パンチ工業株式会社

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Company at a Glance

パンチ工業株式会社

所在地:
〒108-0075
東京都港区港南2-12-23
明産高浜ビル8階
設立:
1975年(昭和50年)
資本金:
15億7,154万円
従業員数:
3,761名
代表取締役社長:
武田雅亮
事業内容:
金型用部品の製造販売
Webサイト:
http://www.punch.co.jp/

パンチ工業株式会社

東南アジアへのビジネス展開に求められるスピード感に応えるNetSuite OneWorld

1975年創業のパンチ工業株式会社は、金型用部品の製造販売メーカー。「製販一体となった製造直販体制」と「お客様密着型の営業体制」を強みとし、日本と中国を中心に事業を展開、2012年には株式を上場し、さらなる成長を続けています。ものづくりの舞台が、日本から中国、そして新興国へシフトしつつあるなか、同社では、「技術力」をベースに、付加価値の高い製品をグローバルに提供しています。そして2013年には、マレーシアのグループ会社をコアとし、東南アジアへ本格的に進出、シンガポールとベトナムに営業拠点を構えました。その現地事業所で、短期間で業務システムを稼動させるために、NetSuite OneWorldが採用されました。

現地でのIT事情がわからない東南アジアでのシステム構築の課題

パンチ工業株式会社の情報システム推進室長の藤澤宏氏は、同社が東南アジアへの事業展開を推進している背景について、次のように説明します。

「当社では、現在、金型部品業界でのトップブランドの確立と、製版一体企業としての優位性を活かした高収益企業を目指すという企業ビジョンの実現ため、2016年3月期(2015年度)を最終年度とする中期経営計画、バリュークリエーション15に取り組んでいます。その計画の中でも、グローバル化と新市場の開拓は、重要な経営課題となっています。こうした背景から、2013年初頭、マレーシアのグループ会社をコアとし、東南アジアへ本格的に進出、シンガポールとベトナムに営業拠点を立ち上げることになりました。それに伴って、現地へのITシステムの導入と展開が課題となったのです」

藤澤 宏氏

藤澤 宏氏
パンチ工業株式会社
情報システム推進室長

同社の情報システム推進室では、日本と中国に関しては20年以上も前から自社開発の業務システムを運用していました。日本だけではなく、中国でも開発スタッフを育成し、製造業に求められる業務システムを構築していたのです。しかし、新たにシンガポールとベトナムでの事業展開を計画したとき、日本や中国で利用しているシステムが、そのままでは利用できないという問題に直面しました。その理由について、同推進室の桂敏昭担当課長は、以下のように振り返ります。

「会社から与えられたシステムの開発期間が、三ヶ月から四ヶ月という短いものでした。それだけの短期間に、東南アジアで基幹システムを立ち上げたいと要望されたのです。しかし、現地のIT事情がまったくわからず、スタッフのITスキルも未知数で、電力や通信などのインフラがどのようになっているのか、情報がない状態でした。そのような状況で、フルスクラッチで基幹システムを開発することは、不可能だと思われたのです」

グローバルでの通貨対応と運用コストを総合的に評価してNetSuiteを採用

シンガポールとベトナムでの基幹システム構築というミッションを与えられた情報システム推進室では、自社のシステム構築に協力しているベンダーも含めて、広範囲なリサーチを開始しました。

「オンプレミスのサーバを導入して、現地のスタッフで運用や保守を行えるかどうかは、まったく未知数でした。なので、検討の当初からクラウドベースで運用できる基幹システムを導入して、日本からコントロールできる運用体制を構築するべきだろうと考えていました。そこで、日本とグローバルで展開しているクラウドベースの基幹システムを調べたのです。その結果、NetSuiteを含めて何社か候補があがりました」 と桂氏は選定の経緯について話します。

検討の段階では、SAPのクラウドサービスや日本で展開されているクラウド系の基幹システムなども調査されました。

藤澤 宏氏

桂 敏昭氏
パンチ工業株式会社
情報システム推進 担当課長

「クラウドでいこうという結論が出る前に、IT部門だけの判断ではなく、もちろん会社としてどうするのか、一通りの検討や議論は尽くしました。また既存の基幹システムの構築に協力してもらっているベンダーにも相談しました。見積もりなども検討したのですが、最終的にはNetSuiteになりました」と藤澤氏は補足します。

同社がNetSuiteにしようと決めた理由には、クラウドベースであることに加えて、通貨対応のコストパフォーマンスの高さがありました。

「他のクラウドサービスやベンダーの提案を比較したときに、もっとも気になったのは、現地に対応するための多通貨にかかるコストでした。基本的に、NetSuite OneWorldは親会社と子会社の関係で、一つのインスタンスとして対応できるので、複数の国の異なる通貨を利用しても、追加のコストなどはかかりません。ところが、他のシステムでは現地の一社ごとに一つのインスタンスが発生し、その通貨対応にもコストがかかるのです。当初は、シンガポールとベトナムの二社でスタートしますが、今後の展開を考えていくと、通貨を増やすたびに対応するためのコストが増していくのは、望ましくなかったのです。この多通貨対応の柔軟性とコストパフォーマンスの高さも、NetSuite OneWorldを選ぶ決め手になりました」とと桂氏は評価します。

また、機能やコストに対する比較だけではなく、桂氏はカスタマー向けのセミナーにも参加して、グローバルに展開している製造業などの事例講演などを聴講して、自社でも導入できるかどうかを慎重に検討したといいます。

「セミナーに参加したことで、NetSuite OneWorldのカスタマイズの利便性を知って、これならば自由度の高い基幹システムが導入できるのではないかと判断しました」と桂氏は付け加えます。

現地の業務フローやシステムとの刷り合わせを乗り越えて7ヶ月でカットオーバー

NetSuite OneWorldの採用が決まると、2013年5月から基幹システムの導入プロジェクトはスタートしました。当初は、3ヶ月から4ヶ月での完了を予定していたプロジェクトですが、最終的には2013年12月にカットオーバーされました。

「これまでは、国内のITベンダーに委ねる部分の多いシステム構築に慣れていたので、NetSuiteによるスケジュールされたシステム導入は、我々にとってもチャレンジでした。でも、それはあえて挑戦してみようという社風もあって、当初のスケジュールに乗っかって、順調に進めていく計画でした」と桂氏は導入の取り組みについて振り返ります。

しかし、実際にプロジェクトをスタートして現地を訪れてみると、予期していない事態に遭遇しました。

「計画の当初では、現地に何もシステムがないと思っていたのです。ところが、シンガポールもベトナムも、現地のシステムで業務を行っていたのです。これは、想定外でした。特にベトナムでは、国の税制の関係で、現地で使われているシステムでなければ、申請用の書類が出力できない、という問題もわかったのです。またシンガポールでも、こちらであらかじめ用意しておいたNetSuite OneWorldの業務フローでは、現場のスタッフの要望に沿わないことがわかり、システムと業務の両面で、調整して解決することになりました」と桂氏は説明します。

もちろん、現地のローカルなシステムのままでは、日本から受注や在庫などの情報をリアルタイムで確認することができないので、運用の範囲を調整しながら、NetSuite One Worldの導入は進められていきました。

「日本で開発すると、いろいろな意味でベンダーが融通を利かせてくれます。それに対して、グローバルでの展開では日本のような手厚いケアが期待できず、ある程度は自分たちで解決しなければならないと考えてはいました。それでも、実際に導入してみると、その国の事情や現地のスタッフの働き方の違いなどによって、簡単にはいかないことを学びました」と藤澤氏は振り返ります。

ベトナムでは、税制に対応している現地のシステムを稼動しつつ、NetSuite OneWorldにもデータを入力して、日本から数字を把握できるようになりました。シンガポールでは、現地のスタッフの要望に合わせて、画面や入力項目などをカスタマイズすることで、業務に対応する基幹システムを構築しました。

「今回の基幹システムで採用した機能は、セールスと購買に在庫管理、それとロジスティックに会計の一部です。シンガポールと比べると、ベトナムでの導入率は6割くらいにとどまっていますが、今後も現地やグローバルでの情報を集めて、NetSuiteで対応していく方法を検討していきます」と桂氏は導入の結果について整理します。

今後は自社システムとの連携や
さらなる拠点への進出をサポートしていく

「今回のシンガポールとベトナムは、営業拠点としての進出だったので、基幹システムに求められる業務の範囲も少なかったのですが、今後は工場として進出することもあるかも知れません。そのときには、生産管理などのシステムは自社開発のものを現地で稼動させる可能性もあります。そのときに、自社システムとNetSuiteとの連携を考えていかなければなりません」と桂氏は今後に向けた取り組みについて話します。

今回のプロジェクトでは、情報システム推進室にITと英語に精通したスタッフが途中から参加したことにより、現地とのやり取りやシステムのカスタマイズなどが円滑に進んだといいます。

「国内のシステム開発だと、いろいろな部門のスタッフが参加して、意見がまとまらずに構築期間が延びるケースも多々ありますが、今回は情報システム推進室が主体となって、少数精鋭で取り組めたことが、導入を遂行できた理由だと思っています。しかしその反面NetSuiteに精通した人数が限られてしまったため、カットオーバー後のサポート体制の構築が現在の課題です。今後も、東南アジアへの展開は加速していくと思いますので、クラウドベースの基幹システムにおいては、人材の育成や強化も含め、我々が主体となって推進していける体制を構築していきたいと考えています」と藤澤氏は抱負を語ります。

北野 洋一氏

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