データドリブンで先行的な会計チームは、まさに変革的と言えます。また、CFOは、コスト削減領域の見極め、投資機会の評価、精度の高いレポートやキー・パフォーマンス・インディケータ(KPI)の提供など、データをより効果的に利用することについて、確実に継続的な需要があることを把握しています。

ビジネス・インテリジェンス(BI)を活用することにより会計のプロフェッショナルが享受できるのは、生産性と正確性の向上だけではありません。十分な情報に基づく意思決定を行うための知見を得て、社内の利害関係者、クライアントを問わず、適切なデータを適切なタイミングで適切な人に提供することにより、ビジネスの成功に貢献できます。

ビジネス・インテリジェンスとは

ビジネス・インテリジェンスとは、キー・パフォーマンス・インディケータ(KPI)を設定してデータを分析し、業績をモニタリングすることにより、意思決定に情報を提供するテクノロジー主導の手法です。BIでは、ビジネスの履歴、現状、将来の状態を、わかりやすく、インタラクティブにデータを可視化して提供します。組織は、ビジネス・インテリジェンス・ソフトウェアを使用してデータを分析し、財務、セールス、マーケティング、業務のKPIなどのパフォーマンス・メトリクスを通知します。企業は、BIを活用して財務状況を詳細に把握し、サプライチェーンを最適化することにより、マーケティングからM&Aまで、あらゆる意思決定の精度を上げることができます。

BI機能の中心となるのは、組込みのカスタマイズ可能なダッシュボードで、中央データベースに基づくリアルタイムのレポートと分析が可能になります。意思決定者は、例外、傾向、機会を特定し、元となる指標やトランザクションをドリルダウンして調査できます。

ビジネス・インテリジェンス・システムでは、あらゆる業務部門からの膨大なデータを分析することにより、組織全体でより適切な意思決定を行えるようになります。従業員がどこで働いていてもモバイルアクセスでき、アプリケーション向けのさまざまなコネクタや統合機能を提供する、スケーラブルなシステムがあれば、組織が重要と考えるKPIを分析するために必要なすべてのデータを取り込むことができます。

会計にとってビジネス・インテリジェンスが重要な理由

BI対応の財務管理ソフトウェアは、データ収集と分析を自動化することにより、会計担当者の生産性を高め、エラーを最小限に抑えます。CFOが重要なKPIを決定すると、BIによって指標を常に最新の状態に保ち、ダッシュボードですぐに利用できるようになります。

たとえば、キャッシュ・フロー・ダッシュボードでは、現在のキャッシュ・コンバージョン・サイクル、当座比率、流動比率、買掛金回転率、売掛金回転率、その他のKPIを、履歴と比較して一目で確認できます。また、ダッシュボードは継続的に更新されます。

会計チームでは、このデータを手作業で集計せずに済むため、データの解析や、同僚との知見の共有に時間を使えます。

ビジネス・インテリジェンスと会計の関係性の有無とその内容

ビジネスで成功するには会計の効率化が不可欠であり、ビジネス・インテリジェンスで会計の効率化へと導きます。ここで、会計チームでBIを活用し、ビジネスで成功を収めるまでが直線的につながっている例を紹介します。

商品を販売する小売業者の場合、人気商品が品切れになると、顧客は競合他社のサイトで購入してしまうため、適切なレベルの在庫を確保することが不可欠です。欠品率は、在庫分析に役立つKPIであり、顧客が注文した商品が入手できない頻度を測定します。

架空のスポーツ用品の小売業者のVolleyTechを例にとります。春のサッカーシーズンが始まると、クリート(サッカーシューズ)の需要が増えます。VolleyTechの営業担当者は、英国のメーカーのシューズが毎年すぐに売り切れてしまい、顧客が失望していることを把握しています。営業担当者は最も人気のあるサイズを余分に注文するよう提案しますが、幹部は渋っています。

小売業者が在庫切れを避けるために十分な注文をしなかった理由を考えると、その要因の1つとして、キャッシュ・フローの不確実性によるものである可能性があります。VolleyTechでは収益を予測するのが難しいため、保管料、配送料、輸入料などのコストを削減するために、在庫切れを許容するタイトなジャスト・イン・タイムの注文方法を選択しています。さらに、クリートのメーカーであるU.K. FootballWearは、自社のクリートに人気があることを認識しているため、VolleyTechのような小規模な小売業者からの注文に対しては前払いを求めることができます。これでは、運営や給与支払いなどに必要な資金が不足してしまいます。

VolleyTechの会計担当者は、ビジネス・インテリジェンスによって、詳細なキャッシュ・フロー分析と予測を行うことができます。チームでは、予想される営業費用や資本的支出、過去の売上や欠品率のデータ、売掛金や買掛金の予測残高などを入力でき、さらに、VolleyTechが店舗を持つ地域で、クリートの販売が最大となる時期の長期予測などの外部データソースを取得できます。この情報があれば、企業は在庫を積み増しできることがわかります。これにより顧客は満足し、U.K. FootballWearとのパートナーシップで、より有利な地位を獲得できます。

BIの手法は会計に使用できるか

前述の例で説明したように、会計にBIを戦術的に活用することは、信頼される戦略アドバイザーとして、チームの地位を高めることになります。また、ビジネス・インテリジェンス・ツールは、アウトソーシングされた会計のプロフェッショナルを含む会計担当者に、企業内またはクライアントに対する自社の価値を定量化する機能を担います。

ここで、リーダーが会計部門の有効性を評価するために使用するKPIについて考えます。たとえば、DSO(売上債権回転日数)が良好であれば、会計担当者は顧客が持つ債務を効果的に回収していることがわかります。ただし、さらに深く掘り下げると、支払条件について効果的に交渉することにより迅速な回収を行っており、また、売掛債権管理グループでは、顧客に対する与信を厳しく管理して、貸し倒れがないように債権を回収していることに基づいていることがわかります。

ビジネス・インテリジェンス・ダッシュボードは、会計担当者によるDSO比率の改善を支援します。たとえば、支払いが遅延し、与信が低下した可能性のある顧客にアラートを出すように設定できます。

BIではエラーを削減し、より確実にドキュメント化することになるため、監査パフォーマンスが向上します。会計担当者は、読みやすく視覚化された図表を作成することにより、複雑な財務の概念をビジネス・ユーザーに説明することができ、会計チームでは手作業を自動化して、より効率的に業務を進めることができます。

これは戦術的なものでしょうか。もちろんです。要するに、戦略的な優位性です。

BIを活用して会計に影響を与え、改善する方法

会計機能に影響を与え、改善するためにBIを適切に活用するには、エンドユーザーがいかにすばやくデータにアクセスして、それを理解し、知見に変換して、よりタイムリーで正確な意思決定を行い、収益性の向上とビジネスの成功につなげることができるかが重要です。

プログラムを評価する際には、「ビジネス・インテリジェンス機能が実際にどのように活用されているのか」、「ダッシュボードやデータは、会計の目標や組織の長期的なビジョン、全体的な戦略を促進するものか」を考慮します。

また、次の7つの領域に注目してください。

知見の向上

ビジネス・インテリジェンス・プラットフォームでは、会計チームが分散したデータをまとめることによって、「ひらめき」を生むような知見を生み出すことができます。

スポーツ用品店を例にとります。BIドリブンの小売分析では、購入行動や小売トレンドのデータを使用して、若いサッカープレーヤが年間を通じて競技に興味を持っていることや、VolleyTechが事業を展開している北部のいくつかの州でインドア・サッカー・リーグが立ち上がっていることがわかります。クリートは屋内用ではないため、マーチャンダイザは、通年の競技に最も関心のあるターゲット層に適したサイズとデザインを持つ、低コストのシューズを調達するために迅速に対応する可能性があります。BIソフトウェアを使用して在庫データを分析することにより、VolleyTechでは、この在庫をインドアの施設やリーグのある地域に参入するための購買および流通プロセスを作成するのに役立ちます。

会計プロセスの改善

BIでは、データの集計、効率的なダッシュボードの作成、計画と予算策定の改善など、目に見える方法で会計プロセスを改善します。

業務にBIを活用する会計チームでは、以下のすべてのものに容易に対応できるようになります。

  • 複雑なサプライチェーンに対する可視性の向上によって、混乱の減少につながります。BIは、可視性に他なりません。たとえば、企業ではサプライチェーンのオンショアリングとローカライズを検討しています。ただし、これには費用がかかります。原材料にコストをかけ、それでも利益を上げることができるでしょうか。為替レートや配送料はコストにどのような影響があるでしょうか。
  • 会計チームでは外部のデータソースを活用することによって、景気が回復した際の予測を向上し、財務上の意思決定に役立てることができます。
  • 人材不足への対応が容易になり、企業ではオフィスまでの物理的な距離を気にすることなく採用できます。BIツールを使用すると、会計で関連性の高いデータを分解できるため、すべての部門のチームが人員の予算で作業し、メインデータベースを使用してリモートでコラボレーションすることができます。これは、会計と採用マネージャー間のコミュニケーションを改善するだけでなく、採用プロセスの改善にもつながります。

会計データの可視化

会計データの可視化とは、財務情報を動的な図形を使用して表示するプロセスです。効果的なデータの可視化は、意思決定者が直感的かつ全体的に見える方法で、複雑で大量な場合もある情報を利用するのに役立ちます。

データを可視化することには、これまで述べてきたような「ひらめき」が生まれる知見など、明らかな利点があります。一方で、見落とされがちな利点として、データ消費について関心を引くものにすることです。そうすれば、意思決定者や関連する利害関係者は、より頻繁にダッシュボードを使用できるように会計に依頼するようになります。そのため、新たなデータソースやBIを組み込んだ財務システムへの投資が促進される可能性があります。

生産性の向上

会計ソフトウェアのビジネス・インテリジェンス機能による生産性向上の主な利点の1つは、人員を増やすことなくスケールアップできることです。

まず、データの種類と量、分析とレポートの要求は、組織とともに増加する傾向があります。BI対応の会計ソフトウェアを使用すると、新しいデータソースをダッシュボードに簡単に追加できます。また、会計では、カスタマイズされたダッシュボードを設定し、自動的に分析を生成して、手作業を最小限に抑えることができます。

また、言うまでもなく、ビジネス・インテリジェンスによって多くの財務プロセスが自動化されます。たとえば、会計部門では、スプレッドシートのような従来のツールを使用して、月次財務報告書を作成するのに数日かかっているとします。BIに対応したソフトウェアを使用すれば、図表をエクスポートして、財務報告書の作成時間を短縮できます。

データに基づく意思決定

会計のプロフェッショナルは、データ・スペシャリストでもあります。たとえば、VolleyTechのマーチャンダイズ・マネージャーが、顧客がフェアトレード認定のサッカーボールのラインナップの方が、顧客の購買意欲を高めると直感したとします。マーケティングもこれに同意しており、このラインナップを追加すれば販売チャンスになると考えています。

会計では、その直感をどのように定量化できるでしょうか。

データに基づく意思決定を前提条件に適用する手法には、より高価なフェアトレード・ボールに 在庫の原価計算指標を適用することや、コストプラス価格設定を計算して販売価格帯を見積り、現在在庫されている最高価格のボールと比較することなどが含まれます。これらすべてのデータポイントは、マーチャンダイザによって、新製品が財務的に適切かどうかを判断するのに役立ちます。

製品および収益分析の改善

BIを使用すると、財務ではさまざまなソースからのデータをカスタマイズされたダッシュボードにまとめることができ、製品を改善し、収益を向上させる方法を詳細に分析できます。

たとえば、ビジネスリーダーが収益減少の背景にある要因を解明する必要があるとします。関連性の高いデータを掘り下げ、業績が悪い特定の部門、オフィス、地域を特定できます。また、十分なトレーニングを受けていない新人のセールス担当者や、一時的に収益を低下させた製品のアップグレードなど、他の要因がある可能性もあります。

注目すべき分野の1つは、総売上高です。

販売収益は、収益認識に関する会計基準に従い、製品またはサービスが引き渡された月または履行された月の損益計算書で認識されます。たとえば、VolleyTechのある店舗が対面のゴールキーピング・クラスを開催するとします。そのクラスでは、6月に40人の生徒が申し込み、セッションごとに$50ドルが支払われ、$2,500の売上がありました。ただし、6月に開催されたセッションの参加者は20人のみでした。この20人の生徒の収益のみを認識できるため、6月分の売上高は$1,250となります。7月に予約されたセッションの残りの$1,250は、繰延収益に計上されています。この場合、講師を1人増やし、その月に開講できるクラスの数を2倍にすることは意味があるでしょうか。BIは、財務上の意味があるかどうかを判断するために、1か月で講師を1人追加することをモデル化するのに役立ちます。

KPI分析の改善

キー・パフォーマンス・インディケータ(KPI)は、戦略的なビジネス目標と密接に関連している指標です。リーダーは、主要な評価指標を早期に見極め、市場、経済状況、ビジネス自体の変化に基づいて、定期的にKPIリストを見直す必要があります。

リストが確立すれば、企業はどの数字が成功を表し、どの数字が今後の困難な兆候を表すのかを合意する必要があります。

たとえば、オーストラリアのクリートメーカーは、サプライチェーンの問題により、アジア太平洋諸国からの注文が減る可能性があります。このメーカーの財務・会計ソフトウェアにBIが組み込まれていれば、リスクのあるクライアントを特定し、FP&A(財務計画・分析チーム)と連携して、シンガポールのディストリビューターへの輸出を増やすために割引を提供するなど、収益目標を達成するためのシナリオを作成できました。

NetSuite ERPでビジネス・インテリジェンスを向上する

NetSuiteビジネス・インテリジェンスなどのBIが組み込まれたソフトウェアを導入することにより、すべての部門で企業業績の透明性を高めることができます。ERPに付属する統合システムの利点には、一元化されたデータウェアハウスと、複数の事業部門、拠点、子会社にまたがる顧客、在庫、財務の包括的な可視化が含まれます。

ダッシュボードをカスタマイズして、モバイルデバイスを含め、Webブラウザ経由でさまざまな利害関係者にアクセスできるようにする機能を探します。多忙な会計チームでは、責任者が自分で分析を作成し、意思決定に必要なあらゆるデータを取り込めるように、セルフサービス機能を探す必要があります。

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ビジネス・インテリジェンスは、データドリブンの会計のプロフェッショナルに最適です。ビジネス・ゴールと比較した、リアルタイムで事実に基づく結果を提供することにより、意思決定プロセスから推測や意見を取り除くことができます。これらの結果が全社で共有されれば、意思決定がより迅速に行えるようになります。会計チームは、信頼できるビジネスパートナーになるだけでなく、ビジネス・プロセスとパフォーマンスを向上させるための情報を持っています。