資金管理

資金管理


利益管理とならんで、財務担当者の重要な業務が資金管理です。利益管理により利益が確保できても、運転資金がなくなってしまうと企業活動は継続できなくなります。これは、PL(損益計算書)上での収入・支出と、実際の運転資金(現預金)との間に乖離があるためです。この乖離は主として、BS(貸借対照表)上での売上債権、買入債務、及び棚卸資産としてあらわれます。運転資金を確保するために、これらの債権・債務及び資産を適切に管理する業務が資金管理と呼ばれます。クラウドERPを選択する際には、この資金管理を実現する機能を確認する必要があります。

資金管理とは

PL上での売上と費用の発生時期と、これに伴う現預金の増加・減少時期の間には乖離があります。PL上は黒字であっても、運転資金の欠乏によって企業活動が停止してしまう、いわゆる黒字倒産が起こるのは、そのためです

売上が発生した場合、PL上では、納品あるいは検収などといった収益認識のタイミングでPL上の売上高として計上されますが、実際には、現預金として入金されるまでは、BS上の売掛金、受取手形として存在するだけで、運転資金としては利用できません。このため、利益管理と同時に資金管理が必要となります。

資金管理には、一定期間の運転資金予測を行う資金計画、計画どおりの運転資金を確保するための確認、督促などを行う資金統制、資金の全般的な効率を分析し改善をはかる資金効率性分析の3つの業務があります。

資金計画

運転資金の予測には、資金繰り表を使用します。資金繰り表では、売掛金、受取手形などの売上債権と買掛金、支払手形などの買入債務について、現預金としての収入、支出に変わるタイミング(日、月など)ごとにその金額を集計し、運転資金の増減の見通しを立てます。

以下の例は、向こう3か月の資金繰り表です。(出典:中小企業庁「中小企業の会計34問34答(平成23年指針改正対応版)ツール集」)

向こう3か月の資金繰り表

資金繰り表では、売上債権、買入債務とともに現預金の増減に関わる項目を表として集計することで、運転資金が確保されているかどうかを確認することができます。クラウドERPでは、このような資金繰り表を作成する機能が必要です。

資金統制

資金統制では、資金繰り表でたてた見通しどおりに運転資金が確保できるように確認・督促などを行います。資金繰り表上の見通し金額で、ぶれが生じやすく、かつ影響が大きい項目が、売掛金と受取手形です。これらの項目については、常に状況をモニタリングし、問題が発生した場合に対応する必要があります。売掛金の場合、まず、請求書が発行されたかと、期日までに入金がされたかの2点を常にモニタリングする必要があります。

請求書の確実な発行のためには、受注時点で入力される納品予定日、または検収予定日が到来した受注伝票が、請求担当者にアラートされ、請求担当者が、確実に請求書の発行を行う業務プロセスが確立されている必要があります。したがってクラウドERPには、請求担当者が漏れや遅滞なく請求書を発行できるようにするためのアラート機能が必要です。

次に、請求書発行時点で入力される入金予定日が到来した請求伝票が、経理担当者が、確実に入金の確認を行う業務プロセスが確立されている必要があります。したがってクラウドERPには、経理担当者が漏れや遅滞なく入金を確認できるようにするためのアラート機能が必要です。

入金確認の結果、入金が確認できない場合、即座に督促を行わなければなりません。督促中の状態にある請求伝票の件数、金額、内容は、常に経理担当者が検索でき、状況を確認できる状態にしておかなければなりません。したがって、クラウドERPには、督促中の状態にある請求伝票の件数を経理担当者のダッシュボードに表示し、すぐに明細までドリルダウンできる機能が必要です。

資金効率性分析

個々の契約についての請求から入金までを確実に処理する業務プロセスは重要ですが、財務担当者には、資金の全般的な効率を分析し改善をはかることがもとめられます。

資金の全般的な効率を分析するために使用される一般的な指標が売上債権回転率と買入債務回転率です。

売上債権回転率と買入債務回転率

売上債権回転率が高ければ、得意先から速やかに売上代金を回収できており、運転資金を効率的に活用できていることを意味します。一方、買入債務回転率が低ければ、仕入先への代金支払いを猶予してもらっており、その分だけ運転資金の余裕があることを意味します。

回転率ではなく、回転期間で分析する場合もあります。回転期間の指標には、日を基準とするものと月を基準とするものがあります。

回転期間の指標

これらの指標は、同一企業での時系列変化を見たり、同業他社間で比較したり、業種の平均値と比較したりして分析に活用します。

例えば、売上債権回転率(売上債権回転期間)の時系列変化が低下傾向(拡大傾向)にある場合、以下のような原因が考えられます。

(1)取引先の経営状態が悪化し、滞納や手形差し替えが発生している。
(1)取引先の力が強く、支払いサイトが長期化している。

いずれの場合でも、原因は取引先個別の問題にありますので、指標を取引先別に分析し、全体の効率性を悪化させている取引先を特定する必要があります。取引先が特定されたら、その取引先についての、滞納の発生状況や、支払いサイトの変更の有無を確認する必要があります。

クラウドERPには、効率性分析に必要なこれらの指標を計算、表示させ、取引先ごとに詳細を分析できる機能が必要です。

No.1 クラウドERP
ソフトウェア

お問い合わせ(opens in a new tab)
営業担当者とチャット

NetSuiteにご関心をお持ちですか?

チャットを開始