分断していた基幹業務の統合にNetSuiteを活用

分断していた基幹業務を統合し、業務標準化による生産性向上とガバナンス強化を実現

グラフィック・パッケージング・インターナショナル株式会社は、世界最大級のパッケージングソリューションプロバイダーである米Graphic Packaging International社の100％出資により1991年に設立された日本法人です。国内ではビールの6缶パックを中心とした飲料マルチパック用の板紙の供給を中心に事業を展開するとともに、日本法人の100％子会社として中国（上海）と韓国（ソウル）に拠点を設立するなど、アジア全域におけるグラフィック・パッケージング事業全体の統括本部として成長しています。

パッケージング材料、紙器および 包装機械の業界大手: 同社の成長ドライバーとなっているのは、非常に優れた強度と耐水性をもつ「アクアコート」に代表される板紙です。米国FDA（アメリカ食品医薬品局）から食品に直接接触する紙としての認可も受けるほか、ヨーロッパの厳しい安全基準に対応し、飲料・食品から玩具にいたるまで、幅広い製品の梱包に採用されています。この板紙とともにパテントを有する包装機械、さらにパッケージデザインを三位一体とした事業を手がける他に類を見ない企業として、Graphic Packaging Internationalグループは世界中でシェアを拡大中です。

個別導入されたパッケージに 業務処理が分断: さらなるビジネスの成長に向けて、同社はチームワークを軸とした組織力の強化を目指しています。ただ、そこには大きなネックがありました。財務会計や販売管理、購買・調達管理などの業務で、個別に導入したパッケージソフトを利用していたのですが、システム間で連携がとれないものもあり、二重・三重にデータを入力しなければならず、大変な手間を要していました。内部統制上の統制活動やデータの整合性を図ることにも苦慮し、必要なデータを集めるまでに時間が要することから、リアルタイムに意思決定ができない問題も抱えていました。加えてこれらのパッケージは自社のサーバー上で運用しており、メンテナンスやベンダー管理に費やす工数も増大していました。

すべての基幹業務を統合する ERPを導入: 同社は上述の課題を解決すべく、基幹業務を統合するERPの導入検討を開始しました。グローバルなビジネス要件に対応し、多言語・多通貨および各国の会計基準に則った帳簿作成、現地子会社の管理が可能であること、さらにメンテナンスに手間のかからないクラウド型のシステムであることを前提条件として調査を重ねた結果、NetSuiteを選定しました。これによりガバナンスが強化され、マスターデータやユーザーIDを一元化してポリシーの順守を徹底するとともに、誰が、いつ、どんなことを行ったのかの証跡となる、操作ログの取得・管理も可能となりました。また、同じデータを二重・三重に入力していた手間が無くなり生産性が大きく向上しました。加えて、拡張機能として導入したOneWorldにより、韓国法人の財務状況をほぼリアルタイムに把握することも可能となり、レビューや財務報告に費やす時間も短縮しています。これらの効果によってサプライチェーン部門では、月間50時間に相当する工数削減を実現し、スタッフの残業時間を半減しています。

アジア全域をターゲットとした 事業の持続的成長へ: 同社はNetSuiteにより標準化を実現し、さらなる業務の効率化を促進します。定型的なタスクをRPAによって自動化するほか、外部の会計事務所にアウトソースしている業務の対象範囲を広げることも検討しています。加えて三国間貿易における受注管理など、現状ではExcelベースで行っている業務もできる限り早期にNetSuiteに集約していく考えです。同時に、ガバナンスとコンプライアンスを中心とした“守り”もしっかり固めていくことで、アジア全域に着実にビジネスを広げ、持続的な成長を遂げていこうとしています。