現代のビジネスが競合の一歩先を行くには、業務をより効率的かつ迅速に進めるためのITツールの活用が欠かせません。しかし、多くの中小企業にとって、ITシステムの導入やアップグレードには大きなコストがかかり、導入のハードルは高くなっています。そこで活用したいのが、IT導入補助金です。これは、ITツールやサービス、導入サポートにかかる費用の一部を補助することで、導入に伴う金銭的な負担を軽減するための制度です。
さらに、認定を受けたIT導入支援事業者が導入をサポートしてくれるため、自社の目標に沿った導入が可能となります。2025年度は支援内容がさらに拡充されており、企業のデジタル化を加速させる絶好のチャンスとなっています。
補助金の目的
IT導入補助金は、中小企業や個人事業主を対象に、デジタル技術の導入に伴う費用負担を軽減することで、業務効率や生産性の向上を支援する制度です。
この補助金制度では、申請者が自社の経営課題や目標に合ったITソリューションを導入できるよう、審査を通過した「IT導入支援事業者」が選定され、導入までをサポートします。
IT導入補助金の概要
中小企業や、申請ガイドライン(opens in a new tab)で定められた対象の小規模事業者は、デジタル化の進み具合や業務課題に応じて選べる5つの枠組みから、IT導入補助金に申請することができます。
- 通常枠は、生産性向上を目的としたITツールやサービスの導入を支援する、もっとも基本的な枠組みです。
- インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応したERP、会計ソフト、受発注管理システムなどのITツールの導入を支援する枠組みです。また、パソコンなどのハードウェアも補助対象に含まれますが、認定されたソフトウェアと組み合わせて使用する必要があります。
- インボイス枠(電子取引類型)は、電子帳簿保存法などの法令に準拠した完全電子化された請求・受発注システムの導入を支援する枠組みです。
- セキュリティ対策推進枠は、サイバーセキュリティ対策を強化するためのITツールやサービスの導入を対象とした枠組みです。
- 複数社連携IT導入枠は、複数の中小企業が連携してデジタルイノベーションを推進し、競争力を高める取り組みを支援する枠組みです。
ビジネスにとってのメリット
IT導入補助金を活用することで、国内の中小企業には以下のようなメリットがあります。
- ERPや会計ソフトなどの導入費用の一部が補助されるため、初期コストの負担を軽減できる。
- 業務効率や生産性の向上につながる最新テクノロジーを導入しやすくなる。
- 信頼性の高いITベンダーとの連携により、データセキュリティや法令対応の強化が期待できる。
- デジタル・トランスフォーメーション(DX)を通じて、新たなチャンスが広がる。
2025年度の主な変更点
IT導入補助金は2025年度に大幅な見直しが行われ、業界ニーズの変化を反映した内容となっています。補助金額が拡充されたほか、セキュリティ対策やコンプライアンス関連のITシステムへの支援が強化され、申請手続きもよりスムーズになりました。
新しい補助金額について
2025年6月19日時点での補助金額は以下の通りです。詳しくは、各補助金枠ごとの公式ページをご確認ください。
| 補助金枠 | 補助率 | 補助上限 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 通常枠 |
1/2以内、または 2/3以内 (従業員全員が地域別最低賃金+50円以下で3か月以上雇用されている場合) |
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| インボイス枠(インボイス対応類型) |
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| *パソコン・ハードウェア等の導入*3 | |||||||
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1/2以内 |
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| インボイス枠(電子取引類型) |
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~350万円 | |||||
| セキュリティ対策推進枠 |
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5万円〜150万円 | |||||
| 複数社連携IT導入枠 | 経費区分に応じて補助率・金額が異なります。詳細は「IT導入補助金2025」公式サイト(opens in a new tab)内の「補助率・補助額の区分」ページをご確認ください。 | ||||||
*2 機能要件として、「会計」「注文管理」「決済」のうち2つ以上を含む必要があります。
*3 ハードウェア単体での申請は認められておらず、ソフトウェアの利用を前提とした機器である必要があります。
最新の対象者要件
各補助枠における対象者は以下のとおりです。
| 補助金枠 | 対象者 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
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幅広い業種の中小企業および小規模事業者 | ||||
| 複数社連携IT導入枠 |
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技術分野の重点領域
IT導入補助金は、DXの推進と企業の競争力強化につながるITソリューションに焦点を当てています。補助金プログラムの対象となる承認済みITソリューションは、以下のことに特化しています。
- ERP、会計ソフト、AIなどのITツールを活用し、業務の最適化を図るとともに、データの円滑な共有と意思決定を可能にすること。
- エンドツーエンドの保護やデータコンプライアンス機能を備えたソリューションの導入によって、サイバーセキュリティを強化すること。
- チームのつながりと生産性を維持するためのコラボレーション環境やリモートワークの支援を行うこと。
- 顧客とのエンゲージメントを高め、デジタルプレゼンスを拡大し、新たな顧客層へのアプローチを可能にすること。
申請方法
IT導入補助金の申請は、中小企業や小規模事業者がスムーズに進められるよう、分かりやすい手続きになっています。申請を始める前に、補助対象となる条件や重要なスケジュール、必要書類をしっかりと把握しておくことが大切です。このセクションでは、申請時に確認すべきスケジュールや締切日、申請準備の手順、および提出が必要な書類について詳しく解説します。
申請スケジュールと締切日
2025年度のIT導入補助金の申請受付は、2025年3月31日から開始されています。各申請サイクルごとに、注意すべき4つの主要な日程が設定されており、それぞれの締切を守ることが非常に重要です。これらの期限のいずれかを守れなかった場合、申請が不採択になったり、補助金の交付が確定しない可能性がありますので、必ず確認・遵守するようにしましょう。
- 締切日:補助金申請を提出できる最終日です。すべての必要書類を期限までに確実に提出してください。
- 交付決定日:申請内容が採択されたかどうかの結果が通知される日です。
- 事業実施期間:申請したITツールやサービスの導入を、この期間内に実施する必要があります。
- 事業実績報告期限:導入したITツールが自社の業務に与えた効果について報告する書類を提出する日です。
各種期限を守り、申請スケジュール全体を正しく把握するために、IT導入補助金スケジュールのページ(opens in a new tab)を必ず確認しましょう。このページでは、補助枠ごとのスケジュールや提出に関する重要な日程、スケジュール変更に関する最新情報が掲載されています。
申請手順について
助成金申請の準備に必要な手順は以下の通りです。
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GビズIDの取得
GビズIDは、複数の行政サービスに共通のIDとパスワードでログインできる認証システムです。まだアカウントをお持ちでない場合は、GビズIDの公式サイト(opens in a new tab)から申請してください。
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SECURITY ACTION自己宣言の取得
「SECURITY ACTION」は、中小企業や小規模事業者が情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言する制度です。取得の場合は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の公式サイト(opens in a new tab)より申請できます。
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IT導入支援事業者の選定と申請準備
IT導入補助金に登録された「IT導入支援事業者」の中から、自社の課題や目標、導入スケジュール、期待される効果に合ったパートナーを選びましょう。支援事業者が提供する補助対象のITツールを選定したら、申請に必要な書類を整えていきます(必要書類については次のセクションで詳しく説明します)。
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交付決定
申請した補助金が採択されたかどうかの結果が通知されます。なお、IT導入支援事業者への正式な発注は、交付決定の通知を受けた後でなければ行うことはできませんので、十分ご注意ください。
交付決定を受けた後は、以下のステップに進みます。
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ITツールの発注・契約・支払い
交付決定の通知を受けた後に、ITツールの発注、契約、支払いを開始してください。
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事業実績報告書の提出
ITツールの導入が完了したら、事業実績報告書を作成・提出します。この報告書は、ITツールの発注・契約・支払いが適切に行われたことを証明するものであり、導入が完了した後に提出する必要があります。書類の不備や誤りがあると、補助金が交付されない場合がありますので、十分ご注意ください。
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補助金額の確定
提出された事業実績報告書に基づき、最終的な補助金額が確定され、交付されます。
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事業実施効果報告書の提出
事業実施効果報告書では、導入したITツールの活用状況や効果について報告します。提出時期は、補助事業事務局が定めるスケジュールに従って行い、IT導入支援事業者による確認が必要です。
必要書類一覧
IT導入補助金に申請を希望する中小企業・小規模事業者は、以下の書類を準備する必要があります。
- 法人番号の掲載された事業者情報(国税庁法人番号公表サイトで確認できるもの)
- GビズID Primeアカウント
- SECURITY ACTION自己宣言の証明書
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
交付決定を受けた後は、以下の書類を準備・提出する必要があります。
- 事業実績報告書
- 事業実施効果報告書
なお、提出が必要な書類の詳細については、IT導入支援事業者にご確認ください。
補助金対象のITツール・ソリューション一覧
IT導入補助金では、幅広いITツールやソリューションが補助対象として認定されています。以下はその一例です。
- ERP、会計ソフト、CRM、注文管理システム、インボイス対応システムなど、IT導入補助金制度に登録されたIT導入支援事業者が提供するソフトウェア・ソリューション。
- PC、タブレット、プリンター、POSレジ、券売機など、補助対象のソフトウェアと組み合わせて利用される周辺ハードウェア。
- 通常枠の場合、ソフトウェアは、特定の業種で使われる業務プロセスを最低1つ以上含んでいる必要がります。汎用的なプロセスのみを対象としたソフトウェアや、自動化ツール、分析ツールなど、業種に特化していないものは対象外。
- 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト(opens in a new tab)」に登録されたサイバーセキュリティ関連ツール。
NetSuiteは、IT導入支援事業者としての認定を受けています。
初めてITソリューションを導入する場合でも、既存システムからのアップグレードでも、NetSuiteの認定ソリューション・コンサルタントが、効果的なDX計画の立案から、最適なソリューションの選定、申請手続きのサポートまでを丁寧にご支援します。
NetSuiteのクラウドERPは、財務管理、在庫管理、営業・マーケティング、EC、プロフェッショナル・サービスなど、中小企業の業務全体を1つのプラットフォームで統合的に管理できるシステムです。ビジネス全体をひとつの画面で把握できるため、経営層はリアルタイムのインサイトに基づいて、より的確な意思決定を行い、成長機会を特定し、チームを連携させることが可能になります。
また、NetSuiteはSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)モデルを採用しており、従来のオンプレミス型ERPに必要だった保守作業やアップグレードを不要にします。これにより、お客様は年額のサブスクリプション料金を支払うだけで、サーバーの購入やソフトウェアのインストール、システムのアップデート・パッチ・バージョンアップなどの管理作業から解放されます。
中小企業や小規模事業者は、IT導入補助金の「通常枠」または「インボイス枠(インボイス対応類型)」を通じて、最大80%の補助率と最長2年間のクラウド利用料支援を受けながら、NetSuite SuiteSuccess Starterエディションを導入することが可能です。
- AIを活用した業種別業務アプリケーション・スイートであるNetSuite SuiteSuccessは、中小企業が変化に対応しながら成長できるよう支援します。業界をリードするベストプラクティス、専門知識、KPI、そして柔軟なERP導入手法など、25年以上にわたるノウハウを結集したソリューションです。
よくある質問
IT導入補助金2025では、いくら補助を受けられますか?
IT導入補助金の金額は、導入するツールやサービスの種類、会社の規模や事業形態によって異なります。申請する際は、補助内容の異なる5つの申請枠から、自社に合ったものを選ぶことができます。申請する補助枠によっては、対象経費の最大80%まで補助を受けることが可能です。
IT導入補助金2025でパソコンを購入できますか?
IT導入補助金2025では、ソフトウェア、サービス、コンサルティング費用が補助対象となります。ただし、ハードウェアの購入は、補助対象のソフトウェアと組み合わせて使用する場合に限り、補助の対象となります。特定のハードウェアが補助対象となるかどうかを判断するには、認定されたIT導入支援事業者に相談することが重要です。
誰でもIT導入補助金を受け取ることができますか?
いいえ、この補助金は日本国内で事業を営む中小企業や個人事業主を対象とした制度です。補助金を申請するには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 日本国内で正式に登記され、事業を継続的に営んでいること
- 国税庁の法人番号公表サイトに掲載されている有効な法人番号を有していること
- IT導入補助金の認定を受けたIT導入支援事業者と連携し、DXプロジェクトの計画・実行を行うこと
なぜIT導入補助金が不採択になることがあるのですか?
申請前にすべての要件を確実に満たすためには、認定されたIT導入支援事業者と連携して準備を進めることが重要です。これにより、不採択となるリスクを最小限に抑えることができます。以下は、IT導入補助金の申請が不採択となる主な理由です。
- 申請要件を満たしていない場合
- 書類の不備または誤記がある場合
- 非認定のITベンダーが提供するITソリューションを申請している場合