企業が成長すると、いずれスプレッドシートだけでは管理しきれなくなる段階に到達します。そこで役立つのが、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)ソフトウェアです。簡単に言うと、ERPシステムとは、主要なビジネス情報を収集・整理し、組織が拡大しても効率的な業務運営を支援する仕組みです。日本では「統合基幹システム」とも呼ばれます。多くのビジネスパーソンは、ERPという言葉を聞いたことがあっても、エンタープライズ・リソース・プランニング・システムが具体的にどのように自分たちの業務に役立つのか、正確に理解していない場合もあります。
エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)とは?
ERPとは、ビジネスソフトウェアの一種で、会計、製造、サプライチェーンマネジメント(SCM)、営業、マーケティング、プロフェッショナルサービスなどの各部門から入力される情報を中央データベースに集約し、業務プロセスを自動化します。その結果、組織全体におけるインサイトや内部統制を強化します。
企業ではさまざまな利害関係者が協力して業務を進めています。しかし、重要な情報が部門ごとにバラバラのシステムに存在すると、業務に支障をきたします。たとえば、会計チームとFP&Aチームが、それぞれ独自のスプレッドシートで支出を管理している場合、数値が一致しないことがあります。
ERPシステムは、データの一元化により、部門横断の可視性向上、効率的な分析、データ不整合の解消、業務プロセス改善の推進を可能にします。その結果、従業員が必要なデータを探す時間が大幅に減り、コスト削減と生産性向上につながります。
ERPとは(動画)
主なポイント
- ERPは共通データベースに各部門の情報を集約し、経営層が企業の状況を正確かつ一貫した視点で把握できるようにする、重要なビジネスソフトウェアです。
- ERPシステムは、財務、製造、在庫・販売管理、カスタマーコミュニケーション、販売、マーケティング、プロジェクト管理、人事など、主要なビジネス部門を統合します。特に重要な機能のひとつが、各部門に対する詳細な分析やレポート作成です。
- ERPにより組織全体の可視性が高まることで、非効率的な手動プロセスを発見し、成長機会を見いだせるため、大幅な時間とコストの削減につながります。
- ERPソフトウェアには、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドなど複数の導入モデルがあります。近年はクラウドERPの利用が一般的になっていますが、最適なアプローチは企業のニーズによって異なります。
- 企業は、導入候補となるソフトウェアを絞り込む前に、それぞれの機能、実装モデル、他システムとの統合要件、総所有コストを正しく理解しておく必要があります。
ERPの意味をやさしく言いかえると?
ERPは、エンタープライズ・リソース・プランニングの頭文字を取った言葉です。わかりやすく言うと、企業がさまざまな業務を1つのプラットフォーム上で効率的に管理・処理するためのテクノロジーです。ERPの中心的な役割は、共有データベースを提供し、異なる部門の従業員が同じ情報にアクセスできるようにすることです。これにより、意思決定の質が向上し、部門間のコラボレーションも強化されます。
基幹システムとは
基幹システムとは、財務、顧客関連、在庫管理、サプライチェーン・マネジメント(SCM)など、企業の特定のビジネス機能を実行するためのテクノロジーインフラストラクチャの総称です。
たとえば、卸売販売会社が紙ベースの仕組みで在庫の追跡や記録を行っている場合、作業に時間がかかり、エラーも発生しやすいため、企業全体の効率性に悪影響を及ぼしています。紙ベースの在庫管理では、データが物理的な場所に保管されるため、関係者以外のアクセスが制限され、大量のデータを扱うほど処理も困難になります。その作業を、倉庫管理システム(WMS)などの基幹システムに移行することで、倉庫の主要業務が自動化され、データが一元管理されるようになります。これにより、ヒューマンエラーの削減、リアルタイムでの在庫追跡、倉庫業務プロセスの最適化が可能となります。
ERPと基幹システムの違い
エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)は、財務、顧客管理、在庫管理、サプライチェーンなど、複数の基幹システムが担う業務プロセスを1つの統合プラットフォーム上で包括的に管理する仕組みです。一方、基幹システムは特定のビジネス部門だけを対象とした個別システムであり、他部門との連携は原則としてありません。異なる基幹システム間を連携させるには、Application Program Interface(API)を介した統合作業が必要です。
| エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP) | 基幹システム | |
|---|---|---|
| 範囲 | 複数のビジネス部門をカバー | 1つの特定のビジネス部門に限定 |
| データ共有 | 組織全体でのエンドツーエンドの可視化が可能 | APIによる統合がない限り、部門ごとにデータが分断 |
| 統合 | 標準機能として事業部門間が統合された単一プラットフォーム | 他部門や他プラットフォームと連携可能だが、個別に統合作業が必要 |
ERPシステムの13のコンポーネント
ERPはバックオフィス業務からフロントオフィス業務まで、企業の多様な業務領域をカバーする複数のモジュールによって構成されています。
多くの企業は、最新のERPが「標準機能のまま」で自社の業務プロセスを十分にサポートできることに気づいています。一方で、一部の企業では、自社の独自システムやレガシーシステムとの統合、またはITスタッフによる追加機能開発などの拡張が必要になる場合もあります。
ただし、カスタマイズに進む前に、自社のプロセスを十分に見直す必要があります。最新のERPソリューションに備わる事前構築済みの機能や設定は、数千社の企業から収集されたベストプラクティスに基づいています。
基幹ERPモジュール
- 財務管理: すべてのERPシステムの基盤となる財務モジュールは、一般会計および各種財務データを管理します。買掛金(AP)・売掛金(AR)を含むすべてのトランザクションを追跡し、照合作業や財務報告を処理します。
- 人的資源管理(HRM): 人的資源管理(HRM)または人材管理(HCM)モジュールは、人材管理に関する各種業務を扱います。利用可能な有給休暇(PTO)やパフォーマンス・レビューなどの詳細情報を始めとする従業員データを管理し、部門別・対象層別の労働力トレンドを分析することができます。
- サプライチェーン・マネジメント(SCM): サプライチェーン・マネジメント・モジュールでは、サプライヤーから製造、そして顧客に届くまでの商品の流れを一元管理します。必要な資材が適切に確保されているかを把握し、機械や作業員のスケジュールを最適化することで、生産が円滑に進むよう支援します。
- 顧客関係管理(CRM): CRMは多くの業界で利用される一般的なモジュールです。クライアントとのコミュニケーション履歴を追跡し、リード・マネジメントを支援し、カスタマーサービスを強化して売上向上に貢献します。
その他のERPモジュール
- 製造: 製造業務(英語ページ)(新しいタブで開きます)は複雑になることがありますが、このモジュールは製品工程全体の調整を支援します。需要に応じた生産が行われているかを管理し、進行中のアイテムと完成したアイテムの数量を把握することができます。
- 在庫管理: 在庫管理モジュールは、SKU 単位で現在の在庫数を表示し、リアルタイムで更新します。主要な在庫指標を測定し、製品を扱う企業における、現在・将来の需要に応じた在庫最適化に役立ちます。
- プロジェクト管理: サービス業では、プロフェッショナル・サービス・オートメーション(PSA)またはプロジェクト管理モジュールを使用し、プロジェクトの計画、進捗管理、消費リソース、作業時間を管理します。クライアントへの請求処理を簡素化し、チーム間のコラボレーションを促進します。
- eコマース: eコマースモジュールは、小売業者やブランドがオンライン・ストアのバックエンドとフロントエンドを管理できるようにします。このアプリケーションを使用すれば、サイトデザインの変更や製品ページの追加・更新を行うことができます。
- マーケティング・オートメーション: メール、Web、ソーシャルなど全デジタルチャネルのマーケティング活動を管理し、メッセージの最適化・パーソナライズを実現します。これにより、リード獲得、売上向上、カスタマーロイヤルティ向上に寄与することができます。
- 調達: 調達モジュールは、原材料や完成品の購買業務を管理します。需要計画と連携させることで、見積依頼や発注書作成を自動化し、過剰購入や不足を防ぎます。
- 販売管理: すべてのチャネルから入る注文をモニターし、優先順位を付け、納品までの進捗を管理します。これにより出荷・配送を迅速化し、カスタマーエクスペリエンスを向上させます。
- 倉庫管理: 倉庫管理モジュールは、受入、ピッキング、梱包、出荷などの作業を効率化します。これらのタスクをより効率的に行う方法を把握することによって、倉庫で時間とコストの削減に役立ちます。
- 人材管理: 人材管理(WFM)モジュールは、勤怠・労働時間を追跡し、モジュールによっては給与管理も可能です。また、部門、チーム、個人単位で欠勤や生産性を記録できます。
統合されたシステムを利用することで、業務の整理、プロセス改善、課題削減が可能になります。重要な情報の照合や共有にメールやスプレッドシートへ過度に依存している場合、ERP導入が必要であるサインです。スプレッドシートは頻繁な手動更新が必要で、情報の陳腐化が起きやすく、機密データをメールで共有することはセキュリティ・リスクにもなります。システム間の統合不足は、ERP導入の準備ができていることを示しています。すべてのモジュールを一つにまとめることで、ビジネスが大幅に簡素化され、手動データ転送や不安定な接続による不具合を解消できます。
ERPがビジネスにとって重要な理由
ERPシステムは、リソースを有効活用したい企業にとって、一般的な存在となりつつあります。ERPは、リーダーがパフォーマンスを損なうことなくコストを削減し、効率的なコアビジネスプロセスを構築することを支援します。
ERPは、計画や調整の面でも有用です。従業員は、現在利用可能な在庫や顧客注文を詳細に確認し、仕入先の発注書と予測される将来の需要を比較できます。必要に応じて調整し、問題を未然に防ぐことも可能です。また、ERPソフトウェアを使用すると、他部門の状況を確認して意思決定に活用できるため、コミュニケーションとコラボレーションも向上します。
ERPシステムは包括的なデータソースとして、多数のレポートや分析機能を提供し、ビジネスの差別化にも貢献します。膨大なデータを、傾向を明確に示したり予測モデルを作成したりするのに役立つチャートやグラフへ変換できる点は、経営層にとって非常に重要なERP機能です。
ERPのタイプ
ERPシステムは、日々のビジネスプロセスを簡素化し、財務や業務のパフォーマンスを全社的にリアルタイムで可視化します。ERPは、サポートする機能やプロセスに基づき、以下の3タイプに分類されます。
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基幹ERP
ほとんどのERPシステムは、財務・会計・生産など、内部の基幹ビジネス部門を管理します。リアルタイムの財務・業務データを統合して共有・分析を容易にし、戦略的意思決定を支援します。自動化も重要な機能で、給与計算処理、請求書発行、口座照合など、時間のかかる繰り返し作業をERPが担うことで、スタッフはより価値の高い業務に集中できます。
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拡張ERP
拡張ERPは、仕入先、顧客、クライアント、ロジスティクス事業者など、サプライチェーンに沿った外部との業務や関係性をサポートします。拡張ERPシステムには、ビジネスインテリジェンス(BI)、分析、顧客関係管理(CRM)、eコマース、電子調達、ロジスティクス、サプライチェーン・マネジメント(SCM)の機能を備えています。
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業種特化型ERP(バーチカルERP)
バーチカルERPソリューションは、製造業や小売業など、特定の業界ニーズに合わせて設計されたERPです。これらの業界では独自のワークフローがあるため、ソフトウェアの大規模なカスタマイズや長い導入期間が必要になる場合がありますが、業界特有の役割や規制要件に合わせてカスタマイズすることができます。
ERPの導入タイプ:
ビジネスに最適なERP導入モデルを選ぶためには、それぞれの特徴を理解することが重要です。
オンプレミスERP
オンプレミスERPは、自社のサーバーでソフトウェアを実行し、セキュリティ、保守、アップグレードなどを自社で実施します。通常、維持管理のために専門知識を持つ社内ITスタッフが必要です。長年にわたり、オンプレミスERPが主流の選択肢でした。
クラウドベースERP
クラウドベースERPは、第三者が管理するリモートサーバーで動作します。ユーザーはWebブラウザを通じてクラウドERPにアクセスし、インターネット接続があればどこからでも情報やレポートを利用できます。導入形態にはホステッドクラウドや通常のクラウドなど、複数の導入オプションがあります。
- ホステッド・クラウド・ソリューション: 企業がライセンスを購入しますが、ソフトウェアは第三者が管理するリモートサーバーで実行されます。サーバーやハードウェアはホスティング会社からレンタルすることが多く、データは他組織と共有されないERPの独立したインスタンスとしてプライベートクラウドに保存されます。そのため、単一テナントとも呼ばれます。カスタマイズの自由度は高く詳細な制御も可能なものの、運用作業が多く発生する場合があります。つまりホステッド・クラウドソリューションは、オンプレミスと通常クラウドの中間的な位置付けです。
- 通常のクラウド・ソリューション: 通常のクラウド環境では、企業はサーバーやソフトウェアへのアクセス料金を負担するだけで、それらを自ら管理する必要はありません。Software-as-a-Service(SaaS)型のERPソリューションでは、ベンダーがパッチの適用やアップグレードなど、バックエンドのすべてを処理するため、クラウド・ソリューションとして広く利用されています。通常のクラウドでは、複数の企業が同じソフトウェア・インスタンスとハードウェアを使用するため、マルチテナントとも呼ばれます。これにより、社内ITチームの負担が軽減され、常に最新かつ安全なソフトウェアを利用できます。シングルインスタンスERP を採用するクラウドERPでは、すべてのユーザーが同一のクラウド環境を利用するため、リアルタイムのデータ可視化や、バージョン管理の一元化などのメリットが得られます。
ハイブリッドERP
ハイブリッドERPとは、オンプレミスとクラウド環境の要素を組み合わせたものです。ハイブリッド・アプローチの一つに、企業が2つの異なるERPシステムを運用する2層ERPがあります。通常、1層ERP(コアERP)はオンプレミスで運用され、複雑かつ大規模な業務を処理するために本社に設置されます。一方、2層ERP(サブERP)は、多くの場合クラウドベースで、別地域や拠点の独自ニーズに対応するよう設計されており、大きなカスタマイズは行われません。企業によっては、特定業務にはクラウド・ソリューションを利用し、その他はオンプレミスを使い続けるケースもあります。いずれの場合も、情報を安定的に流通するため、クラウドとオンプレミスを連携させる必要がありますが、この作業は、多くの場合容易ではありません。
オープンソースERP
他のオープンソース・アプリケーションと同様に、オープンソースERPは安価で、場合によっては無料で利用でき、一部企業にとっては有力な選択肢となります。多くのオープンソースERPプロバイダは、ソフトウェア自体は無料でダウンロード可能とし、クラウドアクセスを希望する場合に低額の年会費を設定しています。これらのソリューションは改善が進み、最新のWebベースのインターフェイスを備え、提供されるモジュール数も増えています。ただし、企業側にはオープンソースERPで行っていることを理解することが求められます。プロバイダからのサポートは最小限であり、設定やシステム改善作業は顧客側の負担となる傾向があります。そのため、ソフトウェア開発や構成管理に詳しい技術スタッフが必要になります。 クラウドERPはこの20年間で多くのイノベーションを生み出し、企業が部門内外でのコラボレーションを強化し、時間とコストを削減して新しいインサイトを生み出すことができました。
ERPの開発タイプ
ERPソリューションを適切に導入すれば、多くのメリットが得られます。市場にはさまざまなソフトウェア・パッケージが存在し、企業はその中から選択することができます。また、どのタイプのERPを採用するかによって、継続的な運用に必要なカスタマイズの度合いが決まります。
スクラッチベースのERP
スクラッチベースのERPは、ビジネスの複雑な要件を満たすためにゼロから構築されたソフトウェア・システムです。市場にある標準的なERPソリューションでは対応できない独自のプロセスを持つ大企業で採用されることが多く、コンポーネントやワークフローを完全に制御できる点が特徴です。一方で、導入には長期間を要し、費用も高額になります。また、サポートを社内で行う必要があるため、アップグレードや設定変更には、社員のトレーニングや外部専門家の活用が必要になります。
パッケージERP
パッケージERPは、業界のベストプラクティスに基づく事前定義済みのモジュールやワークフローを備えた、すぐに利用できるソリューションです。標準化された構成のためカスタマイズを最小限に抑えられ、導入の迅速化とコストを削減が可能になります。
ERPシステムを導入するメリット
ERPシステムへの投資は、企業に多くのメリットをもたらします。単一の統合プラットフォームにより、反復作業の自動化による効率化、部門間の可視性向上による意思決定の改善を図ることができます。すべてのデータを1か所に集めることにより、セキュリティの強化、コンプライアンス要件の追跡、重要データのリアルタイム可視化が容易になり、正確なレポートや予測の作成に役立ちます。
ERP導入の6つの課題
ERPは大きな価値を提供しますが、導入にあたっては、潜在的な課題を理解し、関係者の疑問を事前に解決することが重要です。詳細な計画と適切なベンダー選定により、多くの問題を回避できます。
ERPプロジェクトを準備する際には、以下の懸念点を考慮してください。
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予算に関する課題
ERPは過去20年間で大幅に普及し、中小企業でも利用可能になりました。依然として時間と資金の投資は必要ですが、固定料金のSaaSモデルや中小企業向けソリューションの登場により、導入のハードルは下がっています。たとえば、ツールを利用して、1年後・3年後のコスト削減額を試算し、投資回収時期を判断できます。
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従業員研修
新しいテクノロジーには学習期間が必要です。ユーザーには適切なトレーニングが求められます。導入当初は抵抗があっても、システムの有用性が理解されれば解消されることが多いものです。また、現在のERPは直感的で使いやすく、必要な研修も以前より少なくなっています。
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データ変換と移行
新しいERPに移行する際、一部データは互換性のある形式に変換する必要があり、予期しないコストや遅延が生じる可能性があります。事前にデータベースを確認し、ITチームやパートナーとともに、互換性の問題を洗い出し、移行計画に組み込むことが重要です。
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変化への反発
ERPは機能が多く、従業員が戸惑う可能性があります。ただし、ベンダーもユーザーの利便性向上に力を入れているため、現在のソフトウェアは従来のものよりもはるかに使いやすく、ユーザーは自分に必要なモジュールやダッシュボードのみを表示することで負担を軽減することができます。十分なトレーニングをすることにより、複雑さに対する不安は解消されます。
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専用のITリソース
従来は、パッチ適用やアップグレードに多額の費用がかかるため、ERP導入をためらう企業もありました。しかしSaaSでは、メンテナンスはすべてプロバイダーが担当し、最新バージョンが自動的に適用されます。また費用はすべて利用料金に含まれています。
導入を検討する企業は、候補ベンダーが真にベンダー管理型のSaaSを提供しているかを確認する必要があります。
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業務プロセスやポリシーの未整備
エラーが起きやすい作業や非効率的なプロセスがある場合、ERPが精度向上に寄与する可能性はありますが、根本解決にはなりません。ただし、業務課題を可視化し、より良い方法を検討するきっかけにはなります。組織文化やポリシーも同様で、より適切な業務プロセスをサポートするシステムを構築するのは、ERPを導入する企業次第です。
事業部門において、ERPは、勘定照合、請求、注文処理などエラーの起きやすいタスクを自動化し、チームが効率的に業務を行える環境を提供します。
ERPの最大の強みは、データの保存・整理にとどまらず、パターンの特定や異常値の検知により、深い分析やKPIへの洞察を得られる点です。これはスプレッドシートでは到底実現できません。
適切なERPを選択する方法
NetSuiteは、企業があらゆる業務を一元的に管理できるよう、統合された真のクラウドERPシステムを提供しています。本製品には、財務、在庫・受注管理、プロフェッショナルサービスの自動化、オムニチャネルコマース、高度な分析などのアプリケーションが含まれています。これらのアプリケーションはすべてネイティブに統合されており、追加の接続が不要で、ユーザーはモジュール間を移動する際も統一されたインターフェイスを利用できます。
NetSuiteはクラウドで誕生し、スタートアップから多国籍企業まで、世界で社を超える企業に利用されています。強力なレポート機能により、ビジネス全体を可視化し、役割に応じたアクセス権限設定によって、従業員は必要な情報のみを取得できます。
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ニーズ評価の実施
適切なERPシステムとは、現在のビジネス要件を満たしつつ、将来的な成長に合わせて柔軟に拡張できるものです。また、コスト削減や新しい機会の活用を支援するモジュールと機能が備わっている必要があります。これは大きな投資を伴う意思決定のため、十分な時間をかけて慎重に検討してください。
かつて、ERPプラットフォームの導入は非常に負担の大きい作業でしたが、今日のソリューションでは段階的な導入が可能になりました。必要な機能から開始し、ビジネスの拡大に応じて追加することができます。ERPは多くの企業にとって導入しやすくなり、競争力を高めるために欠かせない仕組みとなっています。
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ベンダーの評価
ERPは企業の業務プロセスと密接に結びつく重要なシステムであるため、1つの「最適なプラットフォーム」が存在するわけではありません。必要な機能、導入モデル、企業規模などによって、最適な選択肢は変わります。候補を検討する際は、貴社と同業種の企業で成功した実績を持つ信頼性の高いベンダーを選んでください。必ず顧客事例を確認し、導入後の成果をチェックしましょう。また、IoTやブロックチェーンなどの先端技術に対するベンダーの開発ロードマップも重要な判断材料になります。
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カスタマイズ性とスケーラビリティの確認
まずは、最も重要なモジュールから導入することをお勧めします。多くの企業は財務モジュールから開始し、基本的な会計タスクを自動化することで、資金状況やキャッシュフローを即座に把握できるようにします。
また、顧客コミュニケーションを強化するCRMモジュールや製造・調達・倉庫管理を最適化するサプライチェーン・マネジメント(SCM)モジュールの導入が効果的です。これにより、需要に応じた調達・生産調整が可能になります。
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総所有コスト(TCO)分析の実施
ERPプロジェクトのコストは、ベンダー、モジュール、導入モデルによって大きく異なります。ERPシステムの価格は、対象となる企業やユーザーのニーズに応じて設定されるため、新興企業や成長企業向けに設計されたシステムは、フォーチュン500企業が使用するものよりも手頃な価格になる傾向があります。
クラウドベースERP、特にSaaSオプションは、ハードウェア購入やシステム・エキスパートの採用が不要なため、一般的にオンプレミス型ソフトウェアよりも初期費用が低く抑えられます。一方、オンプレミス型ソフトウェアでは、永続ライセンスの購入が必要で、費用は高額ですが購入は一度きりです。ハイブリッドモデルの場合、オンプレミスERPの維持に多くのリソースが必要になるうえ、クラウドアプリケーションのサブスクリプション料金も発生するため、さらにコストが高くなる可能性があります。
ERPにかかる費用はライセンス料だけではありません。TCOを算出する際には、カスタマイズ、保守、トレーニング、アップグレード、サポートなどに関連する実装および運用コストも考慮する必要があります。
ERP導入のケーススタディ
ちん里う本店では、カスタマイズや他システムとの統合ができない旧システムを使用していたため、これまでは通貨換算や在庫管理を手作業で行っていました。しかし新たなビジネスモデルや販売チャネルの構築に取り組む中で、従来のソフトウェアの限界が明らかになり、NetSuite ERPを導入しました。国内外の事業を単一プラットフォームで管理できるようになり、注文対応の迅速化と在庫削減を同時に実現しました。
志成販売は、現代的な家庭用品やファッションアクセサリーを扱う販売会社です。従来は高度にカスタマイズされたオンプレミスシステムでサプライヤーと販売データを管理しており、Excelや他のツールから手動でレポートを抽出する必要がありました。同社ではNetSuite ERPを導入し、毎月の販売レポートを自動化することで、月25時間の作業時間削減を達成しました。
今日のクラウドベースのSaaS ERPは、参入障壁を下げたことで、数えきれないほどの新興企業や中堅企業の効率性、可視性、さらには収益性の向上に貢献しています。ERPソフトウェアの購入や導入には一定の費用がかかりますが、投資回収が早いという大きなメリットがあります。
今後のERP
ERPの多くのメリットを理解した企業は、このシステムをさらに強化する方法を模索しています。人工知能(AI)、ブロックチェーン、拡張現実(AR)、モノのインターネット(IoT)といったテクノロジーが、現在のERPのトレンドを形成しています。これらのテクノロジーは、すでに業界をリードするERPソリューションにも組み込まれつつあります。
ERPにおける人工知能(AI)と機械学習
たとえば、AIや機械学習を活用することで、勘定照合を自動化し、詳細な調査が必要なトランザクションにフラグを立てることが可能になります。これにより、会計チームにとって最も負担の大きいタスクを軽減し、業務時間の削減につながります。また、機械学習は処理するトランザクションが増えるほど精度が向上し、より正確な予測を行えるようになります。
サプライチェーン・マネジメント(SCM)におけるブロックチェーン
ブロックチェーンはデータを安全に記録し、サプライチェーン全体にわたる企業間の透明性を高めることができます。具体的には、製品のステータスを詳細に把握したり、原材料から完成品に至るまでのプロセスを追跡する監査証跡を作成できます。これにより、ERPがより深いインサイトを引き出すための情報が提供されます。
ERP向けの拡張現実(AR)
拡張現実(AR)は小売業で広く活用されており、消費者はリビングにカーペットや家具の3Dイメージを投影し、購入前に配置や雰囲気を確認できるようになりました。ERPは、ARを機能させるために必要なデータポイントや画像を一元管理できます。
モノのインターネット(IoT)の統合
さらに、ERPに情報を取り入れるためのセンサー、スキャナ、カメラなどのIoTデバイスの価値に注目する企業が増えています。たとえば、倉庫内の自動化機器に取り付けたセンサーがパフォーマンス低下を検知すれば、それが修理の必要性を示している可能性があり、機器が故障して業務が中断する前に対応できます。また、配送トラックのIoTトラッカーが非効率的なルートを特定し、常に最適ルートを走行するように提案することも可能です。
統合ERPシステム
こうしたテクノロジー以外にも、企業はすべてのアプリケーションを単一のプラットフォームに統合する動きを加速させています。ガートナー社の調査によると、サービス企業の40%が2026年までに、財務、人事、受注から入金、調達、業務といったコアプロセスを単一のスイートに統合すると予測されています。ソフトウェアプロバイダが提供する製品・サービスが拡大し、統合ERPの価値が認識されるにつれ、この傾向はますます強まると考えられます。
NetSuite ERPでビジネス・リソースを管理する
NetSuiteのエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)は、即効性のあるパフォーマンス向上と持続的成長を目指す企業に最適な選択肢です。多くの従来型システムとは異なり、NetSuiteはAIを搭載し、クラウドネイティブとして細心の注意を払って設計されており、比類のない柔軟性と拡張性を実現しています。この柔軟性により、企業は変化する環境にスムーズに適応し、進化するビジネスニーズに対応できます。NetSuiteのリアルタイムデータや役割別ダッシュボードにより、組織のあらゆるレベルで迅速かつ的確な意思決定が可能になります。これは、今日のダイナミックな環境でアジャイルかつ競争力を維持したい企業にとって、大きな変革となります。
ERPに関するよくある質問
ERPは何の略ですか。
ERPは、エンタープライズ・リソース・プランニングの略で、1990年に調査会社ガートナー社が企業向けの統合管理システムを示すために作った用語です。
ERPとは何ですか。
ERPは、企業の日常業務やビジネスパフォーマンスを実行・監視するためのソフトウェアです。財務からサプライチェーン、人事に至るまで、全社的なデータをひとつの中央リポジトリに集約し、分析やレポートを可能にします。
ERPはどのように機能しますか?
ERPは、企業内のさまざまな部門から情報を受け取り、中央データベースに集約して管理します。ERPは会計、在庫管理、CRMなど、目的別の統合モジュールから構成され、データの保存・表示・管理・分析を一元化します。
ERPシステムとは?
ERPシステムは、会計、製造、CRMなどの特定のビジネス・プロセスに焦点を当てたモジュールです。これらのモジュールは、中央データベースを共有し、リアルタイムデータへアクセスできるため、データ重複が減り、部門横断の業務可視化が可能になります。完成されたERPシステムを導入すると、予算管理、計画、財務実績の報告が容易になります。
なぜERPを使うのですか。
企業はERPシステムを使用することで、一元化されたシステム上で複数のビジネス部門のデータを連携し、「信頼できる唯一の情報源」を維持できます。これにより、各部門が同じデータを基に業務を進められるようになります。また、手作業のプロセスを自動化し、エラーの発生を減らすことで、時間とコストを大幅に削減できます。
ERPは財務と会計専用ですか?
財務管理や会計はERPの重要な機能ですが、ERPが担う領域はそれだけにとどまりません。購買、在庫・販売管理、製造、プロジェクト管理、ワークフォース管理、営業・マーケティングなど、幅広いタスクを自動化し、効率的に管理できます。
企業がERPを使用する理由は何ですか?
ERPは、業務の効率化による時間とコストの削減という大きな価値を提供します。ERPはタスクの自動化に加え、全社レベルでの可視化レポートにより、経営陣やマネージャーが注力すべき課題を正確に把握できます。これにより、差し迫った問題にも迅速に対応できるようになります。
ERPとMRPの違いは何ですか?
MRP(資材リソース計画)は、製造業が生産計画を最適化するために使っていたERPの前身となるシステムです。調達や在庫管理といったMRPの機能は、現在ではERPシステムの一部として統合されています。
2層ERPとは何ですか?
2層ERPは、複数の子会社や事業部門、海外拠点を持つ大企業の間で注目を集めているアプローチです。これらの事業部門やオフィスにレガシーERPの使用を適用するのではなく、層1システム(コアERP)と統合された、リソース消費量の少ないサブERP(多くの場合SaaSソリューション)を組み合わせて運用します。
クラウドベースERPにはどのようなメリットがありますか。
クラウドERPのメリットの多くは、コスト削減と運用上の課題軽減に分類できます。クラウドソリューションは一般的に導入コストが低く、短期間で実装でき、さらにベンダーが保守やアップグレードをすべて行うため、導入後の運用負担を軽減できます。また、クラウドベースのシステムではベンダーがハードウェアを管理するため、企業の成長に合わせてシームレスに対応できます。
経営において、ERPとは何ですか。
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)は、財務、サプライチェーン、在庫管理などの複数のビジネス部門を1つの統合システムにまとめるソフトウェアです。ERPは、リアルタイムのインサイトを提供し、反復業務を自動化して運用効率を高めることで、意思決定の質を向上させます。
クラウドERPとオンプレミスERPの違いは何ですか。
クラウドERPとオンプレミスERPの違いは、クラウドERPはベンダーのサーバー上でホスティングされるのに対し、オンプレミスERPは、企業が自社内にサーバーを設置し、導入管理を行う点が主な違いです。
ERPとCRMの違いは何ですか。
ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)は、財務、サプライチェーン、在庫などのビジネス部門を統合的に管理するシステムです。一方、CRM(顧客関係管理)は、マーケティングや営業などの顧客対応業務に特化しており、顧客との関係構築・管理を目的としています。
ERPと基幹システムの違いは何ですか。
ERPは主要なビジネス部門を統合し、プロセスとデータを単一のプラットフォームで集中管理する仕組みです。これに対し、従来型の基幹システムは、Application Program Interface(API)などを介して他の基幹システムと統合しない限り、他の主要業務との連携が限定的で、部門ごとに独立した運用となることが多い点が異なります。