Shopify × Oracle NetSuiteセミナーECビジネスの未来を拓くDX戦略 。ShopifyとNetSuiteの連携が生み出す新たな価値

ECを加速する。DX化の成功事例が登場

2025年2月27日、東京・オラクル青山センターにて、Shopify Japan株式会社、日本オラクル株式会社、株式会社ウェブライフの共催で「Shopify × Oracle NetSuiteセミナー『ECビジネスを加速する真のDXとは』」が開催されました。

本セミナーは、ECビジネスの持続可能な成長を実現するためのフロントエンド(顧客との接点)とバックエンド(内部業務)の連携強化をテーマに、2部構成で実施。前半はShopify Japan株式会社のシニアビジネスデベロップメントマネージャー 泉貴文氏と日本オラクル株式会社NetSuite事業統括シニアディレクター アカウント営業本部 本部長 福宮友和が登壇し、ShopifyとNetSuiteの統合ソリューションについての紹介を行いました。

第二部では、オーガニック化粧品ブランド「john masters organics」を展開する株式会社ジョンマスターオーガニックグループ カスタマー・デジタル推進部 Director 一ノ瀬光裕氏と株式会社ウェブライフ代表取締役 山岡義正氏による事例紹介とERP連携の最前線についての講演が行われました。

世界で活躍するShopifyとNetSuite

第一部では、ShopifyとNetSuiteそれぞれのプラットフォームの特徴と、両者を連携させることのメリットについての解説が行われました。

2006年にカナダで創業したShopifyは、175か国以上で利用されており、特に日本から世界へのクロスボーダービジネスを展開したい方に選ばれているサービスです。

「消費者は現在、店舗で商品を見てからマーケットプレイスで購入したり、SNSでインフルエンサーの推奨を見てから購入したりと、様々な場所で購買活動を行っています。Shopifyはすべての接点で販売できるプラットフォームを提供しています」(泉氏)

Shopifyには、店舗POSシステム「Shopify POS」を通じたオンラインとオフラインの在庫統合、AmazonやWalmartなどのグローバル小売企業との連携、YouTube、TikTokなどのSNSプラットフォームとの連携機能などがあります。現在、多くの事業者が2つ以上の販売チャネルを活用しており、Shopifyはそれらを効率的に管理するプラットフォームとして機能しているのです。

さらに、グローバルでは14,000以上、日本発のアプリでも500以上あるShopifyのアプリエコシステムについても触れました。泉氏はこのシステムをスマートフォンに例え、「必要に応じてアプリを追加し、いらなくなれば削除できるという柔軟性が特徴」と説明しました。

続いて福宮から、財務会計はもちろん、購買在庫プロジェクト管理など、企業運営に必要な機能がすべて最初から組み込まれているERPシステム「NetSuite」の紹介が行われました。

「ERPというと導入が困難という話をよく耳にしますが、NetSuiteは導入期間が非常に短いのが特徴です。通常6〜9ヶ月、短いケースでは1ヶ月半程度で導入が完了するものもあります」(福宮)

ビジネスを加速する。ShopifyとNetSuiteとのパートナーシップ

続いて、両プラットフォームの連携について具体的な説明が行われました。

2021年からShopifyとNetSuiteは公式のパートナーシッププログラムを開始しており、2022年にはNetSuiteのアプリストアで「NetSuite Connector」が公開されました。このコネクターは、ShopifyとNetSuite間のデータ連携を自動化するためのツールで、基幹システム間の統合を大幅に簡素化します。

「基本的な連携は、このNetSuite Shopifyコネクターを導入するだけで、すぐに実現できます」(泉氏) ShopifyからNetSuiteへの商品マスター、在庫情報、注文データの連携が標準機能として提供されており、カスタマイズが必要な部分については、パートナー企業のサポートを受けながら進めることができるのです。

一方、福宮は財務管理の視点から連携のメリットを強調しました。

「ShopifyでECサイトの売上や在庫は管理できますが、細かい経理処理や会計管理となると専門のシステムが必要です。特に海外展開する企業では、国ごとに異なる財務会計制度に対応する必要があります」(福宮)

また両氏は、企業の成長に合わせたシステム導入の重要性も指摘しました。スタートアップ段階では個別のシンプルなシステムで十分でも、成長していく中で各システムとのデータ連携に課題が生じます。そうなったときこそ、ERPによる統合管理の価値が高まると言います。

  1. 初期段階:機能特化型の個別システムでコスト効率を優先
    スピーディなビジネス立ち上げのために必要最小限の機能に絞った個別システムを採用する段階。
  2. 成長期:プラットフォーム型のSaaSソリューションへと移行することで拡張性を確保
    事業規模の拡大に合わせて、プラットフォーム型のSaaSソリューションを導入し、多様化する顧客ニーズに柔軟に対応する段階。
  3. スケールフェーズ:データ統合によるビジネスインテリジェンスを強化
    各システムから収集されるデータを統合・分析し、経営判断の精度を高め、戦略的な成長を実現する段階。

「海外展開する際に必要な各国の会計基準への対応についても、NetSuiteは最初から多通貨・多言語対応を備えており、急速な成長を遂げるスタートアップにとって理想的な選択肢となっています」(福宮)

最後に、古いECシステムの刷新に関する事例も紹介されました。バックエンドシステムは比較的スムーズに進化していても、ECの仕組みが古くなり使いづらくなっているケースがあります。そういった場合に、Shopifyへの移行と同時にNetSuiteとの連携を検討することで、フロントエンドとバックエンドの両方を最新化できるという提案がなされました。

第二部ではECビジネスを取り巻く環境変化とデータ統合の重要性を強調

第二部では、株式会社ジョンマスターオーガニックグループの一ノ瀬光裕氏と株式会社ウェブライフ代表取締役の山岡義正氏が登壇し、実際の導入事例と連携のメリットについて詳しく解説しました。

山岡氏はまず、現在のEC市場の状況について、「コロナ前から後の変化として、ブランドロイヤリティが39%ダウンしている」と話します。顧客が特定のブランドに対して長期にわたり好感を抱き続ける確率が減少している一方で、顧客獲得コストは60%アップしていると紹介しました。

「顧客の継続的なライフタイムバリューを確保するためのコストが大幅に上昇しています。デジタルマーケティングだけでなく、実店舗とオンラインの両方を統合し、国内外を視野に入れた戦略が必要です」(山岡氏)

山岡氏によれば、実店舗とオンラインのデータを統合することで、リピート購入確率は75%向上し、平均単価も15%、顧客継続率も10%向上したといいます。また、注文処理コストも10%削減できるというデータも出ているとのことです。

システム統合による顧客サポート改善と業務効率化

続いて一ノ瀬氏から、株式会社ジョンマスターオーガニックグループの会社概要と事業展開についての紹介が行われました。1994年にニューヨークのサロンでスタートした同ブランドは、国内においては主に、約40店舗の実店舗、EC、卸の3チャネルでビジネスを展開しています。同社がShopifyとNetSuiteを導入した背景には、システムの乱立による複雑な連携という問題があり、ECの基盤とERPの基盤を、それぞれ約1年かけて刷新しました。この取り組みは、顧客サポートの観点でも大きな改善があったと話します。

「以前は『注文したけど届かない』といった問い合わせが多く、カスタマーサポートチームは対応に追われていました。物流チーム、ECチームなど複数部署が連携して解決する必要があり、夜遅くまで対応することもありました。システム統合後は、こうした問題が大幅に減少し、健全な状態になりました」(一ノ瀬氏)

ECとERPの統合にあたり、注文データや在庫データの安定的な同期を実現することで、障害対応や問い合わせ対応の負荷軽減に成功しました。それに伴い、業務管理の精度も向上し、従来手作業で行われていたデータ管理業務の大幅な効率化を実現しています。特に、ShopifyとNetSuite間のデータ統合を円滑に進めたことで、バックオフィス業務全体の品質向上に大きく貢献しました。

「自社カスタマイズと標準機能の選択について、お客様ごとに自社カスタマイズを多用するケースが多いですが、それがボトルネックになりがちです。ShopifyとNetSuiteの標準機能やアプリで対応できる部分は極力それを活用し、必要最小限のカスタマイズにとどめることで、データの質と安定性が向上します」(山岡氏)

また、システム選定においては、日本国内だけでなく、グローバル展開も見据えた視点が重視されました。今回の統合により、実店舗とEC店舗の顧客データを一元管理できる体制が整備され、チャネルを問わず、顧客が自身の購入履歴を確認できる環境も実現。これにより、より精度の高いデータに基づくCRM施策が可能となり、さらなる顧客体験の向上につながっています。

一ノ瀬氏は、こうした取り組みを「真のオムニチャネル実現への一例」と位置付けています。

「EC店舗の世界も実店舗も、「当たり前に」1人のお客様として統合的に捉えることができるようになりました。これからは、この整理されたデータに基づいてPDCAも回しながらき、より多くのお客様とより長く、より良い関係を築いていくとが大きな課題であり、チャレンジです」(一ノ瀬氏)

ECビジネスの持続的成長を支える真のDX

ECビジネスにおける真のDXとは、単にフロントエンドやバックエンドのシステムを個別に刷新するだけでなく、それらを統合し、顧客視点と業務効率化の両方を実現することであるという示唆が得られました。特に、ブランドロイヤリティの低下や顧客獲得コストの上昇といった課題に直面する現在のEC事業者にとって、データ統合による顧客理解の深化と業務プロセスの効率化は、持続可能な成長のための重要な鍵となるのです。

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