利益管理

利益管理


企業の決算において、もっとも重要なことは利益を出す(いわゆる黒字にする)ことです。従って、財務担当者は、当期(半期、または通期)の期初に計画した利益が、決算時において達成できそうかどうかが常に把握できていなければなりません。これを実現するための利益計画及び達成見通しのモニタリングが利益管理と呼ばれる業務になります。クラウドERPを選択する際には、この利益管理を実現する機能を確認する必要があります。

利益管理とは

企業の決算において、最大のチェックポイントは売上と利益です。しかし、売上と利益は、単純に比例しているわけではありません。増収減益や減収増益といった決算結果が存在するのは、そのためです。

売上と利益が単純に比例しない原因は、費用の性質にあります。費用は、その性質に応じて、売上に比例して増減する費用(変動費)と、売上に関係なく発生する一定額の費用(固定費)に大別されます。仮に売上が0とすると、利益は固定費分の損失(赤字)になります。つまり、固定費を上回る利益をあげられるだけの売上を達成してはじめて、売上に比例した利益(黒字)が生み出されることになります。

このような売上、固定費、変動費の3つの関係から利益を計画するための方法が損益分岐点(CVP)分析です。利益管理業務は、期初に損益分岐点分析から利益の目標を決める利益計画と、その目標と実績を比較し、見通しを立てる利益統制の2つの業務があります。

利益計画

利益計画では、損益分岐点分析により利益の目標を決めます。損益分岐点分析では、まず費用を固定費と変動費に分類する必要があります。固定費とは、売上高に連動せず、一定額発生する費用をいいます。固定費の例としては、給与、広告宣伝費、地代家賃、接待交際費などがあります。変動費とは、売上高に比例して発生する費用をいいます。変動費の例として、商品仕入高、原材料費、外注加工費などがあります。

これらの分類は、必ずしも損益計算書上での売上原価と販売管理費の区分と同一とは限りません。例えば、売上原価のうちの(正社員)人件費は、売上が減少したからといって、それに比例して減るわけではありませんので、固定費に分類されます。従って、クラウドERPでは、通常のPL勘定科目とは別に、費用を固定費と変動費で分類し、集計する機能が必要です。

売上高、固定費、変動費の関係は、次のような図であらわされます。

クラウドERP

この図において、売上高線と総費用線が交わる時点の売上が、利益がゼロとなる売上高であり、それが損益分岐点売上となります。これ以上売り上げれば利益となり、これ以下の売上だと損失になるということです。

また、売上から変動費を差し引いた値を「限界利益」と呼び、売上の傾きと変動費の傾き(変動費率)の差、いいかえると、売上が1単位増えた時に増える利益の割合を限界利益率と呼びます。

これらの値の関係は以下のような式であらわされます。

クラウドERP

費用構造が大きく変わらないということを前提に、利益ゼロとなる売上が損益分岐点分析によってわかれば、あといくら(何%)売上が下がると(上がると)赤字(黒字)になるといった見通しが立つことになります。損益分岐点売上と現状の売上の距離を測る指標としては、損益分岐点比率があります。

クラウドERP

利益計画とは、達成可能な範囲内の売上高、固定費、変動費率(または限界利益率)などの目標値の中から、さまざまな値の組み合わせを使って損益分岐点分析を行うことを意味します。従って、クラウドERPには、損益分析点分析を使った利益シミュレーションを実行する機能が必要です。

利益統制

利益計画の結果は、以下のような形式でまとめることができます。

クラウドERP

この例の場合、損益分岐点比率が約93%ですから、売上高が計画より7%減少しても、ぎりぎり黒字を確保できる計画になっています。しかし、実際には、変動費率や固定費が計画どおりにいくとは限りませんので、売上高以外の項目も同時にモニタリングする必要があります。

利益統制では、利益計画で設定された目標と実績を比較し、利益目標が達成できるかどうかの見通しを立てます。利益統制には、変動損益計算書が用いられます。変動損益計算書の基本的な形式は、利益計画をまとめた結果の図の左側の表と同じですが、利益統制の場合は、表の列として計画値、実績値、達成率(実績値÷計画値)の3つの列を表示します。

クラウドERP

この例では、売上高は計画以上の実績をあげていますが、変動費率が計画より高くなっているために、限界利益は計画値と同等になっています。さらに、固定費が計画値を上回っているために、営業利益としては、損失(赤字)を計上するという見通しが出ています。

このような見通しが出てしまった場合には、変動費率を押し上げている原因の追究と、固定費の抑制施策の実施を、緊急に行う必要があります。

クラウドERPでは、計画データと実績データの双方を可能な限りリアルタイムで集計し、変動損益計算書の形式でレポートする機能が必要です。

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