予算管理

予算管理


経営計画で設定された数年先(3 ~5 年、5 ~10 年など)の計数計画を、単年度ごとに割り当てたものが予算になります。予算管理業務には、複数年度の経営計画からの単年度の予算を作成する予算編成業務と、年間を通じての予算の実行状況を管理する業績管理業務からなります。クラウドERPを選択する際には、この予算管理を実現する機能を確認する必要があります。

予算体系と種類

予算は、一般的に損益予算/資本予算/資金予算に区分され、これらを合わせたものを「総合予算」と言います。それぞれの予算区分は、会社の機能ごとの予算に細分化され編成されていきます。そして、細部から積み上がった総合予算から、財務諸表の見積もりとして損益計算書予算/貸借対照表予算/キャッシュフロー計算書予算といった予算財務諸表が作成されます。このような予算の体系と種類を図であらわすと以下のようになります。

予算の体系と種類

クラウドERPでは、これらのさまざな予算体系と種類に対応した予算編成と業績管理が実行できる機能が必要です。

トップダウン予算とボトムアップ予算

先ほどの予算の説明の中で、「割り当て」「積み上げ」といったキーワードが登場しました。 予算は、上から割り当てられるものなのでしょうか、それとも下から積み上げるものなのでしょうか。実は、これは両方存在します。そして両方を行ない、比較/調整したうえで落とし所を探るという方法が理想なのです(しかし、どちらか一方しかやらないという企業も少なくありません)。

予算編成のフロー

予算編成のアプローチには、トップダウンとボトムアップの2種類があります。上から割り当てられる予算(トップダウン予算)は、経営計画や利益目標から逆算して落とし込んでいくもので、社員に対して目標を与え、役割と責任を明確にする狙いがあります。トップダウン予算は末端の階層まで数字が作られるわけではなく、多くの場合、規範を示す役割として途中の階層(例えば事業部レベルなど)まで落とし込まれます。

一方、下から積み上げる予算(ボトムアップ予算)は部や課、場合によっては担当者レベルなど現場に近い階層から数字を見積もり、積み上げていく方法であり、より現実的な見積もりが可能となります。実際の予算編成プロセスは、これら2つのアプローチが混在したものになります。予算編成の大まかな流れを図にすると以下のようになります。

予算編成の大まかな流れ

まず経営者が経営戦略(計画)や利益計画に基づき、予算を編成するうえで指針となる予算編成方針を各部門に示します。これをガイドラインとして、各部門では各々が関連する項目に対して予算を作成します。予算編成担当者がこれらを回収/集計し、総合予算と見積財務諸表を作成します。

そこから求められる指標(例えば利益率など)が目標とするもの以上であれば予算は確定しますが、目標に達しない場合は、その原因を探り、該当部門との調整をして改善策を検討することになります。一般に、この調整作業を何度か繰り返して予算が確定します。クラウドERPでは、このようにトップダウンとボトムアップの2つのアプローチが混在した予算編成プロセスをサポートする機能が必要です。

予算シミュレーション

予算編成プロセスで、各部門で見積もった予算を積み上げて見積財務諸表を作成した後は、目標値と比較し、目標に達していない場合は問題箇所の判明とその調整を行なうことになります。この際に必要になるのが予算シミュレーションです。クラウドERPには、以下のような操作が可能な予算シミュレーション機能が必要です。

  • 複数の予算パターンでの比較(トップダウン予算とボトムアップ予算など)
  • ドリルダウン(問題の発見のため)
  • 見積予算内の構成数値の変更(任意の製品の売上を○○%アップするなど)
  • シミュレーション結果の保存と比較

業績管理

年間を通じての予算の実行状況を管理するのが、業績管理業務です。業績管理では予算と実績をモニタリングし、問題点があればその解決策を探ります。業績管理では予算達成に向けたコントロールのために、次のような分析手法で予算と実績をモニタリングします。クラウドERPでは、これら3つの分析手法で業績を管理する機能が必要です。

(1)差異分析
(2)進捗分析
(3)見込分析

年間の予算は通常、12 ヶ月に配分されています。季節変動などを考慮し、月ごとで予算値を変化させることもあれば、(そのような必要がなければ)単純に12 分割されることもあります。差異分析では、このように分配された月次のタイミングで予算と実績との差異を確認し、予算に達していない場合はその原因を探り対処策を考えます。差異分析に利用するレポートは以下のような形式になります。

差異分析に利用するレポート

月次ごとに差異分析を行なう利点は、ペース配分がなされることで各要員も自分の位置を把握しやすくなり、問題が大きくなる前に対処することで予算達成の確率を高められる点にあります。

進捗分析では、月次ごとに進捗確認を行ないます。進捗確認とは、期初から当月までの実績を累計したものと、年度予算もしくは予算値を期初から当月まで累計したものとを比較して達成率を見ることです。進捗分析に利用するレポートは以下のような形式になります。

進捗分析に利用するレポート

月ごとの差異分析はあくまでも目安であって、目的は年間を通して予算を達成することです。月ごとに達成した/達成しなかったということだけでなく、トータルでどこまで進捗しているのかを把握し、予算との乖離が著しい場合は、より抜本的な対策を講じます。ペース配分の妥当性を見直す場合も出てくるでしょう。

見込分析では、期初から当月までの実績値と当月以降の予算値を合わせた数値(見込値)を作成し、年間予算と比較することで予算達成の確率を占うものであり、進捗確認の延長にあるともいえます。見込分析に利用するレポートは以下のような形式になります。

見込分析に利用するレポート

また売上に関しては、当月以降の予算値の代わりに、営業活動データを進捗別(受注、見積、引合など)に色分けして積み上げたものを利用することで、近い将来をより高い精度で予測できるようにします。見込データによる分析によって、達成/未達成の予測を早い段階で把握し、対応策をタイムリーに講じることが可能となります。

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