大企業ではCFOの役割が明確になっていることも多いですが、中小企業でもCFOという役職は普及してきています。最近の求人サイトには、マサチューセッツ州の20人以下のエア・モビリティ関連のスタートアップや、ハワイの94床の地域病院からのCFOの募集が掲載されていました。

専門知識への投資の動機はさまざまですが、CEOが戦略的な岐路に立つ際、市場シェアの拡大やビジネスの支援が必要となります。そのため、熟練した財務アドバイザの価値を高く評価することが多いです。

つまり、賢明な企業は、CFOの役割を経費としてではなく、内部CFOや仮想、フラクショナルベースのCFOとしての投資と考えるようになりました。世界的なパンデミックは、経験豊富な財務のリーダーシップの価値を明確に示しましたが、CFOの重要性が高まった理由は、経済危機だけではありません。CFOが会社にどのように貢献し、何を求められるのか、役割や責任、スキルを見ていきましょう。

最高財務責任者（CFO）とは？

最高財務責任者（CFO）は組織における最高位の財務専門家で、ビジネスの財務状態を監督しています。彼らの役割は、高品質の財務チームを育成し、収益と支出の均衡を取り、FP&A （財務計画および分析）機能を監視し、合併と買収に関する提言を行うこと。さらに、資金調達、部門長との財務データの分析と予算策定、報告内容の正確性の確認、取締役会やCEOとの戦略的な議論も行います。

CFOはフィンテックのテクノロジー戦略をサポートし、会計と業界の専門知識をもとに、サプライチェーンからマーケティングまでの提案を行うことがあります。

経営陣との連携を強化し、将来を予測して戦略的なアドバイスをするビジョンを持つCFOは、非常に価値が高まっています。

CEOとCFOの比較

最高経営責任者（CEO）は、企業の最高役員として、企業全体の運営と財務健全性の責任を持ちます。企業の構造によっては、社長と共に職務を分担することもあります。CEOはマスコミやアナリスト、公衆、そして関連する取締役会に対する企業の代表者としての役割を果たします。

最高財務責任者（CFO）は、組織の最高の財務責任者として、CEOの下で取締役会と連携します。

組織的にはCEOが上位に位置しますが、実務的にはCFOとCEOは密に協力し、CFOはアドバイザー、戦略家、リスク管理者としての役割を担います。

財務コントローラとCFOの比較

財務コントローラは多くの場合公認会計士（CPA）資格を持ち、MBAを取得していることもあります。彼らは財務報告や財務データの分析を主に担当し、通常はCFOの下で組織の会計業務を監督します。コントローラの下には、簿記、売掛金・買掛金、給与計算、税務、経理などの担当者が含まれるチームが配置されることが一般的です。

一方、CFOは財務コントローラや会計担当者が作成したレポートを基に、CEOや取締役会に戦略的な財務方針に関するアドバイスを行います。財務コントローラやその他の専門家たちは、CFOのもとで働いています。

要点のまとめ

  • 会社の規模よりも、戦略的アドバイザとしての深い財務の専門知識が求められるかどうかで、CFOの必要性が決まります。
  • CFOは、コントローラや財務担当副社長などの上級リーダーと共に、経理、簿記、税務、データアナリストなどの業務スタッフからなる、会計と財務のチームを統括します。
  • CFOを務めるためには、会計や財務の知識と、MBAなどの高度なビジネス学位が一般的に必要ですが、ソフトスキルも欠かせません。

最高財務責任者（CFO）の定義

最高財務責任者（CFO）は組織の中で最上位の財務職位を担います。彼らはキャッシュ・フローや財務計画の監視、会社の財務的強みや弱みの分析、そして戦略的方針の提言を行う責任があります。

特に上場企業のCFOは、組織だけでなく、証券取引委員会（SEC）をはじめとする多くの規制機関や関連当局に対して説明責任を持っています。また、一般に受け入れられている会計原則（GAAP）や日本の会計基準（JGAAP）をはじめ、各国の会計規制にも精通している必要があります。

CFOの役割

CFOの主な役割は2つです。一つは、組織の財務活動を監督し、財務および会計の専門家を管理すること。もう一つは、CEOや経営幹部に対して戦略的なアドバイスを提供することです。

2021年冬のBrainyard調査によれば、ビジネスリーダーの成功要因の評価やその優先事項の変化が示されています。

CFOは、売上や収益の目標達成とキャッシュフローの安定を管理します。さらに、部門長へのアドバイス、収益の最大化、経費の抑制など、組織全体のサポートを行います。

また、CFOは財務チームの人材選定をサポートし、予算配分も協議します。CFOのタスクとして、現在や過去、そして予測される財務データの整理もあり、それによってCEOが以下のような意思決定を行う際の支援を行います：新製品やサービスの導入、サプライチェーンの戦略、リモートワーク時の税制影響など。

CFOの責任

流動性

流動性とは、組織が1年以内の返済期限を持つ短期負債を、利用可能な流動資金で支払う能力を指すものです。この能力は、負債と資産の比率で評価されることが一般的です。

CFOの役割として、顧客からの支払いが期限通りに受け取られるよう努力し、必要な金融債務の履行のための十分な現金を確保することで、経費を適切に管理します。

投資回収率（ROI）

CFOの戦略的な焦点の1つは、組織の高い投資回収率（ROI）を確保することです。ROIは、投資に対する利益の可能性と具体的な金額を示す指標で、投資の収益をコストに対するパーセントとして評価します。

ROIは基本的なKPIとして用いられますが、正味現在価値などの要素を考慮に入れないため、CFOはその背景や文脈を理解し、プロジェクトに期待するROIが実際に価値のあるものであるかを評価します。

予測

CFOの役割は、単に現状の報告だけではありません。その主要な価値は、未来の結果を的確に予測する能力にあります。これには、過去の業績だけでなく、収益や経費に影響を及ぼす潜在的な内部・外部要因を基にした財務予測やモデリングも関与します。CFOは、各部門の予測を総合してCEOや株主向けの利益予測を作成します。

内部要因としては、売上の動向、人件費、原材料のコストなどが考慮される一方、外部要因としては資本コスト、市場需要の変動、新規競合、技術の革新などが挙げられます。

CFOは外部環境を把握するため、政府のデータやアナリストのレポート、メディア情報を参照し、業界団体、役員、金融機関からの情報をもとに洞察を得ることもあります。

レポート

貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務報告書は、企業の財務状況を内部のリーダーや外部の関係者が理解する際に不可欠です。CFOは、これらの報告書がGAAPなどの一般に受け入れられた会計原則に基づいて正確であり、完璧であることを確認する役割を持っています。

非公開企業でも、資産が10億円以上で株主が500人を超える場合、金融庁への財務報告が必要とされます。しかし、多くの企業は、銀行からの融資を受ける際やベンチャーキャピタルから資金調達を行う際に、これらの財務報告を常に用意していることが一般的です。

CFOのチーム・メンバー

CFOの主な職務は、組織の規模や業界、上場の有無によって変わりますが、大まかには、コントローラー、財務管理、戦略・予測の3つの機能領域に分けられます。組織内には、これらの役割の一部または全部を担当するCFOの直下の専門家が存在することもあります。

コントローラ:

コントローラは日常の会計および財務業務を管理し、多くはCPAやMBAの資格を持っています。売掛金、買掛金、在庫、給与等、会社の財務状態に関する詳細なレポートの作成を担当します。

財務管理:

財務部門は、会社の流動性や負債、資産を管理します。これには、物理的な資産である建物や設備から、金融投資に至るまで、会社が保有する全ての投資が含まれます。

戦略と予測:

この領域では、製品の開発、市場の拡大、人材の管理、M&A、資本投資などの判断を下すために、様々なデータやレポートが利用されます。具体的な方法として、シナリオプランニングやFP&Aなどの計画的な予測活動が行われます。

コントローラ、財務担当者、そしてFP&Aアナリストはチーム内でのキーな役割を果たしますが、これら全ての領域における最終的な責任はCFOが持ちます。

CFOを持つことの利点

CFOは財務会計部門のリーダーシップを取り、組織の財務健全性を幅広く監視します。その役割は、CEOだけでなく、CMO、COO、人事担当や営業担当副社長などが、自らの専門分野に集中できるようサポートすることです。CEOやCOOがある程度の会計や財務の知識を持つことは珍しくないものの、多くの場合、CFOと同じ深度の専門的能力や経験は期待されません。

CFOが提供する価値には、以下の要素があります:

リーダーシップ・スキル

効果的な財務会計チームを組織・指導し、必要な役割や責任を明確に定義・割り当てる能力。

業界の知識

競合他社とのベンチマーク比較を可能にする知識。例えば、NetflixがActivisionからCFOを引き抜いた例は、異なるB2C企業間でのCFOの移動の重要性を示す好例です。製造業や医療業界でも、業界特有のKPIおよび指標を解釈することが重要です。

成長体験

過去の役職での成長の経験、特に有機的な成長やM&Aを通じた経験は、CEOにとって、特にIPOを考慮している場合に、非常に価値があります。

リスクの評価および管理

法的遵守はもちろん、過剰な負債、流動性の不足、サプライチェーンの脆弱性、不適切な請負業者の雇用、テクノロジーの誤った導入などのリスクを評価・管理する能力。

経験豊富なCFOを採用することは確かに初期投資が必要ですが、長期的にはその価値は非常に高いと言えます。

CFOの上位5つの課題

今日のCFOは、継続的な技術進化や大量のデータに基づく分析および予測のメリットを享受している一方、多くの課題に直面しています。CFOが直面する主要な5つの課題は次の通りです:

  1. 責任範囲の過多（51%）:

    この役割は既に広範囲にわたっており、更なる拡大が進行中です。厳格な規制環境、急激な技術の進化、世界的な市場の大きな変動がCFOにプレッシャーをもたらす一方、適切な財務人材を確保・維持する難しさからくる圧力も存在します。

  2. キャッシュ・フローの管理（43%）:

    すべての組織には資金の流れが必要で、健全なキャッシュフローはバランスを取りながら維持されるべきです。CFOは、収益と売掛金を管理するだけでなく、支払いや短期・長期の負債にも目を光らせる必要があります。キャッシュ・フロー分析は継続的に絶えず行われるべきものです。

  3. 正確な財務シナリオの作成（43%）:

    キャッシュフロー分析と同じく、シナリオ分析は継続的なプロセスであり、またはそうである必要があります。CFOは、さまざまな経済状況が組織の収益に及ぼす影響を深く分析することで、良い・悪いシナリオの双方に対する計画を策定することができます。

  4. タイムリで正確なレポートの作成（37%）:

    迅速なレポートは常に要求されますが、急速に変わるグローバルなビジネス環境の中で、情報アクセスは戦略的な意思決定やリスクの特定・回避の基盤となります。また、財務チームが提供するレポートは、P&L同様、資金調達の成果に直接影響を与えることがあります。

  5. 財務へのテクノロジの導入（33%）:

    CFOの役割は、組込みのビジネス・インテリジェンスを備えたダッシュボードなど、レポートと予測の両方に役立つ、高度化が進むテクノロジによって支援されています。しかし、テクノロジは、資本と人材の両方への多大な投資を意味します。

長引くパンデミックの影響により、売上や消費者の需要、人員に関する問題に取り組むCFOは、これらの課題が2021年も続くと予測されます。

CFOの役割の変化

戦略よりも報告に重点を置いてCFOの役割を捉えている企業は、現在または近い将来不利な立場に置かれるでしょう。財務責任者は、自分自身と管理チームが意思決定をサポートするためのタイムリなデータを確実に入手できるようにする必要があります。しかし、成功を促進するのは、ビジネスのあらゆる部分にわたる戦略的計画とコラボレーションです。

このため、CFOに対する調査で一貫してその進化が示されているのも不思議ではありません。特に中小規模の企業では、CFOが様々な役割を担う傾向があります。従来のCFOの仕事をこなすのみでなく、サイバー・セキュリティのリスクを評価し、システムおよびデータの統合を管理し、人材のニーズを満たし、ブロックチェーンやAIなどの新しいテクノロジを評価します。

CFOを雇用するタイミングは？

組織では、CEOや財務部門のメンバーが、組織の財政状態を適切に判断し、キャッシュ・フローを評価し、将来の財務ニーズを予測し、ビジネス戦略を伝えるスキルが不足している場合、CFOの雇用を真剣に検討するべきです。いくつかの専門家は、年間収益が1億米ドルを目安として常勤のCFOを雇用すべきだとアドバイスしています。しかし、非常勤/フラクショナルや仮想サービスとしてのCFOの利用も考慮の余地があります。

財務上の問題が発生する前にCFOの役割を導入することは珍しくありませんが、予防的な対応を推奨します。以下の点を検討してみてください:

成長戦略を追求し始めていますか？そうであれば、P&L、損益計算書、そしてキャッシュ・フロー計算書に関する深い理解が求められます。買収のチャンスがあるとき、誰が会計を検証するのですか？銀行や他の投資家は、CFOがその正確さと完全性を保証することを期待しています。最近、自社の評価倍率を計算しましたか？

健全で再現性のある計画と予算編成のプロセスはありますか？もしそうでないならば、しっかりした財務基盤が欠けていると言えます。

明白な分野以外でもデータを十分に活用していますか？例えば、eコマースのデータを活用し、カスタマーサクセスプログラムにフィードバックしていますか。

財務レポート要件に自信がありますか？例として、景気後退による無形資産の減少をどのように説明しますか？

さらに、業界特有の事情も考慮すべきです。多くの製造業や小売業、流通業で、パンデミックの影響により、経験豊富なCFOがサプライチェーンの問題に対応できるかどうかが焦点となっています。

上場企業のCFOの報酬は、通常、現金と株式の組み合わせとなります。上場・非上場を問わず、報酬は企業の規模や業界、地域、経験年数、そしてCFOが率いる財務/会計部門の規模など、様々な要因に基づいて定められます。2021年には、Goldman SachsのStephen Scherr氏が総報酬で2億200万ドルを記録し、最も高い給与を受け取ったCFOとなりました。Salary.comによると、2021年初めの米国のCFOの平均給与は394,235ドルでした。しかし、小規模企業では、給与は大体150,000ドルから200,000ドルの範囲となっています。

CFOの資質とスキル

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有能なCFOは、ハードおよびソフトの両方の様々な機能とスキルを配置する能力を備えています。

CFOの役割を果たすためには、会計や財務の知識、さらにMBAなどの高等なビジネス学位が一般的に必要とされます。また、データ分析から財務や組織戦略に関する提案を行った経験も不可欠です。

現代のCFOには、一般に受け入れられる会計原則（GAAP）や国固有の会計原則、予算の作成、データ分析といった"ハードスキル"だけでなく、効果的なコミュニケーションや紛争の解決、交渉能力といった"ソフトスキル"、そしてリーダーシップや経営手腕も求められます。

CFOは、内部のデータだけでなく、外部環境（規制、市場動向、マクロ経済など）をもとにした予測を行い、組織に戦略的な方針を提供することができる必要があります。さらに、業界特有の課題や機会に関するアドバイスも可能でなければなりません。

さらに、CFOは、金融技術（フィンテック）の進化や利用可能な選択肢、その適用方法、IT投資やインフラに関する適切な財務判断、そしてそれを組織全体で適用させるためのスタッフとコミュニケーションを取り教育する方法について深い理解が必要です。技術の適切な活用がなされない場合、投資回収率（ROI）は低下するでしょう。

CFOが使用するテクノロジ

CFOとそのチームは、大量のデータ分析のためにテクノロジを駆使しています。最新の財務管理ソフトウェアは、情報ベースでの意思決定をサポートし、戦略的アプローチや重要なアドバイスを提供するための時間を節約する手助けとなります。

CFOは、主要な財務レポート、監査、そしてコンプライアンス機能が要求されます。さらに、FP&A、財務や資本の構造と配分、規制への遵守、そして企業のポートフォリオ管理やモデリングをサポートする統合システムも必要とされます。

現代のCFOは非常に忙しい日々を送っています。最近のBrainyardによる調査によれば、CFOの54%が週に50時間以上労働しており、多くの責務に取り組んでいると報告しています。それに対するリワードとして、上級金融プロフェッショナルは、自らの経験を最大限に活用し、CEOと密接に連携して、ただの優れた企業でなく、やりがいのあるキャリアを築くための充実した役職を享受できます。

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CFOに関するFAQ

CFOは会計士ですか？

CFOは必ずしも会計士ではありません。会計の知識を持っている場合もありますが、CFOの役割で成功するためには必須ではありません。会計には売掛金、買掛金、および財務レコードの保守に関する活動が含まれますが、CFOはこれらの活動に依存しているとは限りません。多くのCFOは広範な財務スキルを持ち、資産と負債の管理、将来の成長計画、ビジネス戦略、およびリスク管理に重点を置いています。会計士とは異なり、CFOは予測を提供し、取締役会やCEO、その他の経営層に対して組織の方向性に関する戦略的な提言を行います。

CFOはどのような責任を負っていますか？

CFOは、組織の財務に関する最高の責任を持つ役職です。財務チームや会計チームから提供される財務や業務のデータとレポートに基づいて、組織の財務状況を予測し、CEOや取締役会に戦略的な指針について助言する役目を果たします。

CEOはCFOより上位ですか？

CEOは企業の最高経営責任者として、組織図上でCFOよりも上位に位置します。CFOは多くの場合、CEOと緊密に連携し、戦略的決定の過程に深く関与します。CEOとCFOは、取締役会や他の経営層と密接に連携し、組織の経営を共同で担います。

どのようにしてCFOになるのですか？

CFOになるためには、通常、財務担当副社長やコントローラなどの財務関連の役職を歴任し、経験を積んで昇進していきます。多くのCFOはビジネスの経験が豊富であり、MBAや他のビジネス関連の上級学位を持っています。業界固有の知識も非常に重要です。初級の役職での経験を積むことで、CFOとしての資質を高めることができます。

CFOになるにはどのような資質が必要ですか？

CFOに必要な資質には、会計や財務、およびビジネス慣行に関する知識があります。また、戦略的に物事を捉え、大局的な視点を持つ能力も求められます。企業は多くの場合、上級学位やそれに相当する経験を必要とします。

現代のビジネス環境では、テクノロジの進化に伴い、CFOは最新の財務や会計に関するソフトウェアにも精通している必要があります。