エントリーレベルの会計ツール(Xero、MYOB、AccountRight、QuickBooksなど)や、創業当初に使用していたスプレッドシートでは対応できないほど成長した企業では、通常、効率を高めるためにクラウドベースのエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムに移行することが一般的です。同様に、古いバージョンのオンプレミスERPソフトウェアを使用している企業も、クラウドベースのERPに移行し、この導入モデルが提供する本質的なメリットを活用しようとしています。
このような立場にある企業にとって、NetSuiteとMicrosoft Dynamics 365の2つのソフトウェア・プロバイダーがしばしば候補に挙がります。両社ともERP市場で豊富な実績があり、さまざまな業種の企業向けに包括的な機能セットを提供しています。どちらのソリューションも、企業全体のデータを一元管理し、自動化を通じて時間とコストの削減を可能にします。
しかし、NetSuiteとMicrosoft Dynamics 365を比較する際には、それぞれのシステム間に重要な違いがあることを理解しておくべきです。また、Microsoft Dynamics 365は、Microsoft Dynamics 365 FinanceとMicrosoft Dynamics 365 Business Centralという2つのERPシステムを含む一連の業務アプリケーションです。このドキュメントでは、両ソリューションのシステムアーキテクチャ、機能性、カスタマイズ性、統合、サポート、導入戦略の違いについて詳しく説明します。どちらのソリューションがより貴社に適しているかを見極めるために、これらの情報をお役立てください。
NetSuiteの概要
NetSuiteは、起業家でオラクルの初期従業員でもあったエヴァン・ゴールドバーグと、オラクルの創設者ラリー・エリソンによって1998年に設立された業界初のクラウド・ビジネス・アプリケーションです。当初はウェブベースの会計ソリューションとしてスタートしましたが、すぐに追加機能が搭載され、ゴールドバーグのビジョンである「ビジネス全体を管理する統合プラットフォーム」へと変化を遂げました。NetSuiteには、在庫管理、注文管理、コマース、分析、CRM、フィールドサービス管理(FSM)、プロフェッショナル・サービス・オートメーション(PSA)などのアプリケーションが統合されています。 Software as a Service(SaaS)型のERPシステムであるNetSuiteは、すべてのお客様に同じバージョンのソフトウェアとインフラストラクチャを提供します。また、データはデータベース層で分離されています。
クラウド・ソフトウェア・プロバイダーとして驚異的な成功を収めたNetSuiteは、2007年に株式公開を果たし、その後2016年にオラクルによって93億ドルで買収されました。創業から約25年が経った現在、 社以上のお客様が、NetSuiteをクラウドでご利用されています。
Microsoft Dynamics 365の概要
Microsoftは、1980年代から1990年代にかけて、主にオペレーティング・システム、業務効率化ツール、そしてデータベース製品の提供を通じて成長しました。同社は2000年代初頭に中堅企業および大企業向けERPプロバイダーであるGreat PlainsとNavision A/S(Microsoftに買収される直前にAxaptaと合併したNavisionの新しい名称)の2社を買収し、業務アプリケーション市場に参入しました。Great PlainsとNavision A/Sはいずれも複数のソリューションを提供しており、一部は自社による買収を通じて追加されたものです。その後、Great Plainsのシステムは「Microsoft Dynamics GP」および「Microsoft Dynamics SL(Solomon Softwareの略、Great PlainsがMicrosoftに買収される数か月前にポートフォリオに追加)」と改名されました。また、Navision A/Sの製品は「Microsoft Dynamics NAV」および「Microsoft Dynamics AX」と改名されました。
当時のソフトウェアとしては一般的でしたが、すべてがオンプレミスのシステムでした。Microsoftは、その後も引き続き、オンプレミス製品を主にパートナーを通じて販売しました。最終的には、パートナーが自社のデータセンターでソフトウェアをホストできるようにすることで、クラウドERPの提供を開始しました。
数年後、MicrosoftはクラウドERP戦略を、「Microsoft Dynamics 365 Finance(旧Microsoft Dynamics 365 Finance and Operations)」と「Microsoft Dynamics 365 Business Central」の2つの選択肢に絞り込みました。
Microsoft Dynamics 365 Financeは、2016年10月に商用リリースされ、中堅市場の上位層をターゲットとしています。Microsoft Dynamics 365 Financeは、財務機能を強力にサポートする堅牢なERPであり、サプライチェーン管理、販売管理(CRM)、人事管理、コマースなどの追加モジュールも提供しています。しかし、現在クラウドでDynamics 365 Financeを運用している顧客は数千社程度であると推定されています。
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NetSuiteとMicrosoft Dynamics 365 Financeの比較
NetSuiteとMicrosoftの両方が、多くの部門や役割をサポートする幅広い機能を提供している一方で、注目すべき重要な違いがあります。各システムの設計と機能がどのように異なるか、詳しく見ていきましょう。
システム・アーキテクチャ
NetSuiteとMicrosoft Dynamics 365 Financeの最大の違いは、両ベンダーが製品をどのように開発したかにあります。NetSuiteは、最初からマルチテナントのクラウド環境向けに構築されており、お客様にはNetSuiteインスタンスとデータを保存するためのスペースが個別に提供されます。すべてのお客様のソリューションは年2回、自動的に最新バージョンにアップグレードされるため、最新の機能とセキュリティ強化のメリットを確実に享受できます。さらに、システムのカスタマイズもこれらのアップグレード時に自動的に引き継がれます。
一方、Microsoft Dynamics 365 Financeは、オンプレミス・ソフトウェアの再設計版をベースとした旧式のアーキテクチャを採用しているため、頻繁な自動アップグレードには対応していません。そのため、コストや業務中断への懸念から、最新バージョンへのアップグレードをためらう顧客もいます。つまり、年間サブスクリプション料金で定期的なアップグレード費用を支払っているにもかかわらず、異なるバージョンのソフトウェアを使用している顧客もいるということです。実際、少なくとも3つ前のバージョンを使用している顧客もおり、こうした顧客は大きな不利益を被っています。こうした顧客は、最新の機能やセキュリティ強化の恩恵を受けられず、システムの価値を十分に活用できないばかりか、サイバーセキュリティ攻撃に対して脆弱になる可能性があります。
財務
その名が示す通り、Dynamics 365 Financeは、強力な会計、財務管理、財務報告機能を備えています。NetSuiteと同様に、リアルタイムの財務データを提供しますが、レポート作成には外部のMicrosoft製品(例えばPower BI)やサードパーティツールを使用する必要がある場合があります。この点については次のセクションで詳しく説明します。
Microsoftはサードパーティとのライセンス契約を通じて、Dynamics 365 Financeでサブスクリプション請求と高度な収益認識をサポートしています。これらは、特にソフトウェアおよびサービス企業にとって重要な機能となっています。NetSuiteの財務機能では、デフォルトでサブスクリプション請求をサポートしています。また、SuiteBillingアプリケーションを使用することで請求レートとスケジュールをさらにカスタマイズできます。
レポートと分析
ERPシステムの最大の利点は、企業全体のデータを一元化できることです。これにより、直感的で包括的なレポート作成が可能になり、企業はパフォーマンスを監視し、リソースを最大限に活用できるようになります。NetSuiteは、さまざまな役割や機能に対応するダッシュボードや事前構築されたレポートを豊富に備えています。技術に詳しくないユーザーでも、新しいレポートを簡単に作成して、さらなるインサイトを得ることができます。NetSuiteは、 SuiteAnalyticsを通じて、データを深掘りしインサイトを引き出す、より高度なデータ分析機能を提供しています。SuiteAnalyticsはERPシステムから直接、財務、顧客、製品、サービスに関するデータを取得できます。さらに、NetSuite Analytics Warehouse は複数のデータソースから分析インサイトを提供し、NetSuite Planning & Budgetingは財務部門に対して予算編成や予測プロセスを効率化し、「もしも」のシナリオをモデル化するためのツールを提供します。
NetSuiteは、保存検索という独自の差別化機能も提供しています。保存検索を使用すると、設定やコーディングを行うことなく、顧客、財務、在庫、サプライチェーンなど、システム全体のレコードを迅速に検索できます。ユーザーは検索結果を保存して将来参照したり、常に最新の検索結果がダッシュボードで表示されるよう設定することもできます。一方、Dynamics 365 Financeでも類似の機能を実現できますが、C#やSQLベースのコーディングに精通した開発者によるサポートが必要となります。
Dynamics 365 Financeはいくつかの事前構築されたレポートを提供していますが、顧客が自分でレポートを作成し、他のアプリケーション、特にMicrosoftのPowerBIデータ分析ツールと統合してデータ可視化やダッシュボードを作成する必要があります。PowerBIは技術的なアプリケーションであり、カスタムレポートを作成するにはシステムに精通した人材が必要です。高度な分析は、Fabric、Synapse、xP&Aなどの複数の製品を通じて利用できますが、顧客はそれぞれの製品の機能、アーキテクチャ、ロードマップについて理解しておく必要があります。
構成とカスタマイズ
ERPシステムを選択する際、システムのセットアップや管理の経験を持つ人材を確保することは、しばしば見落とされがちです。SaaS ERPモデルでは、SaaSプロバイダーがホスティング要件、パッチ、アップデートのすべてを管理するため、ソフトウェア、サーバー、データセンターの管理を担当するITスタッフを確保する必要がありません。さらに、NetSuiteは「コードでなくクリックで設定」のアプローチを採用しており、プログラミングの知識がなくても、カスタムフィールド、カスタムレポート、カスタムボタンを使用して、ニーズに合わせてシステムをカスタマイズできます。より複雑なニーズには、開発者に馴染み深いJavaベースの SuiteCloudプラットフォームを を利用できます。Javaは20年以上市場に出回っているため、熟練したプロフェッショナルが数多く存在します。
一方、Dynamics 365 Financeのカスタマイズには、より専門的なコーディング能力と知識が必要です。このシステムは.NETとSQLフレームワークに基づいており、そのバックボーンにはレガシーなAxaptaがあるため、C#や古いX++ 言語の知識が必要な場合があります。貴社のニーズに合ったシステムを構築するには、より高度な技術リソースが必要となり、結果として所有コストが増加する可能性があります。また、過去20年にわたるDynamics 365 Financeの複雑な進化を考えると、開発者が新旧両方の技術を理解しなければならないという懸念もあります。
統合
Dynamics 365のモジュールは、すべて同じコードベースで構築されているわけではありません。たとえば、CRMモジュールは主にMicrosoft自身が構築したものであるため、買収した技術に大きく依存しておらず、Dynamics 365 Financeプラットフォームとは異なるコードベースで構築されています。このため、CRMモジュールは別個のアプリケーションとして機能し、ユーザー・インターフェースも異なります。財務アプリケーションとCRMアプリケーションの間でデータをやり取りしたり、ワークフローを実行したりするには、MicrosoftのDataverseミドルウェアを購入する必要があります。
一方、NetSuiteはスイート全体が単一のコードベースで構築されているため、カスタマイズが容易で、ミドルウェアを必要としません。また、新リリースが出るたびにカスタマイズをテストする必要がないため、アップグレード・プロセスも大幅に簡素化されます。
NetSuite | Microsoft Dynamics 365 Finance | |
---|---|---|
開発 | 当初からクラウド用に構築 | オンプレミスのAxaptaシステムをクラウド用に再構築 |
レポート | 包括的なダッシュボード、事前構築済みのレポート、容易なカスタマイズ | 基本的な事前構築済みのレポート、より高度なレポートにはPowerBIとの統合とコーディングが必要 |
技術要件 | JavaScript | .NET、SQL、C#、X++など |
市場シェア | 1998年より市場に参入、現在の顧客数は 社以上 | 2016年に発売、クラウドユーザーの推定数は約3,000社 |
Microsoft Dynamics 365 Business Centralの概要
Microsoftは、Dynamics 365 Business Centralを開発するにあたり、同社のNavision製品をクラウド向けに再構築し、Dynamics 365 Financeよりも小規模な企業向けに設計しました。Dynamics 365 Business Centralがリリースされたのは2018年で、比較的新しい製品となっています。
Business Centralは非常に競争力のある価格で提供されていますが、その価格に見合った機能しか得られない点に注意が必要です。このシステムは、エントリーレベルの会計システムでは対応できないほど成長した中規模企業が必要とする機能の多くが不足しており、それを補うためにはERPに接続するサードパーティ・アプリケーションが必要となります。これらのアプリケーションとの統合は、コストを急激に押し上げる可能性があり、さらに、それぞれがシステム障害の原因となる可能性があります。また、Business Centralを検討している企業は、Financeよりも機能が少ないにもかかわらず、セットアップが簡単ではないことを認識しておくべきでしょう。
NetSuiteの機能とMicrosoft Dynamics 365 Business Centralの比較
NetSuiteとMicrosoft Dynamics 365 Financeを評価する際に適用される多くの注意点は、Dynamics 365 Business Centralにも当てはまります。以下では、NetSuiteとDynamics 365 Business Centralの違いについて詳しく見ていきます。
システム・アーキテクチャ
Dynamics 365 Financeと同様に、Business Centralのオンプレミス・システムとしての歴史が現在のソリューションに影響を与えています。つまり、このソフトウェアを利用しているすべての顧客が必ずしも同じバージョンを使用しているわけではないということです。これはNetSuiteとは大きく異なります。古いバージョンのMicrosoft製品を使用している顧客は、重要なセキュリティ強化機能を利用できず、データやプロセスが大きなリスクにさらされる可能性があります。また、新しい機能やシステムの強化を利用できず、運用の効率化の機会を逃している可能性もあります。また、新しいバージョンへのアップグレードには、社内スタッフや有料コンサルタントによる支援が必要な場合もあります。
収益認識
NetSuiteは、GAAPや国際的なIFRS、日本のJ-GAAPに準拠した収益認識機能を提供しています。この機能により、単一のトランザクション、一定期間にわたる一連のトランザクション、または異なる種類の成果物がバンドルされたトランザクションなど、さまざまな状況における収益を認識することができます。一方、Business Centralの収益認識機能は限られており、非ネイティブな拡張や統合によって補完されることがよくあります。この機能は、サブスクリプションによって長期間にわたって収益を認識する必要があるソフトウェア企業やサービス企業にとって特に重要です。
請求
NetSuiteは、Dynamics 365 Business Centralと比較してより高度な請求機能も提供しています。NetSuiteの SuiteBillingモジュール は、システムのコア財務機能を拡張して請求プロセスをさらに自動化します。企業は、固定料金、段階的料金、従量課金制のオプションを、プロモーションやボリュームディスカウント、顧客ごとの料金と簡単に組み合わせることで、顧客が求める柔軟性を提供できます。また、複数の価格モデルや複雑な料金設定シナリオにも対応しており、請求書の発行をさらに簡素化します。
企業間の連結
Dynamics 365 Business Centralでは、複数の子会社や海外の子会社の連結処理を行うには外部ツールまたは多大な手作業が必要となり、このような体制をとっている企業にとっては新たな頭痛の種となります。Business Central用に設計されたサードパーティアプリケーションは、通常、連結処理を行うための最善の方法ですが、外部ツールを使用すると、統合が必要となり、さらなる費用と潜在的な問題が発生する可能性があります。PowerBIでこのプロセスを設定するには、専門的な知識を持つ技術者のサポートが必要となり、時間と費用がかかります。さらに、複数の国で事業を展開している企業は、国ごとに別々のインスタンスとデータベースが必要となります。そのため、統合や複数企業のレポートがNetSuiteに比べて非常に複雑になります。
NetSuiteの統合プラットフォームは、本社向けには標準化された総勘定元帳を提供する一方で、地域の事業部門や子会社向けには独自の勘定科目表を作成できる柔軟性を提供します。各地域で記録された取引は、自動的にマッピングされ、適切な通貨と為替レートで親勘定に転記されます。海外に複数の子会社を持つ企業は、統合やサードパーティ・アプリケーションの購入について心配する必要はありません。
NetSuite | Microsoft Dynamics 365 Business Central | |
---|---|---|
コア財務機能 | ||
CRM | ||
企業間の連結 | ||
サブスクリプション請求 | ||
収益認識 | ||
カスタマイズ可能なレポート機能 |
= ネイティブ機能
= パートナーが提供する機能
レポートと分析
繰り返しになりますが、NetSuiteにはBusiness Centralよりもはるかに幅広いレポートと分析機能がシステムに組み込まれています。Business Centralには限られた数の事前構築済みのレポートしか備わっておらず、それ以上のものを求める場合、PowerBIやJetReportsなどの外部ツールとの統合に頼らざるを得ません。これらの統合にはそれぞれセットアップとメンテナンスが必要であるため、コストが増加します。
さらに、NetSuiteのグローバル検索機能により、お客様はレポートから個々のトランザクションまでドリルダウンし、コードを使わずに独自のレポートやダッシュボードを作成できます。Microsoftの場合はそう簡単ではありません。例えば、顧客がDynamics 365 Business CentralとDynamics 365 Salesを使用している場合、これら二つのシステム間でデータをやり取りするにはカスタム開発が必要で、レポート機能が制限されます。
構成とカスタマイズ
Dynamics 365 Business Centralは、システムのカスタマイズやカスタムレポートの作成にDynamics 365 Financeほど高度な技術的専門知識を必要としませんが、それでもNetSuiteの「コードでなくクリックで設定」という戦略のシンプルさには及びません。Dynamics 365 Business Centralのカスタマイズには、Visual Studio Editorを使用してAL言語でコーディングを行う必要があります。
NetSuiteは、すぐに使えるより包括的なシステムであり、実装や構成を容易にするより多くの事前構築済み機能を提供します。エンドユーザーや管理者は、社内または社外の技術支援を必要とせずに、NetSuiteをはるかに容易に独自のニーズに適応させることができます。この点は、ビジネスが成長し、プロセスが進化するにつれて、さらに重要になります。
CRM
Dynamics 365 Business Centralの機能セットは、より大きな企業向けの製品であるDynamics 365 Financeより広範ですが、機能的にはやや劣ります。Business Centralには、連絡先管理機能やその他の営業支援ツールを備えたCRMシステムが含まれています。また、プロジェクト管理機能も含まれています。NetSuiteは、 CRM を通じて、カスタマーサービス、営業支援、マーケティング・オートメーション、構成、価格、見積もり(CPQ)といった機能を提供します。NetSuiteには、プロジェクトレポート、請求、経費管理機能を備えたプロフェッショナル・サービス・オートメーション(PSA)用の独立したモジュールがあります。どちらのモジュールもNetSuite ERPとネイティブに統合されているため、さらなる統合の必要はありません。
Dynamics 365 Business Centralにおいてより強力な機能が必要な場合、顧客はMicrosoftの他のアプリケーションに頼ることが多く、その結果、ソリューションの総所有コストが急増することがあります。
Microsoft DynamicsよりもNetSuiteが選ばれる理由
企業がどちらのMicrosoft Dynamics 365製品を検討しているにしても、これらのシステムをNetSuiteと比較する際に意思決定者が認識しておくべき注意点があります。まず、Microsoftが異なる2つのクラウドERP製品を市場に提供していることが挙げられます。
Microsoftの顧客は、Dynamics 365 Business Centralでは業務に対応しきれないというリスクを負うことになります。そうなった場合、Dynamics 365 Financeへの移行は実質的には新規導入となり、大きな混乱と多額のコストが発生します。その逆もまた然りです。Dynamics 365 FinanceからBusiness Centralにダウングレードするのは、システムの交換に近いものとなります。
NetSuiteでは、売上が数百万ドルの急成長中のスタートアップ企業から、プラットフォームを活用して上場を遂げた10億ドル規模の企業まで、すべてのお客様が同じシステムを利用されています。NetSuiteは、企業が小規模に始め、要件の拡大に合わせて機能を追加できる柔軟性を提供します。企業が一部の事業を売却し、ERPシステムの機能を減らす必要がある場合、NetSuite内で不要な機能を簡単に無効にできます。
導入アプローチ
NetSuiteは、20年以上にわたって数多くのお客様のクラウドERP導入を支援してきた経験に基づいて、SuiteSuccessと呼ばれる導入および顧客対応の手法を開発しました。SuiteSuccessは、 業界をリードするERP導入のベストプラクティスと 、業界や企業規模に合わせた事前構築済みのワークフロー、レポート、KPI、ダッシュボードを活用し、ERP導入プロセスを迅速化します。これにより、お客様は、競合ソリューションよりもはるかに迅速にシステムを導入し、その価値を引き出すことができます。お客様は、NetSuiteのプロフェッショナルサービスチームまたはエコシステム内の多くのパートナーのいずれかと協力してシステムを実装できます。
一方、Microsoftでは、SuiteSuccessに匹敵する導入方法を提供していません。ほとんどの導入はパートナー主導で行われるため、学習内容を共有し、一貫したベストプラクティスに従うことがより困難になります。さらに、Microsoft製品は新旧両方のテクノロジーの組み合わせであるため、導入は通常より複雑になり、幅広いスキルセットが求められます。また、Microsoftのオンプレミス・ソフトウェアの歴史やパートナーネットワークも、実装にかかる費用に影響します。多くのMicrosoftパートナーは、依然としてタイムチャージ制を採用しているため、実装時間と費用がかさむ懸念もあります。一方、NetSuiteは経常収益をパートナーと共有する仕組みを採用しているため、パートナーは「1つの顧客から可能な限り多くの利益を引き出すこと」よりも、「複数の企業を迅速に稼働させること」に重点を置くようになります。
カスタマーサポート
Microsoftはカスタマーサポートの提供にパートナーネットワークを活用しているため、パートナーの営業時間内にサポートが限定されています。顧客はMicrosoftとほとんど接触することがなく、パートナーは主に、長期的なコンサルティング契約や、タイムチャージできる作業に重点を置いているため、サポートが後回しにされることがあります。顧客がMicrosoftと接触できる場合でも、多くの場合、サポートの対応時間は限られています。
NetSuiteは、24時間365日のサポートを提供しており、お客様ごとに専任のアカウント・マネージャーが割り当てられます。ベンダーと直接連携することで、システムやお客様のビジネスを最もよく理解しているサポート専門家とやり取りすることが可能になります。
加えて、Microsoftは複数の製品にサポートリソースを分散させる必要があるため、NetSuiteのように1つのシステムに全てのサポートスタッフを専念させているERPプロバイダーと同じレベルのサービスを提供することはできません。これは、このような重要なシステムを長期間使用する上での大きな違いとなります。
研究開発
NetSuiteとMicrosoftの両社は、ERP製品ラインに多額の投資を続け、機能追加や業界特化型の機能強化を行っていきます。しかし、NetSuiteは1つの製品と1つのコードベースをサポートしているのに対し、Microsoftは2つの異なる製品と2つの別個のアーキテクチャに人的・財務的リソースを分散させなければならないため、NetSuiteほど迅速かつ頻繁にソリューションを改善することは難しいでしょう。
NetSuiteが成長中の企業を強力にサポート
多くの企業が新しいERPシステムの導入を検討しており、Xero、MYOB AccountRight、QuickBooks からNetSuiteへの移行や、Microsoft Dynamics GPのようなMicrosoftのオンプレミス・システムからNetSuiteへの移行、またはMicrosoftのクラウドERPソリューションのいずれかへの移行を検討しています。これらの選択肢を比較検討する際、企業は、製品の歴史や業界での浸透率、基本機能、コスト、カスタマイズやメンテナンスのしやすさを考慮する必要があります。さらに、ビジネスの成長に合わせて継続的にサポートできる拡張性があるかも確認すべきでしょう。これらの要素をすべて評価した結果、多くの企業がNetSuiteを最良の選択肢であると結論づけています。