Krushal Shah氏|Stoddart Group
Stoddart Groupは住宅建築業界向けに製品の供給および施工するオーストラリアの大手企業です。60年以上にわたって、顧客の美しい家づくりをサポートしています。約600人の従業員と31の支店があり、オーストラリアの建築業者上位20社のうち17社と取引がある同社は近年急成長を遂げています。
Stoddart社は自社のテクノロジー戦略を見直す必要性があることに気付いていました。そこで同社は、新しいERPシステムを含む業務変革を主導する担当者としてCIOにKrushal Shah氏を迎えました。Stoddart社は2年前にNetSuiteを導入し、その導入以来、ビジネス全体の効率化に加え、在庫のきめ細かい可視化、財務レポートの作成の自動化、新しい予測機能などを実現しています。
CIOがどのようにビジネス・リーダーとなったのか、オンプレミスERPとクラウドERPシステムの比較、現代の職場における対人スキルの重要性などについて、Krushal Shah氏に話を伺いました。
“今日のCIOはもはやテクノロジー・リーダーではなく、ビジネス・リーダーだと思います。私が重視しているのは、関係者や顧客にビジネス価値を提供することです。” Krushal Shah氏 Stoddart Group, CIO
Krushal Shah: 私の役割は、Stoddart Groupがテクノロジーによってどのようなメリットを実現できるかを見極め、それを支援することでした。4年前に入社した当時、日常業務という観点で、当社は「テクノロジー主導」ではありませんでした。私が加わった後に行う必要があったのは、業界と組織の現状を理解し、テクノロジーによってオペレーションを合理化して戦略的な成長を実現するためのプランを用意することでした。
Shah: 私はテクノロジーおよびプロジェクト管理オフィス(PMO)の部門を担当しています。組織戦略の策定に加えて、テクノロジー部門と戦略の実装をサポートするPMO部門とのオペレーションの連携がうまくいくようにすることが私の主な責務です。
Shah:
エグゼクティブ・リーダーシップ・チーム(ELT)の一員として、主要なビジネス・リーダーとともに働き、テクノロジーがビジネスの推進にどのように支援できるかについての戦略的な視点を提供しています。
私は各部門の責任者や仲間のELTメンバーと密接に働いて、最適化できるところがないかを見つけ、主要なビジネス成果を実現するために努力しています。
Shah: 私の高次の目標は、テクノロジーを活用してオペレーションの効率化を図り、サービス提供コストを削減することです。その一環として重要となる目標が、事実に基づいた意思決定を支援するためのインサイトを組織に提供することです。正しいデータなしで成長を続けることはできません。
Shah: 私の信条は「標準化、最適化、そして自動化」というシンプルなもので、目指しているのは、あらゆるものをエンド・ツー・エンドで検証することによって、ビジネスに影響を与え、オペレーションやプロセスを標準化することです。私達には、最適化と効率化を図りつつ、これまでと同じかそれ以上のレベルのサービスを顧客に提供する余地が大いにあります。一貫性のあるパターンや繰り返し行われるタスクも自動化の絶好のチャンスです。これらすべてを行うことで、従業員や顧客体験体験を向上させることができます。
Shah: 組織の戦略的な目標とビジョンを達成するためにテクノロジーをどのように使用できるかについて、明確なロードマップを伝えることで組織に最も貢献できると考えています。
Shah: : 1番は人間関係の構築です。共感力はそのための大きな要素であり、パンデミック後はこれまで以上に重要になります。共感力と、異なるやり方を許容する柔軟性が重要です。コミュニケーション・スキルも今のこの時代においては必須であり、全員が同じオフィスや環境で働くことがなくなっていることを考えるとなおさらです。最後に、レジリエンスが重要だと思います。どのような変革プログラムでも、課題や挫折は付き物のため、レジリエンスが鍵になります。
Shah:私にとっては、技術スキルがあまりないことが有利に働いています。つまり、チーム内の専門知識に頼ることで、直接実務に携わらず、ビジネス中心の思考を持つことができています。現代のCIOはもはやテクノロジー・リーダーではなく、ビジネス・リーダーだと思います。
Shah: 10年前は、業務を継続すること、チームが働き続けられるようにすること、ITサポートを提供することに焦点が当てられていました。そのときはまだ何かが起こってから対応するという立ち位置でした。現在の私の仕事はビジネス価値を提供することで、それこそがCIOが一番重点的に取り組む必要がある点です。単に技術的な話をするのではなく、解決しようとしている問題を理解し、そのソリューションによってどのようなビジネス価値がもたらされるかを理解することが重要なのです。
Shah: まず、今の世代はすぐに、つまり即時に答えが得られることを期待しています。MP3の楽曲を1曲ダウンロードするのに半日待つ忍耐力があったダイヤルアップの時代を考えてみてください。今ではこれが即時にできることが期待され、1分以上待たされようものなら時間がかかりすぎです。次に、人々の選択肢が増えたことで、グローバルに競争が促進され、様々なビジネス・モデルが推進されていることです。そして最後に、変化の速度とテクノロジーの指数関数的成長、そしてその速度に適応できる世代が、変化を起こす重要な触媒となっています。クラウドやAI、MLといったテクノロジーにより境界が広がるとともに変化が求められています。
Shah: そのとおりです。重要なのは、組織のオペレーションと構造を検証し、どうすればこれまでと違うやり方ができるか、より合理的に運営できるかを考えることです。そうすることで、テクノロジーを活用してさらに良い結果と成長を実現できます。そして最終的には、サービス提供コストの最適化と顧客体験体験の向上を目指します。
Shah: はい。関係構築とコラボレーションに重点を置くことが私の大きな強みであり、リーダーシップにおける個人的なスタイルです。関係者と密接に連携することで、彼らの業務および問題点を理解し、支援できる部分を特定します。また、付加的なメリットがある部門とも話して、彼らの課題に対応するように努めています。重要なのは、関係者とオープンかつ率直な対話をし、彼らのために働くのではなく、彼らとともに働くことです。
Shah: そう思います。コミュニケーションは、CIOとして求められる重要なスキルの1つです。自分のアイデアを明確に伝え、顧客や関係者を動かすことができなければ、この仕事は非常に困難なものになります。明確かつ効果的、そしてタイムリーなコミュニケーションは、エグゼクティブにとって不可欠です。
Shah: 最初のステップは、解決しようとするビジネス上の問題を明確にし、実現する必要がある成果は何か、そして主要な要件は何かを理解することです。そのままで要件を100%満たせるようなテクノロジーはありません。そのため、何が必須で何があると助かるか、そしてその点でどこに調整の余地があるかを見極めます。これは集団的な決定ですが、主要な相談相手は購入の意思決定に大きく関与しているすべてのビジネス関係者です。私が考えるに、ITは意思決定者ではありません。ITは参画と推奨はしますが、最終的にはビジネス上の意思決定である必要があり、たとえそれがテクノロジー・ツールであったとしてもです。私の立場としては、アーキテクチャに適合しているか、持続可能なソリューションであるか、セキュリティが確保されているか、ベンダーが適切かなどを確認する必要があります。私がすべきことは、テクノロジーの観点からビジネスに安心感を与え、それがテクノロジーのフレームワークにきちんと収まるようにすることです。
Shah: テクノロジーの持続可能性は非常に重要です。2番目に、ビジネス要件を満たしていることと、ビジネス上の問題を解決する能力があるかという点です。3番目に、今後10年間一緒に仕事をできる相手かどうかというパートナシップにも必ず目を向けます。
Shah: 私が大きなプラスだと考えている1つの点は、「早く失敗できること」です。今では、大多数のベンダーに、そのテクノロジーがうまく機能するかを確認するための概念実証を依頼できます。これは意思決定に役立ちます。以前は、テクノロジーを試して実地体験するのみでも先行投資が必要でした。これはこの5年ほどの間に見られた大きな変化です。
Shah: テクノロジーは私達の組織戦略の重要な柱の1つです。テクノロジーはビジネスを動かすエンジンの新しい燃料であり、潤滑油であると言えます。そしてどこに向かえばいいのかを知っているのは人であり、人がビジネスを正しい方向に導くためのドライバーであり、意思決定者なのです。
Shah: NetSuiteはビジネスに対応する強力なコア機能を提供しているのに加え、データとレポートにフォーカスしている点も当社の必要と合致していました。クラウドベースのテクノロジーであることやSuiteAppエコシステムもアドバンテージとなりました。NetSuiteはビジネスとともに成長するプラットフォームであり、メンテナンスやアップグレードのコストを省くことができます。当社にとって最も重要だったのは、複数の製品に統合できる柔軟性と俊敏性でした。
Shah: 製品寿命が長いことは重要なポイントでした。これは今でも当社のコアとなる財務プラットフォームであり、オラクル社のバックアップのもとにこの分野では十分な実績があるため、持続可能であることは分かっていました。私達は5年から10年のソフトウェア・ライフサイクルで見ているため、この点は非常に重要です。システムの入れ替えには莫大なコストがかかり、それは避けたいと考えています。そこでもう1つの柱となるのが財務面で、私達が支払える効率的なものを探します。これは拡張性があり、低コストでアジャイルなソリューションです。
Shah: NetSuiteの気に入っている点の1つはその統合性で、すべての業務システムをNetSuiteに接続し、きわめて標準化された構造およびフレームワークの中で業務を行えることです。
Shah: はい、最大のメリットの1つはインサイトです。ビジネス・オペレーション・マネージャ(事業運営管理者)は業務データを必要としており、データとインサイトを提供することは重要です。NetSuiteはそれを容易にし、運用の最適化を可能にします。また、常に変化するビジネス・ニーズに適応および対応するための俊敏性も備えています。
Shah: ダウンタイムの心配がないのが1番です。世界最高水準のシステムであることは間違いありません。セキュリティや可用性、継続的なメンテナンスについても心配する必要はありません。また、常に新しいソリューションが提供される素晴らしいエコシステムでもあります。成長、実験および継続的な適応の能力は従来モデルに比べて大幅に強化されています。解決策を見つけるうえでの俊敏性とスピードも備えています。これにより、より速く成果が得られるとともに時間とコストも削減できます。
Shah: NetSuiteにより財務業務の自動化を進めることができ、その後NetSuiteを倉庫管理にも導入しました。これによって在庫の可視性が向上し、それに伴って良い影響が財務レポートにももたらされました。現在新しい業務システムの導入を進めていますが、これもNetSuiteと非常にうまく統合できます。予測を行ったうえで、すべての製品ライン、すべての顧客とそのパフォーマンス、顧客との関わり方、重要なビジネス・チャンスがどこにあるかについてのインサイトが示されたエンドツーエンド・ビューを表示できます。
Shah: NetSuiteの実装はパンデミックの直前で、非常にタイムリーでした。技術的な観点では、パンデミックの影響はそれほどなかったので、準備ができていたのだと思います。従業員はハイブリッド形式の業務やコラボレーションに慣れていましたし、リモートワークも新しい概念ではなかったため、非常に簡単に適応できました。
Shah: ビジネスにフォーカスし、ビジネスを学び、ビジネスを理解することです。繰返しになりますが、テクノロジーはあくまでも道具であるため、それがどれだけ素晴らしいかではなく、それをどう活用するかを考えることです。それがどのようにできているかを見るのではなく、どのようなビジネス上の問題を解決できるかを見ることです。これが鍵です。
Shah: 優れた対人コミュニケーション能力を持つことは常に第一に挙げられます。リーダーシップも同様です。変革を推進する立場に立つことになるため、主要な関係者にもその旅に同行してもらえるようにすることは非常に重要です。私にとっては、強いビジネス感覚やビジネスがどのように運営されているかを知ることの方が深い技術的なスキルより重要です。
Shah: この役割は常に進化し続け、責務はさらに増えていくと思います。ご存じのとおり、ビジネスのオペレーション(運営)は現在、テクノロジーに大きく依存するように進化しています。そのため、CIOの役割は取締役会レベルでいっそう重要になっていくでしょう。
Shah: 建設業界は大きな変革のときを迎えていると思います。非常に多くの新技術が出てきています。3D印刷、ロボティクス、監視ドローンなどです。家を建てるロボット化された工場のような、海外の非常に興味深いモデルも見てきました。この業界はいつでも破壊を迎えられる状態になっており、それが何をもたらすかに非常に関心があります。これはテクノロジー主導で起こるに違いありません。私が考えるに、テクノロジーとビジネスではなく、テクノロジーはビジネスなのです。
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