財務計画と分析(FP&A)とは

財務計画と分析(FP&A)の専門家は、企業の財務計画、予算編成、予測プロセスを管理し、経営陣や取締役会による主要な意思決定に影響を与えます。FP&A担当者は、組織全体から財務データを収集、準備、分析し、ビジネス上の疑問に対してデータに基づいた回答を提供するレポートを作成します。

FP&A部門は、ますます将来を見据えるようになっています。何が起きたか、何が起きているかだけでなく、なぜそれが起きているのか、将来何が起きそうなのかに焦点を当てるベストプラクティスを使用しています。

FP&Aディレクターやアナリストは、組織全体のビジネス・パートナーであり、さまざまな事業部門と密接に協力し、CFOやコントローラーの戦略的アドバイザーであることが大切です。これらの専門家は、効率化、節約、投資の機会を特定することで、財務部門のリーダーが追加コストを維持・軽減できるよう支援します。

FP&Aの役割は近年進化しています。かつては、FP&Aアナリストは財務結果の記録と報告、および過去の財務データを活用した将来の売上と収益の予測に重点を置いていました。しかし、現在入手可能になった膨大なデータと、それを活用するアナリスト支援テクノロジーにより、FP&Aの業務は、従来の受け身なものから、ビジネスの方向性に直接影響を与えるインサイトに満ちた予測や分析を提供する、積極的な業務へと移行しています。

FP&Aは、会計とは異なります。会計は過去および履歴情報をレビューして会社の現在の財務状態を判断するものですが、FP&Aは将来のためにデータを活用し、将来の結果を予測しようとするものです。

FP&Aのスキル

FP&Aアナリストやディレクターは、数学に秀で、数字を計算することに貪欲である必要があります。そのため、この職務に就く人の多くが元会計士であることは驚くことではありません。しかし、この分野の専門家は、営業、マーケティング、人事、業務など、複雑で多様なデータセットを取り扱うことにも慣れている必要があります。

スプレッドシートはデータを分析する上で不可欠であるため、FP&A担当者はMicrosoft Excelまたは同様のツールを使いこなせる必要があります。主要なレポートを作成するために、生データを集計・操作するための数式やプロセスの知識も必要です。ERPシステムの基本を理解し、このソフトウェアがどのようにレポートを自動化し、より複雑なレポートの作成や分析を支援するのかを理解する必要があります。

FP&A担当者は、異なる部門の同僚と効果的に仕事をするために、強力なコミュニケーターであり、ビジネス・パートナーである必要があります。ビジネス・パートナーには、他のチームや部署と密接に協力し、彼らの優先順位や目標を理解し、会社のプロセスを深く理解し、大量のデータを明確で簡潔なレポートに変換する能力が求められます。最後に、FP&Aでは、財務データの統合と調整に特有の課題を克服しなければならないため、模範的な問題解決能力が求められます。

キャリアとしてのFP&A

財務計画と分析は、次のようなことが好きな人に向いている職業かもしれません。

  • 複雑な数学と数字の計算
  • 組織全体の複雑なデータセットを取り扱うこと
  • スプレッドシートでの作業や、数式を使ったレポート作成
  • ERPのような自動化ツールを使って分析を支援
  • 組織全体のあらゆるレベルのパートナーとのコミュニケーション
  • 財務データの統合と照合

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FP&Aの責任

  • P&L:

    FP&Aチームは、損益計算書(P&L)、取締役会向けの報告書、部門別の予算と実際の支出を追跡する差異報告書などの管理報告書、およびキャッシュフロー計算書をまとめる責任があります。これらの計算書を最終的にまとめるには、さまざまな部門からデータを収集し(そのため、ビジネス・パートナーとしてのスキルが必要となります)、その情報を検証して統合する必要があります。FP&Aチームはこれを用いて、負債比率や流動比率などの主要業績指標を算出します。

  • 利益率:

    FP&Aの専門家は、財務諸表を詳しく調べ、どの製品ラインやサービスが最も利益率が高いか、または純利益に最も貢献しているかを理解することがよくあります。同様に、社内の各部門が生み出すコストと収益または利益を割り出すこともあります。FP&A担当者のもう一つの役割は、運転資金を使った事業投資を評価し、新たな投資機会を見つけることです。

  • 予算編成:

    FP&Aのより将来を見据えた職務には、予算編成や会社の将来の財務実績の予測が含まれます。予算編成では、財務報告書を分析し、どのように資金を配分するかを決定する必要があります。予測では、収益や利益に影響を与える可能性のある、事業内およびより広範な業界や経済の動向を考慮した財務モデルを作成する必要があります。中小企業であれば4~8か月先、大企業であれば1~3年先を予測することもあります。計画と予測は、単なる年次や四半期ごとのイベントではありません。最近ではより多くの企業が、継続的な計画とローリング・フォーキャストに移行し、定期的に最新の数字を評価して調整を行うようになっています。

  • シナリオ・プランニング:

    財務モデリングの一種に、FP&A担当者が販売やオーダー量に関するさまざまな数値を入力し、最善のケース、予想されるケース、最悪のケースのシナリオを作成する、シナリオ・プランニングがあります。これにより、FP&A担当者は会社の財務状況に与える潜在的な影響を評価することができます。これらの結果に基づいて、チームは異なる結果ごとに取るべき措置を特定できるため、将来に向けてビジネスをより適切に備えることができます。AFP/APQCの調査によると(opens in a new tab)、「非常に効果的」または「とても効果的」なFP&Aチームは、予測機能を活用している傾向が高いとのことです。これらの予測は、設備投資やその他の投資計画にも役立ちます。

  • 非定型レポート:

    これらの非定型レポートは、一般的にCFOやコントローラーが参照するもので、特定のKPIや事業部門をより詳細に把握することができます。アナリストやディレクターは、経営幹部が求める特定の情報を明らかにするために、さまざまなレポートから数字を引き出す必要があるかもしれません。このようなレポーティングとモデリングを頻繁に実行することで、FP&Aチームは必要なデータを取得して、経営幹部に対してタイムリーで正確かつ実行可能な提案を行うことができます。

効果的なFP&Aチームの構築

どの企業にも経理担当者はいますが、FP&A専任の担当者がいる企業は多くありません。FP&Aチームの構成は実にさまざまで、小規模な企業では、一人のコントローラーの役割の一部としてこの機能が存在することもあれば、大規模な組織では何十人ものFP&A担当者がいることもあります。

拠点、子会社、部門の増加や、グローバル事業展開など、企業が複雑化するにつれて、FP&A担当者が追加されることがよくあります。そのため、FP&Aのリソースと人員を増やし始めている企業もあれば、戦略的なレポートを経営陣に定期的に提供する高性能なチームを持つ企業もあります。

この機能を追加しようとしている企業は、新たな挑戦に意欲的な既存の経理リーダーをFP&Aに再配置することもできます。このようなスタッフは、すでにビジネス特有の側面や履歴を理解しているため、新しい職務で有利なスタートを切ることができるはずです。もし企業がこのようなアプローチを取るのであれば、その人材がAssociation for Financial Professionals(AFP)を通じてCertified Corporate Financial Planning & Analysis Professional(opens in a new tab) の資格を取得するための費用を負担することを強く検討すべきです。ほとんどのFP&Aリーダーはこの資格を所有しています。企業にとって外部採用の方が理にかなっている場合は、この資格を持っている人材を探しましょう。

FP&A担当者が1人か2人の企業では、CFOに直属するのが一般的な構造です。FP&Aチームが成長するにつれ、CFO直属のFP&Aディレクターや、ディレクター直属の複数のFP&Aアナリストが追加されることもあります。

FP&Aチームの3つの役割

FP&Aチームメンバーの役職と役割は企業によって異なりますが、一般的な役職とそれぞれの責任は以下のとおりです。

企業財務アナリスト

  • 財務データを分析し、財務モデルを使用して予測実行。
  • 事業部門別の収益と売上総利益率、コストセンター別の費用を追跡。
  • 経営陣のニーズに合わせて、財務パフォーマンスに関する報告書を作成。
  • 実績と計画・予測を比較・分析し、財務パフォーマンスを評価。
  • トレンドや予測を調査・分析し、推奨されるアクションに反映。
  • コスト分析の指針となる方針と手順を確立。

FP&Aマネージャー

  • 経営陣と緊密に連携し、短期から長期の財務計画および戦略的計画を策定。
  • 会社の全体的な財務の健全性をよりよく理解するための財務および業務結果の分析。
  • 過去の予算を評価し、事業部門のリーダーと協力して年間予算と予測を作成。
  • 業績に影響を与える要因を考慮し、長期的な成長を予測するモデルを作成。
  • 製品または部門のパフォーマンスに関する詳細な分析と解説の提供。
  • 収益創出、コスト削減、より効率的な業務につながる結果と提案を上級管理職に伝達。

FP&Aディレクター/FP&Aバイスプレジデント

  • シナリオ・プランニングを含む財務諸表および財務モデルの作成プロセスの管理。
  • 月次、四半期、年次の財務予算策定、予測、長期計画のプロセス定義。
  • 既存の経営報告をより正確かつタイムリーにするための推進と改善。
  • 財務結果を分析し、経営幹部への重要な示唆や提案を決定。
  • 特別プロジェクトのための非定型財務モデリングとレポーティングを主導。
  • 自動化とシステムの最適化を通じて予測を改善するために、IT部門やさまざまな組織と連携。

FP&Aの主な機能

短期および長期プランニング 予算編成 経営報告 予測 非定型レポートと分析
損益計算書のためのデータ収集と編集。 特定期間(通常1年間)の固定予算の作成。 予算対実績およびキャッシュフローに関する月次、四半期、年次レポートの作成。 過去のデータを使って、今後4~12四半期の業績を予測。 年間を通した臨機応変な分析と報告のための迅速なデータ収集。
各部門からの計画を統合し、最終的な計画を伝達。 収益と費用、予想キャッシュフロー、債務削減など、計画の実行を月ごとに監視。 財務・業務データを集計・分析し、意思決定に役立つインサイトを収集。 ローリング予測のため、各四半期末に次の12か月の再予測を実行。 調査結果に基づき経営陣に提言。
異なる仮定に基づきシナリオ・プランニングを実行。 実績やその他の展開に基づいて計画を調整。 経営幹部や取締役会に報告書を提出。

FP&Aに必要なツールとは

FP&Aチームが直面する主な課題はデータ収集です。AFPの調査によると、FP&Aチームはデータの収集と処理に75%の時間を費やしています。スプレッドシートはミスが発生しやすく、データ処理に時間がかかり、コラボレーションにも限界があります。さらに、FP&Aのインサイトから戦略を立てるべき経営幹部の多くは、データや分析を十分に信頼しておらず、意思決定の指針として役立てていません。

計画、予算編成、予測をスプレッドシートに頼って管理しているFP&Aチームは、増大する責任リストに対応するのに苦労しています。ERPからリアルタイムのデータを取得し、すべての情報を1つのアクセス可能な場所に保管する予算管理ソリューション は、FP&A担当者の仕事を容易にし、価値を高めるのに役立ちます。

FP&Aがデータの検索や集計、Eメールの送信に費やす時間が減れば、その分、分析やレポート作成に多くの時間を費やすことができます。AFPの調査によると、「とても効果的」または「非常に効果的」なFP&A組織は、自動化されたレポート作成ツールやデータ可視化ツールを導入している傾向が「かなり高い」ことが明らかになりました。その結果、計画サイクルの迅速化、より洗練されたモデリング、より正確な予測、より優れた予測プランニングが実現し、長期的な成功につながります。

NetSuite Planning and Budgetingは、NetSuite ERPと統合されているため、正確で最新の情報を自動的に取得することができます。これにより、FP&Aチームは、スプレッドシートへの依存を解消することができます。これらのデータはすべて1つの場所にあり、必要な人全員が見ることができるため、古いデータやレポートを参照してしまうといった懸念を排除できます。このような優れたアクセス性は、コラボレーションと説明責任を向上させます。また、有意義な情報が取得しやすいため、全社的・部門的な計画が立てやすくなります。

NetSuite Planning and Budgeting(NSPB)ソリューション には、収益と費用のモデリング、承認ワークフロー、管理レポートなどの機能があります。このソリューションは、履歴データと業界固有の統計モデルを使用して将来の結果を予測し、予測の精度を向上させる強力な予測計画を提供します。最終的に、NSPBは、FP&A担当者が価値あるビジネス・パートナーになることを可能にします。

プランニングと予算編成の詳細については、eBook、「あらゆる成長に対応する高インパクトの予算編成(opens in a new tab) 」と、「 シナリオ・プランニングのテンプレート(opens in a new tab)」を参照してください。