主要業績評価指標(KPI)とは、組織の戦略的な目標に対する進捗状況を追跡および測定するための、定量化可能な事業指標です。KPIは単なる数字ではなく、会社の業績がどのような状況かを教えてくれます。これらの指標は、産業、企業、さらには企業内の部門ごとに異なります。どのKPIが自分のビジネスに適しているでしょうか?このガイドでは、KPIが重要な理由優れたKPIの特徴、およびそこから学べることについて説明します。

KPIとは?

KPIは、主要なビジネス目標に対する企業のパフォーマンスを測定します。高レベルKPIは企業の全体的なパフォーマンスに注意を向け、低レベルKPIは部門のプロセスや製品、生産性に注意を向けます。監視の必要があるKPIの数はそれほど多くはありません。一般的には10個未満です。何もかもすべて測定すると、組織にとって何が最も重要かがかえってぼやけてしまいます。

KPIには様々な種類があります。一部のKPIは、収益成長率や純利益率といった財務指標に焦点を当てています。また、顧客満足度や顧客解約など、顧客に焦点を当てたものもあります。さらに、市場投入までの時間や投資収益率などの運用に焦点を当てたKPIもあれば、社員の定着率や離職率といった、従業員や人材の管理の指標に焦点を当てた(opens in a new tab)KPIもあります。それらを総合し、時間の経過に従って、KPIは、意思決定に役立つトレンドやその他のデータに基づく洞察を明らかにします。

KPIがビジネスにおいて重要な理由は?

KPIは、ビジネスの戦略的目標を達成するために最も重要な指標を追跡します。KPIは、一般的には企業の様々な側面の状況を包括的に示すダッシュボードにおいて、他のKPIを考慮しつつ並行して分析する際に特に意味を持つようになります。KPIが洞察を提供する主要なものは次のとおりです。

  • 企業の健全性の監視: KPIは、組織別、業務別、先行または遅滞、そのほかにも顧客、財務、成長、プロセスごとなど、様々な方法でグループ化できます。これらを総合することで、組織の業績の状況がわかります。
  • 進捗状況の測定: KPIはその定義のとおり、企業の主要なビジネス目標に対する進捗状況を測定します。企業の目標の1つが年間売上高を20%増やすことであれば、月次売上成長率や月次販売予約といったKPIは、その目標に向けた進捗を測るのに役立ちます。
  • 目標とターゲットの調整: 企業でKPIを選択する前に、企業目標を設定しておく必要があります。しかし、状況は変化する可能性があります。KPIを頻繁に(毎日でも)監視することで、企業は、目標が非現実的であることや、ビジネスの成長段階にすでに合致していないことに気付く可能性があります。この洞察により、利害関係者は、組織にとってさらに適切に機能するように計画を見直す機会が得られます。
  • 解決する問題の特定: KPI分析により、他の方法では検出されない可能性のある問題が明らかになります。たとえば、直帰率の高さや毎日のアクティブ使用率の減少といった、企業のWebサイトに関連するマーケティングKPIは、ページのロードが遅いことやリンク切れがあることを示すサインである可能性があります。
  • パターンの分析: 毎月など、KPIを一定期間にわたって測定すると、多くの場合、意思決定に役立つパターンやトレンドが明らかになります。特定の製品の売上が伸びていない場合は、マーケティング・キャンペーンが必要な可能性があります。あるいは、製品の返品率が過去6か月にわたって増加している場合は、製造上の問題を示している可能性があります。
  • プロセス効率: KPIをビジネス・プロセスに適用することで、企業は、より簡単にボトルネックを識別し、効率を高めるためのリソースを判断できます。たとえば、受領した在庫が販売可能になるまで5営業日かかっている場合は、時間を短縮するために人的リソースまたは技術リソースの追加投資を検討できます。

自分に適したKPIの要素

適切なKPIを選択することで、組織がビジネス目標の達成に向けて順調に進んでいるかどうかを判断できます。しかし、適切なKPIとはどういったものでしょうか?次の条件を考えてください。

  • 目標との合致: 優れたKPIはビジネスの戦略的目標を反映しています。eコマースの収益を30%増やすことを目標としている企業であれば、平均注文額や引き合いから顧客への変換率、カートの放棄を測定する指標を選択します。KPIは、様々な部門やチーム、個人の目標に合せることもできます。購買部門に在庫管理の改善(opens in a new tab)が必要な場合、最も効果的なKPIとして考えられるのは在庫回転率と完全注文達成率です。
  • 成長段階との合致: 優れたKPIはビジネスのライフ・サイクルとも合致します。たとえば、創業当初の指標は、顧客からのフィードバックやビジネス・モデルの検証が中心となる可能性があります。より安定した企業では、月次繰返し収益や顧客維持率、顧客獲得コストといったKPIを使用するのが良いでしょう。
  • 達成可能: 優れたKPIは非現実的な目標ではなく達成可能な目標です。これは、KPIを計算するために必要なデータが利用可能かつアクセス可能で、信頼できるデータであり、利害関係者に提示できることも意味します。
  • 本質: KPIは、ビジネスを前進させるために本当に重要なことに集中していますか?それとも、ダウンロード数やソーシャル・メディアのフォロワー数など、アクションにつながらない表面的でさほど価値のない指標に焦点を当てていますか?(これについては後で説明します。) 優れたKPIは価値を提供し、トレンドを示し、次のステップを教えてくれます。
  • 定量化可能で測定可能: 優れたKPIは測定が容易であり、明確かつ追跡可能な目標に基づいています。それらは、比率、パーセンテージまたはレートとして表現できます。ダッシュボードなどの分析およびレポート・ツールは、KPIを一元化するのに役立ちます。これにより、企業およびそのチームは、現在の状況、今後の方向性、何かが起こった理由、改善手段が必要かどうかを一目で確認できます。
  • 実行性: 実行性のあるKPIは、ビジネスを目標へと導く測定可能なタスクを示します。目標がないと、KPIは単なる数字にすぎず、指標ではありません。KPIは、市場での製品の実績に基づいて販売計画を調整するかどうかなどの判断材料となります。また、将来の戦略に影響するトレンドも明らかにします。

自分の目標に関連するKPIの選択

KPIを選択するには、事前にビジネスの全体的な目標を設定する必要があります。目標は、企業間(B2B)などの企業のタイプや、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)などのビジネス・モデルによって異なります。KPIは、財務、顧客、従業員など、ビジネスの様々な側面に焦点を当てています。また、販売、調達、人事など、特定の機能に注目することもできます。目標が設定されると、経営陣はKPIを選択し、その達成に向けた組織の進捗状況を監視できます。

自分にとって重要なKPIを選択する方法

KPIが自分のビジネスや仕事にとって真に「主要」かどうかは何によって決まるでしょうか?それは目標によって異なります。ただ、ベスト・プラクティスから判断するに、少ないほうがよいことがわかります。KPIを選択する際に検討すべき重要な質問は次のとおりです。

  1. 自分のビジネスや仕事の目標は何か? KPIはビジネスの目標と合致している必要があるため、何を達成したいのかを把握することが出発点です。一般原則では、企業は目標を、12か月間に3から5個を超えないように設定します。KPIは、定義された期間中に組織が目標に向かってどの程度進んでいるかを監視します。
  2. その目標をどのように測定可能にできるか? KPIで進捗状況を追跡するには、目標が具体的で定量化できる必要があります。たとえば「顧客獲得コストを15%削減する」というのは測定可能な目標ですが、「顧客獲得コストを下げる」というのは測定可能とは言えません。この目標のKPIとしては、チャネル別の変換率やリード創出コストなどが考えられます。
  3. さほど価値のない回避可能な指標は何か? さほど価値のない指標は、製品やビジネスを成功に導くように見えますが、アクションにはつながりません。例としては、無料アプリの上位ダウンロード数、Webサイトの登録アカウント数、ソーシャル・メディアのフォロワー数などがあります。さほど価値のない指標は誤解を招く可能性もあります。たとえば、アプリのダウンロード数が多いのは、使用状況や人気ではなく、最近のマーケティング・プロモーションが原因となっている場合があります。これらのユーザーのほとんどは、有料顧客にならない可能性があります。
  4. 本当に重要な上位指標は何か? その答えは、組織、産業、部門、地域、その他の要素によって異なります。最も効果的なKPIは、定量化可能で、実行性があり、企業の目標と成長段階に合致しているものです。大半のビジネスにとって重要な一般的な指標(opens in a new tab)には、収益成長率、利益率、キャッシュ・フロー、従業員離職率、顧客獲得コストなどがあります。
  5. 先行指標と遅行指標は何か? KPIは、先行指標と遅行指標の2つのカテゴリに分類されます。先行指標は、将来何が起こるかを予想します。たとえば、取引規模や従業員数の増加は収益成長の前兆となる可能性があります。先行指標は、その準備を整え、必要に応じて戦略を調整する機会を提供します。

    遅行指標は過去の結果を反映するもので、活動の影響を測定します。例としては、月次繰返し収益や従業員離職率(opens in a new tab)があります。遅行指標はトレンドを明らかにし、企業が進捗状況を評価する際に役立つとともに、それを将来の決定の材料にできます。
  6. 活用できるトレンドは何か? 時間の経過に従って、KPIは、企業が目標をどの程度達成しているか、および調整が必要かどうかを示すトレンドを明らかにするのに役立ちます。たとえば、特定の製品の売上が過去3四半期で増加した場合、企業は購入者をターゲットにしたアップセル・キャンペーンを決定できます。

KPIは、ビジネスが戦略的目標を達成するために順調に進んでいるかどうかを監視します。カスタマイズ可能なダッシュボードで追跡されるKPIは、強みのある分野や改善が必要な分野を明らかにすることで、意思決定の判断材料になります。先行指標か遅行指標かに関係なく、優れたKPIは、理解しやすく、短期と長期のニーズのバランスがとれており、タイムリーに測定してレポートできます。そして何よりも、KPIは企業の目標に沿ったものである必要があり、優先順位が最も高いものに集中できるように数を限定する必要があります。

KPIの選択方法に関するFAQ

適切なKPIはどのように選択しますか?

ビジネスでは、様々な幅広いKPIを自由に使用できます。重要な点は、戦略的目標に最も合致するKPIを多すぎないように選択することです。ビジネスの様々な分野を反映するKPIの堅実な組合せは、ビジネス全体の健全性を表すのに役立ちます。チームや従業員が集中力を維持し、データに基づく優れた意思決定を可能にするためにも役立ちます。

KPIはどのように設定または決定されますか?

KPIは、ビジネスの戦略的目標に基づいており、その成長段階と合致している必要があります。その定義のとおり、KPIは定量化可能であり、測定可能です。KPIはビジネスを前進させることと直結しており、他の方法では検出されない問題も明らかにします。

主なKPIは何ですか?

KPIの選択肢はたくさんあります。純利益と収益の比率や、資産と負債の比率に注目した、財務に関するKPIもあります。顧客維持率や満足度を監視する、顧客ベースのKPIもあります。個々の製品やプロセスに注目するものや、従業員やチームに注目するKPIもあります。一般的な指標には、収益成長率、利益率、キャッシュ・フロー、顧客獲得コストなどがあります。

KPIはどのように設定しますか?

企業は、KPIを選択する前に、目標と目的を決定しておく必要があります。そうしないと、目標や目的に合致しない作業によって時間、資金またはリソースを失うリスクがあります。また、KPIは実際のアクションにつながることも必要です。つまり、KPIとは企業が目標を達成するのに役立ち、意思決定を支援できる測定可能なタスクを指します。

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