売上総利益は、総収入とも呼ばれ、企業が収益獲得後に実際に得た収入額を判断するために役立つ損益計算書に記載されます。

売上総利益とは

売上総利益は、企業の業務効率を示す重要な指標です。これは、企業の収益のうち、製品やサービスの生産に使用された割合を示す指標です。通常、製品やサービスの生産に直接関係のない固定費及び直接費は含まれません。

売上総利益の説明

売上総利益は、製品やサービスの製造に関連するコストを差し引いた、企業が得た利益です。売上総利益は他の企業経費を除外しているため、企業の収益性を完全に把握することはできませんが、企業が製品を効率的に製造できるかまたはサービスを提供できるかを評価します。また、価格設定に際して用いられる財務分析にも役立ちます。売上総利益は、総利益や売上利益など、他の名前で呼称されることもあります。

売上総利益の計算方法

売上総利益は、純売上高から売上原価または販売原価を差し引いた金額として計算されます。

純売上収益は、商品および/またはサービスを顧客に販売して生成された金額から、割引、引当金、返品を差し引いた金額として定義されます。

売上原価は、製品の製造に関連するコスト、または再販目的の商品の取得に関連するコストを合計して計算されます。これらのコストは主に変動費であり、商品の販売による収益が認識される前に、製造コストが計上されることが多いため、生産量に応じて増減します。

米国の一般会計原則(GAAP)では、社外への財務報告を目的として売上原価を決定する場合、全部原価計算の使用を要件としていますが、社内報告用途では推奨していません。この方法により、製造施設の運用に関連する間接費など、変動費用と固定費の両方を把握します。全部原価計算法は、計基準で在庫を評価する場合に必要なものです。

小売業者の場合、売上原価を決定するための、GAAP承認済みの方法がいくつかあります。最も一般的な方法には、棚卸資産の評価額在庫価値、仕入運送費、倉庫労務費の3つの要素があります。販売手数料を含む店舗人件費は通常含まれません。クレジットカード決済手数料も標準的な方法には含まれません。

総利益率の計算式

売上総利益 = 純売上高 売上原価

売上総利益と売上総利益率の比較

企業の売上総利益率は、売上総利益を売上高で割ってパーセントで示す値として算出します。売上総利益は、製品の売上から売上原価を差し引いた後にどれだけの資金が残るかを示しますが、売上総利益率は、その製品がもたらす収益性の程度を示す方法です。

しかし、売上総利益率が35%だからといって、売上の35%が利益になるとは限りません。営業費用や営業外費用も差し引く必要があります。これにより、純利益と純利益率が求められます。純利益率35%とは、収益の35%が利益として保持されることを意味します。

たとえば、ある企業の売上高が増加した場合、売上総利益は資金面で増加する可能性があります。しかし、労務費や原材料費が売上高の増加を上回るペースで増加すれば、売上総利益率は低下します。

売上総利益と純利益率の比較

純利益率は、売上総利益や売上総利益率とは異なり、売上原価だけでなく企業のすべての経費を考慮に入れるため、企業の全体的な収益性をより完全に測定することができます。このため、純利益率は収益性の指標として広く使用されています。

企業の純利益(当期純利益)は、売上総利益から営業費用と営業外費用を差し引いた金額です。純利益率は、純利益を売上高で割って計算します。

純利益率は、売上総利益や売上総利益率が増加していても、低下することがあります。たとえば、企業の営業費用が売上高を上回るペースで増加している場合などです。

売上総利益が損益計算書で記載される箇所

売上総利益は、純収益から売上原価を差し引いたものであるため、企業の損益計算書の一番上、収益と売上原価の項目のすぐ後に記載されます。

売上総利益の重要性

企業は、個々の事業分野や製品の収益性を評価するための指標として売上総利益を使用できますが、売上総利益は、ビジネス全体の収益性を示すものではありません。企業は、売上総利益率が高い状況下でも、損失を出している場合もあります。売上総利益および売上総利益率は、企業が資産をどれだけ効率的に活用して収益を上げているかを示します。

たとえば、メーカーは、製品の収益を製品に関連するコストで割って、個々の製品の売上総利益を測定することができます。企業の売上総利益の年間または四半期ごとの変動は、その企業の営業生産性の変化を示すことがあります。また、売上総利益率は、企業が製品から収益と利益をどれだけ効率的に生み出しているかを表す指標であるため、経営の成果を評価する指標としても使用できます。

売上総利益の例

あるメーカーの純売上高が128,000 ドル、売上原価が77,000ドルの場合、その売上総利益は51,000ドル(128,000ドルから77,000ドルを差し引いた額)となります。売上総利益率は40%です(売上総利益51,000ドルを純売上高128,000ドルで割ったもの)。

2019年9月28日に終了した会計年度を対象としたAppleのフォーム10-Kから引用した以下の例で、Appleは、2,600億ドル強の収益を報告しています。Appleは、収益を「純売上高」とし、売上総利益(ドル:Gross profit)を「売上総利益」と表記しています。

売上原価約1,620億ドルを差し引くと、売上総利益は約984億ドルとなります。2019年のAppleの売上総利益率を計算するには、この数字を収益(純売上高)で割ると、売上総利益率は37.8%となります。

Appleの製品とサービスの売上総利益率は、それぞれ個別に計算することができます。同社製品の売上総利益率は32.2%(製品売上高から製品原価を差し引いた額、製品売上高で割ったもの)です。サービスの純利益率は63.7%です(サービス売上高からサービス費用を差し引いたものを、サービス売上高で割ったもの)。

Apple Inc. (百万単位)
純売上高:  
製品 213,883ドル
サービス 46,291ドル
純売上高合計 260,174ドル
   
売上原価:  
製品 144,996ドル
サービス 16,786ドル
総売上原価 161,782ドル
売上総利益 98,393ドル

中小企業や新興企業も、同じ業界の上場企業の財務諸表との比較により、売上総利益および売上総利益率を比較財務指標として活用できます。

売上総利益の分析は、企業が財務目標を達成するために製品やサービスの価格を設定または調整するうえでも役立てることができます。また、製品の製造および販売に関連するコストを把握することは、原材料や人件費の変動に備えた計画を立てる上でも役立ちます。

NetSuite独自のソリューションは、財務、業務、コマースを統合するスイート製品でビジネスの成長を加速させます。

利点を確認する(opens in new tab)