新興国市場は急速に成長している一方で、市場の不確実性という予測不能なリスクも当然存在します。このため、新興国への販路拡大には、成長機会を捉えて逃さない迅速な事業の立ち上げが必要であり、それを支える経営基盤についても、短期間での導入展開がビジネス需要重要な要件となっています。
そのため、海外拠点の独自の市場性と成長性を見据えたうえで、経営基盤の拡張性を担保しつつ、立ち上げ時の事業規模に合わせた無駄のないスタートアップと、現地のオペレーションに十分な機能を提供し、かつ、短期間に導入展開できるアプローチを選択しなければなりません。
経営基盤の展開に対するニーズも大きく変わりました。今までのような事後的な「会計」中心の展開ではなく、マーケティング、営業活動、販売、購買など、現在進行中のビジネスの適切なパフォーマンス評価や、これからのビジネスの的確な見込みが重要視されるようになりました。
実際のビジネスの現場では事後的な結果よりも、これからのビジネスの見込みを見極める根拠となる、ありのままの正確な数字や生の情報を把握することが重要です。
つまり、意思決定の判断材料を、全社共通の基準で正確かつリアルタイムに把握できることが、経営基盤に求められるようになりました。
また、ガバナンス強化を達成するためには、本社主導で導入プロジェクトを進められるものでなければなりません。導入後も、現地任せにせず、距離的には慣れた本社からでも、必要に応じて十分にコントロールできる経営基盤を選択しなければなりません。また、緊急時における事業継続性を担保しなければならないわけです。
2008年の金融危機以降、全ての投資案件がゼロベースで査定される中、海外への事業展開も、今まで以上に投資対効果がシビアに見られるようになり、より賢い(スマートな)IT投資が求められるようになっております。
ビジネスを支えるIT投資は、情報システム部門や経理部門だけでなく、いまや、経営者、営業、生産、サポート、在庫管理など、全社的な関心事になっています。
新興市場への事業展開の場合、事業立ち上げ時の現地の拠点や規模は、それほど大きなものではありません。
本来のビジネスに不要なハードウェアやソフトウェア、専用線、さらには現地でのIT要員の確保など、IT資産の調達と運用に要するリソースを大幅に削減しつつ、現地のスケールに合わせた最適かつ最小の無駄の無いスタートアップを実現できるアプローチを選択しなければなりません。