※この記事は、日本オラクル株式会社理事 NetSuite事業統括コンサルティング統括本部 統括本部長の玉井健志が翻訳、監修しています。
買掛金とは、企業が仕入先に対して支払う義務を負っている短期負債のことです。 たとえば、仕入先から受領した未払いの請求書などが該当します。買掛金部門は、経費精算書や請求書を処理し、適切に支払いを行う責任を担います。買掛金(AP)は、貸借対照表の負債の部に計上される主要な勘定科目の一つです。
会計上では、買掛金は売掛金(AR)と対になる概念として扱われます。
買掛金に関する主なポイント
- 買掛金は、企業の短期負債を指します。
- 買掛金管理チームは、社内ルールやワークフローに従って、発注書や請求書を確認し、支払い処理を行います。
- 買掛金は、貸借対照表や総勘定元帳における重要な勘定科目の一つです。
ビデオ: 買掛金と売掛金(英語)
買掛金の説明
まず、基本事項を確認しましょう。
買掛金と売掛金
買掛金とは、企業が債権者や仕入先に対して負う、短期的な支払い義務を指します。一方、売掛金とは、顧客、ディストリビューター、パートナーなどから受け取る予定の代金を指します。
買掛金の種類
経費、短期借入金、経費精算などはすべて、貸借対照表上で買掛金として計上されます。一方、給与は買掛金には含まれず、通常は別の勘定科目として処理されます。
買掛金と仕入債務
買掛金と仕入債務は、同じ意味で使われることがあります。ただし厳密には、仕入債務は、企業が仕入れた在庫に対する未払い金を指すものであり、買掛金の一部とされています。
買掛金が重要な理由
一般的に、買掛金は企業の負債の大部分を占めるため、適切な買掛金管理が重要です。買掛金管理に不備があると、大きなコストが発生する可能性があります。たとえば、仕入先契約には、請求書の支払いが遅延するほど延滞手数料が加算される仕組みになっているものがあります。また、支払いの遅延によって、仕入先からの商品やサービスの提供に遅れが生じる場合もあります。さらに、請求書の支払い遅延が常態化している場合は、キャッシュ・フローに問題が生じている可能性もあります。
買掛金ワークフロー
企業が請求書やその関係書類を受領してから承認・支払いに至るまでの一連のプロセスは、「買掛金ワークフロー」と呼ばれています。従来、このプロセスは手作業で行われることが一般的で、現在でも多くの中小企業や個人事業主は請求書を手作業で処理しています。一方、請求書の処理件数が多い企業では、買掛金自動化システムを導入し、買掛金ワークフローの効率化、ポリシー遵守の徹底、監査対応の簡素化を実現しています。
買掛金を記録する方法
会計部門は、従業員の経費精算書や商品・サービスに関する請求書および発注書を受領すると、それらを経費として総勘定元帳に計上します。権限を持つ担当者が経費を承認した後、契約上の支払い条件(30日以内や60日以内など)に従って支払いが行われ、その支払いは会計記録に反映されます。
買掛金の例
すべての企業では、何らかの経費が発生します。たとえばレストランでは、複数の仕入先から食材を仕入れる必要があります。一般的な運用コストには、賃料、水道光熱費、保険料などがあります。また、医療機関では、清掃会社への委託費用に加え、リース料や弁護士費用などが発生する場合があります。給与を除き、企業が受領した請求書の多くは、買掛金として処理されます。
買掛金部門の役割
買掛金管理を担当する部門では、契約条件に従って適切なタイミングで経費精算書や請求書を記録し、発注書を処理します。また、経費精算書や発注書などの関連書類がそろっていることや、それらが組織のポリシーや地域・業界・国の規制に準拠していることを確認する責任も担います。その後、支払いが実行されると、その内容を記録します。買掛金部門は、企業の負債に関する報告やキャッシュ・フローの管理において重要な役割を果たします。
買掛金プロセスとは
請求書や発注書の原本を受領後、買掛金部門は記載内容が正確で、社内ポリシーに準拠していることを確認します。さらに、内容の誤りや不正の兆候、請求書の重複がないか、仕入先との契約条件に従って請求書が予定どおりに処理されているかも確認します。
買掛金は経費か
買掛金として処理される経費には、賃料、広告費、消耗品費、水道光熱費、従業員の出張費の精算などが挙げられます。
買掛金回転率とは
買掛金回転率は、企業が請求に対してどれだけ迅速に支払いを行っているかを示す、会計上の流動性指標です。買掛金回転率が高い場合、企業が請求書や経費精算書に対して迅速に支払いを行っていることを示します。一方、買掛金回転率が低い場合は、支払いに時間を要していることを意味します。
買掛金管理
企業の規模によって、買掛金業務を1人で担当する場合もあれば、複数人のチームで対応する場合もあります。チームで対応する場合は、通常、マネージャーが業務全体を管理します。
日本企業では経理部がこの業務を担当することが一般的です。
買掛金チームに求められるスキル: 買掛金担当者には、高い業務管理能力、分析力、コミュニケーション能力が求められます。また、細部にまで気を配ることができ、買掛金業務の自動化ソフトウェアなどのITツールを使いこなせることも重要なスキルです。
買掛金ソフトウェアおよびベンダーの選定
買掛金自動化システムの選定は、企業にとって重要な戦略的意思決定の一つであるため、買掛金部門の担当者をはじめ、CFOを含むすべての関係者がその選定・評価に参画することが重要です。検討する際は、買掛金自動化ソフトウェアが社内システムだけでなく、業界やサプライチェーンで利用されているシステムとも、データをスムーズに処理・連携できるかを確認する必要があります。また、CFOは、買掛金自動化ソリューションがERPシステムと円滑に統合できるかも評価します。買掛金自動化ソリューションのプロバイダーがERPベンダーと提携していること、またはERPとの互換性や期待するレベルの自動化を実現できることについて、認証または検証を受けていることが理想的です。
買掛金に関するよくある質問
買掛金とは何ですか?
買掛金とは、仕入先や債権者に対して企業が支払う義務を負う短期負債のことです。請求書や経費精算書など、まだ支払いが完了していない金額を指し、貸借対照表の負債の部に主要な勘定科目として計上されます。
買掛金と売掛金の違いは何ですか?
買掛金は企業が仕入先に支払う義務のある金額であるのに対し、売掛金は顧客やパートナーなど債務者から将来受け取る予定の資金です。両者は会計上、逆の役割を果たします。
買掛金と仕入債務は同じですか?
同じ意味で使われることもありますが、厳密には異なります。仕入債務は、事業に提供された在庫に対する未払い額を指すもので、買掛金の中の一部(サブセット)と位置づけられます。
買掛金回転率とは何ですか?
買掛金回転率は、企業が請求書に対してどれだけ迅速に支払いを行っているかを示す流動性の指標です。回転率が高いほど支払いが早く、低いほど支払いが遅いことを意味します。
買掛金と経費にはどのような関係がありますか?
買掛金は貸借対照表上の負債です。企業が商品やサービスなどを購入し、代金を後日支払う場合、その取引に関連する費用等とあわせて買掛金が計上されます。