CFOのための期末処理ガイド

CFOのための期末処理ガイド

帳簿をクローズするときにギャップもクローズ

多くの組織では、期末に帳簿を締めるのにまだ時間がかかっており、面倒でストレスの多い処理になっています。スタッフの残業や情報の再確認に追われています。

正規のプロセスがなく、組織変更が頻繁で、役割も明確に定義されていない組織の場合は、より大変な状況になります。さらに、キャッシュ・フロー、収益性、負債などの業績データを正確に示すように、経営陣と投資家の両方から強い圧力がかかって、期末処理のストレスが一層高まります。

期末処理の3つの主な作業(勘定照合、仕訳入力、財務レポートの作成)では、チームの各メンバーが相互に依存する小さな作業を複数担当するため、進捗の追跡が重要ですが、容易な作業ではありません。

期末処理の改善方法を探し続けている財務部長が多いのも当然です。

迅速な期末処理と適切な意思決定

期末処理を迅速に終えることは、すべての財務部長が切望し、多くの企業では、それが必要不可欠です。

迅速に期末処理を終えれば、役員が最新データをタイムリーに利用でき、情報を把握したうえで、迅速かつ適切に意思決定できます。

財務チームが期末処理の時間を短縮できれば、会社の意思決定に必要な分析や洞察の提供に、より時間をかけられます。その結果、必要なキャッシュ・フローや市場の変化に対応するために、業務を拡大すべきか、縮小すべきか、競合他社に先がけて新しいチャンスをつかむために、どのようにリソースを迅速に再配置する必要があるかがわかります。

コンプライアンスも万全

期末処理は情報の内部管理だけにとどまりません。投資家や規制当局が外部レポートに求める高い基準を満たすことが不可欠です。効果的な期末処理は、財務諸表の整合性と透明性を高め、十分に情報を開示し、厳しい提出期限を守るのに役立ちます。

再提出、評価の低下、さらには規制措置や罰金など最悪のシナリオを避けるのにも役立ちます。

一般的には、効率的かつ迅速に期末処理ができれば、監査費用も削減できます。これは、監査人が会社の内部統制を信頼するので、サンプルサイズを大きくして確認したり、間違いを話し合って文書化する時間がかからないためです。

異種システムによる危機

スタート・アップ企業、規模を拡大した企業など、多くの組織には、個別の問題を解決するために作成した小さな部門別システムが蓄積しています。多くの場合、これらは統合されておらず、いろいろな処理のギャップを埋めるために作成したスプレッドシートや手動プロセスが多数存在します。

このため、明確なプロセスがなく、データはサイロ化して蓄積されており、手動更新で時間がかかる上に間違いのリスクもあるため、財務チームの期末処理をいっそう難しくしています。海外に業務展開している組織に複数の会計システムがある場合は、問題が倍増するため、悪夢のような期末処理に挑むことになります。

統合ERPの力

期末処理を常に速く終えることができる企業に見られる傾向は、統合エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムを使用していることです。

在庫、給与、注文、顧客などのデータに関して、企業内のすべてのチーム、職務および様々な場所の事業所が、同じ総勘定元帳、共通の勘定科目表、「真実の単一バージョン(single version of the truth)」にアクセスしています。

この方法には、期末処理に関して次のようなメリットがあります。

  • データの整合性: 信頼できる一つのデータ・ソース
  • データの一貫性: すべての入力形式が同じで、同じ会計ロジックで統一されています。
  • 標準プロセス: 期末処理に関係する全員が統一されたプロセスに従うため、正確性やコンプライアンスへの影響を排除できます。
  • 自動化: 仕訳入力、銀行と関係会社間の照合など、人間による介入が必要だった多くのプロセスがシステムで処理されます。
  • オーケストレーション: 全員が同じカレンダーや期日に従って作業を進めます。担当者は作業間の依存関係も含めて、期末処理全体のどの部分を担当するのかがわかります。
  • 監督: 担当者がダッシュボードなどで全体を概観して、期末処理の進捗状況を把握できます。ボトルネックが強調表示された場合は、対処するためのステップを実行できます。
  • オフライン作業の排除: スプレッドシートを使用して個別のシステムからデータをリンクしたり計算を実行すると、間違いの元となり、追加の照合作業が必要になります。

クラウドを利用した期末処理

クラウドベースの会計システムを採用することで、時間、タイムゾーン、各自の場所に関係なく、財務チームのメンバーと他部門がプロセスに参加できるため、「全員参加」のアプローチで期末処理を行いやすくなります。

この方法は、通貨換算、会社間取引、少数株主持分の計算、複数のGAAP、AASBおよびIFRS標準の作業が必要な会社の場合に、特に役立ちます。

クラウドでは、遠隔地の事業所、地方の会社の出先、移動中や在宅でも、データ入力、問合せへの回答、調整、連結プロセスや照合処理の起動が可能です。さらに、PC、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなど、好きなデバイスから、これらのタスクを実行できます。

クラウドベースにすると、取引の検査や他の確認を実施するために監査人が出張する必要が減るため、監査費用も削減できます。

節約した時間でできること

期末処理が速くなると、充実した経営関連情報を早期に提供できるため、組織にとって大きなメリットがあるだけでなく、財務チームの貴重な時間も解放できます。

当然、この時間の一部は、期末処理で発生した問題やボトルネックをレビューして解決し、次回の期末処理をさらに迅速にするために使えます。当然、会社は継続的な改善に常に取り組む必要があります。

残りの時間は、キャッシュ管理の改善、売掛金回収期間の短縮、次月または次四半期の優先事項を決めるための財務計画、次の大きな顧客需要発見のヒントを見つけるための広範なトレンド分析など、会社全体のメリットになる作業に振り向けることができます。

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