日本の製造業から学ぶPeach流コスト削減手法


Peach Aviation

Company

Peach Aviation株式会社

所在地:

〒549-8585
大阪府泉佐野市泉州空港北1番地

設立日:

2011年2月10日

資本金:

75億円1,505万円

代表者:

井上 慎一

Webサイト:

http://www.flypeach.com/
※ 2012年取材

主要株主:

全日本空輸株式会社(38.67%)
First Eastern Aviation Holdings Limited(33.33%)
株式会社産業革新機構(28%)


Peach Aviation株式会社

Peach Aviation株式会社(以下、同社)は、日本初のLCC(Low Cost Carrier/ローコストキャリア)として2011年2月に設立されました。そして、その1年後の2012年3月1日の早朝には、大阪 (関西) - 札幌 (新千歳) 、福岡線を皮切りに就航を開始し、長崎線、鹿児島線、沖縄線へと国内主要都市への運航を短期間で開始するだけでなく2012年5月には海外へ路線を拡大しました。同社は、東アジアを中心にソウル (仁川) 線、香港線、台北 (桃園) 線へと順次路線の拡大を続けています。

同社は、激変する航空業界に新たな息吹を吹きこむべく徹底したコストマネジメントとオペレーションの統一化によりシンプルかつ持たざる低コストの経営を実現させることでお客様に低価格運賃で還元しています。そして、その経営基盤として財務会計システムにNetSuiteを採用しました。今回はその経緯と効果について、同社 財務・法務統轄本部 本部長 岡村 淳也 氏、財務・法務統轄本部 経理部 経理マネージャー 三牧 達也 氏にお話を伺いました。

Peach Aviation株式会社

Peach Aviation株式会社は、日本初のLCC(Low Cost Carrier/ローコストキャリア)として2011年2月に設立され、1年後の2012年3月1日より就航を開始した。

激動の航空業界に新たな息吹

岡村 淳也氏
岡村 淳也氏
Peach Aviation株式会社
財務・法務統括本部
本部長

2012年3月の就航以来、順調にビジネスを拡大している国内初のLCCであるPeach Aviation株式会社(以下、同社)。大阪(関西) – 札幌(新千歳)、福岡線を皮切りに、現在では国内主要拠点に加えて、東アジアを中心にビジネスを拡大しています。近年、不安定な国際金融情勢や円高など先行き不透明な経済状況や原油価格の上昇によるコスト増など、日本の航空業界を取り巻く事業環境は大きく変化しています。そして、このような状況の中で新星のごとく現れた国内初のLCC、 Peach Aviationは、時代のニーズにいち早く対応し私たちの航空の移動手段に新たな選択肢を与えてくれました。その根幹となる戦略や事業拡大のための取り組みに関して財務・法務統轄本部 本部長 岡村 淳也 氏は、以下のように語ります。

Cです。既存の航空会社とよく比較されますが、私たちの目的は、これらの企業に対して安価な運賃を設定して顧客を奪い取ることではありません。人が動くことによって人は出会います。そして交流を通じて人々の結びつきが強くなり相互理解が深まります。私たちは、新しい航空の輸送オプションをご提供することで、東アジア域内において経済や文化の交流を今まで以上に促進させたいと考えているのです。そのために安全面以外で徹底した合理化、シンプル化を行うことで運賃を可能な限り下げることに日々努力しています。」

 

同社では、海外に比べて高いと言われる航空運賃をできるだけ安くご提供するべく、さまざまな取り組みを行っています。その目的は、根本から無駄を排除するという思想なのです。マスメディアなどで放映されているキャビンアテンダントが客室乗務のほかに、カウンターでお客様のご案内などしている光景はほんの一部の取り組みであり、キャビンアテンダントになりたい人ではなく、

サービスをしたい人を採用するのだそうです。なぜ、そこまでコストにこだわるのかを岡村氏は以下のように語ります。

「海外に比べて日本の航空運賃は硬直的と言われています。たとえば4人家族が国内旅行をしようとした場合には、運賃だけで10万円以上かかるでしょう。食事代や宿泊費などをあわせると結構な金額がかかってしまいます。私たちはこれらを安くご提供することでマーケットが一気に広がると考えています。今まで深夜バスや鉄道などを利用していた方々などがLCCを利用し始めています。また、巨大な人口を抱えた東アジア諸国などに目を向けた場合には、安価に設定することで日本への旅行が格段にしやすくなるのです。なるべく多くの人々が、あらたな交通の選択肢であるPeachを通じて幸せになるように私たちは安全面以外で徹底したコストマネジメントに努力しているのです。」

日本の製造業から学ぶPeach流コスト削減手法

三牧 達也 氏
三牧 達也 氏
Peach Aviation株式会社
財務・法務統括本部 経理部
経理マネージャー

同社では、航空業界では当たり前とされていたことを徹底的に見直してコストを削減しています。たとえば航空機で大阪(関西)から韓国(仁川)に行く場合には1時間30分かかります。これは大阪(関西)から札幌(新千歳)に行くよりも近い距離です。しかし、今までの一般常識として前者では国際線のため食事が出ますが、後者は国内線のため食事はでません。今まで議論にすらならなかったような当たり前のことを深考することでコストの見直しを果たしているのです。同社が徹底的に取り組んでいるコストマネジメントの方法論には2つの手法があるといいます。その方法論や考え方に関して岡村氏は以下のように語ります。

「コストマネジメントに関しては数多くの議論がなされました。そして、従来の航空会社では議論にすらならないような根本に疑問をもち徹底的に改良を行いました。そして、それらは2つに集約されます。一つ目は”単価の低減”です。Peachの象徴的な絵ではありますが社員が掃除をするなどの様子がマスコミで取り上げられます。気持ちは非常に大事ですが、これでコストが半分になるかと言えばそうではありません。一方で、2時間かけて議論していたことを1時間に減らし意思決定スピードを向上させ、決定事項、つまりアウトプットを2倍にするということは出来ます。これで生産性向上による単価の低減が実現出来ます。

2つ目は、”固定費の低減”です。航空業界では今まで必要と言われていた顧客囲い込みのためのマイレージや路線ごとの機材、シートの使い分け、複雑な料金体系などを全て排除し、とにかく発想をシンプルにすることで間接コストを削減しています。飛行機を所有するということは固定費をかけることになります。持っているだけでお金がかかるのです。一般的に国内線の場合には、飛行機の稼働時間は一日に7〜8時間と言われています。つまり、1日の2/3 は稼働していないことになります。日本の製造業では24時間工場を稼働させている企業も少なくありません。私たちの目標は日本の製造業のように稼働率を上げることです。一般的な航空会社の場合には、夜に飛行機を飛ばしてもお客様が利用しないのではないかという不安のため飛ばそうとしません。しか

し、需要は掘り起こすものであり、朝早くから夜遅くまで運航を行い、また同じ機材を夜間の国際線に投入することで、機材の稼働率をあげることを私たちは実施しているのです。非常に単純なロジックですが、実はこれがPeachイズムなのです。」

路線や所有機材を増やしビジネスを拡大させながらコスト削減を実現する同社では、事業を運営していく上で重要な経営指標(KPI)や方針を取り決めています。その根幹となる考え方に関して岡村氏に関してお伺いしました。

「この間接固定費5%を維持するために、余計なこと、複雑なことをシンプルにするように常に心がけています。私たちが提供するのはシンプルな素うどんに過ぎません。天ぷらうどんを作るために天ぷら部門を作りません。いなり寿司部門も作りません。しかし、天ぷらは要らないけど素うどんは欲しいというニーズはあります。ただし、海外にはない日本のサービス精神を大事にして、笑顔が売りの素うどん屋さんを目指しています。スマイルのトッピングはもちろん無料ですよ。」

成長企業を支えるNetSuite

システムを「持たない」ことをポリシーとして掲げる同社では、会計システムの選定においてもパブリッククラウドやSaaS(Software as a Service)の活用が前提となっていました。 複数のERP製品を検討した結果、Peachが会計システムの基盤として選定したのはネットスイートのクラウドERP「NetSuite Release J」でした。同社のめざすシステムにもっとも近いクラウドに特化したERPであり、低価格かつ短期間での導入が可能であること、そして将来的な拡張も容易であることが決め手となりました。さらに、独自のカスタムコンフィギュレーション機能により、入力画面やフィールドの変更が簡単な操作で行えることや、分析機能があること、多通貨に対応していることなど、豊富な機能も「NetSuite Release J」選定の大きな要因となりました。Peachでは、2011年8月にシステム構築がスタートし、わずか3ヶ月後の同年11月には導入が完了、現在は順調に稼働しています。「NetSuite Release J」を活用したシステムに業務を合わせることで、標準化・簡素化を行い、担当者の運用負荷を軽減することに成功しました。 岡村氏は、「NetSuite Release J」の導入について次のように述べています。

「NetSuiteはクラウドに特化したERPであり、システムを『持たない』仕組みを作りたいというPeachの要望に合致していました。業務拡大に伴い担当の社員が増えた場合でも、オンプレミス型のソフトウェアと違い電話一本でユーザー数を追加できるので簡単にスケールできるのは大きなメリットです。また、海外路線展開を積極的に進めた場合でもすぐに現地通貨に対応できる多通貨対応機能や、経営にとって重要な情報の多角的な分析機能も備えているため、単なる経理のためのシステムを超えた拡張性に期待してNetSuiteを採用しました。今ではリアルタイムに経営を把握できるため経営陣や株主、社員などにリアルタイムに情報を共有出来るだけでなく迅速な意思決定を実現可能な部分が大きなメリットになりました。」

人と人との交流を通じて愛を加速させることで東アジアNo.1エアラインを目指すPeach Aviation。その経営戦略の根幹を支える経営基盤をNetSuiteが支えているのです。

Peach Aviation

人と人との交流を通じて愛を加速させることで東アジアNo.1エアラインを目指すPeach Aviation。