よりスマートかつ効率的なビジネス運営に役立つERPソフトウェアを求める企業にとって、現在数多くの選択肢が存在します。ERPシステムの選定は、企業の成長とその成長を管理することの容易さに直接的な影響を与える大きな投資であるが、同時に大きなリスクを伴う意思決定でもあります。
エントリーレベルのシステムから他へと移行を図ろうとしている組織は、NetSuiteやSAPの製品を検討することがあります。SAPは、互いに競合することの多い中堅企業向けERPを複数展開しており、同社にとっての戦略的重要度はそれぞれ異なります。一方、NetSuiteは、中堅企業を対象に拡張性が実証されている単一の製品に完全特化しています。これらのシステムが何を提供し、NetSuiteとどのように比較されるかについてより明確にご理解いただくために、SAP S/4HANA Cloud Public Edition、SAP Business One、SAP Business ByDesignの3つについて、詳しく説明します。
ERPとは
ERPシステムとは、ビジネス・テクノロジー・スタックの中枢神経系のようなものです。財務、在庫、注文、顧客、従業員など、ビジネス全体の情報を1か所にまとめて管理できる一元的なデータベースを使用しています。多くの従業員が毎日そのシステムを使用して必須の業務をこなしています。ERPシステムは、複数の部門に関わるデータとプロセスを連携させ、ビジネスの基本的な側面に関するレポートやインサイトを提供しつつ、重要なタスクを自動化および簡素化することができます。
NetSuiteとSAPの比較:概要
NetSuiteとSAPは、どちらも広く使用されている中堅企業向けERPシステムを開発しています。NetSuiteが単一のクラウドベースERP製品を提供している一方で、SAPは3つの異なるシステムを提供しています。
NetSuite
NetSuiteは、企業が財務と業務をより適切に管理し、全社にわたり自動化を促進するためのさまざまなモジュールを支援するビジネス管理システムです。その結果、改善がもたらされ、企業によるカスタマー・エクスペリエンスの向上と従業員の生産性向上を支援します。NetSuiteのシステムの中心は会計および財務報告 (新しいタブで開きます) ですが、在庫管理、受注管理、プロフェッショナルサービス・オートメーション(PSA)、CRM、分析、計画と予算編成、人事、コマースなどの幅広い機能も備えています。NetSuiteは、これらすべてのビジネス部門から重要なビジネスデータを1か所にまとめ、ダッシュボードや使いやすいレポート作成ツールを使用して、必要なインサイトを生み出します。
NetSuiteは、初めからサービスとしてのソフトウェア(SaaS)モデルで導入されるマルチテナントのクラウド・システムです。つまり、NetSuiteを実行しているすべてのビジネスは、パッチ適用やセキュリティ更新だけでなく、年2回の自動アップグレードを提供されます。すべてのお客様は、常に同じバージョンのソフトウェアを使用します。企業は必要なさまざまなモジュールを選択し、多様なカスタマイズ・ツールを使用して、ニーズに合わせてシステムをカスタマイズすることができますが、NetSuiteは単一のコアERPソリューション (新しいタブで開きます)のみを提供します。
SAP
SAPの中小規模企業向けの3つのシステムは、それぞれ特定の業種や規模のビジネスから支持を得ています。SAP S/4HANAとBusiness Oneはオンプレミスでもクラウド経由でも導入できますが、Business ByDesignはクラウド専用のSaaS製品です。
3つのERPシステムはいずれも会計と財務の機能を備えており、程度はそれぞれ異なるものの、在庫管理、製造、プロフェッショナルサービス、人事をサポートしています。これらのERPプラットフォームを他のSAPソリューションに連携させ、分析、人材管理(HCM)、CRM、購買、経費管理、Eコマースなどの機能を拡張することができますが、これらはNetSuiteのモジュールとは異なり、別個のコードベースで構築されているものが多いため、複雑な統合が必要になることがあります。場合によっては、代替となる良いソフトウェアがないため、大企業向けに設計された補完的なSAPソフトウェアを使用せざるを得ない場合もあります。
建設機械メーカーのXCMGは、SAPシステムの硬直的な設計 (新しいタブで開きます)がビジネスに遅れをもたらしていることに気づきました。XCMGが新しい市場に参入した際、システムの設定に数ヶ月を要しました。そこで、NetSuiteの2階層アプローチに移行し、さまざまなエンティティの設定とレポートを迅速化しました。
製品の成熟度と歴史
エヴァン・ゴールドバーグと、オラクルの共同設立者であるラリー・エリソンは、1998年に史上初のクラウド・ソフトウェア企業としてNetSuiteを設立しました。当初NetLedgerと呼ばれていたこの企業は、会計ソリューションからスタートし、ビジネスの他の部分を管理するための新しい機能を着実に追加していきました。最終的には、財務、販売、サプライチェーン、レポートを網羅する「スイート」製品を持つに至ったことから、NetLedgerはNetSuiteへと社名を変更しました。NetSuiteは明確な市場ニーズに対応し、オラクルが2016年に93億ドルで買収する前の2007年に株式公開し、成功を収める企業へと成長しました。
NetSuiteは創業以来、常にクラウドに設置される単一のシステムのみに注力してきました。開発、販売、導入、サポートのすべてのリソースは、常に単一のERP製品専用として用意されています。現在、NetSuiteは217の国と地域で41,000社以上お客様にご利用いただいています。
SAPは、元IBMの従業員5人が1972年にドイツで創業し、現在では世界最大級のソフトウェア企業に成長しました。SAPはあらゆるスモール・ビジネスから大企業まで幅広くサービスを提供しています。SAPは1988年に株式を公開し、現在はドイツと米国の取引所で取引されています。
同社には、オンプレミスERPやその他のコア・ビジネス・システムを開発してきた長い歴史があります。最近では、これらのシステムの一部をクラウドに移行していますが、ほとんどの場合、クラウド導入のために再構築されるのではなく、クラウドにシフトする形で移行されています。NetSuiteとは異なり、SAPは自社が提供する製品への投資を削減し、最終的には廃止してきた経緯があります。そのため、システムの長期的な将来には不確実性が伴います。たとえば、2022年後半には、SAP ByDesignの顧客にはわずか4カ月後から、法的に必要とされる重要なセキュリティ更新のみが提供されるというニュースが報じられ、これらの顧客企業は困難な状況に置かれることになりました。
NetSuiteとSAP S/4HANA Cloud、Public Editionの比較
SAPはエンタープライズ向けの次世代ERPシステムとして2015年にS/4HANAをリリースしましたが、その後「Grow With SAP」イニシアチブを通じて、より多くの中堅企業によるこのソリューションの使用を促進する取り組みを開始しています。S/4HANAには、5番目のクラウド「拡張エディション」 (新しいタブで開きます)の削減後、2つのオンプレミスと2つのクラウド・オプションの4つのバージョンがあります。中堅企業は、S/4HANA Cloud, Public Editionに注目する可能性が最も高いので、この特定のバージョンに焦点を当てます。また、パブリック・クラウド・エディションにも5年間で4つの異なる名前が付けられていました。
S/4HANA Cloud, Public Editionには、オンプレミス版のソフトウェアと比較して、全体的な機能とカスタマイズの選択肢の両方に制限がある点に注意することが重要です。しかし、営業担当者によっては、自分が販売している特定のバージョンを常に明確に説明するわけではなく、SaaSではなくホスト型クラウドであるクラウド・プライベート・エディションの可能性がある場合、単に「S/4HANA Cloud」と呼んでいますS/4HANAには多数のバージョンがあるため、選定を誤って、もはや利用不可能な拡張エディションなどを選択した場合には、再導入を余儀なくされるリスクもあります。S/4HANAのひとつのエディションから別のエディションへの移行は、他の新しいシステムへの置き換えと同様に主要なプロジェクトです。
S/4HANAのパブリック・クラウド・エディションは、数年前から市場に出回っているにもかかわらず導入件数が限られており、NetSuiteの41,000社のお客様の中でもごく一部にとどまっています。
機能に関する考慮事項
S/4HANA Cloud, Public Editionには、財務部門やその他の部門向けの確固たるネイティブな一連の機能が備わっています。しかし、S/4HANAパブリック・エディションの財務連結と子会社間取引のネッティング用のグループ・レポート作成ツールは、それ単独ではお客様のニーズを十分に満たさない場合があります。グループ・レポートはレガシー・テクノロジーに基づいているため、すべてのユースケースを処理するには他のアプリケーションが必要になる可能性があります。.NetSuiteとは異なり、SAPのシステムにはCRMや分析アプリケーションが標準装備されていません。
NetSuiteは強固な財務機能を持ち、財務連結と企業間ネッティング機能が標準装備されています。専門知識を持たないユーザーでも、SuiteAnalyticsを使用すれば、ビジネスから得られるデータに関するレポートを作成したり、ダッシュボードをカスタマイズする方法を簡単に習得できます。また、NetSuiteには、ほとんどのエディションですぐに利用可能な在庫管理 (新しいタブで開きます)、注文管理、CRM (新しいタブで開きます)、購買、経費管理などの機能も含まれています。さらにフィールド・サービス管理、財務計画および予算策定、PSA (新しいタブで開きます)、高度な分析 (新しいタブで開きます)、eコマース (新しいタブで開きます)などのオプション・モジュールがあります。
データベースとアーキテクチャに関する考慮事項
S/4HANAには、SAPのERPソリューションであるECC(20年前)とR/3(30年以上前)で培われた伝統があり、最新のシステムでも同様のコードベースが使用されていますが、SAPのHANAデータベースでホストされています。パブリック・クラウド・エディションは、S/4HANAコードベース全体の一部のみを利用するため、他のバージョンよりも機能やカスタマイズ性が劣ります。
S/4HANA Cloud, Public Editionは、SAPの自社データセンターで稼働するマルチテナント・ソリューションです。パブリック・クラウド版のS/4HANAは、重要なパッチ適用と修正にとどまらず、年に2回の更新に加えて、年間を通して継続的な機能更新が提供されます。これは有益なことのように聞こえますが、ITチームがこれらの更新を理解およびテストし、インスタンスに与える影響や必要な調整を確認するために多くの時間を費やすことを意味する場合があります。
NetSuiteはマルチテナント・クラウド・ソリューションでもあり、ほとんどのお客様はOracle Cloud Infrastructure (OCI) (新しいタブで開きます)データセンターで、その他のお客様はNetSuiteが所有および運営するデータセンターで実行しています。OCIはクラス最高のパフォーマンスを提供し、継続的にパフォーマンスを向上させるOracle Autonomous Databaseのような革新的な機能を導入しています。NetSuiteは年2回のアップグレードも行っていますが、お客様はリリースが実施される前にテスト環境で新しいバージョンにアクセスし、変更点に慣れることができます。さらに、すべてのNetSuiteのカスタマイズと構成は、アップグレードの際に引き継がれます。
プラットフォームおよび統合機能
NetSuiteのモジュール設計とは対照的に、S/4HANA Cloud Public Editionは、購買のAriba、人事のSuccessFactors、より詳細なレポートのためのSAP Analytics Cloudなど、他のSAP製品と連携するように設計されています。これらの製品をパブリック・クラウド・バージョンのS/4HANAに統合するには、ミドルウエアとともに、それらの設定とメンテナンスのためのコンサルティング業務が必要となる場合があります。
機能を追加するNetSuiteモジュールは、同じコードベースでNetSuite向けに構築されているため、統合は必要ありません。つまり、ユーザーは同じユーザー・インターフェース上でモジュール間を移動し、ログインも1回で済みます。
お客様はSAP Storeから入手可能なアプリケーションでこのバージョンのS/4HANAを拡張することができますが、現在パブリック・クラウド・エディションと互換性があると表示されているアプリケーションは200以下であり、そのうちSAPの正式な承認を得ているものはわずかです。これに対して、SuiteApp.com (新しいタブで開きます)で利用可能な700以上のSuiteAppは、すべてNetSuite ERPで動作します。
構成とカスタマイズ
SAPパートナーは、S/4HANA Cloud, Public Editionでビジネス・プロセスの設定やその他のカスタマイズを行う際に主要な役割を果たしますが、そのコストは急激に高額になる可能性があります。しかも、さらに大きな問題として、プロセスや機能が高度に標準化されており、NetSuiteのような柔軟性がありません。
S/4HANA Cloud, Public Editionでは、開発者はSAPがセルフサービス設定ユーザーインターフェース(SSCUI)と呼ぶものを使用してソフトウェアを構成する必要があります。SAPはソリューションを拡張する方法としてビジネス・テクノロジー・プラットフォーム(BTP)を提唱していますが、パートナーがアプリケーションを開発し、システムと統合する必要があります。また、その場合でも制限があります。顧客がS/4HANAのパブリック・クラウド版との統合に使用できるのは、SAPが承認したAPIのみです。さらに、既存のSAP顧客は、以前のシステムのカスタマイズをこのソフトウェアに適用することはできません。
NetSuiteには、それぞれの業界のニーズに対応し、カスタマイズの必要性を減らすために構築された20以上の業界特化型パッケージがあります。しかし、ビジネスはそれぞれに異なるため、プラットフォームはビジネス・ユーザーや管理者が必要に応じて構成およびカスタマイズできるように設計されています。たとえば、NetSuite SuiteFlowでは、さまざまなレコード・タイプ、イベント、ルールに基づいた自動化ワークフローを構築できるドラッグアンドドロップのWYSIWYG(What you see is what you get)インターフェースを提供しています。
次に、これらのシステムによる設定容易性に対するアプローチの違いを明確に示す例をご紹介します。NetSuiteの顧客レコードにカスタムフィールドを追加する場合、従業員が10~15分で行うことができるのに対し、S/4HANAのパブリック・クラウドで同様の変更を行う場合には、パートナーは2~3週間の時間と高額な料金を要する場合があります。
Oracle NetSuite | SAP S/4HANA Cloud, Public Edition | |
---|---|---|
強力なクラウドの伝統を有する真のクラウド | ||
統合されたプラットフォーム | ||
ネイティブな財務連結 | ||
すぐに利用可能なリーディング・プラクティス | ||
ベンダーとの直接的な関係 | ||
容易なカスタマイズ | ||
拡張機能 |
= ネイティブ機能
= 追加のソリューションまたはパートナーとの統合が必要
= 機能が弱い、またはない
NetSuiteとGrow with SAPの比較
SAPは最近、S/4HANA Cloud、Public Editionを含む、中堅企業をターゲットとした「Grow With SAP」と呼ばれる新しいバンドル製品の提供を開始しました。Grow with SAPは新しい顧客のみが利用することができ、売上高約1億ドルから10億ドル(約150億円から1500億円)、従業員数2,000人までの企業向けに設計されています。また、S/4HANA ERPとSAPのビジネス・テクノロジー・プラットフォーム、デフォルトのプロセス、自動化ボット、企業によるワークフローの構築と強化を支援するツールがパッケージ化されています。
同ベンダーによると、Grow with SAPの顧客は、SAPのActivateフレームワークを使用する定額制の導入により、最短4~6週間で「技術的な稼動」を実現できます。また、従業員によるプロセスの自動化と既存アプリケーションの強化を支援するソリューションであるSAP Buildにアクセスできるようになります。Grow with SAPを購入した企業は、SAPユーザー・コミュニティや技術トレーニング・リソースにもアクセスが可能になります。
S/4HANAのパブリック・クラウド・エディションを中堅市場に投入することは、特にBusiness Oneが中小企業向けであることから、SAPがBusiness ByDesign (新しいタブで開きます)を段階的に廃止し始めたことを考えると理にかなっています。SAPはこれらの企業の参入を促すために大幅な割引を提供するでしょうが、他のソフトウェアのERPへの追加および統合に伴い、時間の経過とともにコストが急上昇する可能性があります。
Grow with SAPが独立したソフトウェア提供ではないという事実を見落とさないよう注意が必要です。これもS/4HANA Cloud, Public Editionであり、必須的にエンタープライズクラスのシステムの「ライト」バージョンであることに変わりはないため、前のセクションで説明したような落とし穴があります。しかし、SAPとそのパートナーはこの点を明確に指摘することは避けている可能性があります。興味深いことに、CEOのChristian Klein氏が発表した Grow with SAP(新しいタブで開きます)は、S/4HANAに関する言及がありません。
Grow with SAPには、業界特化型のベストプラクティス、プロセス、レポート、ダッシュボードをシステムに組み込んだNetSuiteのSuiteSuccessの導入方法 (新しいタブで開きます)といくつか類似する点があります。SuiteSuccessは、最初から特定の顧客ニーズに合わせて設計されているため、より早く本番稼動を実現し、価値実現までの期間を短縮できます。しかし、いくつか重要な違いがあります。SuiteSuccessは何千件もの導入実績があり、NetSuiteプラットフォームには特定のニーズを満たす柔軟性が組み込まれています。Grow with SAPは新しいプログラムであり、リファレンスは非常に少なく、S/4HANAのパブリック・クラウド・エディション全体の実稼働顧客数はわずか数千人です。S/4HANAパブリック・クラウド・エディションはより硬直的で、カスタマイズをビジネス・テクノロジー・プラットフォームの拡張に依存する不完全なソリューションです。
NetSuiteとRise with SAPの比較
Rise with SAPは、SAPが同社のクラウド・ソフトウェアの導入拡大のために2021年に導入した、もう1つのS/4HANA クラウド・パッケージです。Grow with SAPの前身ですが、S/4HANA Cloud、Public EditionまたはS/4HANA Cloud、Private Editionを希望する大規模顧客を対象としています。このバンドルには、業界に特化したの機能もいくつか含まれています。Rise with SAPは、当初オンプレミスのSAPシステムを使用している既存顧客をクラウドに移行させることを目標としていましたが、それが期待どおりに機能しなかったため、同社は新たな顧客にターゲットを移しました。
Rise with SAPはプロセス検出ツールを使用して、ビジネス・ワークフローを分析し、業界のベンチマークと比較し、SAPソリューションの追加購入を伴うことが多い分析に基づく提案を行います。また、このアプローチは、SAP Business Technology Platform を利用してERPを他のSAPアプリケーションおよびサードパーティ・アプリケーションと連携させるほか、ビジネス・ユーザーのニーズに合わせてシステムを構成するのを支援するツールを備えています。これらすべてが1つの価格にまとめられています。
しかし、この提供内容には外部の関係者が含まれる可能性があることに注意が必要です。たとえば、SAPがソフトウェアを提供し、パートナーが導入を行い、Microsoft AzureやAmazon Web Services(AWS)のような大規模なクラウド・サービスプロバイダーがホスティングを行う可能性があります。そうした場合、稼働後の問題に対する責任の所在が不明確になり、顧客に混乱や不満を与える可能性があります。
一方、NetSuiteは、ソフトウェア、導入、データセンターを自社で所有しています。
NetSuite と SAP Business One (B1)の比較
SAP Business Oneは、規模の小さい企業を対象としたソリューションであり、同社で最も広く使用されている製品の1つです。SAP Business One (B1)の歴史は20年以上前にさかのぼり、最新バージョンである10.0は2020年に登場しました。SAPは、最新バージョンは2026年12月31日以降はサポートの対象とはならないことを発表しており、バージョン11.0のリリース・スケジュールは2024年のいずれかの時点で発表する計画です。Business Oneにはオンプレミスとホストされたクラウドの2つのバージョンがあります。
Business Oneは、初期ライセンス価格の安さで顧客を引きつけることが多いのですが、総所有コストは時間の経過とともに増加する可能性があり、計算が困難です。多くの場合、ビジネスが大きく複雑になると、システム拡張は難しくなります。
機能に関する考慮事項
財務
SAP Business Oneには基本的な財務機能が備わっていますが、成長企業または、若干より成熟したビジネスが必要とする可能性のある機能の対応には苦労しています。たとえば、財務連結のサポートは組み込まれていないため、複数のエンティティまたは地域のアカウントを連結するには、SAPまたはパートナーから追加のアプリケーションを購入する必要があります。子会社がある企業や国際的に業務を展開している企業では、SAP Business One の各エンティティに個別のデータベースが必要となり、ユーザーはエンティティごとにログインとログアウトを行う必要があります。
さらに、経理担当者はBusiness One上で財務取引の編集や削除を行うことができず、固定資産の減価償却を自動化することもできません。
NetSuiteは、標準ソリューションの一部として、財務連結と企業間連結を提供しています。複数の通貨でビジネスを行う企業や子会社の他の側面を管理する企業は、NetSuite OneWorldモジュール (新しいタブで開きます)を追加することで、複数通貨の連結や子会社別のレポートを簡素化できます。また、NetSuiteの固定資産管理モジュール (新しいタブで開きます)では、減価償却が自動的に計算されます。
運用
Business Oneは、在庫管理および資材所要量計画(MRP)機能をネイティブで備えているため、小売業者、流通業者、メーカーなどの製品企業に人気がありますが、このシステムは倉庫管理(WMS)や高度な製造をネイティブで提供する機能がなく、需要予測機能も限られていることから、サプライチェーンの他の分野では不十分です。そのため、顧客によっては複数のサードパーティ・ソリューションを購入し、SAP Business One ERPと統合することが必要になる場合があります。
NetSuite の主要製品には、詳細な在庫管理機能と関連機能のモジュールが備わっています。たとえば、NetSuite需要計画 (新しいタブで開きます)は、ERPからデータを取得し、これまでの売上に基づいて需給計画を作成することができ、生産計画や部品構成表(BOM)を製造するためのMRP機能を備えています。NetSuite WMS (新しいタブで開きます)は、生産性を向上させ、倉庫内の無駄を削減するもう1つのモジュールです。

レポートと分析
Business Oneは、ビジネスが必要とするインサイトを収集し、概要レベルのデータから詳細まで掘り下げるための多数のレポートツールを活用します。特定のツールを設定し、必要なカスタム・レポートを作成するためには、パートナーへの支払いが必要になる場合があります。
これに比べ、NetSuiteの組み込みのレポート・ツールであるSuiteAnalyticsは、ユーザー・レベルを概要レベルから詳細なデータポイントまで全社にわたり簡単に掘り下げることができます。
また、他のツールを追加することなく、リアルタイム更新されるダッシュボードで重要な情報をモニターできます。
データベースとアーキテクチャに関する考慮事項
前述したように、クラウド・バージョンのBusiness Oneはホストされたクラウド、または効果的にクラウドに移行したオンプレミス・ソリューションですBusiness Oneパートナー、またはAWSやGoogle Cloudのような大規模インフラストラクチャ・プロバイダーがソフトウェアをホストするため、企業はピーク時にのみ必要なインフラストラクチャを構築し、その費用を支払う必要があります。
ホスティング時に「クラウド」エクスペリエンスを得るためには、Business One顧客はリモート・デスクトップ・アクセスやVPNなどのサードパーティ・ツールを使用する必要があります。このようなホストによるクラウド・ソリューションは、カスタマイズが難しいだけでなく、シンプルなカスタマイズをリモートで確認するためにさえ、追加のサードパーティツールが必要となる場合があります。カスタマイズされたデータを簡単に作成・確認できなければ、企業がビジネスの全体像を把握するためにより長い時間を要することになりかねません。
Business OneはNetSuiteのようなマルチテナントのSaaSソリューションではないため、顧客に自動的にアップグレードが提供されることはありません。SAPは四半期ごとに「フィーチャーパック」をリリースし、小さな改善を提供しますが、完全なリリースには到底及びません。また、企業はこれらの更新を導入するタイミングを決定しますが、通常その都度システム・エキスパートから作業時間分の請求が発生します。ある調査によると、バージョン10. 0のリリース時、翌年にアップグレードを計画していた顧客はわずか17% (新しいタブで開きます)であることがわかりました。
複数の子会社を抱えるビジネスでは、Business Oneの複数のインスタンスが必要となるため、サイロ化された複数のデータ・ソースが存在することになり、連結や企業間取引がさらに複雑になります。
Business Oneは小規模で比較的シンプルなビジネス向けに設計されているため、予定よりも早く手狭になり、S/4 HANAへの高額な移行を余儀なくされるリスクもあります。NetSuiteは、シード段階のスタートアップから10億ドル以上のエンタープライズまで、幅広い企業をサポートしています。NetSuiteのプラットフォームは拡張性を重視して構築されており、ニーズの変化に応じてスロットルアップやスロットダウンが可能なため、最終的に購入すべきERPになり得ます。
プラットフォームおよび統合機能
SAPの経営者によると、Business Oneの平均的な顧客は、さまざまなソフトウェア・プロバイダーから提供されている7つのソリューションを使用 (新しいタブで開きます)しています。これらのソリューションはコードベースが異なるため、その統合は並大抵のことではなく、導入、構成、設定、テストにはパートナーからのコンサルティング時間が必要です。
これは、ネイティブに統合され、共通のユーザー・インターフェースを共有するモジュールの「スイート」というNetSuiteのアプローチとは異なります。たとえば、NetSuite WMSとNetSuite ERP、NetSuite OneWorldとERPの間の統合は、管理も費用も必要ありません。
構成とカスタマイズ
SAP Business One のシステム・カスタマイズの多くにはパートナーのサポートが必要となり、これにも多大なコストとリスクが伴います。さらに、多くの企業は、カスタム・フィールドの作成といった多くのシンプルな構成を実行するために、Boyum Usability Package for Business Oneの購入が必要になります。Boyum Usability Packageは、パートナーによるサポートの必要性を否定するのではなく、コンサルタント会社がこれまで開発者を必要としていた作業を簡単に完了できるようにします。初期段階ではシステムの多くの部分の構成やカスタマイズは必要ではない場合もありますが、ニーズは変化することが多く、将来的には開発に困難が生じる可能性があります。
一方、NetSuiteは非常に柔軟に構成可能で、一度従業員がシステムを理解すれば、コードを書くことなく、取引、フォーム、フィールド、レポートの追加、削除、調整を自分で行うことができるため、高額なコンサルタントを雇う必要性が低くなります。たとえば、NetSuite SuiteFlowでは、従業員は直感的なユーザーインターフェースを使ってさまざまな機能のワークフローをカスタマイズできます。
Oracle NetSuite | SAP Business One | |
---|---|---|
強力なクラウドの伝統を有する真のクラウド | ||
統合されたプラットフォーム | ||
ネイティブな財務連結 | ||
すぐに利用可能なリーディング・プラクティス | ||
ベンダーとの直接的な関係 | ||
容易な拡張 | ||
拡張機能 |
= ネイティブ機能
= 追加のソリューションまたはパートナーとの統合が必要
= 機能が弱い、またはない
NetSuiteとSAP ByDesignの比較
SAP Business ByDesignは、システム・アーキテクチャおよびサービスの対象とするビジネスの点で、NetSuiteに最もよく似た中堅市場向け製品ですが、SAPは現在、この製品に対する積極的な投資や開発は行っていません。2023年4月以降、ByDesignの新しい開発は、重要なセキュリティと法的に必要となる更新に限定され、SAPによる新しい機能の開発はなくなります。波瀾に満ちた歴史を持つ製品が終わりを迎えようとしています。
数十億ドルを投じて開発されたByDesignは2007年にリリースされましたが、まもなく顧客に大きな問題が発生し、SAPはわずか1年後にこの製品を市場から撤退させました。その後、このシステムは2014年の再導入以前の2013年に再び開発中止となり、その後軌道に乗ることはありませんでした。現在、ByDesignの顧客数は、NetSuiteの顧客基盤の10%以下に相当する3,000社にも満たないと考えられています。これらの企業のほとんどはサービス業に従事しており、SAPはその多くを全面的な再導入を必要とするS/4HANAパブリック・クラウドに移行させることでしょう。
機能に関する考慮事項
今後、ByDesignの新しい機能は、SAPのBusiness Technology Platformと主にSAPパートナーによって開発された拡張機能を通してのみ利用可能になります。ドイツの新聞Handelsblattによると、製品のサービスは主にインドのITサービスプロバイダーであるHCLTech (新しいタブで開きます)に委託されます。こうした措置は、ByDesignに対するSAPのコミットメントの欠如と、この製品の将来性が限定的であることを示しています。
ByDesignの財務会計機能には、NetSuiteのような広さと深さがありません。このソリューションにはネイティブな財務連結機能がなく、収益認識機能も限定的であるため、GAAPやIFRS、そして日本の会計基準(J-GAAP)を含む複数の基準への対応には困難が伴います。ByDesignには多くの財務会計担当者が好むスプレッドシートとの統合が含まれていますが、ほとんどのビジネスはERPシステムへの投資にあたり、スプレッドシートからの移行を図っています。
予算編成機能が限られているため、多くのビジネスでは、財務計画と予算編成のためにSAP Business Planning and Consolidation(BPC)のライセンスが必要になります。Business Planning and Consolidationは複雑なシステムであるため、システムを理解した専門的なパートナーの支援が必要になる可能性が高く、余分なコストがかかります。
NetSuiteは、基本製品にクラス最高の会計機能と財務連結を備えています。その収益管理モジュール (新しいタブで開きます)は、ユーザー構成ルールに基づき、さまざまな基準に従って収益認識を自動化することができます。また、NetSuite Planning and Budgeting (NSPB)(新しいタブで開きます)はERPからデータを取り込み、トップダウンまたはボトムアップの予算と予測を迅速かつ容易に作成することができます。
データベースとアーキテクチャに関する考慮事項
ByDesignは他のSAP製品とは異なり、NetSuiteのようにクラウド向けに構築されたSaaS製品です。つまり、顧客はソフトウェアの自動更新を受け、すべてが同じバージョンを使用しています。SAPはこのソリューションを自社のデータセンターでホスティングしています。
顧客は以前は四半期ごとに更新を受けていましたが、現在はメンテナンス・モードとなっているため、そのようなことはなくなっている可能性があります。主要製品のアップグレード・パスは公開されていないため、パートナーのアドオン導入や機能面での遅れに対する懸念が高まっています。
プラットフォームおよび統合機能
ByDesignをSAP以外のシステムに連携させることを望む企業は、SAP Integration Suiteミドルウェアの購入が必要になるでしょう。SAP Integration Suiteにはベーシック・エディションとスタンダード・エディションがあり、スタンダード・エディションは追加機能を提供しますが、価格も大幅に高くなります。これも、ERPシステムとの構成と統合にパートナーから料金が請求される製品です。
SAPのものであっても他のベンダーのものであっても、他のアプリケーションとの連携構築にはパートナーのサポートが必要になります。たとえば、HCMを必要とする組織には、大企業向けに設計された堅牢ながら高価なソリューションであるSAP SuccessFactorsが必要です。アプリケーションによっては、より専門的な知識を備えた2社目のパートナーが必要になる場合もあります。
構成とカスタマイズ
概して、ByDesignはNetSuiteの柔軟性には匹敵しません。ビジネス・プロセスは標準化されており、その変更は容易ではないため、パートナーによるコンサルティング時間分の料金を支払う必要があります。また、パートナーによってアドオンやカスタマイズの開発方法が異なるため、他のパートナーがそれらをサポートすることが困難になるという課題もあります。これは、パートナーがByDesignのサポートを停止したり、閉鎖したり、パートナーの変更を希望する場合に問題となります。一方、NetSuiteは管理者やビジネス・ユーザーが自分たちのニーズに合わせてシステムをカスタマイズできるように設計されています。
ByDesignには非視覚的なワークフロールール・ツールがありますが、その機能は限られています。ワークフローはユーザーのアクションによってのみトリガーされ、時間ベースではできません。NetSuite SuiteFlowは、スタッフがアイテムをドラッグ・アンド・ドロップすることで、あらゆる種類のビジネス・プロセスを構築できる視覚的なツールです。SuiteFlowはモジュール間で機能するため、企業は役割や部門を超えてタスクを自動化できます。
Oracle NetSuite | SAP Business ByDesign | |
---|---|---|
強力なクラウドの伝統を有する真のクラウド | ||
統合されたプラットフォーム | ||
ネイティブな財務連結 | ||
すぐに利用可能なリーディング・プラクティス | ||
ベンダーとの直接的な関係 | ||
容易な拡張 | ||
拡張機能 |
= ネイティブ機能
= 追加のソリューションまたはパートナーとの統合が必要
= 機能が弱い、またはない
導入に関する考慮事項
SAPは、顧客にソフトウェアを稼動させる際にパートナーに大きく依存しています。つまり、プロジェクトの成功は、選択するパートナーの経験と品質によって決まることになります。これはリスクの高い提案です。パートナーはベストプラクティスに従い、他のアプリケーションとの統合で信頼できる実績を築いている場合もあれば、ソリューションを寄せ集めて、必要な機能を提供することに苦労している場合もあります。また。パートナーは、選択したシステムに関する経験が殆どない場合もあれば、そのシステムに精通している場合もあります。チームによる十分なデューデリジェンスが必要です。
これら3つのシステムの導入に関する実際の手法を詳しく見てみましょう
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S/4HANA Cloud、Public Edition: SAPは、S/4HANAのためのプロフェッショナルサービス・チームを社内に擁していますが、パートナーは、特に中堅企業顧客への導入はパートナーに大きく依存しています。S/HANA Cloud Publicの導入には6カ月から12カ月かかることがほとんどですが、Grow With SAPのような市場参入戦略により、導入までの期間を短縮することも可能です。
S/4HANA のパブリック・クラウド・バージョンで稼働している顧客数が少ないため、パートナーの導入経験も限られており、導入が長期化し、困難になる可能性が高まります。
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Business One: パートナーは、導入を含むカスタマー・ライフサイクル全体に単独で責任を負います。導入コストは時間と材料に基づいており、初期設定価格ががないため、コストが上昇する可能性があります。
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ByDesign: 最近のニュース以前から、ByDesignは200社以上のパートナー・ネットワークにより独占的に導入されていました。顧客数が少ないため、多くのパートナーはByDesignについての経験が不足しており、導入が困難になる可能性があります。この製品のパートナー・プールはすでに小さく、購入者がより将来性のある他の製品に集中するにつれて、縮小していくものと見られています。Business Oneと同様に、これらのプロジェクトは時間と材料に基づいています。
NetSuiteは大きく異なるアプローチを取っています。社内に大規模なプロフェッショナルサービス組織を持ち、さまざまな業種やビジネス規模に特化した専門家を擁しています。そのため、このようなエキスパートがプロジェクトを指揮することで、お客様はその深い業界経験と知識を活用することができます。また、プロフェッショナルサービスの従業員は、1つのERP製品に完全に専念しています。
NetSuiteのSuiteSuccess導入方法は、もう一つの重要な差別化要因であり、ほとんどのお客様が必要とする機能の少なくとも80%を、固定された初期コストで提供します。SuiteSuccessを使用すると、特定の業種や役割に特化したベストプラクティスのワークフロー、ダッシュボード、KPIを利用できます。これによりカスタマイズが最小限に抑えられるため、お客様は価値実現までの期間が短縮され、わずか100日で稼動が可能になるというメリットを得ることができます。これは、何千もの導入実績を持つ実績のあるモデルです。
SuiteSuccessのリーディング・プラクティスとデフォルトの資産は、NetSuiteパートナーも利用が可能です。NetSuite パートナーは、システムに関する教育を十分に受け、ベンダーと直接、定期的に連絡を取り合っています。これに加えて、ニッチな業界や特定の地域に関する専門知識を持ち合わせていることもあり、お客様のプロジェクトを成功に導きます。
パートナー・エコシステム
SAPはパートナーに依存していることから、膨大なネットワークを有しています。このソフトウェア・プロバイダーには、全体で24,000社以上のパートナーがいますが、S/4HANA Cloud、Public Edition、Business One、またはByDesignに取り組んでいるのはその一部に過ぎません。これは、ベンダーにとって強みの1つになる可能性があります。
NetSuiteには、さまざまなサービスを提供する数多くの異なるパートナー・プログラムがあります。ソリューション・プロバイダーはソフトウェアを販売および導入し、アライアンス・パートナーはソリューションの導入、NetSuiteプラットフォーム上でのアプリケーションの開発を行い、お客様がソフトウェア・システムをより活用できるように支援します。また、NetSuiteは会計事務所、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ企業、少数派コミュニティの起業家、業界団体向けのプログラムも用意しています。
サポート・サービス
SAPの導入と同様に、SAPシステムを使用しているビジネスでは、何千ものパートナーにサポートを依頼することになります。パートナーは、Business One とBusiness ByDesignのサポートのみを扱っています。S/4HANA Cloud, Public Editionのサポートの提供元については、SAPからまだ明らかにされていません。
パートナーによるサポートの質を予測することは難しいため、これは大きなリスクとなります。パートナーによっては、専用のサポート・チームがなかったり、現地時間の午前9時から午後5時までしかエージェントが対応できない場合もあります。一方、経験豊富なチームがいて、長時間のサービスを提供する場合もあります。顧客は何千ものパートナーに分散しているため、ベンダーのように多数のビジネスから知識を得ているようなパートナーは存在しません。こうしたパートナー各社は、複数のSAP製品、さらには他のソフトウェア・プロバイダーのソフトウェアをサポートしていることがよくあります。また、たとえERPシステムに精通していたとしても、SuccessFactorsや分析クラウドなど、追加する可能性のある他の製品に精通しているかはわかりません。
NetSuiteでは、お客様がパートナーを利用して導入する場合でも、NetSuiteのプロフェッショナルサービスを利用する場合でも、ベンダーによる直接サポートを提供しているため、そのような不安はありません。NetSuiteには1,000人以上の従業員がサポート業務に従事しており、24時間 365日対応可能なライブ・エージェントも用意しており、お客様はニーズに応じて3段階のサポート・レベルから選択が可能です。さらに、規模の大小にかかわらず、またパートナーを使用している場合も含め、すべてのお客様に専属のアカウント・マネージャーを用意しています。
NetSuiteとSAPの価格比較
お客様には、ユーザーごとの月額料金と使用するモジュールと機能に基づいてNetSuiteの料金をお支払いいただきます。契約期間は最短で1年です。
SAP S/4HANA Cloud, Public Editionの価格もユーザー数に基づいており、通常すべての契約で最低ユーザー数が必要となります。ByDesignも同様のユーザーごとのモデルを使用しており、国が増えるごとに月額料金が加算されます。Business Oneの顧客は、オンプレミス・システムではユーザーごとの永久ライセンスを購入するか、クラウド・バージョンではユーザーごとに月額料金を支払います。ここで説明する補完的なSAP製品については、別途ライセンスが必要となります。
SAP導入の総コストは、パートナーが多くの統合、構成、カスタマイズを完了する必要がある場合があるため、予測不可能な場合が多いことにご注意ください。他のアプリケーションが必要になった場合も同様です。
SAPよりもNetSuiteを選ぶべき理由
ベンダーが管理する真のクラウドERPシステムの価値を認識しているビジネスであれば、、AIを活用した (新しいタブで開きます)NetSuite ERP (新しいタブで開きます)はSAPよりも明らかに優れた選択です。アップグレードやパッチ適用のためにITスタッフやコンサルタント会社を雇う必要がなくなり、従業員も初日からWeb上で動作するように構築されたシステムを高く評価するでしょう。SaaSシステムの利点に加え、これほど深い機能を提供するソリューションはSAPにはありません。
また、SAPにはNetSuiteのお客様が利用できる統合不要のモジュール・スイートに匹敵するものがありません。SAPには堅牢なアプリケーションのカタログがありますが、NetSuiteモジュールのように同じプラットフォームで構築されていないため、多くはERPシステムと適切に統合されません。そのため、ERPの基本的な価値提案の一つである「すべてのデータが一か所に集約され、簡単に参照・報告できる」という利点を実現することが困難になることがあります。

SAPが質の異なるパートナーに依存していることも、徹底的に評価すべきリスクですNetSuiteは、プリセールスから導入、サポートに至るまで、お客様が成功し、プラットフォームを最大限に活用できるよう支援するための社内リソースに多大な投資を行ってきました。また、NetSuiteパートナーは、NetSuiteが提供する最新の製品とサービスに関する定期的な教育を受け、お客様をサポートするための豊富なベンダー・リソースを利用できます。NetSuiteでは、SAPパートナーとの出会いに幸運を願うのではなく、お客様の長期的な成功のために尽力する、実績と経験のある製品 エキスパートによるサポートを受けることができます。
最後に、NetSuiteが提供する安定性について考えてみましょう。Netsuiteは25年以上の歴史の中で、一度も規模の縮小や置き換えが行われたことのないひとつの製品だけを提供してきました。SAPを選択することは、いずれ製品が陳腐化するリスクを伴います。これは最新のソフトウェアであるS/4HANAでさえ当てはまることです。SAPはS/4HANAを2040年までメンテナンスすると発表しましたが、その後はどうなるのでしょうか。
ERPシステムの選択は、ビジネスにとっての転機となることがあります。適切な選択をすることで、企業はより効率的になり、組織化され、収益性が向上し、次のステージにより迅速に到達することが支援されます。誤った意思決定は、かなりの時間と資金を無駄にし、成長を滞らせることがよくあります。また、別のソリューションですべてのプロセスをやり直すことになり、その影響はさらに深刻になります。
だからこそ、長期的にビジネスをサポートする機能に基づいてシステムを評価および選択することが重要なのです。現在最も低コストまたは最適なソリューションが、組織にとって資産となるシステムであり、継続的な進化におけるパートナーとして機能するベンダーとなるとは限りません。NetSuiteは、他の多くのシステムで発生するような頭痛の種を抱えることなく、組織に合わせてスケールする機能において比類のない存在です。
NetSuiteとSAPの比較に関するFAQ
SAPとNetSuiteの比較では、どちらがより優れていますか。
何を優れていると見るかは人それぞれですが、NetSuiteは完全に1つのERPシステムに特化しているのに対し、SAPは中堅企業向けにそれぞれ異なる3つのソリューションを提供しています。また、SAPにはNetSuite のクラウドにおける長い歴史と、統合を必要としないモジュール・スイートに匹敵するものがありません。もう一つの大きな違いは、SAPはソフトウェア・プロバイダーから直接関与することなく、販売、導入、サポートをパートナーに依存しているのに対し、NetSuiteはパートナーを使用している場合でも、これらの各ステップに密接に関与していることです。
NetSuiteとSAPは同じですか。
SAPとNetSuiteは異なるソフトウェア企業です。NetSuiteはオラクルの一部門で、中堅企業向けのSaaS ERPの開発に特化しており、SAPはさまざまなビジネス・ソフトウェアを販売する大手上場企業です。両社ともERPソフトウェアを開発していますが、提供するアーキテクチャや機能は大きく異なります。
SAPに相当するNetSuiteの製品とは何ですか。
SAPにはNetSuiteと競合するS/4HANA Cloud、Public Edition、Business One、そしてBusiness ByDesignという3つの製品があります。ByDesignはSaaS製品であるため、システム・アーキテクチャとデザインの点でNetSuiteに最も似ていますが、SAPは現在このソリューションを段階的に縮小しています。SAPのどの製品も、NetSuiteが提供する真のクラウドと深い機能の組み合わせには匹敵しないため、本当の意味で同等の製品はありません。
NetSuiteはSAPよりもユーザーフレンドリーでしょうか。
NetSuiteは、技術者でない従業員でもシステムを使用できるだけでなく、好みに合わせて調整できるように設計されています。レポート、構成、ワークフローの作成はNetSuiteの方がSAPよりも簡単で、お客様がビジネス運営に集中できるよう支援します。SAPのソリューションには魅力的なユーザー・インターフェースを持つものもありますが、意思決定者は他の欠点も見過ごさないようにする必要があります。
SAP Business Oneの短所を教えてください。
SAP Business Oneにはネイティブな財務連結機能がないため、複数の子会社を持つ顧客は、各事業部門を管理するために複数のインスタンスを購入する必要があります。また、Business Oneは需要計画機能が限られており、WMSアプリケーションもありません。さらに、顧客の多くは、必要なレポートを得るためにアドオン・ソフトウェアを必要とし、それらはパートナー主導でBusiness One ERPシステムと統合される必要があります。最後に、Business Oneのクラウド・エディションはホストされたクラウドであり、自動アップグレードや機能強化の対象となるベンダー管理のクラウド・システムではありません。
SAP Business Oneよりも優れている点を教えてください。
NetSuiteはSAP Business Oneの優れた代替製品になります。NetSuiteにはすぐに利用可能な堅牢な機能が備わっており、ニーズに応じて追加機能を持つモジュールを簡単に追加することができます。NetSuite を使用するすべての企業は同じバージョンのソフトウェアを使用しており、システムは企業の成長に応じて拡張できるように構築されています。
SAPとオラクルでは、どちらが優れていますか。
オラクルとSAPは、どちらも企業ソフトウェア分野のリーダー企業です。両社とも、広く使用されている業務アプリケーションやその他のテクノロジーを手がけており、世界でも有数の名だたる企業に利用されています。ただし、オラクルのデータベースはSAPのデータベースよりもはるかに人気があり、OCIで目覚ましい成長を遂げています。