2024年7月17日、日本オラクル株式会社主催のイベント「SuiteConnect Tokyo」にて、「グローバル市場における成長戦略と ERP 活用」をテーマにしたパネルディスカッションが開催されました。モデレーターは、NetSuite事業統括 アカウント営業本部 統括本部長の福宮友和。登壇したのは、日本発のデジタルプラットフォーマーとして急成長を遂げているAnyMind Group社の牛山隆信氏とDEGICA社の大澤慧氏です。
このセッションでは、両社のグローバルマーケットにおける成長戦略を振り返るとともに、ビジネスの急成長や環境変化に対応するための基幹システム構築について、具体的な成功事例やチャレンジについて紹介されました。
最初に、今回登壇したAnyMind Group社/DEGICA社の事業領域と成長について、牛山氏、大澤氏から、それぞれ説明が行われました。
AnyMind Group社は、2016年にシンガポールで創業。わずか8年で15カ国23拠点まで事業を拡大させている企業です。昨年度の売上は334億円に達し、従業員の7割が海外拠点のスタッフという、まさにグローバル企業へと成長しました。売上高は平均で51%の成長率を維持。アジア市場でテクノロジーカンパニーとしてナンバーワンを目指し、マーケティングやEC関連のプラットフォームを提供しています。
一方、DEGICA社は、決済代行サービス「KOMOJU」を主に運営しています。決済取扱高は直近の四半期で過去最高を更新し、前年同期比で約2倍の伸びを記録。EC事業者向けに包括的な決済ソリューションを提供し、複雑な決済処理を一元管理することで、顧客の本業への集中をサポートしています。Francfranc、Steam、オリオンビールなど、主要なEC事業者からの支持を集め、急速に事業を拡大しています。
両社ともに急成長を遂げる中で、NetSuiteを導入した理由について問われると、DEGICA社の大澤氏は、複雑な決済処理や多通貨対応、監査対応の効率化などを主な導入理由として挙げました。
「NetSuiteは処理能力や拡張性、柔軟なカスタマイズ性能が決め手となりました」(大澤氏)
導入後の効果として、大澤氏は「監査対応の工数が大幅に削減され、本業にフォーカスできるようになった」と紹介。また、「データの一元管理により、経営判断のスピードが向上した」点も強調しました。
一方、AnyMind Group社の牛山氏は、導入理由としてグローバル展開に伴う課題解決を挙げます。
「M&Aや新規進出により増加する法人の一元管理、各国での事業展開に伴う複数通貨の管理、そして連結決算の効率化が重要な要素でした」(牛山氏)
特に月次決算にかかる期間が、20〜25日から10〜15日へ短縮されたことを具体的な成果として挙げています。さらに導入したことによる効果について、意思決定のスピードが大幅に向上したと話し、各国の事業状況をリアルタイムで把握し、迅速な経営判断が可能になった点を高く評価していました。
M&A後の統合プロセスの効率化にも繋がっているとのことで、「NetSuiteとオペレーションを標準化することで、新規参入企業のグループへの統合がスムーズになった」と話していました。
また、両社とも、グローバル展開においてERPが果たす役割の重要性を指摘しました。AnyMind Group社の牛山氏は、「同じビジネスを異なる地域で展開する中で、各国の成功事例や課題を即座に把握し、グループ全体にフィードバックできる点が非常に有効です」と述べました。
DEGICA社の大澤氏も、「海外展開時の規制対応や、新たな決済手段の導入など、ビジネスの拡大に伴う変化にも柔軟に対応できる点が魅力です」と語りました。
最後に、両社の今後の展開とNetSuiteへの期待について議論が行われました。
AnyMind Group社は越境EC事業の拡大に注力しており、在庫管理機能の強化を検討しています。牛山氏は「NetSuiteの拡張性と多機能性が、今後の事業展開を支える重要な要素になる」と期待を寄せました。
DEGICA社は、オフライン決済や法人カードなど、新たな領域への進出を視野に入れています。大澤氏は「NetSuiteを中心としたシステム連携の強化が、今後のグローバル展開において重要になる」と述べました。特に、ヨーロッパや南米など新たな市場への展開を控え、各国の規制に対応しつつ、効率的なオペレーションを実現する上でNetSuiteの役割は大きいと強調しました。
モデレーターを務めた福宮は、最後に両社の成長速度に言及し、「今日聞いてくださっている皆様は成長の速度に大変驚かれたと思います。さらに日本のローカライゼーション、含めてさらにご支援する体制を我々も整えてまいりたいと思います」と今後の展望を語りました。
グローバル市場での急成長と、それを支えるERP戦略。AnyMind Group社とDEGICA社の事例は、日本企業の可能性と、それを支援するテクノロジーの力を示す貴重な例となりました。今後、さらに多くの日本企業がグローバル展開を加速させる中で、NetSuiteのような統合型クラウドERPの重要性はますます高まっていくでしょう。
NetSuiteは今後も日本市場で企業のビジネスを支えるために進化を続けていきます。NetSuite LOFTを初めとするオフラインイベントはもちろん、その他のオンラインイベントなどもご利用いただき、企業の課題やお悩みについてお気軽にご相談ください。