SuiteConnect Tokyo 2025 CRMが利益創出装置に変わる。タナベコンサルティングのNetSuite実践事例

2025年7月23日、日本オラクル株式会社主催のイベント「SuiteConnect Tokyo 2025」にて、「営業ツールにとどまらない NetSuite CRM 戦略の実践──顧客起点の全社データ結合で実現する営業・マーケ・経営の変革」をテーマにした分科会セッションが行われました。

登壇したのは、株式会社タナベコンサルティンググループ 上席執行役員コーポレート戦略本部の都築伸佳氏。同社では分断された基幹システムと財務情報をNetSuiteを用いて統合することで、リアルタイムでの経営判断と部門横断の連携を強化しました。

分断されたシステムからクラウドERPへ──SFA/CRM刷新が切り拓いた実践的な経営改革

NetSuite導入以前、同社のシステム環境は、経営層の迅速な意思決定を阻害する大きな課題を抱えていました。主な原因は、3つの基幹システムが分断され、連携できていなかったことです。

thumbnail tanabe consulting

NetSuite導入以前、同社のシステム環境は、経営層の迅速な意思決定を阻害する大きな課題を抱えていました。主な原因は、3つの基幹システムが分断され、連携できていなかったことです。

  • 営業管理のみに使用されていたSFA/CRM
  • フルスクラッチ開発した10個もの基幹システム
  • 経営に必要な利益情報を個別に管理していた財務パッケージ

加えて、全国10拠点から送られてくるExcel集計したデータをまとめてから、毎月経営層に報告するため、リアルタイムでの経営状況把握や迅速な意思決定は不可能でした。

この状況を受け、経営層と各部門が連携し、SFA/CRM刷新を起点とした全社ERP導入の検討を開始します。検討の際に重視したのは、営業力を強化できるSFA機能、確立されたパッケージフレームワーク、そして洗練された設計思想を備えていることでした。これらの条件を満たすクラウド型ERPとして、最終的にNetSuiteを採用しました。

NetSuiteがもたらした「全社改革」の成果と部門横断の連携強化

NetSuite導入後、同社の業務プロセスは大きく進化しました。日々のトランザクションデータがリアルタイムで集約され、毎月のExcel集計作業は不要に。売上や利益を含む実績データを即座に経営層へ届けられる体制が整い、データドリブン経営が可能になりました。

このシステム改革は、組織の役割にも波及しました。会計処理が中心だった各事業所のサポートメンバーは、NetSuiteを活用してマーケティングや営業活動を支援する役割へと移行。その結果、商談発生率と契約数がともに増加し、営業成果の拡大に繋がったのです。

さらに、都築氏は「Oneプラットフォーム」による業務一体化の効果を強調します。NetSuiteとMA(マーケティングオートメーション)の連携強化により、部門間の情報共有が格段に向上。マーケティング部門が獲得したリード情報を営業・コンサルティング部門が即時活用できるようになり、全社視点での意思決定が実現しました。

こうした取り組みにより、「顧客接点の強化」と「業務プロセスの効率化」を同時に達成しました。特に、全社的な視点で顧客接点を再定義し、プロセスを再設計したことが、顧客体験価値と業務生産性の双方を高める決め手となったと都築氏は語りました。

CRMを「利益創出装置」に変えるダッシュボード活用方法

タナベコンサルティングは、CRMを単なる管理ツールではなく「利益創出装置」と位置づけています。データ活用を強化するため、NetSuiteに蓄積される情報をもとに独自のダッシュボードプラットフォームを構築。このプラットフォームは、日々蓄積されるトランザクションデータを可視化し、戦略的な営業活動や業績先行管理による経営判断を支援しています。現在は13カテゴリー・90項目にわたる指標を運用しており、毎月の経営会議でも、このダッシュボードの情報をもとに対策を決定しています。

都築氏は、データドリブン経営を機能させるには、経営層と現場が「同じダッシュボードを見る文化」を築くことが不可欠だと強調します。この共通基盤こそが、迅速かつ戦略的な意思決定を支えていると述べました。

また、講演では、NetSuiteのSFA/CRM機能で特に効果が高かった10項目も挙げられました。

  1. 営業活動の可視化(予実管理・売上予測機能
  2. 商談管理(リードからクロージングまで営業プロセスを一元管理)
  3. 顧客情報の一元管理(コンタクト履歴、顧客属性情報など)
  4. タスク・ToDo管理(リマインダー機能含む)
  5. マーケティング連携
  6. コミュニケーション履歴の蓄積と活用
  7. 顧客満足度・フィードバック管理
  8. ワークフロー・承認プロセスの自動化
  9. カスタマイズ性・拡張性
  10. モバイル対応

これらの機能やカスタマイズ性をフル活用することで、NetSuiteはSFA/CRMの領域でも十分に機能すると結論づけました。加えて、NetSuiteのユーザーインターフェースのなかでも、特に「URLリンク機能」が優れているとも言及しました。この機能は顧客データや商談ごとにユニークなURLが発行できるというもので、メンバー間で容易に情報共有ができます。その結果、ダッシュボードから即時に詳細を確認できる点が非常に有効であるとも語っていました。

企業の競争力を高める「変革の第一歩」としてのERP導入

さらに都築氏は「ERPシステムの導入は、単なるシステムの切り替えではなく、企業の成長戦略を支える変革の第一歩」と話します。「時間とコストはかかりますが、その先に得られる成果は企業の競争力を飛躍的に高め、持続的な成長を実現するための大きな力となります」と講演を締めくくりました。

NetSuiteでは、お客様の業務課題に合わせた導入支援や活用のご相談を随時受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

NetSuiteのイベントに興味がありますか?今すぐ登録して、最新情報をいち早くお受け取りください。

詳細はこちら(opens in a new tab)
営業担当者とチャット

NetSuiteにご関心をお持ちですか?

チャットを開始