マーケティング自動化

マーケティング自動化


マーケティング活動は、キャンペーンという単位を中心に組み立てられています。キャンペーンには、新製品の認知度向上キャンペーン、既存顧客に対するクロスセル/アップセル・キャンペーン、市場シェア獲得のためのディスカウント・キャンペーンなど様々な内容が考えられますが、それぞれのキャンペーンはマーケティング・ファネルという考え方のもとに管理されなければなりません。

マーケティング・ファネル

ファネルとは、漏斗のことです。キャンペーンの対象となる当初の顧客は、キャンペーンに反応した顧客、実際に参加した顧客、セールス・リード顧客というように、キャンペーンの実行プロセスの中で、徐々に絞り込まれていきます。この段階的に少なく(細く)なっていく顧客数のイメージが漏斗のように見えるため、マーケティング・ファネルと呼ばれています。

このマーケティング・ファネルに従って、キャンペーンを効率的に管理し、できるだけ多くの、かつ質の高いリードを作り出すのが、マーケティング自動化の目的です。

クラウドERPを選択する際には、マーケティング・ファネルの考え方に基づいたキャンペーン管理とマーケティング活動を効率化するための機能を確認する必要があります。

ターゲットリストの作成

キャンペーンを開始するにあたっては、キャンペーンの対象となる顧客、すなわちターゲットリストを作成しなければなりません。ターゲットリストは、以下のようなデータから作成されます。

  • 受注管理における取引履歴
  • カスタマーサポートへのアクセス履歴
  • SFAにおける商談履歴
  • Webサイトへのアクセス履歴
  • 業者、パートナーなどから入手した顧客リスト

このようなデータに含まれる顧客のさまざまな属性(業種、職種、取引商品、取引金額、アクセス頻度、直近のアクセス時期など)に対して、キャンペーンの内容に応じて値を指定し、絞り込みを行うことでターゲットリストが作成できます。

しかし、複数のデータソースから入手されるデータは形式、含まれる属性、データの精度がまちまちです。したがって、ターゲットリストの作成を効率的に行うには、これらのデータが一元化された顧客データベースとして管理されていなければなりません。

クラウドERPには、複数のデータソースから入手される顧客データを一元的に管理し、様々な属性の値を指定することで、効率的にターゲットリストの作成を行うことができる機能が必要です。

Eメールマーケティングの自動化

Eメールは、ターゲット顧客に対してキャンペーンの告知を行う一般的な手段です。しかし、送信メールの設定からメールに対するレスポンスの検知までの作業は、非常に煩雑です。

  • ターゲットグループの作成
    キャンペーンの対象として作成されたターゲットからターゲットグループを作成する必要があります。
  • データクレンジング
    過去に送信エラーを起こしたアドレスなど、無効なメールアドレスを削除する必要があります。

    ・重複排除
    同一のグループに重複して含まれているアドレスを排除する必要があります。
  • Eメールの統合
    顧客が受け取るメール数を最適化するためには、異なるキャンペーンで作成されたメールを、同じ顧客に対しては統合して送信する必要があります。
  • メールヘッダーの最適化
    送信したメールがユーザー側でスパム扱いされないようにメールヘッダーを最適化する必要があります。
  • メール・テンプレート
    送信先に応じて、HTML、テキストなどの送信形式をパーソナライズする必要があります。 そのためには、メールがテンプレート化されている必要があります。
  • レスポンスの検知
    キャンペーンのレスポンス率を正確に測定するためには、顧客がメールを開封し、本文を読み、さらにキャンペーンに反応(リンクをクリック)したかを検知する必要があります。
  • メール配信の停止
    コンプライアンスの観点からも顧客からのメール配信の停止依頼を受け付けて、それ以降の送信リストから確実に削除する必要があります。

クラウドERPには、Eメールマーケティングで発生するこれらの煩雑な作業を自動化する機能が必要です。

Web to Leadフォーム

Web to Leadとは、キャンペーンに対して反応した顧客や、資料請求、問い合わせなどのインバウンド顧客に対して、顧客の情報をWeb上で登録させる仕組みのことで、その登録画面のことをWeb to Leadフォームと呼びます。

Web to Leadフォームの設置には、以下のような作業が必要です。

  • フォームの作成
    顧客の属性情報に加えて、イベントの参加登録、請求資料の選択、問い合わせ内容といった項目を入力するためのオンラインフォームを作成する必要があります。重複の排除:登録された顧客属性から顧客データベースに既に存在する顧客との照合を行い、同一であると判断された場合には、データを統合して管理する必要があります。
  • 担当者への通知
    対象となるキャンペーン、請求資料や問い合わせ内容の種類に応じて適切な担当者を選択し、通知とフォローの依頼を行う必要があります。
  • キャンペーン管理との連動
    フォームにアクセスしてきた経路を分析し、どのキャンペーンに対するレスポンスなのか、あるいは純粋なインバウンドであるかを判定して、キャンペーンのレスポンス率の正確な把握を可能にする必要があります。

クラウドERPには、Web to Leadフォームの設置にかかわる、これらの煩雑な作業を自動化、効率化する機能が必要です。

キャンペーン効果測定

キャンペーンの効果測定には、レスポンス率とコンバージョン率が使われます。

レスポンス率とは、キャンペーンのターゲットリストに含まれる顧客数に対する、反応顧客数の比率です。キャンペーンへの反応は、告知メール中のリンクのクリック、Web to Leadフォームへの入力といった複数の段階で測定する場合もあります。

レスポンス率の測定には、Eメールやバナーといった複数の告知媒体、Web to Leadフォームやコールセンターといった複数のレスポンスチャネルにまたがって、特定のキャンペーンと特定の顧客を関連付けなければなりません。そのためには、複数の媒体、チャネルによる複数のキャンペーンが統合されたシステムで運用されている必要があります。

コンバージョン率とは、キャンペーンのターゲットリストに含まれる顧客数に対する、実際に商品の購入に至った顧客数の比率です。キャンペーンに連動して購入された商品と購入顧客を特定するためには、キャンペーンへの反応から始める一連の営業・受注プロセスの中で、データがトラッキングできなければなりません。そのため、コンバージョン率の測定には、レスポンス率よりも広い範囲、即ちSFA、受注管理といったシステムも含めて統合されている必要があります。

クラウドERPには、レスポンス率、コンバージョン率の正確な測定のために必要なシステムの統合が行われている必要があります。

SEO

SEOとは、Search Engine Optimizationの略です。サーチエンジンにおいて、特定のキーワードで検索を行った結果で表示される自社のキャンペーン・ページの順位を上げるための作業をSEOと呼びます。

SEOの効果を上げるためには、対象となるキーワードの設定が必要です。従って、過去のキャンペーン、あるいは実施中のキャンペーンにおいて、どのキーワードによる検索が多かったか、レスポンス/コンバージョン率が高かったかが測定できなければなりません。

クラウドERPには、効果的なSEOを実施するために必要な、検索エンジンのキーワードに対するキャンペーンデータの分析を行う機能が必要です。

リードナーチャリング

インターネット・マーケティングの活用により、セールス・リードの獲得数は飛躍的に向上していますが、それと同時にインターネット・マーケティングにより獲得されたセールス・リードの質の向上が問題となっています。つまり、より大量のセールス・リードを営業部門に引き渡すことで、かえって営業効率を低下させてしまう可能性があるということです。

このようなセールス・リードの質を向上させる手法として考えられたのがリードナーチャリングです。リードナーチャリングとは、キャンペーンに反応した顧客を、すぐに営業に引き渡すのではなく、マーケティング部門でいったん蓄積し、短期間でクロージングできる可能性の高い顧客に絞りこんだ上で引き渡すという考え方です。

具体的には、同一顧客のキャンペーンへの反応回数が一定回数を超えた時に初めてセールス・リードとして登録するといった定量的な方法や、マーケティング担当者がレスポンス顧客の過去のレスポンス、購入履歴や顧客属性も含めて総合的に判定した結果で、セールス・リードとして登録するといった定性的な方法もあります。

このような、リードナーチャリングを可能にするためには、顧客情報が一元管理されていることはもちろんですが、キャンペーンで得られた顧客の属性として、マーケティング部門における判定(クオリファイ)の有無を登録する機能が必要です。また、定量的な判定を行うためには、同一顧客でのキャンペーンレスポンス回数(タッチポイント数)をカウントする機能も必要です。

クラウドERPには、リードナーチャリングのための顧客情報の一元管理やマーケティング部門での判定機能が必要です。

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