顧客との関係はビジネスの世界においては中核であるため、顧客関係管理プロセスをしっかり整備することは基本的に必要なことです。会社が成長し、すべての顧客名と購入商品やサービス、またそれらが顧客の成功にどう貢献したかといった詳細を適切に把握することが難しくなった時がCRM導入検討の時期です。

幸いなことに、企業が何百何千の顧客を扱うまでに成長してもこのような「パーソナルタッチ」を維持できるテクノロジーが存在します。

ビデオ: CRMとは?(英語)

CRMとは?

CRM(顧客関係管理)技術は、どの従業員が顧客とやり取りしているかに関係なく、会社が顧客との相互関係から最大価値を得るための支援をします。CRMシステムは、顧客に関する情報を取得し、その情報を共有プラットフォームに共有します。このプラットフォームは、営業、マーケティングおよびカスタマー・サービスの各部門がビジネスをより効率的に運営するためのサポートをします。担当者が言いたくない「お客様の顧客番号、前回のご注文、昨日のお問合せ内容を繰り返してください。」というセリフを回避できるよう支援します。

CRMシステムは、顧客の詳細(請求、注文、サポート履歴など)を収集し、営業の生産性を追跡し、顧客が放置されないようにするためにすべての「接触」を記録します。自動化、データ分析、レポート作成および傾向把握機能により、会社は、サポートのニーズを含めて顧客情報を詳細に把握することができます。

CRMシステムは、これから成長を目指す小規模会社から、大規模なグローバル企業まで幅広く採用されています。実際、GrandView Research社の見積りによると、従業員が10名以上の会社の91%がなんらかのCRMを整備し、40億ドル以上の業績を上げています。顧客関係を緊密に管理していない会社は不利な状況に追い込まれています。

CRMとERPの比較

CRMとERPのどちらが必要かを考えることは、マーケティングと財務のどちらが必要かを考えることに似ています。CRMシステムは、営業、マーケティングおよびカスタマー・サービス業務の向上を支援します。ERP (エンタープライズ・リソース・プランニング)は、その他の不可欠な業務機能(財務、サプライ・チェーン、在庫など)の向上を支援するのに使用するCRMを補完するものです。CRMは顧客に重点を置き、満足度や売り上げを向上させます。一方、ERPプラットフォームは社内業務に重点を置き、効率性を高めて業績の最高水準を達成させます。

多くのERPシステムにはCRMのモジュールや機能が含まれます。また一方、独立運用可能なCRMシステムもあります。会社はどちらかを導入することもできますが、両方を導入する場合は、共通データベースを使用して2つのシステムを統合する必要があります。CRMとERPを組み合せると、たとえば、業務部門はどの顧客が現地訪問を要求しているかを事前確認でき、一方、財務は保留中の取引を調べ、顧客と営業のやりとりや履歴データに基づいて発注にどれだけ近づいているかを確認できます。

CRMの歴史

CRM以前は、会社は最前線の社員を使って調査を実施して、顧客の行動やニーズを把握した後に文書化していました。その情報の保管はスプレッドシートやテキストファイルを使っていました。その後、データを分析および収集する統計方法が標準になってくると、デジタルの名刺管理フォルダや初期の連絡先管理サービスが手動プロセスに取ってかわりました。

1990年代になると、最初のCRMシステムが発売されました。ほどなく、ERP業界の経営者はCRMモジュールを自社の製品に追加し、サービスを完成させ拡大させました。

CRMはオンプレミス・ソフトウェアとして始まりましたが、今日の製品の大半はクラウドベースのアプリケーションです。オンプレミスからクラウドへの移行は、より充実した機能群、ユーザーの自由度の向上、そして低価格化を実現しています。会社は、大規模な資本支出を行うのではなく、定額ベースで支払うことができます。

今日のCRMシステムは、スタンドアロン・ソフトウェアとして、または優れたERPプラットフォームとともに購入されています。両方とも、他のビジネス・インテリジェンス・システムと統合されます。そして今日CRMを導入検討している企業には、より深くより広い統合、モバイル・アプリケーション、ソーシャル・メディアの視聴、機械学習、チャットボット、業界固有の機能といったトレンドも手の届くものになっています。

CRMのコンポーネント

CRMシステムの主要コンポーネントには、セールス・フォース・オートメーション(SFA)、レポートと分析、予測、見積りと注文管理、カスタマー・サービスとサポート、マーケティング・オートメーション(MA)、eコマース、顧客履歴追跡、パートナー関係管理、およびモバイル・アクセスが含まれます。

CRMのコンポーネントは、リアルタイムの顧客関連データを収集し、それを容易にアクセス可能なデータベースに編成して、部門全体の従業員と洞察を共有することにより、自社の営業、マーケティングおよびカスタマー・サービス部門をサポートします。

CRMシステムのタイプ

CRMシステムは、大まかに、業務用CRM、分析用CRMおよび共同用CRMの3つのカテゴリに分かれます。

業務用CRMは、営業、マーケティングおよびサービス・プロセスを自動化して、業務レベルで効率性を高めることに重点を置いています。業務用CRMには、購買サイクルの様々なステージにいる顧客向けに、連絡先管理、販売収入見込の追跡、マーケティング・オートメーションなどの機能が含まれています。

分析用CRMでは、データ分析を利用して顧客の行動のパターンを識別します。分析用CRMは、データ・マイニングを使用して、マーケティング・キャンペーンの調整、顧客の人物像の確立、営業支援と予測の向上、およびカスタマー・サービスの相互関係の強化を行います。

コラボレーション用CRMでは、利害関係者向けに、すべての顧客情報を取得し、それを共有データベースに編成します。コラボレーション用CRMは、顧客に対応するロール(営業、サポート、マーケティング、カスタマー・サービスなど)に、すべての顧客との接点の記録へのアクセス権を付与します。これは、新しい販売資料の通知、顧客ニーズの分析、およびマーケティング目標の開発に役立ちます。

CRMシステムのタイプ間で重なる部分もありますが、それぞれ若干異なる機能を提供します。

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CRMシステムで実現できること

現代のCRMは何百もの機能を備えています。しかし、基本レベルでは、CRMシステムは標準化されたいくつかのコンポーネントにより構成されており、営業、マーケティング、カスタマー・サポート、eコマースおよびパートナーとのやり取りを統合および自動化します。

すべてのCRMシステムは、顧客に関する情報が含まれる共有データベースを備えています。従業員はこの情報を使用して、各顧客の現在のステータスをレビューし、重要な詳細情報(連絡担当者、収益、既存の契約、売約書、その他の関連文書など)を確認します。

CRMシステムは、売上見込の全体ビューを提供します。これにより、チームは実践可能なステップを踏むことができ、データ分析、レポートおよび予測からの推奨ポイントを入手できます。また、CRMシステムは、営業データ、カスタマー・サービス活動および顧客行動に関する主要指標を識別して追跡するのに役立ちます。

CRMの機能

CRMシステムは、顧客に関連するすべてのデータ(連絡先情報、販売履歴、サービス履歴など)を収集して一元化します。このデータを照合および分析した後、CRMシステムは、顧客に関する洞察を提供し、重要なビジネス・プロセスを自動化して、よりよい顧客関係を確立します。CRMシステムは、会社のニーズにあわせて調整されたデータベースを介して、重要な情報を利害関係者と共有します。

CRMソフトウェアは、様々なプロセスおよび機能(連絡先管理、リード・スコアリング、セールス・プロセス・オートメーション、マーケティング・オートメーション、データ・マイニング、販売予測、分析、関係管理など)に依存して、これらのタスクを実現します。

CRMのメリット

CRMシステムを採用すると、次のような魅力的なメリットが得られます。

  • すべての顧客データが一元管理されたストレージ: CRMシステムを使用すると、関係者は顧客に関するリアルタイム・データに迅速にアクセスでき、毎日のやりとりが通知され、重要な営業プロセスやマーケティング・プロセスが向上します。
  • 営業、マーケティングおよびカスタマー・サービス・プロセスの自動化: CRMは、請求やリード管理などの営業タスクを自動化し、自動化された電子メール・キャンペーンや顧客のカテゴリ分けを通してマーケティングを強化します。さらに、顧客とのすべての接点を追跡し、解決策を提案して、カスタマー・サービス部門をサポートします。
  • 顧客洞察、トレンド把握および予測の向上: 幅広い接点から得られるデータの分析により、顧客行動やパターンの把握の向上、営業パターンの詳細な理解、およびカスタマー・サービス改善の余地に関する洞察が提供されます。
  • 収益性の向上: CRMシステムは、顧客に対するサービス向上、より効率的かつ効果的な営業支援の開発、およびマーケティング・キャンペーンの改善に必要な情報をチームに提供するため、より高いレベルの収益性が実現します。
  • 拡張性: CRMシステムは、会社の成長にあわせて拡張できるため、増え続ける顧客を管理できます。これは、長期的な成功に不可欠です。

ビジネスでのCRMの使用方法

CRMシステムは、企業全体(営業、マーケティング、カスタマー・サービスを含む)で使用され、販売サイクル全体の効率性、顧客満足度および収益性を向上させます。個々の部門におけるCRMの使用方法には違いがありますが、コンポーネントを使用して、エンドツーエンドのよりよい顧客体験を提供します。

営業部門はCRMシステムを使用して、連絡先や商談の管理と保存、優先順位の決定、管理用レポートの開発、およびデータを利用した顧客ニーズの把握を行います。

マーケティング部門はCRMを使用して、パーソナライズされた顧客体験の確立、ターゲットの異なる電子メール・リストへの顧客のセグメント化、バイヤー・グループの要求を満たす特化型広告の作成、およびバイヤーのフォーカス対象を伝える情報の収集を行います。

カスタマー・サービス部門はCRMシステムを使用して、寄せられる顧客のクレーム追跡、および顧客ステータスや、様々なグループ間で浮かび上がる共通問題、解決策およびパターンに関するデータの共有を行います。

CRMの課題

適切な計画、目標設定および適切な実装チームの配備によって、ほとんどのCRMの課題は回避することが可能です。それでも、CRMの導入時に遭遇する可能性がある共通の問題を理解しておくことが重要です。

  • コスト: フル機能のCRMシステムは、通常、月額定額料金で提供されます。CRMの実装、統合、サポートおよび継続的なメンテナンスの追加料金も適用されます。
  • 実装および導入のスケジュール: 新しいCRMシステムを実装し、社内スタッフが新しい技術の使用に慣れるまでには時間がかかります。
  • 適切な設定: CRMシステムは最初から効率的に設定する必要があります。したがって、顧客のニーズを満たすために開発され、社内の主要システムと統合でき、ビジネス目標を考慮して設計されたモジュールおよび機能を選択してください。そうでない場合、よい結果を出すことは困難な場合があります。
  • 社内の抵抗: 経営側や従業員からの抵抗を受けても驚かないでください(特にシステムを切り替え時)。全員が変更する理由を理解するようにし、各部門から同意を得て、適切な研修を提供してください。

CRMの例

CRMシステムは、あらゆる業種の会社で、よりよい顧客関係を確立し、効率的に規模を拡張するのを支援できます。次の例は、CRMが組織の目標達成を支援する強力な技術であることを示しています。

  • Alton Lane: オーダーメード・スーツ・デザイナのAlton Laneは、顧客に合わせた対応と優れたカスタマー・サービスで知られています。オムニチャネル小売業者として、店舗およびオンラインでの経験を、様々な接点を通じて、品質中心であると同時に顧客中心であるという美学に反映する必要があります。CRMの支援によりAlton Laneが提供する顧客体験とは — ニューヨークからダラスに至る数々のショールームでは、従業員たちは、顧客のサイズ、生地の好み、好きなドリンクまでを知っています。そしてオンラインでは、顧客は込み入ったスーツのデザインや製作工程を追跡できます

CRMのユーザー

多くの顧客と大規模な販売収入見込を抱えるB2BおよびB2C企業。

CRMは、顧客データを1箇所に保管し、すべての関係者がそこにアクセスできることを目指している会社に有益です。CRMシステムは幅広い部門(営業、財務、カスタマー・サービス、マーケティング、事業開発、採用など)の役に立ちます。

CRMの選択方法

会社は、目標達成をサポートし、市場に適合し、必要な機能を提供するCRMシステムを選択する必要があります。会社はオンプレミスまたはクラウドベースのCRMを選択できますが、クラウドCRMのコスト削減や使いやすさにより、このモデルが急速に標準になりつつあります。

プラットフォームが提供する機能に基づいてCRMプロバイダを評価してください。そして、堅牢なリード追跡と、営業、マーケティング、eコマース、レポート、ソーシャル・メディアおよびプロジェクト管理の各機能を探してください。

主要なビジネスの優先度と協調し、他のアプリケーション(ERPシステム、会計ソフトウェア、人事プログラムなど)と統合するシステムを見つけることも、重要な考慮事項です。

CRMシステムは、多くの場合、特定の業種または事業規模に合わせて調整されており、意思決定プロセスに役立ちます。導入を決定する前に、リサーチ、及び社内評価を実施して、製品のデモンストレーションをリクエストしてください。

CRMマーケティングとは?

CRMマーケティングは、CRMシステムが提供する技術やツールでマーケティング部門を支援する方法のことです。たとえば、データ分析とトレンド把握に基づいて、よりターゲットを絞った、パーソナライズされたキャンペーンを開発することなどが1つの例です。

CRMマーケティングは、すべての使用可能な情報を分析して、マーケティング担当が顧客のニーズを把握しキャンペーンの業績を評価するために使用するインテリジェンスで繰返し可能なシステム作成を支援します。CRMマーケティングの強みは、顧客体験をよりパーソナライズすることや、今後の行動を予測する力にあります。

小規模な会社はCRMを使用するべきか?

CRMは規模の小さい会社にとっても強力なツールであり、リードの生成と追跡、データの編成、および販売サイクルの促進を支援します。かつ、顧客の購買トレンドに関するデータ、利益率分析、自動化された電子メール・マーケティング、カスタマー・ロイヤルティ機能および一般的なカスタマー・サポートを介してメリットを得られます。

クラウドベースのCRMシステムは、技術インフラ投資を最小限に抑え、今日の小規模な会社の予算要求を満たします。堅牢なCRMシステムは、拡大を目指す会社にとって、最も重要な要素の1つです。

CRMの利用開始方法

最初に、CRMプラットフォームを選択します。次に、新しいソフトウェアの実装方法を決定します。社内IT部門に頼る場合もありますが、ソフトウェア・ベンダー、サードパーティ・ベンダーまたはコンサルタントに支援を依頼することもできます。

実装時に、既存の顧客データは新しいCRMに転送され、主要な営業およびマーケティング・プロセス(電子メール自動化、顧客セグメント、パイプライン・ステージなど)が統合されます。最後に、自社のスタッフが新しいシステムについて研修を受けます。拡張された営業およびマーケティング・プロセスは、すぐに日常業務の一部になります。

CRMはいつから価値を生み出すか?

正しくシステムが導入された場合、CRMシステムはすぐに価値を生み出します。ただし、社内従業員が研修を受け、組織全体の同意(特に、営業およびマーケティング部門全体)を得ることで、この価値創出プロセスが迅速化されます。

CRMシステムにより、組織は古いプロセスを新しく効率的な戦略に置き換えることを強制されます。会社が新しいシステムを早く受け入れるほど、CRMが提供する豊富な情報や分析による利益を享受できます。

CRMのトレンド

CRMは今後、下記のようなトレンドによって更に進化していきます。

  • 顧客体験が最も重要: 競争が激しい市場で、会社には顧客体験を向上させることが求められます。CRMは、会社が新規顧客を獲得し、既存顧客を維持して、営業、サービスおよびサポート・プロセスが快適で顧客中心の体験になるように支援します。会社は、最先端のCRMシステムを頼りに市場で傑出し、新しいレベルの顧客体験を実現します。
  • 機械学習、そして最終的には人口知能: 機械学習とAIはCRMに統合され続けており、顧客セグメント化、広告およびパーソナライズでチームを支援します。また、機械学習/AIにより、顧客関係の管理、テキストや音声チャットボットによる顧客コミュニケーションの支援、予測分析やデータ・インテリジェンスを使用した予測に対する詳細な洞察の提供の自動化がさらに促進されます。
  • 活発なパーソナライズ: 拡張されたCRM機能により、個人に特化したマーケティング、営業、サポートおよびカスタマー・サービスの相互関係が強化されます。現在のCRMは、幅広いデータ(ソーシャル情報、人口統計、ライフ・イベント、関係、対話スタイルなど)へのアクセスを通して、独自のカスタマー・ジャーニーを描くことができます。
  • カスタマー・ジャーニーでのセルフサービス: 自動化および機械学習/AIにより、顧客はカスタマー・ジャーニーのより多くの要素を自由に移動できます。自己学習が標準となり、エージェントが支援する高額な契約を最小限に抑えることができます。
  • モバイルCRM: オフサイトおよびリモート社員がどこからでも顧客データにアクセスできる自由を求めているため、モバイル・アプリケーションが引き続き人気を集めています。音声対応のモバイル・アプリは、電子メール、顧客ログの更新、競合調査、フォローアップ会議のリマインダの設定などの管理タスクを削減して、営業担当を支援します。
  • 部門全体での顧客統合: 組織全体での顧客データの共有がより重要になっています。これは、顧客が対話での一貫性を要求しているからです。これには、IT部門が情報のサイロ化の解消に取り組む必要があります。目標は、シームレスな顧客体験です。

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