シリコン・バレー(新しいタブで開きます)でよく知られた言説にこのようなものがあります。開業に必要な費用を突き詰めれば、プログラム開発の部門とゲーム用ノートPC、クラウドの技術基盤、先進的なビジネス支援施設の作業スペース、そして飲み放題のエナジードリンクがあれば十分で、全部TechCrunch Disrupt(新しいタブで開きます)の賞金で賄えばよい。

現実には、もう少し費用はかかります。

経済が好調だった時代には、スタートアップ企業の多くが、収益を上げる計画がまったくなくても、華々しく会社を立ち上げるために十分な資金をベンチャー・キャピタルから調達できました。しかし、そのような時代は終わりました。収益性は新たな指標です。ビジネス・スクールを卒業した誰もが知っているとおり、単位利益を高めるには、開業時からコストに上限を設けることが大切です。

スタートアップ企業にとって、支出に制限を設けず、事業を黒字に保つために売上に頼るというのは、リスクの高い戦略です。会社の設立、サービス、在庫、給与、機器、マーケティング、ソフトウェア、法務のコストや、顧問を雇うかどうかまで、すべての支出を細かく調べる必要があります。そして、支出に優先順位を付け、文書に記録し、継続的に評価します。

中小企業・スタートアップの開業費には何があるか

新しい会社の多くは、自分たちの大きなアイデアに浮かれて、支出を管理するために必要な(新しいタブで開きます)慎重な計画と綿密な会計管理をおろそかにしがちです。そして、顧客が押し寄せて事業が何とか続くだろうと妄想します。中小企業の生存統計によれば(新しいタブで開きます)、その一部は悲惨な結果を迎えます。

事業の種類に応じて開業費は異なりますが、ほとんどの会社で必要となるものとして、機器と用品、コミュニケーションと共同作業のためのテクノロジ(新しいタブで開きます)、登録と許可、弁護士などの専門サービス、経理担当者や会計士の報酬、広告とマーケティング、顧客にリーチするためのWebサイトがあります。

要点のまとめ

  • 1回限りのコストと継続的なコストの両方を見積り、売上のみに頼ることなく、ある程度の期間、会社を維持するのに十分な資本があることを確認します。
  • 様々なドキュメントが必要になります。融資を受けるには、主な仕入先および取引先との契約書のコピー、収支計画書などが必要です。そのため、記録を取ることが重要です。
  • 典型的なスタートアップの開業費には、調査費、免許取得費用、給与、保険および賃貸料があります。

中小企業・スタートアップの開業費の詳細

開業費とは、新たにビジネスを立ち上げるために必要な費用です。弁護士として開業したり不動産を販売するための免許を取得するなど、特定の業界や業種で事業を行う資格を得るためのコストには、控除対象ではないものがあります。ただし一定の金額までは控除されることがあります。それを超えた場合は、そのコストを償却する必要があります。

対象:

  • 資本資産獲得のために発生した、法的なコスト、仲介、会計処理、評価などのコスト
  • 顧客調査などの市場調査費用
  • 物理的な店舗の場所を選択する際の立地選定コスト
  • 法人設立および合資会社登録費用
  • 教育を受ける従業員および講師の給与と賃金

対象外:

  • 不動産などの控除可能な利子および税金
  • 合資会社を設立する場合は、仲介、登録および法的な手数料、印刷費用などの関連コスト
  • 会社を立ち上げた後で発生したすべてのコスト。立ち上げ後は、開業費から中小企業向け控除に切り替える必要があります

会社によって費用の種類が異なります。たとえば、専門サービス企業にはオフィスが必要で、eコマース店には倉庫スペースが必要です。

ただし、ほとんどの業種に共通する費用の種類がいくつかあります。知っておく必要があるのは、監督官庁がコストを資本費用、つまり資産(新しいタブで開きます)とみなすかどうかです。これは、機械、オフィスの家具や社用車など、貸借対照表に記載され、一定の期間を経て減価償却されるものです。

通常、購入資産は償却または減価償却され、その費用が複数年に分割されるため、事業税を減らすには、分類が重要です。

また、会社の開業日を決定することも重要です。そこから開業費を控除できる期間が決定されます。ほとんどの場合、会社の開業日から1年前までが対象となります。

開業費を計算する理由

開業費を計算することで、会社を設立し、資金を供給するためのコストを把握できます。家具など、1回限りの費用にはいくら必要でしょうか。ここから、事業を始めるために必要な資金額がわかります。

給与や売上原価(COG)(新しいタブで開きます)など、継続的に発生する費用を把握すると、キャッシュ・フローのニーズを分析(新しいタブで開きます)できます。そこから、少なくとも収支が合うために必要な事業の売上額がわかります。また、開業直後や少なくとも初期段階を通り越すまでは事業の売上に大きく依存しなくて済むように、十分な資金、たとえば6か月分の継続的費用を支払うのに十分な資金を確保することが容易になります。

ビジネス・プランにおける開業費の見積の重要性

ベンチャー・キャピタルが経済紙の見出しを独占していても、そこから資金を調達した会社はごく少数です。2019年に、ベンチャー・キャピタル業界は1,360億ドルを投資しましたが、資金調達を受けた米国内の企業はわずか11,000社です。多くの企業は、クレジット・カード、融資および信用供与を利用して開業費を調達します。

どの方法を選ぶとしても、外部からの資金調達を目指す(新しいタブで開きます)前に、必要な大体の金額を把握する必要があります。ほとんどの融資で必要となる書類には、主な仕入先およびクライアントとの契約書のコピーや、実現方法についての説明を伴う1年間の詳細な収支計画書があります。

資金調達の概要

ベンチャーキャピタル エンジェルズ クラウドファンディング アクセラレータ インキュベータ
サポートレベル
必要資本 20-25% 25-45% エクイティクラウドファンディングを除き、ありません 7-10% いいえ
資本組入額 中 - 高 通常低い 通常なし
返済は必要ですか? いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ
助成金 ピッチ・コンペティション ビジネスローン 友人・家族 ブートストラップ
サポートレベル
必要資本 いいえ 変動する いいえ 変動する いいえ
資本組入額 通常低い 当選者のみ 変動する いいえ
返済は必要ですか? いいえ いいえ はい はい いいえ

中小企業・スタートアップの開業に共通する10の費用

以下のリストは1回限りの開業費と継続的な開業費に分けられていますが、一部は重複しています。重要なのは、徹底的かつ正直に費用を見積ることです。

1回限りの費用

  1. 調査費用: ビジネス・プランでは新規事業の概要と展望を示します。このとき、事業を長く継続できるように、費用と様々な戦略を考えることになります。これには、自社の業界、ターゲットの市場および自社に最適な税制の綿密な調査が含まれます。市場調査会社を雇う場合は、その費用をビジネス・プランに含める必要があります。

  2. 借入コストおよび資金調達: 資金調達は資本(株式の発行など)または負債(債権など)の形で行われます。ほとんどの中小企業オーナーは、銀行または政府系金融機関などから資金を借り入れます。金融機関によっては、申請料や組成手数料などの初期費用を支払う必要があります。もちろん、元金と利息の支払として継続的なコストも発生します。

  3. 免許および許可の費用: 業種によっては、営業免許または許可を取得するための承認と検査を受ける必要があります。業界特有の許可の中には、取得コストが高いものがあります。国や地域の指針によっては、定款も考慮する必要があります。

  4. 機器と用品: すべての会社は、なんらかの種類の機器と用品を必要とします。このコストは、購入するかリースするかに応じて、1回限りになるか継続的なものになります。

継続的費用

  1. マーケティング: 広告およびプロモーションは初期段階にのみ行われるものではありません。継続的なコストに組み入れるマーケティング計画を考案し、実施する必要があります。また、PR戦略をおろそかにしないことで、ブランドの可視性を高め、一般消費者からの信頼を築くことができます。

  2. 給与と福利厚生: 人事のコスト(新しいタブで開きます)には、賃金、給与、コミッション、ボーナス、従業員の福利厚生が含まれます。公平な報酬を計画することで、離職率を低減し、組織に人材を呼び込むことができます。従業員を雇用していない場合、このコストには受託業者も含まれます。

  3. 保険: 事業保険では労災や短期休業も補償できます。この分野の専門家は、保険に過度に支出しないよう忠告しています(新しいタブで開きます)。また、顧客および自分の個人資産を事業関連の法的責任から守るための保険も検討してください。保険は年次または月次のコストにすることができます。

  4. 水道光熱費: 水道、電気、インターネットおよび電話料金は、実店舗を構える会社で一般的なコストです。これらは自宅事務所の場合にも適用できますが、水道光熱費全額を控除できるわけではありません。

  5. テクノロジ: テクノロジ費用には、Webサイト、情報システムおよび会計および給与用ソフトウェアなどのビジネス・ソフトウェアのコストが含まれます。中小企業のオーナーの中には、これらの機能をマネージドITサービス・プロバイダ(新しいタブで開きます)バーチャルCFOまたは外部の会計士(新しいタブで開きます)に外注して、給与および福利厚生の費用を節約する人もいます。また、Software as a Service (SaaS)を購入(新しいタブで開きます)する人もいます。

  6. 在庫: 小売業、飲食業および製造業などの事業では、開業するために初期在庫を購入(新しいタブで開きます)し、運営継続のための予算を割り当てる必要があります。運営するために十分で、かつ余剰や廃棄が発生しない在庫を確保できるよう、慎重に計算する必要があります。適切な在庫管理(新しいタブで開きます)の重要性を強調しすぎるということはありません。

開業費の計算方法

中小企業で開業費を計算すると、投資家の興味を引き、いつ収益が出始めるかを推測するために役立ちます。最初に行う基本手順を次に示します。

  1. 必要な費用のリストを作成する。これには、1回限りのコストと継続的なコストが含まれます。
  2. 見積費用を調べる。リストの各項目について、実際にかかるコストをできる限り正確に見積ります。調査の一環として、品質を犠牲にすることなく費用を最小化できるように複数のベンダーを比較検討します。事業内容によっては、機器のリース、賃貸料、オフィス用品および受託業者の費用などもこの調査に含まれます。
  3. 費用の合計額を求める。1回限りの費用を合計します。次に、1か月分の継続的費用を求めて数か月分乗算し、初期開業費の合計額を計算します。この"数か月"とは何か月でしょうか。これは、現実的にいつ収益が出始める(新しいタブで開きます)か、あるいは追加の資金調達が必要になると考えられるかによって異なります。
  4. 余裕資金を用意する。始めから正確に売上を予測することは難しいため、6から12か月分の余裕資金を確保することで事業を継続しやすくします。
  5. 最終金額を計算する。余裕資金の額を初期費用の見積に加算すると、最終的な金額になります。

無料の開業費計算ワークシート

無料のワークシートをダウンロード(新しいタブで開きます)して、開業費を計算できます。

経費管理ソフトウェアを使用した開業費の追跡

経費管理ソフトウェア(新しいタブで開きます)を利用すれば、中小企業の開業費の計算がより合理的になります。またソフトウェアでは経費報告プロセスが自動化され、いくらが払戻可能な運営費用の支払に充当されたかをすぐに確認できます。

また、部内で共同作業をしている場合は、リアルタイムで同期される唯一のデータ・ソースが得られるため、共同作業が容易になります。税金の申告や監査のための費用の記録も容易になります。

中小企業・スタートアップの開業費に関するよくある質問

開業費の例には何がありますか?

開業費の例には、許可、保険、オフィス用品、給与、マーケティング費用、調査費用および水道光熱費などがあります。

中小企業の平均的な開業費はいくらですか?

会社や業界によって必要なものが異なるため、コストはオフィスや倉庫のスペース、物理的在庫、登録証が必要かどうかなどの要因によって異なります。それが、正式に開業する前に発生する費用、現金以外の資産、初期段階での運用損失に備えた余裕資金などのコストの見積が重要である理由です。