日本オラクル株式会社は2024年5月22日、Oracle NetSuiteカスタマーミートアップを開催しました(東京・青山)。このイベントでは、日本オラクルの渋谷由貴(NetSuite 事業統括 カントリーマネージャー)や株式会社メルカリの伊藤太郎氏(Digital Center of Excellence)らが登壇し、まもなく日本で20年目を迎えるNetSuiteの魅力と今後について語りました。
渋谷は、ミートアップの冒頭でユーザー企業への感謝の意を述べた後、「クラウドERPの手軽さを活かし、日本の成長企業のビジネスリーダーのために経営課題を解決し、企業価値を最大化する」というNetSuiteの新たなミッションを発表しました。これを実現するのがNetSuiteの特徴である「シンプルデータ」「拡張性・柔軟性」「グローバル対応」「堅牢なセキュリティ」です。
「企業は常に同じではありません。数年後には大きくなり、海外展開を視野に入れる場合もあるでしょう。そのような変化に対応し、常に企業ビジネスをサポートできるプラットフォームがNetSuiteです」と渋谷は説明しました。
OracleのCEOを務めるサフラ・キャッツは、今年4月の来日時に、日本への1.2兆円の投資を発表しました。これは、Oracleのクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)やAI技術の強化を意味しています。この投資により、OCI上で動作するNetSuiteは技術の進化を享受し、ユーザー企業にもその価値を提供することが期待されます。
そうした背景のもと、今回、渋谷はお客様への提供価値として「ユーザー企業の事業拡大を支えるソリューションを提供し続ける。その実現のためにカスタマーサクセスに注力していく」と強調。特にエンゲージメントの強化、ユーザーコミュニティの活性化、サポートサービスの向上を通じて目標を達成すると示しました。
続いて、NetSuite事業統括 アカウント営業本部 事業本部長の福宮友和が、NetSuiteの今後の展開について話しました。福宮は「お客様の成功にコミットして、信頼されるアドバイザーになること」が重要だとし、対面でのコミュニケーションの強化について言及しました。
具体的には、ミートアップを四半期に一回開催することに加え、NetSuite社員と対面で質問しながら自習できる機会を毎月開催し、NetSuiteに関する疑問解決やスキルアップ、信頼の構築を図ります。福宮は「NetSuiteのサポート体制はまだまだ改善できると感じています。これらを通じて今後も取り組みを強化していきます」と付け加えました。
これを受け、同日に開催された対面相談会に参加した医療機器メーカーのカールストルツ・エンドスコピー・ジャパン様からは、「まだNetSuiteを使い始めて日が浅いのですが、今日参加したことで機能の理解を深められ、課題が明確になりました。次回も参加したいです」との感想をいただきました。
NetSuiteのユーザーはどのようなきっかけでNetSuiteを使い始め、どのような期待を持っているのでしょうか。NetSuiteユーザーであるメルカリの伊藤太郎様(Digital Center of Excellence)にご登壇いただき、NetSuiteの導入背景や活用方法、そして将来の展望についてお話を伺いました。お相手は、NetSuiteの福宮友和が務めました。その対談の模様です。
(伊藤様)メルカリがNetSuiteを導入したのは数年前、グローバルにビジネスを拡大したいと思っていた時期でした。様々な地域で使えるポテンシャルがあるツールを比較し、特にUSでデファクトスタンダードとなっているグローバルなツールであることから、日本だけでなく海外でも利用できるのが最大の理由です。
(伊藤様)クラウドでサクサク動くERPは意外に多くないと感じています。他のERPも使ってきた感想ですが、NetSuiteはシンプルなUIで使いやすく、クラウドベースであることが強みですね。
一方で、米国での事例などと比較すると、日本では標準での連携システムや他システムとの連携事例があまり発表されていない点が課題です。例えば、メルカリはコミュニケーションにSlackを用いており、Slackと連携できるかどうかが非常に重要視されています。このように他システムとの連携の充実さを気にする企業は多いと思います。
(伊藤様)製品自体はとても使いやすいのですが、サポートサイトなどシステム以外の部分で使いづらさを感じることがあります。今後はその改善に期待しています。NetSuiteは、米国ではデファクトスタンダードと言える存在なので、日本でもそうなるポテンシャルがあると思います。
「連携」についてですが、今は多くの企業が複数のシステムを組み合わせて利用しており、システム連携の質はとても重要です。しかし、日本の製品と簡単に連携できる環境がまだ整っていないのが現状です。そうした部分が充実すれば、もっと選ばれる存在になると考えています。
(伊藤様)社内外の変化に対応するため、メルカリではBest Of Breed(注: 様々な製品の中で、各分野で最も良いものを選択し、組み合わせること)に基づいて、アーキテクチャーを常に見直し、実際に幾つかのシステムの入替や統廃合を実施してきました。 我々のような戦略を取る企業は増えていると思うので、システム連携の充実度を気にする企業は多いのではないでしょうか。弊社では、システム連携が弱いと社内レビューを通らず導入しなかったり、廃止していく可能性もあります。
(伊藤様)メルカリでは他社SaaSも利用しているのですが、社内の人材育成に必要なトレーニングやコンテンツが、非常に充実している製品が多いです。また、コミュニティの重要性も感じています。日本市場におけるNetSuiteの価値を高めるためには、カスタマーの声を届けることが重要だと思います。日本オラクルの方々には本国と密なやりとりを行い、その中でVOC(Voice of Customer)を届けていただきたいですね。メルカリでもユーザーの皆様から多くのVOCをいただき、その量や質を考慮し、仮説を立てて検証しています。実際に使っている人の声が一番影響力がありますから。
(伊藤様)NetSuiteに関しては日本法人のマネジメント体制が変わったことで「大きなチャンスがきたな」と感じています。というのも、以前よりも私たちユーザーの声が届くようになったという実感があり、実際にNetSuiteのエコシステムが強化されています。。このトレンドを益々強化して、NetSuiteへの投資対効果を一緒に10倍、100倍にしていけると嬉しいです。
データドリブン経営という言葉が一般的に使われるようになりました。しかし、単にシステムを導入するだけでこれが実現できるわけではありません。各ステップでどのような取り組みが必要なのか、そしてNetSuiteにはどのような機能があるのか、弊社の中島尭之(NetSuite事業統括 コンサルティング本部 Managing Principal Consultant)が解説しました。
「データドリブン経営の一歩目がシステム導入であり、三歩目が実際のデータ活用であるとすれば、二歩目は何でしょうか。それは“できることを試してみる”ことです」と中島は説明します。できること、できないことを整理し、何を達成したいのかを明確にすることで、プロセスの混乱を防ぐことができます。この中で、NetSuiteでどのようなことができるのかを“試して”みることが重要です。
「データドリブン経営で要となるのはダッシュボードです。NetSuiteは統合型クラウドERPであり、リアルタイム性と正確性を実現しています。これにより経営判断の迅速化が可能になり、経験や勘に頼らない経営が実現できます」(中島)
中島はデモの中で、グラフやKPIの表示方法、収益や費用、受注状況の入力方法、その他インサイト取得に向けた設定方法といった基礎的なものに加え、これらのデータを統合的にまとめ、ビジネスに有益な情報を取得するための基本操作を説明。さらに、データドリブン経営の二歩目を成功させるために「まずは自分向けに作ってみる」「便利なものをチームに展開してみる」「経営層向けのダッシュボードを作る、または作らせる」ことが重要だと述べました。
最後に中島は、「“Wants”より“Can”を先に理解しましょう。そのためには実際に動かしてみることが大切で、動かすためには時間が必要です。ミートアップやコミュニティなどを利用し、直接課題を解決していくことが、データドリブン経営を成功させる近道です」と締めくくりました。
NetSuiteカスタマーミートアップの最後には懇親会が行われ、NetSuiteの関係者とユーザーがそれぞれの思いを話し合う姿が見られました。懇親会の冒頭には、NetSuiteユーザーであるグラフィックパッケージングインターナショナル株式会社の大島祥生様が登壇し、自身のNetSuite導入にまつわる経験や今後の抱負を語っていただきました。大島様は、社内システムの“ガラパゴス化”をモダナイズする役割を担い、NetSuite導入の成果が認められ、社内でも表彰されました。
「成功談や失敗談を共有することが大切で、それらを通してNetSuiteの導入がさらに広がっていけばと思います」(大島様)
NetSuiteは今後も日本市場で企業のビジネスを支えるために進化を続けていきます。ミートアップを初めとするオフラインイベントはもちろん、その他のオンラインイベントなどもご利用いただき、企業の課題やお悩みについてお気軽にご相談ください。