アシックス、海外新拠点立上げに
NetSuite OneWorldを導入


Asics

Company

株式会社アシックス

所在地:

本 社
〒650-8555
神戸市中央区港島中町7丁目1番1
スポーツ工学研究所
〒650-8555
神戸市中央区港島中町7丁目1番1

創 業:

昭和24 年9月1日

代表者:

代表取締役社長CEO 尾山 基

事業内容:

各種スポーツ用品等の製造および販売

Webサイト:

www.asics.com
(平成26年12月31日)


「現地にシステムやITインフラの管理を担うITの専門要員の確保が難しかったので、システムの運用やメンテナンスの負担がかからないERPが必要だと考えて、NetSuiteを選びました」 ASICS 水本氏

国内の販売機能の強化から海外新拠点の立上げまでクラウドの利点を活かしてNetSuite OneWorldを導入

アシックスグループは1949年に創業した日本発祥の総合スポーツメーカーです。全世界50以上の拠点でフットウェア、アパレル、アクセサリーを中心とした事業を展開し、150以上の国と地域で販売を行っています。同社は、2010年の8月にアウトドア用品事業を営む企業を買収し、日本の販社ERP機能強化に向け、NetSuiteを導入しました。その後、アジア地域におけるマーケティング強化のため、2012年にシンガポールでASICS Asia Pte. Ltd.(2014年1月に販社化。以下、アシックスアジア)を、インドでASICS India Pvt.Ltd.(2015年1月に販社化。以下、アシックスインディア)をマーケティング会社として設立し、両社の販売会社化の時期にあわせてNetSuite OneWorldを採用しました。

背 景:新しい地域販売子会社の販売機能の強化のために短期間で構築できるERPが必要だった


本間 雄一 氏

本間 雄一 氏
株式会社アシックス
グローバルIT 統轄部
統括部長

株式会社アシックスの執行役員でグローバルIT統轄部 統括部長の本間雄一氏 (以下、本間氏)は、2012年にNetSuiteを採用した背景について、次のように振り返ります。

「きっかけは、当社が2010年の8月にM&Aにより取得したアウトドア用品の事業子会社の日本販社ERP機能強化に向け、会計/販売システムを短期間で再構築できるERPが必要になったためです」

アシックスグループは、" アシックス・グロース・プラン 2015"という全社経営計画に基づいて、2011年からグローバル規模での成長に向けた取り組みを続けています。その取り組みの一つが、スウェーデンに拠点を置き、北欧を中心にヨーロッパや日本においてプレミアムブランドのアウトドア用品事業を日本で展開することでした。グローバルIT統轄部のSCMソリューションチームでマネージャーを務めている水本貴博氏(以下、水本氏)は、当時の状況を説明します。

水本 貴博 氏
水本 貴博 氏
株式会社アシックス
グローバルIT 統轄部
SCMソリューションチーム
マネージャー

「2012年の2月から日本で本格的な展開を開始することになり、販売管理の機能強化に向け既存システムの再構築が必要になりました。ところが、当時はシステム開発のために与えられた期間がかなり限られていて、社内のERPに新たに組み入れることは難しく、より短期間で実用的な業務システムを再構築しなければならなかったのです。そのため検討の段階では、パソコン向けの業務パッケージ製品なども調査しました。しかし、現地にシステムやITインフラの管理を担うITの専門要員の確保が難しかったので、システムの運用やメンテナンスの負担がかからないERPが必要だと考えて、NetSuiteを選びました」

水本氏はNetSuiteを採用した理由について、さらに付け加えます。

「NetSuiteに決めた理由は、クラウドサービスなのでITの専門要員が常駐していなくても、現場のスタッフが容易に利用できる点と、構築までの期間が短くて済むこと、それにコストパフォーマンスでした。さらに当時からグローバル展開を見据えていたので、日本語だけではなく各国の言語や通貨に対応している点にも注目していました」

アウトドア用品事業子会社の日本販社向け業務システムとして採用されたNetSuiteは、三ヶ月弱という短期間での導入を実現し、2012年2月から稼動を開始しました。

課 題:シンガポールでNetSuite OneWorld を採用

1981年からアシックスは、シンガポールで代理店を通じて製品を販売していました。そして、2012年5月にシンガポールにアシックスアジアを設立し、東南アジアでのマーケティングと営業を開始しています。

「アシックスアジアは、マーケティングサポート業務を担うことを目的としてシンガポールに設立されました。そして、2014年1月から東南アジアにおける販売およびマーケティング事業の拠点として機能するために、基幹システムを構築する必要が生じたのです」と本間氏はアシックスアジアの背景について触れます。

当時のアシックスは、東南アジアにおけるビジネスの拡大をサポートし、組織全体を通じたリアルタイムの「見える化」を実現するために、子会社の財務データと日本の本社の財務データを統合可能な拡張性のあるERPソリューションを必要としていました。

「新規各拠点の限られたIT対応力で関連コストのかかるオンプレミスERPの導入を回避するため、二層ERPモデルを可能とするクラウドERPを導入することでアシックス本社のERPと子会社のERPを統合したいと考えました」と本間氏は説明します。

アシックスは、アジアにおける最適なクラウドERPの導入を検討するにあたり著名なグローバル調査機関に助言を求めたところ、同機関のアナリストからクラウドERPのリーディングプロバイダであるNetSuite OneWorldを推奨されました。

「前出の事業子会社での導入実績を評価していましたが、改めてNetSuite OneWorldの調査を行い、シンガポールの次ぎの販社拠点を考慮してもその能力が我々の期待に応えると判断してNetSuite OneWorldの採用を確定しました。具体的には、シングルインスタンスによる複数子会社のサポートや自動レポーティング機能、各国の税務コンプライアンス対応に、東南アジアでの取引に必要な複数通貨対応です」と水本氏は採用の理由を話します。

NetSuite OneWorldの採用を決めてからアシックスアジアにおける販売業務の開始まで、半年を切っていたこともあり、水本氏はNetSuiteのオーストラリア/フィリピンの開発チームの協力を得て、日本とシンガポールを行き来しながらシステムの開発に取り組みました。

「プロジェクトを開始した時点では現地物流パートナーのみが決まっており、まだ現地のスタッフも完全には揃っていない状態でした。そうした手探りの段階から、NetSuite OneWorldでロジスティクスの全体設計を描いていきました。やがて、販売責任者を中心に物流や経理のプロフェッショナルが現地のスタッフとして採用され始め、体制が整っていきました。このような新規の立ち上げで、約4 ヶ月という短期間に大きなトラブルもなく基幹システムを構築できたのは、クラウドサービスならではの成果だと思います。NetSuite OneWorldがなければ、これほど短い導入期間で、新規子会社の販社機能、つまり当社の業務プロセスの対応ができなかったでしょう。このプロセスを経験したことで、今後、地域全体でより多くの子会社の設立を進めていくことに自信が持てました」と水本氏は当時の苦労やクラウドの利点について評価します。

効 果:シンガポールに続きインドでもNetSuite OneWorld を導入

アシックスアジアでは、NetSuite OneWorldのダッシュボード、レポーティングおよび分析ツールにより、リアルタイムで業務パフォーマンスの監視、レポートおよび分析を行い、日本の本社への報告を可能にしました。また、業務に対する貴重な洞察が得られるようになり、管理チームは日次ベースで情報を元にしたビジネス上の意思決定を行っています。

「新規の構築だったので、標準的なNetSuite OneWorldの機能はできるだけそのまま利用しました。導入した機能は、販売管理の他に資産管理と在庫管理に調達管理、また顧客管理などです。ただ、データの自動連携の仕組みは独自に開発しました。また、現地の通関用のインボイスを作るためにフォーマットを修正しました。それ以外はオリジナルの機能をベースに、現地のスタッフに使いこなしてもらうようにトレーニングしました」と水本氏は構築されたシステムの概要を説明します。

アシックスアジアのシステムは、2014年1月から稼動を開始しました。また、シンガポールをはじめとして東南アジアでの販売強化、ブランドイメージの向上に注力しています。

「アシックスグループでは、2012年にインドにマーケティング会社としてアシックスインディアを設立していましたが、同社の販売会社化に向け、シンガポールでの成功を受けてインドでもNetSuite OneWorldで基幹システムを構築することに決めました」と本間氏はアジア地域で二つ目の拠点となるインドについて触れます。

エマージング・マーケットでの新会社設立に向けたERPシステムをNetSuite OneWorldで展開すると決めていたアシックスでは、2014年7月にインド向けのプロジェクトをスタートさせました。そのシステムの構築でも、水本氏が中心となってプロジェクトを指揮してきました。

「インドのプロジェクトでは、シンガポールのスタッフにも協力してもらいました。基本的な機能デザインはシンガポールのシステムをベースに両社で共通化出来る機能の強化を行い、インドの通貨や現地独特の税制対策など、各国の商習慣の違いを適応させていく形を取りました。トレーニングに関しては、既にNetSuiteを使った実務経験のあるシンガポールのスタッフにお願いし、グローバルで共通な業務オペレーションとそれを支えるシステムオペレーションをインドのスタッフに伝えました。また、システム導入とは別にもっとも工夫したのは、現地でのインフラ対策です。事務所があるエリアでは停電が日常茶飯事に発生するため、UPS(無停電電源装置)導入による予備電源の確保は必要不可欠です。電力が落ちてもクラウド環境でのオペレーションが継続出来る様、各通信系、オフィス内の各機器にUPSを導入し、インターネットが切断されない対策を施しました。実際にプロジェクト最中も頻繁に停電が発生しましたが、業務を中断させることなく作業継続を行えました」と水本氏はプロジェクトを振り返ります。

今後の展望:今後も迅速な海外展開のために積極的に活用していく

「我々の経験から、NetSuite OneWorldはコストパフォーマンスに優れているだけではなく、標準で使える機能が充実しているので、できるだけカスタマイズはしないで、使いこなしていくのが成功のキーになると思います。これからも、エマージング・マーケットにおけるグローバルテンプレートを短期間で展開していくのが、最大の目的です」と本間氏は発展を続けるアシックスグループの海外展開に向けた取り組みについて切り出します。

「統括会社にあるERPシステムでスピーディーにカバーできないところに関しては、これからも積極的にNetSuite OneWorldを活用していきます」と水本氏が補足します。

「我々は今後も、海外の新しい拠点でビジネスを立ち上げていく計画です。そこで、スピーディーに国ごとにソリューションを提供していくために、NetSuite OneWorldに大きな期待を寄せています。まだ、いずれの国も立ち上げなので、これからどんどんビジネスが大きくなっていくでしょう。そのときにも、NetSuite OneWorldはクラウドなので拡大する規模をしっかりサポートしてくれると信じています」と本間氏は今後に向けた取り組みを語りました。

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*2015年取材


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