス部門から情報を1か所に集めることにより、手動によるデータ転送や不安定な接続による不具合を解消できます。
ERPがビジネスにとって重要な理由
ERPシステムは、リソースの有効活用を目指す企業にとって一般的になってきています。ERPは、リーダーがパフォーマンスを犠牲にすることなく、コストを削減する、効率の高いコア・ビジネス・プロセスの構築を支援できます。
ERPは、計画と調整についても有用なアセットとなります。従業員は、現在利用可能な在庫と顧客の注文を詳細に確認し、供給者の発注書と予測される将来の需要を比較できます。必要に応じて、問題を回避するために調整できます。また、ERPソフトウェアを使用すると、作業者が他の部門の状況を確認して意思決定の指針にできるため、コミュニケーションとコラボレーションが改善します。
包括的なデータソースとして、ERPシステムは、ビジネスの差別化要因となる可能性のある多数のレポートと分析も提供します。膨大な量の情報を、傾向を明確に示し、想定される結果をモデル化するのに役立つチャートとグラフに変えることは、エグゼクティブにとって非常に重要なERP機能です。
ERPのタイプ
ERPシステムは、日々のビジネス・プロセスを簡素化し、財務や業務のパフォーマンスを全社的にリアルタイムに可視化します。ERPには、サポートする機能とプロセスに基づいて、3種類の異なるタイプがあります。
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基幹ERP
ほとんどのERPシステムは、財務、会計、生産など、一連の内部の基幹ビジネス部門を管理します。これらのシステムは、リアルタイムの財務、業務、ビジネスのデータを統合し、共有、分析を容易にすることにより、戦略的なビジネスの意思決定に役立てることができます。自動化は最も重要な機能であり、給与計算処理、請求書発行、口座照合などの時間のかかる反復作業をERPソフトウェアに任せ、スタッフはより価値の高い業務に集中できます。 -
拡張ERP
拡張ERPは、サプライチェーンに沿った仕入先、顧客、クライアント、ロジスティクス事業者などとの外部の業務や関係性について、追加のサポートを提供します。拡張ERPシステムには、ビジネス・インテリジェンス(BI)と分析、顧客関係管理(CRM)、eコマース、電子調達、ロジスティクス、サプライチェーン・マネジメント(SCM)のための機能が組み込まれています。 -
業種特化型ERP(バーチカルERP)
バーチカルERPソリューションは、製造業や小売業など、特定の業界のニーズに対応するように設計されています。これらの業界では、独自のワークフローやプロセスに適応させるために、膨大なソフトウェアのカスタマイズ作業や長期間のリードタイムが必要となります。これらのシステムは、さまざまな業界での役割や規制要件に合わせてカスタマイズできます。
ERPの導入タイプ:
それぞれのERP導入モデルの固有の特性を理解して、ビジネスに最適なオプションを特定することが重要です。

オンプレミスERP
オンプレミスERPシステムでは、企業は所有するサーバーでソフトウェアを実行し、セキュリティ、保守、アップグレードおよびその他の修正を行います。通常、維持管理には、必要な専門知識を持つ社内のITスタッフが必要です。長年にわたり、オンプレミスERPが唯一の選択肢でした。
クラウドベースERP
クラウドベースERPは、第三者が管理するリモート・サーバー上で実行します。ユーザーは通常、Webブラウザを介してクラウドERPにアクセスし、インターネットに接続できる環境があればどこからでも情報やレポートにアクセスできます。クラウドERPには、ホステッド・クラウドや真のクラウドなど、複数の導入オプションがあります。
- ホステッド・クラウド・ソリューション: 企業でライセンスを購入しますが、第三者によって管理されるリモート・サーバーで実行します。サーバーやその他のハードウェアは、多くの場合、ホスティング会社からレンタルします。データは、他の組織と共有されないERPの独立したインスタンスとしてプライベート・クラウドに保存されます。そのため、これは単一テナントと呼ばれることもあります。この設定により、クライアントはソフトウェアをより詳細に制御でき、より多くのカスタマイズが可能になりますが、業務によっては、さらに多くの作業が発生します。オンプレミス・ソフトウェアと真のクラウド・ソフトウェアの中間的な存在だとお考えください。
- 真のクラウド・ソリューション: 真のクラウド環境によって、企業はサーバーやソフトウェアへのアクセス料金を負担すれば、それらを管理する必要はありません。Software-as-a-Service(SaaS)ERPソリューションは、ベンダーがパッチやアップグレードなど、バックエンド上のすべてを処理するため、真のクラウド・ソリューションでは一般的なバージョンになっています。真のクラウドは、複数の企業が同じソフトウェア・インスタンスとハードウェアを使用するため、マルチテナントとも呼ばれます。これにより、社内ITチームが必要な場面が減り、常にソフトウェアの最新かつ安全なバージョンを確保できます。シングルインスタンスERP を採用するクラウドERPでは、すべてのユーザーが同じクラウド環境を利用するため、リアルタイムのデータ可視化や、バージョン管理の一元化といったメリットを享受できます。
ハイブリッドERP
ハイブリッドERP:は、オンプレミスとクラウド環境の要素を組み合わせたものです。ハイブリッド・アプローチの1つに、企業が2つの異なるERPシステムを維持する2層ERPがあります。通常オンプレミス・ソリューションである1層ERP(コアERP)は、複雑かつ大規模な業務を処理するために企業の本社に設置され、2層ERP(サブERP)は、多くの場合、異なる地理的位置での独自のニーズに対応するように設計されたクラウドベースのシステムであり、大幅なカスタマイズは行われません。企業によっては、特定のビジネス・ニーズに対してクラウド・ソリューションを利用しながら、その他の機能に対してはオンプレミス・システムを利用している場合もあります。いずれの方法でも、情報の安定したフローを確保するために、クラウド・システムをオンプレミス・プラットフォームにリンクする必要があります。これを実行するのは、多くの場合困難を伴います。
オープンソースERP
他のオープンソース・アプリケーションと同様に、オープンソースERPは安価で、場合によっては無料であり、一部の企業には代替となります。多くのオープンソースERPプロバイダは、企業がソフトウェアを無料でダウンロードでき、顧客がクラウド・アクセスを希望する場合にのみ、低額な年会費を請求します。これらのソリューションは改善され、最新のWebベースのインターフェイスを備え、モジュールの数が増えていますが、企業はオープンソースERPで行っていることを理解する必要があります。プロバイダからのサポートは最小限にとどまり、設定やシステムの改善は顧客の負担となる傾向があります。つまり、ソフトウェアの開発や構成に関する深い知識を持つ技術スタッフが必要になります。 それ以来、クラウドERPは、過去20年間に多くのイノベーションを生み出し、推進してきました。このコンピューティング・モデルにより、企業は社内の部門間および社外パートナーとのコラボレーションの両方を向上させ、ビジネスの時間とコストを節約して推進する新しいインサイトを生み出すことができました。
ERPの開発タイプ
ERPソリューションを適切に導入すれば、多くのメリットが得られます。また、企業は市場に数多く出回っているソフトウェア・パッケージの中から選択できる一方で、組織が採用するERPのタイプによって、ソフトウェアの稼働を継続するために必要なカスタマイズのレベルが決まります。
スクラッチベースのERP
スクラッチベースのERPは、ビジネスの複雑な要件を満たすためにゼロから構築されたソフトウェア・システムです。これらのシステムは、市場にある標準ERPソリューションでは対応できない独自のプロセスを持つ大企業に共通しています。スクラッチベースのERPを使用する企業では、そのコンポーネントやワークフローを完全に制御できますが、導入する長期間と高額の費用がかかる大規模なカスタマイズが必要となります。また、サポートは社内で行われるため、アップグレードや設定の対応には、社内従業員のトレーニングや外部のエキスパートの採用が必要です。
パッケージERP
パッケージERPは、業界のリーディング・プラクティスに基づいて事前定義済みのモジュールとワークフローを備えた、すぐに利用可能なソリューションです。パッケージERPを導入する企業は、標準化された構成により、カスタマイズを最小限に抑えることにより、導入を迅速化し、コストを削減できます。
ERPシステムを導入するメリット
ERPシステムへの投資は、企業に多くのメリットをもたらします。単一の統合プラットフォームにより、組織は反復的な作業を自動化して効率を高め、部門間の可視性を高めることにより意思決定を改善できます。すべてのデータを1か所に集めることにより、ERPはより優れたデータセキュリティ、コンプライアンス要件の追跡の容易化、重要なビジネス・データをリアルタイムに可視化し、正確なレポートや予測の作成を支援します。
ERP導入の6つの課題
ERPがもたらす価値は非常に大きいものがありますが、ERPシステムを導入する際には、企業が潜在的な課題を認識し、関係者の疑問を事前に解決しておくことが重要です。同時に、企業は詳細な計画を立て、適切なERPベンダーを選択することにより、これらの問題の多くを回避できることを認識する必要があります。
ERPプロジェクトの準備を進める場合は、次の懸念事項に留意してください。
1. 予算の考慮事項
ERPは、過去20年間で中小企業でも利用可能になりました。ERPには依然として時間と資金の投資が必要ですが、固定料金を請求するSaaSシステムと、市場に参入する中小企業向けに設計されたソリューションの両方により、このテクノロジーははるかに手頃になりました。たとえば、組織はツールを使用して、1年後と3年後の推定削減額を計算し、投資収益率がコストを上回る時期を判断できます。
2. 従業員研修
他の新しいテクノロジーと同様に、ERPにも一定の学習期間が必要です。ソフトウェアを使用する従業員にはトレーニングが必要です。最初は抵抗があるかもしれませんが、このテクノロジーがどれほど役立つかを理解すれば、その抵抗は消えるでしょう。頻繁に更新される新しいシステムは、より直感的で使いやすく、トレーニングの必要性を減らし、定着しやすくなっています。
3. データ変換と移行の課題
新しいERPに移行する場合、一部のデータを新しいプラットフォームと互換性のある形式に変換する必要がある場合があります。これは、予期しないコストと遅延が発生する可能性があるため、データベースを確認し、ITチームまたは統合パートナーと協力して、潜在的なデータ互換性の問題を早期に特定することが重要です。その後、変換の取り組みをERP導入計画に組み込むことができます。
4. 変化への反発
ERPシステムは機能が多く、そのことに従業員が圧倒される可能性があります。一方で、ベンダーはユーザー・エクスペリエンスの向上に力を注いでいるため、今日利用できるソフトウェアは従来のシステムよりもはるかに使いやすくなっています。さらに、従業員は各自の業務に必要なモジュールやダッシュボードのみにアクセスでき、操作がより簡単になります。十分にトレーニングすることにより、複雑さに関する懸念は和らぎます。
5. 専用のITリソース
これまでは、保守に多額の費用がかかることが負担となり、収益の少ない企業ではERPの導入をためらうことがありました。企業は、パッチ、セキュリティおよび必要なシステム・アップグレードを処理するITスタッフが必要であるのみでなく、多くの場合、ベンダーまたは第三者サービス・プロバイダにその専門知識に対して支払う必要がありました。SaaSシステムでは、プロバイダがすべてのメンテナンスを担当し、定期的にすべての顧客を最新バージョンに移行するため、このような懸念は軽減されます。また、費用はすべて利用料金に含まれています。保守に関心のある企業は、候補の供給者を十分に精査して、真のベンダー管理SaaSシステムを提供していることを確認する必要があります。
6. プロセスとポリシーの問題を解決しない
エラーが発生しやすいプロセスや非効率的なプロセスがある場合、ERPによって精度を高める可能性はあっても、必ずしもそれらを解決できるとは限りません。ただし、業務の問題を明らかにし、ビジネスを行うより適切な方法をブレーンストーミングするために役立ちます。組織の障壁となっているポリシーについても同様です。それらを調整し、より適切なビジネスの方法をサポートするシステムを構築するのは、ERPを導入する企業しだいです。
事業部門の場合、ERPソフトウェアは、勘定照合、顧客請求、注文処理など、エラーが発生しやすい多くのタスクを自動化し、チームがより効率的に業務を行うために必要な情報を提供できます。
ERPの本当に優れた点は、データの保存と整理のみでなく、パターンの特定と調査が必要な異常に対するフラグ付けによって、企業の状態の掘り下げた分析と 特定のプロセスまたはKPIに対する詳細な洞察の両方を提供できることです。このようなことがスプレッドシートでできるでしょうか。
適切なERPを選択する方法
NetSuiteでは、企業がすべての業務を1か所で管理できるように、統合された真のクラウドERPシステムを提供しています。この製品には、財務、在庫および受注管理、プロフェッショナル・サービスの自動化、オムニチャネル・コマース、高度な分析のためのアプリケーションが含まれます。これらのアプリケーションはすべてネイティブに統合されているため、管理する接続がなく、ユーザーはモジュール間を移動するときに共通のインターフェイスを利用できます。
NetSuiteはクラウドで誕生し、スタートアップから多国籍企業まで、社を超えるお客様にご利用いただいています。強力なレポート機能により、ビジネス全体にわたるインサイトを提供します。役割に応じたアクセス権限を設定できるため、従業員は必要な情報のみにアクセスできます。
1. ニーズ評価の実行
貴社にとって適切なERPシステムは、現在のニーズをサポートし、かつビジネスとともに成長する十分な拡張性があり、節約を促進し、機会を活用するために役立つモジュールと機能を備えたものになります。これは大きな意思決定であるため、時間をかけてすべての選択肢を十分に評価してください。
ERPプラットフォームの購入と実装は、かつては気が遠のくような負担が大きい作業でした。しかし、今日利用可能なソリューションでは、企業は段階的に実装を進め、必要なときに必要な機能を追加できます。このソフトウェアは多くの組織に手の届くものとなり、リーダーはこれを活用する必要があります。ERPは、競争を勝ち抜くための可視性とインサイトを求める企業にとって一般的なものとなっています。
2. ベンダーの評価
ERPは、各企業の運営方法と調和する必要がある重要なビジネス・システムであるため、1つの「最適な」プラットフォームがあるわけではありません。必要な機能、推奨される導入モデルおよび企業の規模はすべて、ERPシステムを購入する際の決定に影響します。貴社の業種の企業と連携して成功した実績のある確立されたベンダーに目を向けてください。常に事例顧客について尋ね、成功事例をご確認ください。企業は、IoTやブロックチェーンなどの最先端のテクノロジーに関するソフトウェア・プロバイダのロードマップも考慮する必要があります。
3. カスタマイズとスケーラビリティの評価
まずは、ビジネスに不可欠なモジュールから開始し、そこから構築します。多くの場合、企業では財務モジュール(新しいタブで開きます)から導入し、基本的な会計タスクを自動化し、経営陣が手持ちの資金や、組織への資金の出入を簡単に確認できるようにします。
その後、顧客とのコミュニケーションを改善できることからCRMモジュールが適切な投資となりますが、製造、調達および倉庫管理用のサプライチェーン・マネジメント(SCM)モジュールは、購入と生産を需要に応じて調整できます。
4. 総所有コスト(TCO)分析の実行
ERPプロジェクトのコストは、ベンダー、モジュールおよび導入モデルによって大きく異なります。ERPシステムは、対象企業のユーザーのニーズを考慮して価格設定されるため、新興企業や高成長企業向けに構築されるシステムは、フォーチュン500の企業が使用するシステムよりも手頃な価格になります。
クラウドベースERP、特にSaaSオプションは、ハードウェアの購入や、システム・エキスパート採用の必要がないため、通常、オンプレミス・ソフトウェアよりも初期費用が低くなります。オンプレミス・ソフトウェアでは、企業は永続的なライセンスを購入します。ライセンスは高額ですが、一度きりの費用です。ハイブリッド・モデルは、オンプレミスERPをサポートするために多くのリソースが必要となり、クラウド・アプリケーションのサブスクリプション料金も必要となるため、さらに高額になる可能性があります。
ERPのコストは、ライセンス料だけではありません。さまざまなERPソリューションのTCOを計算する際は、カスタマイズ、保守、トレーニング、アップグレードおよびサポートに関連する実装と運用費を考慮します。
ERPのケース・スタディ
ちん里う本店では、カスタマイズや他のシステムとの統合ができないシステムを使用して、これまでは通貨換算と在庫を手作業で計算していました。新しいビジネスモデルや販売チャネルの構築を始めたとき、自社のソフトウェア・ソリューションに限界を感じていました。ちん里う本店ではNetSuite ERPを導入し、国内と海外の事業を単一のプラットフォームで実行できるようなりました。これにより、これまでより迅速に注文に対応しながら、在庫を削減できました。
志成販売は、現代的な家庭用品やファッション・アクセサリーを取り扱う販売会社です。以前は、高度にカスタマイズされたオンプレミス・システムでサプライヤーと販売データを管理していたため、チームでは、Excelやその他のプラットフォームから手動でレポートを抽出する必要がありました。志成販売ではNetSuite ERPを導入し、毎月の販売レポートを自動化することにより、月間25時間の時間短縮を実現しました。
今日のクラウドベースのSaaS ERPは、参入障壁を低くすることにより、数えきれないほどの新興企業や中規模企業の効率性、可視性、さらには収益性を向上させています。ERPソフトウェアの購入と導入には費用がかかりますが、投資回収が早いというメリットがあります。
今後のERP
ERPの多大なメリットを理解した企業では、このシステムをさらに強化する方法を模索しています。人工知能(AI)、ブロックチェーン、拡張現実(AR)、モノのインターネット(IoT)などのテクノロジーが、今日のERPのトレンドを形成しています。これらのテクノロジーの多くは、業界をリードするERPソリューションに既に組み込まれています。
ERPにおける人工知能(AI)と機械学習
たとえば、AIと機械学習によって、勘定の照合を自動化し、詳細な調査を必要とするトランザクションにフラグを設定できます。これにより、最も面倒なタスクの負荷が軽減されるため、会計チームの業務時間を短縮できます。機械学習テクノロジーは、より多くのトランザクションを処理するにつれて向上し、より正確に予測するために役立ちます。
サプライチェーン・マネジメント(SCM)向けのブロックチェーン
ブロックチェーンはデータを安全にパッケージ化し、サプライチェーン内の企業間の透明性を高めることができます。具体的には、特定の製品のステータスを詳細に表示し、原材料から完成品までのアイテムの工程の詳細な監査証跡を作成できます。これは、ERPがインサイトを引き出すことができる情報も提供します。
ERP向けの拡張現実(AR)
拡張現実(AR)は小売業で基盤を築き、消費者はリビング・ルームに敷物や家具の3D画像を仮想的に配置して、購入する前にどのように見えるかを把握できるようになりました。ERPでは、ARを機能させるために必要なすべてのデータ・ポイントと画像を保存できます。
モノのインターネット(IoT)の統合
最後に、ERPに情報をフィードバックできるセンサー、スキャナ、カメラなどのIoTデバイスの価値を認識する企業が増えています。たとえば、倉庫の自動化機器のパフォーマンスをモニターするセンサーから、装置の動作が遅くなったときにマネージャーに警告できます。これは装置の修理が必要な兆候である可能性があり、装置が破損して業務が中断する前に介入できます。配送トラックのIoTトラッカーは、ドライバが非効率的なルートを通っていることを示し、常にGPSを使用するように提案できます。
統合ERPシステム
このような話題のテクノロジー以外にも、より多くの企業がすべてのアプリケーションを単一のプラットフォームに統合することを検討しています。ガートナー社の最近の調査によると、サービス会社の40%が2026年までに財務、人事、受注から入金、調達、業務などのコア・プロセスを単一のスイートに統合する見込みであることが示されました。ソフトウェア・プロバイダが提供する製品やサービスが拡大し、より多くの企業が統合ERPシステムの価値が認識されると、この傾向はますます一般的になると予想されます。
NetSuite ERPでビジネス・リソースを管理する
NetSuiteのエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムは、即効的なパフォーマンス強化と継続的な成長を求める企業に最適な選択肢です。多くの従来のシステムとは異なり、NetSuiteはAIが搭載され、クラウド・ネイティブとなるように最新の注意を払って設計されており、比類のない柔軟性と拡張性を実現しています。この適応性により、企業は変化する状況にシームレスに適応し、進化するビジネス・ニーズに対応できます。NetSuiteのリアルタイム・データと役割別のダッシュボードにより、組織のあらゆるレベルで、より迅速で情報に基づいた意思決定を下すことができます。これは、今日のダイナミックな環境において、アジャイルかつ競争力を維持しようとする企業にとって、画期的な変化です。
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ERPに関するよくある質問
ERPは何の略ですか。
ERPは、エンタープライズ・リソース・プランニングの略で、企業が使用し始めた経営プラットフォームを指すために1990年に調査会社のガートナー社が作成した用語です。
簡単にわかりやすく言うと、ERPとは何ですか。
ERPは、企業が日常業務のビジネス・パフォーマンスを実行およびモニターするために利用するソフトウェアです。財務からサプライチェーン、人事に至るまで、全社的なのデータを中央リポジトリに格納し、そのすべての情報を分析してレポートできます。
ERPはどのように機能しますか。
ERPは、企業内のさまざまな部門から情報を受け取る中央データベースを利用するアプリケーションです。ERPには、会計、在庫管理、CRMなどの機能専用の統合モジュールが含まれています。ERPは、データを保存、表示、管理、および解釈するための単一の場所を企業に提供します。
ERPシステムとは何ですか。
ERPシステムは、会計、製造、CRMなどの特定のビジネス・プロセスに焦点を当てたモジュールです。これらのモジュールは、中央データベースを使用して機能し、リアルタイム・データへのアクセスを可能にし、データの重複を最小限に抑えながら、これらの部門全体のビジネス・パフォーマンスを可視化します。完成されたERPシステムを導入すると、予算管理、計画、財務実績の報告が容易になります。
ERPが使用されるのはなぜですか。
企業はERPシステムを使用して、一元化されたシステム内の複数のビジネス部門からのデータを接続し、同じデータを使用して「信頼できる唯一の情報源」を維持します。これにより、さまざまな部門が同じ結果で運用できるようになります。また、企業は手動プロセスを自動化し、エラーの機会を減らすことにより時間とコストを節約します。
ERPは財務と会計専用ですか。
財務管理と会計は重要なERP機能ですが、システムの機能はこの部門を超え、広範囲にわたります。購入、在庫および販売管理、製造プロジェクト管理、ワークフォース管理、販売およびマーケティングなどに関連するタスクを自動化し、より適切に管理できます。
企業がERPを使用する理由は何ですか。
ERPソフトウェアは時間とコストを大幅に節約できるため、企業にとって非常に重要なツールです。ERPは、タスクの自動化に加えて、全社レベルの可視性とレポートを提供し、チームが時間と注意をどこに集中する必要があるかを経営陣とマネージャーに伝えます。これは、差し迫った問題に対処することを意味する場合もあります。
ERPとMRPの違いは何ですか。
MRP(資材リソース計画)システムは、製造業者が生産実行の準備を改善するために使用するERPの前身でした。調達や在庫追跡など、MRPシステムが処理する製造関連のタスクは、今日のERPシステムのコンポーネントの1つにすぎません。
2層ERPとは何ですか。
2層ERPは、子会社、個別の事業部門または地域オフィスを持つ大企業の間で注目を集めているアプローチです。これらの事業部門やオフィスにレガシーERPの使用を適用するかわりに、層1システム(コアERP)と統合されたリソース消費量の少ないサブERP(多くの場合SaaSソリューション)で実行します。
クラウドベースERPのメリットは何ですか。
クラウドERPのメリットの多くは、コストの削減と困難な問題の減少に分類されます。クラウド・ソリューションは通常、より安価で迅速に実装でき、ベンダーがすべての保守とアップグレードを行うため、実装後の費用を抑えることができます。クラウドベースのシステムでは、ベンダーがすべてのハードウェアを管理するため、お客様の成長にもシームレスに対応できます。
経営において、ERPとはどのようなものですか。
ERP、エンタープライズ・リソース・プランニングは、財務、サプライチェーン、在庫管理など、さまざまなビジネス部門を1つの統合システムに統合するソフトウェアです。ERPは、リアルタイムのインサイトを提供し、反復的なタスクを自動化して運用効率を向上させることにより、意思決定の改善に役立ちます。
クラウドERPとオンプレミスERPの違いは何ですか。
クラウドERPとオンプレミスERPの違いは、クラウドERPはベンダーのサーバー上でホスティングされるのに対し、オンプレミスERPのサーバーは、システムを使用する企業が社内で導入、管理します。
ERPとCRMの違いは何ですか。
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)とCRM(顧客関係管理)の違いは、ERPが財務、サプライチェーン、在庫などのビジネス部門を一元管理するのに対し、CRMはマーケティングや販売などの顧客関係活動を管理するためにのみ設計されていることです。
ERPと基幹システムの違いは何ですか。
ERPは、主幹ビジネス部門を統合し、プロセスとデータを単一のプラットフォームで集中管理します。基幹システムは、Application Program Interface(API)を介して他の基幹システムと統合されない限り、他の主幹ビジネス部門との連携が制限されます。