対談する株式会社ヤモリ代表取締役の藤澤正太郎氏と日本オラクルの渋谷由貴

経営のリアルを共有する、新たなコミュニティ

NetSuiteが新たに立ち上げた、経営者・役員向けの「経営者コミュニティイベント」。その第1回が、2026年7月8日に開催されました。

テーマは「新規事業の開発」です。日本オラクル株式会社 常務執行役員 NetSuite Japan カントリーマネージャーの渋谷由貴がファシリテーターを務め、空き家再生事業などを手掛ける株式会社ヤモリ(新しいタブで開きます)代表取締役・藤澤正太郎氏をゲストスピーカーに迎えました。

新規事業の成長を支えるNetSuite

本イベントを主催する日本オラクルが提供するNetSuiteは、財務、受発注、在庫管理など、企業の基幹業務を統合して管理するクラウドERPソフトウェアです。新規事業の立ち上げや事業拡大に伴って複雑化する業務とデータを把握し、組織全体で事業を運営するための経営基盤づくりを支援します。

一方、新規事業を成長につなげるには、経営基盤に加え、市場の可能性や事業機会を見極め、迅速に意思決定することが重要です。そこで本イベントは、経営者・役員が実際の経営課題や意思決定について率直に意見を交わす場として企画されました。新規事業開発で実績を重ねてきた藤澤氏が、自身の経験をもとに市場の見極め方と判断について語りました。

なくならない市場をどう選ぶか──ヤモリ創業の原点

新規事業開発について語る株式会社ヤモリ代表取締役の藤澤正太郎氏

藤澤氏は2019年のヤモリ創業まで、約9年間にわたり三菱商事で新規事業開発に携わってきました。独立にあたり最初に考えたのは、「どの課題を解決したいか」ではなく、「将来にわたってニーズがなくならない市場はどこか」でした。その問いから、不動産市場に行き着いたといいます。

「人が暮らす限り、『住』というニーズはなくなりません。まずは市場そのものがなくならない領域を選び、その中でどのような価値を提供できるかを考えました」と藤澤氏は振り返ります。

異業種出身だからこそ、住宅、オーナー、管理会社、建設会社、不動産金融など、業界全体を広く見渡し、それぞれのつながりやボトルネック、十分に価値が提供されていない「ホワイトスペース」を見出してきました。渋谷も、異業種の企業を引き合わせることで、新しい発想やイノベーションが生まれるケースを数多く見てきたと紹介しました。

不動産業界でも、オンライン化やデータ活用を通じた新たな顧客体験づくりが進んでいます。不動産業におけるテクノロジー活用の広がりは、従来の業界構造に新たな可能性をもたらしています。

「不動産の民主化」を掲げる3つの事業

経営者コミュニティイベントで質問する日本オラクルの渋谷由貴

ヤモリは「不動産の民主化」をビジョンに掲げ、不動産オーナー向けクラウドサービス「大家のヤモリ」、空き家再生賃貸事業、単身高齢者向け見守りIoTサービス「みまもりヤモリ」を展開しています。

「利益はもちろん必要ですが、それだけを追い続けると会社も社員も息切れしてしまいます。短期的な収益だけでなく、会社が社会に対して果たす役割を軸に意思決定することが、組織としてぶれないための指針になっています」

こうした取り組みは行政との連携にも発展しています。藤澤氏は、地道な活動や前職時代からのつながりが、新たな案件や連携につながっていると振り返りました。渋谷も、「人とのご縁は、思いもしないところで将来につながることがあります。だからこそ、一つひとつのつながりを大切にしたいですね」と応えました。

AIで変わった「開発速度」と、変わらない意思決定の重み

対談では、生成AIが新規事業開発にもたらす変化も話題となりました。藤澤氏は、以前であれば半年以上を要したプロダクト開発が、最新のAIを活用することで約2週間で形になるケースもあると紹介します。

「直近1〜2カ月で、その開発スピードは体感で7年前の50倍近くにまで加速しています」

一方で、技術によって「つくる力」が高まるほど、それをどの市場で、どのような事業として成長につなげるかという経営判断の重要性は増しているといいます。開発の速度が上がるからこそ、事業側にも意思決定と実行の速度が求められます。

AI時代の競争力は「データ」で決まる

経営者コミュニティイベントで対談する藤澤正太郎氏と渋谷由貴

藤澤氏が繰り返し強調したのが、データの重要性です。

「AIそのものは、多くの企業が同じように活用できる時代になります。本当の競争力になるのは、どのようなデータを、どれだけ蓄積してきたかです」

ヤモリでは、物件情報、賃料、融資などのデータを蓄積し、賃料分析や物件評価、空き家再生事業に活用しています。一方で、現場に過度な負担をかけないことも重視し、「なるべく既存のやり方に負荷をかけない形で蓄積できる仕組みを設計することから始めています」と藤澤氏は語りました。

渋谷も、AIを活用するうえでは基盤となるデータの質が重要だと指摘しました。例えば、同じ「在庫」という言葉でも、調達部門と経理部門で定義が異なれば、適正在庫数や生産数、調達部品数の判断は適切とは限りません。その結果、生産過多や部品の欠品、売上減少、機会損失につながる可能性があります。

「AIが導き出す答えの精度は、その基となるデータの質に左右されます。地道な取り組みではありますが、部門間のデータの不整合を解消し、同じ定義・同じ粒度で整備することが、AIによってもたらされる価値を最大化します」と渋谷は説明しました。

データと意思決定が、企業の未来をつくる──NetSuiteが支える、成長企業の経営基盤

渋谷は、経営層だけでなく現場の従業員も必要な情報にアクセスし、それぞれが迅速に判断できる環境を整えることの重要性を語りました。

「データに基づいて判断するのは、経営層だけではありません。現場の従業員にも経営層と同じ解像度のデータを共有し、それぞれが迅速に意思決定できる環境を整えることが、AI時代のスピードに追随するために重要です」

藤澤氏も、「一部の情報だけを見て判断すると現場が疲弊してしまうため、信頼できる同じ情報源をもとに、組織のすべてのレイヤーが行動を変えられる状態を目指しています」と、自社での取り組みを紹介しました。

渋谷は、「本当に使うものだけを、目的意識を持って収集することが大切です」とも述べました。最後に渋谷は、「新規事業では、将来にわたって需要が続く市場を見極め、その中にある顧客課題や事業機会を捉えること、そして成長企業ほど、経営者だけでなくメンバー全員が同じ情報を共有できる環境づくりが重要であることを改めて学びました」と、この日の対談を振り返りました。

新規事業への挑戦を継続的な成長につなげるには、変化に応じて事業を運営し、必要な意思決定を行える経営基盤も欠かせません。Oracle NetSuiteは、財務、受発注、在庫管理などの基幹業務を統合するクラウドERPとして、新規事業の迅速な立ち上げや、事業の拡大に伴う財務連結といった、成長企業の課題への対応を支援しています。

イベント終了後のネットワーキングでは参加者同士が活発に意見を交わし、同じ課題意識を持つ経営者が交流する機会となりました。他のイベントの開催報告は、イベントレポートと事例ページでもご紹介しています。

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