BI(ビジネス・インテリジェンス)

BI(ビジネス・インテリジェンス)


ERP導入の最大の効果はデータ統合にあるといわれています。ERPは、会計、販売、在庫といった複数業務に関わるアプリケーションを単に1つのシステムとして提供するだけではなく、マスターデータや伝票データの重複をなくし、単一のデータベースとしてデータを管理することを可能にします。しかし、統合されたデータの価値を最大限に発揮するためには、BI(ビジネスインテリジェンス)アプリケーションが必要です。

BIアプリケーションを導入することで、経営に必要なKPIをリアルタイムで表示するダッシュボードや、現場レベルで必要な様々な分析レポートに対して簡単にアクセスできるようになります。

しかし、ERPの外部でこのBIアプリケーションを構築しようとすると、BIツールと呼ばれる高額なソフトウエアを購入し、外部の開発リソースに多額の費用を払う必要が出てきます。

一方で、クラウドERPに必要なBIアプリケーションのコンポーネントを正しく絞り込んでおくことも重要です。市販のBIツールには様々な種類があり、そこで開発できるBIアプリケーションも広範囲にわたります。クラウドERPに付属しているBIアプリケーションを、このような汎用的なBIツールと比較することは意味がありません。

適切なクラウドERPを選択するためには、BIアプリケーションが既に組み込まれていて、このアプリケーションの中身が自社のニーズに見合ったものかどうかを検討する必要があります。

BIアプリケーションの構成

クラウドERPに必要十分なBIアプリケーションは以下の4つになります。

  1. ダッシュボード
  2. KPI表示
  3. 分析レポート
  4. 業務アラート

クラウドERPにおけるBIアプリケーションでは(1)のダッシュボード上に(2)のKPI表示、(3)の分析レポート、(4)の業務アラートが配置された形が標準的な構成になります。

BIアプリケーションの標準的な構成

KPI表示

KPI(業績評価指標)とは、企業を運営する上で重要な要素を数値化したものです。KPIの種類には、財務指標のような一般的なものもありますが、その企業のビジネスモデルに合わせて、本当に重要なKPIを選択、考案する必要があります。このようにして選りすぐられたKPIの状態がダッシュボード上で一目で見えるようにしておくことで、迅速かつ正しい意思決定を行うことができます。

KPIを表示する標準的な方法がスコアカードです。スコアカードとは、一つのKPIを一行にして縦に並べた表のことです。表の列にはKPIの値そのものに加えて、前期、計画などとの差異や比率、特定の閾値で色や形状が変わるシグナル、時系列のトレンドを表す矢印、などを表示できる必要があります。

特に重要なKPIがある場合は、単独で表示する方法があります。この場合は、自動車の速度計のようなメーターなどの表示方法を使用します。

各KPIの表示項目からは必要に応じて、より詳しい内容を見ることのできる分析レポートへのリンクや、明細データまで遡れるドリルダウン機能が必要です。

スコアカード上に表示するKPIは企業ごとに異なりますので、ITスキルを持たない一般社員でもカスタマイズできることも重要です。

分析レポート

カスタマイズ機能のところで解説した出力フォームとは異なり、分析レポートではERPに蓄積されたデータを様々な角度から加工・分析します。このような加工・分析を可能にするためには、一般ユーザで使用できる分析レポート作成ツールが必要です。

分析レポート作成ツールでは、まずSQLなどのデータベース検索言語の知識を持たない一般ユーザでも、クラウドERP内に存在する全てのデータに対して検索を実行できる必要があります。データ入力時のフィールド名など業務レベルの名前でデータ項目を指定でき、かつ、選択条件を設定できることが重要です。

さらに、検索結果を加工するためには、合計、平均などの計算や、データベースに存在する元となる数値項目から計算式を通じて新たな計算値項目の定義ができなければなりません。

作成されたレポート間のリンクを定義できるかどうかも重要です。この機能があれば、概要レポートの特定の集計値から個別明細データへのドリルダウンは容易に実現することができます。

作成された分析レポートは作成者だけではなく、クラウドERP利用者の一部または全てに公開する機能が必要です。また、ダッシュボード上に配置することができれば、KPI表示とともに一目で企業業績を判断するための重要なコンテンツとなります。

スケジュール機能があると、分析レポートにスケジュールを設定することで、分析レポートの内容や検索結果を自動的にメールで送付することができます。定型的でかつ定時(例:毎週月曜日の朝9時)に必要な分析レポートがある場合は、このスケジュール機能も必要です。

分析レポートの結果を二次的に加工(例:Excelで分析する)したり、クラウドERPの利用者以外と共有(例:パートナーにPDFファイルとしてメール送信)するニーズは必ず発生します。そのため、分析レポートの結果を、様々なフォーマットで出力できることが必要です。特に、PDF、Excel、CSVの3つは必須といえます。

業務アラート

ダッシュボードのコンテンツとして、意外に重要なのが業務アラートです。業務アラートとは、業務プロセスの中で、停滞や問題が発生していないかどうかを確認するために必要です。例えば、期限を過ぎても振り込まれていない入金の件数や、ワークフロー上で承認待ちをなっている見積り書の数などをダッシュボードにリアルタイムで表示することによって、キャッシュフローや営業パイプラインにおける問題をいち早く察知することができます。

業務アラートに表示する項目も企業によって異なりますので、一般社員でもカスタマイズ可能であることが必要です。従って、KPI表示や分析レポートのカスタマイズ機能で業務アラートの作成が代用できるのであれば、業務アラート専用機能がなくても問題ありません。

ダッシュボード

ダッシュボードには、KPI表示、分析レポート、業務アラートなどのコンテンツを見やすく柔軟に配置する機能が求められますが、もうひとつの重要な機能としてパーソナライズ機能があります。

パーソナライズ機能とは、各社員(役員を含む)の業務上の役割に最適化された情報を個別に提供する機能です。クラウドERPを利用するユーザとして割り当てられたロールなどの情報に基づいて、ダッシュボードに表示するコンテンツの内容や種類を変更できる機能が必要です。

高度な分析アプリケーションとのインターェース

ここまでは、クラウドERPに必要十分なBIアプリケーションについて説明してきましたが、より広い意味でのBIアプリケーションには、OLAP(多次元)分析やデータマイニングといった高度な分析アプリケーションが含まれます。

しかし、これらの高度な分析アプリケーションはクラウドERPの一部として組み込まれている必要はありません。なぜなら、これらのアプリケーションの利用者は、クラウドERPのユーザの中のごく一部に限られますし、これらのアプリケーションの実行環境には、特殊な分析用データベースや、高度な知識を必要とするデータ分析言語を必要とするからです。

これらのアプリケーションは、クラウドERPの外部アプリケーションとして、カスタマイズ機能のところで説明したインタフェースを開発することで連携を可能とすることが適切だといえます。

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