この記事では、倉庫の自動化の方法、価値、自動化によって発生する可能性がある課題について説明します。さまざまな自動化テクノロジーと、それらを導入するタイミングや方法に関するアドバイスをご覧ください。
この記事の内容:
主なポイント
- 自動化は、倉庫管理システム(WMS)、データ収集、在庫管理から始めることができます。
- 倉庫の自動化には大きな初期費用がかかりますが、業務改善からヒューマンエラーの最小化まで、多くのメリットがあります。
- 倉庫の自動化の未来は、ロボット工学と人工知能(AI)を倉庫のフロアに統合することにあります。
倉庫の自動化とは
倉庫の自動化は、人の介在を最小限に抑え、倉庫への在庫の搬入、倉庫内の移動、顧客への出荷を自動化するプロセスです。自動化プロジェクトの一環で、企業では反復的な肉体労働、手作業によるデータ入力や分析といった労働集約的な業務を排除できます。
たとえば、倉庫の作業員は自律型モバイル・ロボットで重い荷物を運搬できます。ロボットによって在庫を倉庫の一端から出荷ゾーンまで移動させ、ソフトウェアによってその在庫の移動を記録し、すべての記録を最新の状態に保ちます。これらのロボットによって、作業効率、スピード、信頼性、正確性が向上します。
しかし、倉庫の自動化には物理的またはロボットによる自動化は必要ありません。自動化とは、多くの場合は手作業をソフトウェアで置き換えることを指します。ただし、このシナリオでは、ロボットと人間が協力し、疲労や怪我を最小限に抑えながら反復作業を行う方法を示しています。

倉庫の自動化の仕組み
倉庫の自動化では、ソフトウェア、ロボット工学やセンサーなどのテクノロジーを活用して作業を自動化します。これらの製品は、在庫管理ソフトウェア(新しいタブで開きます)などの既存のツールと連携して動作します。
倉庫の自動化により、施設内のビジネスに不可欠な業務が顧客の需要に確実に対応できるものになります。自動化は、手作業のプロセス、データ収集、在庫管理を自動化し、データ分析をサポートする倉庫管理システム(WMS)から始まります。これらのシステムは、他のソリューションと統合することにより、さまざまなビジネスやサプライチェーン機能全体にわたる業務を効率的に管理し、自動化します。
- デジタル・オートメーションでは、データとソフトウェアを使用して手作業のワークフローを削減し、ヒューマンエラーを排除します。Radio Frequency IDentification(RFID)やモバイル・バーコード・スキャンなどの自動認識およびデータ取得(AIDC)テクノロジーは、倉庫におけるデジタル・オートメーションの一例です。そのメリットには、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムとの統合、セキュリティの強化、データ管理の効率化、業務リスクや法的リスクの低減、安全性の向上などがあります。さらに、デジタル・オートメーションは、従業員エクスペリエンスの向上、顧客サービスを改善し、エラーを修正するために必要な業務コストを削減できます。
- 物理的な自動化では、ロボットなどのテクノロジーを使用して、従業員の作業を最小限に抑え、より効率的なワークフローを構築する方法です。物理的な自動化のメリットには、倉庫の容量と効率の向上、サービスの信頼性とスケーラビリティの強化、パフォーマンスの向上などがあります。
動画: 倉庫の自動化とは
倉庫の自動化カテゴリ
倉庫の自動化には、比較的単純なものから非常に複雑なものまでさまざまなものがあります。基本的な自動化では、計画、機械、車両を使用して反復的な作業を削減します。高度なシステムでは、人工知能とロボット工学を活用しています。
倉庫の自動化カテゴリには以下のものがあります。
- 基本的な倉庫の自動化: このタイプの自動化とは、より多くの人手が必要となる作業を支援するシンプルなテクノロジーを指します。たとえば、コンベアや回転コンベアは、ポイントAからポイントBに在庫を移動します。
- 倉庫システムの自動化: このタイプのシステムでは、ソフトウェア、機械学習、ロボット工学、データ分析を使用して作業と手順を自動化します。たとえば、倉庫管理システムでは、1日に処理する必要があるすべての注文を確認し、その注文を一度にすべて処理できるように、ユーザーに同じ種類の品目をピックアップさせることにより、倉庫内を何度も往復する必要がないようにします。
- 機械化された倉庫の自動化: このタイプの倉庫の自動化では、ロボット機器やシステムを使用して、倉庫の作業や手順を人間が実行するのを支援します。一例として、自律型搬送・積込みロボットによって商品の入ったラックを持ち上げ、人間のピッカーに渡し、取り出しと仕分けを行うことが挙げられます。
- 高度な倉庫自動化: 高度な倉庫自動化では、機械化された倉庫ロボティクスと自動化システムを組み合わせて、人間による労働集約的なワークフローを置き換えることができます。たとえば、高度なAI、カメラ、センサーを使用して倉庫内を移動し、各フォークリフトの位置をオンライン追跡ポータルと通信するロボット・フォークリフトなどです。
倉庫自動化テクノロジーのタイプ
多種多様な倉庫テクノロジーを使用できるため、倉庫の自動化には多くのタイプがあります。倉庫の自動化では、手作業を最小限に抑え、入荷から出荷までのプロセスを高速化することを目的としています。
倉庫の自動化テクノロジーには以下のものがあります。
- GTP(Goods To Person): GTPによるフルフィルメントは、効率を高め、混雑を緩和する最も一般的な方法の1つです。このカテゴリには、コンベア、回転式コンベア、垂直リフト・システムが含まれます。GTPシステムを適切に導入すれば、倉庫でのピッキング作業のスピードを2~3倍に上げることができます。
- 自動倉庫システム(AS/RS): AS/RSは、資材搬送車両、トート・シャトル、ミニローダーなどの自動システムや機器を使用して、材料や製品を保管・取り出しするGTPフルフィルメント・テクノロジーの一種です。大規模な倉庫でスペースに制約がある用途では、AS/RSシステムがよく利用されています。
- 自動搬送車(AGV): このクラスの機械化された自動化では、最小限のコンピューティング機能が搭載されています。これらの車両は、磁気ストリップ、ワイヤー、またはセンサーを使用して、倉庫内の固定された経路を走行します。AGVの使用は、このような移動レイアウトで設計された、大型でシンプルな倉庫環境に限定されます。人の通行が多く、スペースに制約のある複雑な倉庫は、AGVには適していません。
- 自律型走行搬送ロボット(AMR): AGVよりも柔軟性が高く、AMRはGPSシステムを使用して特定の倉庫内で効率の高いルートを作成します。AMRは障害物を検知するために高度なレーザー誘導システムを使用しているため、人の通行などの動きが多い環境でも安全に走行できます。ルートを設定して簡単にプログラムし、迅速に導入できます。
- Pick-to-LightおよびPut-to-Lightシステム: これらのシステムは、デジタル式の表示灯と同期した携帯型バーコード・スキャナを使用して、倉庫のピッカーにどの場所からどの品目をピックアップするか、または収納するかを指示します。大量の物量がある状況で、歩行や検索にかかる時間を大幅に短縮し、ヒューマンエラーを削減できます。
- 音声ピッキングと作業: 音声指示による倉庫作業では、Pick-by-Voiceとも呼ばれ、音声認識ソフトウェアと携帯用ヘッドセットを使用します。このシステムでは、最適化されたピッキング経路が作成され、倉庫の作業者に製品をピッキングまたは収納する場所を指示します。この方法では、RFスキャナのような携帯端末は不要なため、ピッカーはより安全かつ効率的に作業に集中できます。
- 自動仕分けシステム: 仕分けとは、コンベア・システム上のアイテムを識別し、RFID、バーコード・スキャナ、センサーを使用して倉庫の場所に振り分けるプロセスです。企業では、入荷、ピッキング、梱包、出荷などの注文処理(新しいタブで開きます)に自動仕分けシステムを使用しています。
在庫予測完全ガイド

倉庫を自動化する必要がある理由
効率の悪い倉庫は、カスタマー・エクスペリエンスに悪影響を及ぼします。自動化された倉庫は、顧客需要の増加に応じ、少ないコストでより多くの成果を達成します。
倉庫の自動化の利点
自動化によって倉庫業務を改善することにより、業務効率の向上からヒューマンエラーの最小化まで、幅広いメリットが得られます。最もよく引き合いに出される利点の一覧を以下に示します。
- 倉庫のスループットの向上
- リソース利用率の向上
- 労務コストと運用コストを削減
- カスタマーサービスの向上
- 処理コストと保管コストの削減
- ヒューマンエラーの削減
- 手作業の最小化
- 生産性と効率の向上
- 従業員満足度の向上
- データ精度と分析の強化
- 在庫切れの発生を低減
- 倉庫スペースの最適化
- 在庫管理の向上
- 職場の安全性向上
- 出荷エラーの削減
- 在庫損失の低減
- マテリアル・ハンドリングの強化
- 注文処理の精度の向上
倉庫自動化の課題
倉庫の自動化には多くの利点がありますが、以下のように、企業が対応を考える必要がある課題もあります。
- 初期コストが高い: 自動化テクノロジーの導入には多額の資本と専門知識が必要であり、規模の小さい企業には予算や社内スタッフを確保できない可能性があります。ただし、通常、設備やセットアップにかかる費用は、効率化と売上増加により、長い目で見れば投資を回収できます。
- 統合の複雑さ: 新しい自動システムが既存の倉庫管理ソフトウェアやその他の業務アプリケーションと適切かつシームレスに統合されるようにするには、綿密な計画と実行、さらに専門知識が必要です。
- 専門スキルが必要: システム、ツール、機器の運用、保守、修理には、技術的なスキルを持つ従業員が必要です。このような人材を見つけ、確保することは、労働市場が逼迫している状況では難しい可能性があります。
- テクノロジーの陳腐化のリスク: テクノロジーは世代ごとに進化し、改善するにつれて、今日のシステムが予想よりも早く時代遅れになるリスクは常に存在します。ソリューションを評価する際には、適応力と拡張性が重要となります。
- 混乱の可能性: 手動プロセスから自動プロセスに移行する際は、当初は混乱することがあります。生産性への影響を最小限に抑えるには、慎重に変更管理を行う必要があります。
- テクノロジーへの依存: 機器は故障することがあり、最悪のタイミングで故障することも多く、ダウンタイムや修理/メンテナンス費用が発生します。メンテナンスの問題を最小限に抑えるため、メンテナンス・スケジュールを設定することや、新しいシステムや機器を管理するサードパーティのベンダーと契約を結ぶことをお勧めします。
- 従業員の配置転換に関する懸念: 自動化によって新たなハイテク業務が生み出される一方で、従来の職務に従事する人が職を失う可能性もあります。企業は、こうした労働力のシフトを管理し、新たな職務に就くために従業員を再教育する必要があります。
自動化可能な倉庫プロセス
保管棚の追跡、循環棚卸、注文のピッキングなど、多くの倉庫プロセスを自動化できます。倉庫プロセスの自動化により、よりコスト効率の高い運用を実現しり、製品取扱コストを削減できます。
自動化で効率化可能な倉庫プロセス
適切な倉庫自動化テクノロジーにより、以下のような、注文処理や在庫管理のあらゆる側面に関わる業務を自動化できます。
- 受入: モバイル機器を使用して、倉庫の受入エリアのデータをすばやく取得できます。統合ソフトウェアによって、ダウンストリームおよびアップストリームの自動ワークフローに影響を与えるデータを取得、処理、保存します。
- 返品: コンベアなどの自動仕分けシステムや機器によって、返品処理手順を自動化できます。これらを使用して、返品された製品を在庫棚に戻したり、指定の保管場所に保管したりします。
- 棚入: 棚入とは、受け入れた製品を保管場所に移動させることを指します。倉庫の物理的プロセスとデジタル・プロセスの自動化により、棚入をより効率的かつ正確に行うことができます。このプロセスを自動化することにより、商品を倉庫に保管するのではなく、すばやく仕分け、処理し、異なる目的地に向かうトラックに積み込むクロスドッキングが容易になります。
- ピッキング: 手作業による注文のピッキングは最もコストのかかる倉庫作業であり、倉庫内での移動時間は作業時間の50%を占めることもあります。GTPシステムと自律型搬送ロボットを使用することにより、在庫を保管場所から移動させて顧客の注文に対応するスピードと効率を飛躍に向上できます。
- 仕分け: 倉庫在庫の仕分けと仕立てには時間がかかり、混乱を招くことが多い作業です。自動仕分けおよび自動倉庫(AS/RS)システムは、小型の在庫や壊れやすい在庫を個別に認識し、処理することにより、在庫の精度と品質管理を向上させます。
- 補充: 在庫の自動追跡と循環棚卸により、自動再注文を行うことができます。在庫品目が指定されたPARレベルに達すると、システムによって自動的に注文依頼を発行し、承認用のフラグが付けられます。自動補充により、過剰在庫によるコストや、腐敗や盗難による在庫損失を防止できます。
- 梱包: 梱包資材はコストが高く、環境への影響が大きいため、注文処理における梱包段階は重要です。自動梱包システムや箱詰めシステムでは、アルゴリズムを使用して、製品特性(耐久性など)、寸法、材料コストに基づいて最適なタイプの出荷梱包を決定します。
- 出荷: 自動出荷システムでは、コンベア、秤、寸法センサー、プリンタ、ソフトウェア・アプリケーションを使用して、利用可能な配送業者を決定し、配送料金を見積もり、出荷用パッケージにラベルを貼付します。

倉庫自動化の実例
eコマースの人気と成長に伴い、倉庫自動化に対する需要が高まりました。さまざまな業界における仕組みの例を以下に示します。
- バーコード・スキャン: Amazon社は、自動化されたバーコード・スキャンとラベルを使用して、オンライン小売業を独占し、倉庫業務を最適化しています。この自動化がAmazon社の有名な革新的なストレージ・システムを担っています。受け入れた商品と、それを収納する棚には、それぞれ固有のバーコードが貼付されます。商品を出荷する際は、従業員は更新済みのピッキングリストを使用し、自動的に効率と流れが最適化されたルートに基づいて商品の位置を検索します。
- GTPシステムによるピッキングの自動化: Nike社は、日本の新しい配送センターにGTPピッキング・システムを導入しました。自動化されたGTPピッキング・システムでは、自律型ロボットを使用して棚やパレットに積み込まれた商品やパッケージを倉庫作業員に直接運び、注文を処理します。Nike社では、新しい倉庫の自動化によりロジスティクスが変革され、日本の顧客に同日配送を実現しました。
- 自動倉庫(AS/RS)システムによる在庫の自動化: IKEA社は、高度に自動化された倉庫施設を世界中で運営しています。同社の流通センターには、自動倉庫の在庫自動化システムや設備が備わっており、高さ100フィートの三方向スタッカークレーンやコンベア・ラック・システムがあり、1時間に600パレットを発送エリアに自動で移動できます。
- バックオフィスの自動化: デジタル・プロセス・オートメーション機能を備えたWMSプラットフォームは、バックオフィス業務を最適化できます。機械制御ソリューションとサービスをOEMマシン・ビルダーに販売するディストリビューターである iAutomation 社では、販売および顧客サービスチームをサポートするために、サイロ化されたアプリケーションを使用していたため、スタッフが複数のシステム間でデータを手動でインポートおよびエクスポートする必要があり、生産性が低下していました、同社では、NetSuiteの在庫管理、CRM、製造実行システムを導入し、自動バーコード、ケース管理、および問題追跡ソリューションにより、バックオフィスの販売とカスタマーサポート機能を強化しました。
倉庫を自動化するタイミング
倉庫の自動化のタイミングを決定するには、さまざまな要因を考慮する必要があります。プロセスと手順の評価、サプライチェーンの調査、社内の専門知識の活用により、現在のテクノロジーと将来のビジネス目標とのギャップを把握する必要があります。
倉庫の自動化プロジェクトを進める前に、以下の質問にお答えください。
- 人員不足により、顧客からの注文に遅れが発生していませんか?
- 既存の倉庫業務や手順には労力がかかっていますか?
- 注文処理能力が低下していませんか?
- 在庫数に間違いはありませんか?
- 今でも従来の倉庫管理ソフトウェアやスプレッドシートのような手作業の在庫管理ツールを使用していますか?
- 顧客満足度のデータは、サプライチェーンに問題があることを示していませんか?
- 需要の変動に対応するため、従業員数を増減する必要がありますか?
- 主要な関係者の賛同を得ていますか?
- 生産性の向上や出荷処理数アップを行う必要がありますか?
- 保管容量が不足しているか、現在の保管容量を効率的に利用できていないということはありませんか?
倉庫自動化の要件
倉庫の自動化には多くの利点がありますが、企業は自動化を進めることを決定する前に、最初に業務を入念に評価することが重要です倉庫の自動化が最適なソリューションとなることが多い、主なビジネスの状況を以下に示します。
- 大量の繰返し作業: ピッキング、梱包、出荷指示など、大量の繰返しのルーチン作業を処理している倉庫は、自動化に移行できる可能性があります。自動化システムは24時間365日稼働できるために効率が高まり、スタッフは、より複雑で付加価値の高い業務に集中できます。
- プロセスの標準化: プロセスが高度に標準化された環境では、自動化の機能を最大限に発揮します。受注処理、在庫の棚入、補充などの作業は、業務手順が文書化され、一貫性のある体制が整っていれば、簡単に自動化できます。
- スケーラビリティ要求の高まり: 急速な成長を遂げ、注文量が増えている企業では、業務を迅速に拡張する必要がある場合があります。主要なプロセスを自動化することより、スタッフを増やすことなく処理能力を高め、需要の増加に対応できます。
- 一貫性と正確性が必要: 倉庫の自動化により、毎回同じ方法で作業を実施することによって一貫性が確保されます。これにより、ヒューマンエラーが排除され、在庫精度、注文のピッキング、配送が改善されます。
倉庫を自動化する方法
倉庫を自動化するにはプロジェクト計画が必要です。関係者の関与、プロジェクト・スケジュールの作成、リスク評価の完了、目標と成果物の指定が必要になります。
まず、サポート・チームを結成し、プロジェクト・マネージャーを任命します。チームは、プロジェクトのスケジュールを決定し、タイムラインと成果物のカレンダーを作成します。次に、すべてのレベルの経営陣(すべての拠点の企業の幹部および倉庫マネージャーを含む)からのフィードバックを基に、導入サポート計画を作成します。最後に、ビジネス・ゴール、顧客の需要への対応力が最も高く、チームからのフィードバック、時間、利用可能なリソースを組み込んだ倉庫自動化を選択してください。自動化のオプションを検討する際には、これらのオプションを調査し、デモンストレーションを依頼する必要があります。たとえば、モバイル・バーコード・スキャンの導入には、自動倉庫(AS/RS)在庫管理システムの導入とは異なる要件があります。
倉庫自動化の5つのステップ
倉庫の自動化を開始する場合は、この5つのステップの計画サンプルをご活用ください。
- 実行委員会の立ち上げ: 現在の倉庫のパフォーマンス、能力、課題に関する専門知識を持ち、既存のテクノロジーのギャップを理解している社内の関係者で委員会を構成します。サプライチェーンの自動化(新しいタブで開きます)について理解し、業界や倉庫業務に関連する経験を持つ第三者のエキスパートを追加することを検討してください。
- 重要なデータの収集: 倉庫の自動化を成功させるには、既存のサプライチェーンとビジネス上不可欠な倉庫業務(新しいタブで開きます)に関するデータが必要です。新しい自動化テクノロジーを導入する前に、現在のデータ収集プロセスとインフラストラクチャを評価します。データ移行のオーナーを熟練したITの関係者に割り当てます。
- 在庫管理の評価: 在庫管理は倉庫業務の中核です。倉庫自動化ソリューションを導入する前に、在庫管理の標準作業手順(SOP)を決定するか、改善してください。購買、出荷、受入、顧客満足、在庫損失に関する標準業務手順書を含めます。重要業績評価指標(KPI)を定義して、自動した在庫管理プロセスと手順の成功を測定します。現在採用されている棚卸資産の会計方法(棚卸計算法または継続棚卸法など)を評価し、自動化がそれにどのような影響を与えるかを判断します。詳細は、在庫管理に関するガイド(新しいタブで開きます)をご覧ください。
- 倉庫管理システム(WMS)の導入: WMSプラットフォームは、在庫管理と追跡、倉庫業務の管理、手作業に伴う人件費の削減、カスタマーサービスの向上に役立つソフトウェア・モジュールを備えています。最新のWMSはモバイル・デバイスをサポートしており、既存の企業ソフトウェアと連携できます。
- 必要な倉庫自動化のタイプの決定: 自動化によって手作業でのデータ入力を合理化し、バックオフィスの倉庫業務と会計に関連する人件費を削減することが目的ですか?または、倉庫の床面積の拡張や拠点の増設により、ロボットやGTPシステムのような高度な物理的プロセス自動化の導入を検討する時期だとお考えでしょうか?目標と顧客のニーズに適合する倉庫自動化のタイプを決定することが不可欠です。
倉庫自動化のベストプラクティス
サプライチェーンにおける倉庫の役割は、大きく変化しました。最新の倉庫は、ビジネスに不可欠なコスト削減機能を提供し、カスタマー・エクスペリエンスに付加価値をもたらします。
検討する必要がある6つの倉庫自動化のベスト・プラクティスの一覧を以下に示します。
- WMSとの統合: 選択した倉庫自動化システムがWMSプラットフォームと統合されていることを確認します。在庫管理、在庫追跡、人件費のモニタリングとレポート、ダッシュボードの統合、さらに、これらの機能の自動化を実現するソリューションをお探しください。詳細については、WMSの機能と在庫管理と倉庫管理の違いをご確認ください。
- スケーラブルなソリューションへの投資: テクノロジーはビジネスに合わせて拡張する必要があります。このシステムは、将来の倉庫、従業員、設備、3PLや無在庫販売のような新しいサプライチェーン・パートナーシップの追加を考慮する必要があります。
- データ収集の自動化: 倉庫の自動化のタイプやレベルに関係なく、長期的な視点で検討し、データ収集、転送、保存を自動化するソリューションから開始します。クラウドベースのソリューションをモバイル・バーコード・スキャナと組み合わせることにより、低コストかつ低リスクで自動化を実現できます。このエコシステムは、ヒューマンエラーを排除して、重要な倉庫のパフォーマンスと在庫データを取得し、さらに分析するために一元化されたクラウド・データベースに格納するのに役立ちます。
- 継続的な循環棚卸の実行: 循環棚卸(新しいタブで開きます)は、WMSの重要な機能で、在庫データの記録に対する在庫水準をモニタリングします。自動データ収集システムを導入すると、モバイル・バーコード・スキャナやRFIDセンサーを使用して、継続的な循環棚卸を自動化できます。次に、ダッシュボードを使用して在庫差異を確認します。
- 入庫の最適化: 倉庫データ収集は入庫から始まります。そのため、倉庫のワークフローを管理するために、できるだけ多くのデータを事前に収集できるシステムが必要になります。入庫する製品(寸法、分類、梱包)を識別し、処理方法、格納場所、棚入に使用可能なリソースの使用方法についてのルールをWMSに設定します。
- 倉庫設計の評価: GTPおよび自動倉庫(AS/RS)システム、AGV、および仕分けシステムなどの多くの物理的自動化ソリューションでは、機能を発揮するには特定の倉庫レイアウトと十分なスペースが必要です。既存の倉庫や配送センターの設計を見直し、自動化テクノロジー向けに最適化することを検討する必要があります。独自の要件を理解しているソリューション・ベンダー、建築技術者、請負業者と協力してください。この評価を導入予算に含めることをお勧めします。
2025年の倉庫自動化のトレンドと統計
倉庫の自動化は、倉庫スペースの不足、非効率な在庫業務、人手不足の解決に役立ちます。商品(有形)のオンライン小売販売は、1.4兆ドル(約210兆円) (新しいタブで開きます)に達すると予想されており、倉庫サービスの需要が増加しています。
90%を超える倉庫業者が、より多くのスペースを取り、サービスを拡大する必要性と、需要を満たすために有資格労働者を雇用し、定着させることが困難という、両者のバランスを取るには、コスト削減策が重要(新しいタブで開きます) (opens in new tab)だと回答しています。このようなトレンドを計画に入れないと、倉庫の自動化に関連する費用よりも費用がかかる場合があります。
最新の倉庫は、従来の保管業務よりも、付加価値サービス、注文のカスタマイズ、ジャストインタイムの在庫原則に従って商品を準備する迅速なフロースルー・プロセスに重点を置いています。
最新の倉庫を強化するデジタルおよび物理的な倉庫自動化のトレンドの一覧は以下のとおりです。
- 人工知能と機械学習: 人工知能(AI)とAIの一部である機械学習(ML)、倉庫管理システムに一層統合されつつあります。これらのテクノロジーは、リアルタイムのデータドリブンのインサイトと予測分析を通じて、在庫管理、注文のピッキング、需要予測の最適化を支援しています。
- ロボティクス: モバイル・ロボットは世界中で人気が高まり続けており、市場規模は2023年の45億ドル(約6,750億円)から、2027年までに140億ドル(約2兆1千億円)を超え、3倍以上になると予想されています。モバイル・ロボットの最も一般的な用途としては、ケース・ピッキング、仕分け、カート搬送などがあります。
- コボティクス: コボティクスとは、人とロボットの間のコラボレーションを指します。コラボレーション・ロボット(コボット)は、人とコラボレーションするように設計されていますが、人間の作業を置き換えるものではありません。倉庫自動化のコボットには、360度の視野の変化を認識することにより、人間や人間が操作する機械との衝突を回避するために周囲をスキャンし、必要に応じて安全に後退できるAMRが含まれます。
- エッジ・コンピューティング: エッジ・コンピューティングは、データ・ソースに近い場所で処理を行うことにより、メンテナンスが必要な機器など、倉庫内での潜在的な問題への対応時間を短縮します。また、製品がさまざまな段階を経て移動する際に、在庫の所在をより正確に把握できるようになります。
- SCaaS(Supply chain as a service): 柔軟な倉庫業務や自律型ロボットなどの自動化テクノロジーに対する需要の高まりを受け、倉庫サービスをベースとした市場が拡大しています。サブスクリプション・ベースのフルサービスの自動倉庫ソリューションを提供する企業は、自動化された機器やシステムの販売を行うメーカーやサービス・プロバイダーを置き換えようとしています。
- ブロックチェーン・テクノロジー: ブロックチェーン・テクノロジーは、暗号化を使用して共有のデジタル台帳上にブロック単位でデータを転送する、セキュアで自動化されたネットワークです。ブロックチェーン・テクノロジー、高度なデータ認証、検証、透明性により、倉庫業務や在庫管理にも影響を及ぼす可能性があります。ブロックチェーン・データベースにより、複雑なサプライチェーンのすべての関係者が、安全なネットワーク内の誰もがアクセスできる共有データ・ストレージを使用して、トランザクションごとに永続的な自動記録を接続および共有できます。
- 倉庫ドローン: 高度なアルゴリズムとクラウドベースのWMSに接続されたインテリジェントなドローン・フリートは、倉庫内の在庫管理に役立ちます。一部の倉庫ドローンには、在庫を追跡し、循環棚卸などの手順を自動化するための視覚センサーやバーコード・スキャナが装備されています。
- 迅速な出荷: 当日、1日、2日で配送される「Amazon効果」により、誰が販売しているかにかかわらず、迅速なオンライン配送への需要が高まっています。当日配送によって、ピッキングなどの注文処理業務を迅速化する倉庫の自動化を推進し、自動梱包や出荷手順の精度と費用対効果が向上します。
- 倉庫の清掃: 複雑な倉庫レイアウトの中を移動する産業用の自動床清掃ロボットの市場は既に存在しています。現在、倉庫や配送センターなどの人が多く出入りする屋内の作業場を、UVライトや消毒用の化学物質で安全に除菌や消毒を行う、新しいタイプの移動式自動清掃ロボットが登場しています。
- AGVとAMR: Amazon社は、AGVとAMRを搭載したGTPシステムを使用している企業の最も有名な例です。自律型ロボットは、商品在庫を保管している移動式の棚への積載、指定の場所への輸送を行うことができます。これにより、作業者は移動や歩行にかかる時間を最小限に抑えて注文をピッキングできます。
- 自律型車両: 自動化された倉庫および配送センターでは、自律型ロボット・フォークリフトが既に使用されています。自律型車両は、サプライチェーンの上流にも進出し、倉庫、メーカー、小売店の間で在庫を輸送する自動配送トラックにも拡大することが予想されます。
- ERPの統合: APIテクノロジーとMLは、ERPスイートと統合された自動化システムを強化して、エンドツーエンドの自動化されたビジネス・プラットフォームを構築します。自動化とERPアプリケーションのさらなる改善により、バックオフィスの人員は、より付加価値の高い、創造的で顧客中心の業務を行うことができます。
- ビッグ・データ: 大規模データを収集、処理、保存でき、簡単にアクセスできるクラウドベースのアプリケーションやデータベースへの移行が進んでいるため、倉庫業務におけるデータ分析はさらに推進されると予想されます。
- IoT: RFIDセンサーは、厳密には新しいテクノロジーではありませんが、サプライチェーンと倉庫業務を合理化する新しいIoTアプリケーションの推進要因であり続けています。IoTは、機器や在庫の位置データをリアルタイムで提供することにより、倉庫の可視性を拡張します。RFIDセンサーのモビリティ、手頃な価格、リアルタイム在庫追跡機能により、システム間のデータ収集能力が強化されています。
- ワイヤレス・フリート管理: IoTアプリケーション、クラウド・データベース、センサー・テクノロジーのイノベーションにより、自動化された車両フリートをワイヤレスで管理できるようになりました。オンボード・コンピュータは、機器の位置、メンテナンス・スケジュール、および事故のアラートに関する詳細情報とともに、システムにテレメトリを送信します。
- 音声ピッキング: このテクノロジーは、音声コマンドを使用することにより、作業者(ヘッドセットを装着)が倉庫内の品物を簡単に探しやすくなり、配送を迅速化するのに役立ちます。携帯端末や紙ベースのリストに取って代わり、精度が向上します。
- 予知保全: IoT Analytics社によると、予定外の機器のダウンタイムのコストの中央値は、1時間当たり10万ドルを超えています。倉庫自動化における予知保全では、設備をモニタリングし、故障を予測し、スタッフがタイムリーな修理のスケジュール化を支援するスマート・センサーとAIの活用により、中断を最小限に抑制することを目的としています。
- サステナビリティ: 最先端のテクノロジーを活用する自動倉庫は、エネルギー使用量を最小限に抑え、無駄を排除し、リソース配分を最適化できます。その結果、効率が向上すれば、企業の二酸化炭素排出量の削減にもつながります。
倉庫自動化にかかるコスト
倉庫自動化のコストは、自動化のレベルや種類によって異なります。ただし、既存のインフラストラクチャを全面的に見直すには、数百万ドルの費用がかかる可能性があります。
企業にとって倉庫の自動化が適しているかどうかを判断するには、まずROIの見込みを計算することから始めます。現在の倉庫の人件費と既存の設備にかかる予算を見積もり、予想される年間の増加分を加えます。次に、倉庫従業員の平均離職率を計算し、新規従業員の採用とトレーニングにかかる費用を考慮します。さらに、新しい自動化システムおよび機器の購入費用を計算し、推定人件費とコスト削減、トレーニングと導入費用、継続的なメンテナンス費用を考慮します。最後に、これらの数値を比較して、倉庫自動化のROIの最小値を推定します。
コストとROIの計算に加え、倉庫の自動化が他の業務にどのような影響を与えるか、以下のような項目についても考慮します。たとえば、デジタル・プロセス。オートメーション・ソフトウェアや機能が豊富なWMSソリューションにアップグレードする場合、新しいシステムは他の倉庫機能にどのような価値をもたらすのでしょうか。発注書と請求書の倉庫の書類の手続きで、時間とリソースを節約できますか。自動化されたプラットフォームは、サプライチェーン業務に関連するキャッシュフローをどのように改善するでしょうか。カスタマーサービスの評価指標はどのようなものですか。自動化された倉庫のプロセスや手順によって、オムニチャネルや配送能力、商品の提供をどのように改善しますか、などを検討してください。
倉庫自動化のROIの計算
他の戦略的メリットを強調することに加え、倉庫の自動化による投資収益率(ROI)を算出することは、この取り組みの価値を意思決定者に納得してもらうための重要な方法です。
ROIを決定するには、いくつかの手順が必要です。
- まず、初期投資に必要な金額を決定します。これには、ソフトウェア、ハードウェア、導入、トレーニングにかかるコストが含まれます。
- 年間削減額と利益を見積もります。これには、人件費の削減、エラーの低減、生産性の向上、スペースの活用、在庫精度の向上などが含まれます。
- 年間の純利益を計算します。計算式は以下のとおりです。
年間純利益 = 年間削減額 – 年間運用コスト
- 次に、以下の式を使用してROIを計算します。
ROI = (年間純利益 / 初期投資コスト)x 100
倉庫の自動化に2億円の初期投資を行い、年間純利益が4,000万円の場合、その企業の年間ROIは20%(40,000,000/200,000,000 x 100)となります。注記する点としては、収益、営業コスト、その他の要因の変化により、実際の年間純利益が毎年変動する可能性があります。そのため、継続して評価することをお勧めします。
NetSuiteで倉庫自動化を促進
在庫追跡システムや倉庫管理システムを利用した倉庫の自動化は、大きな可能性を秘めており、最新の倉庫管理の進化には不可欠です。できるだけ人の手を介さずに商品を別の場所へ移動させるにより、迅速でシームレスな注文処理を行うことができるサプライチェーンを構築できます。これらの機械や先進機器への投資により、企業は日々高まる顧客の期待に応え続けることができます。
受賞歴のある
倉庫管理ソフトウェア
倉庫の自動化に関するよくある質問
自動倉庫とはどのようなものですか?
自動倉庫とは、テクノロジーを活用して、人の介入を最小限に抑えて作業を行う施設です。ロボットによるピッキング、梱包、自動倉庫(AS/RS)、コンベアベルト、在庫や注文を管理するソフトウェアなど、さまざまなシステムを採用できます。
倉庫自動化の3つのレベルとは何ですか?
倉庫の自動化には、基本、システム、高度の3つのレベルがあります。
- 基本的な自動化では、バーコード、スキャニング、コンベア・システムなどのシンプルな技術を使用して、プロセスを合理化します。
- システムによる自動化では、倉庫管理システム(WMS)、自動倉庫(AS/RS)、Pick-to-Lightシステムや音声ピッキング・システムなど、より高度なテクノロジーを使用して精度を高め、業務を最適化します。
- 高度な自動化には、自律型モバイル・ロボット(AMR)などのロボット工学、GTP(Goods-to-Person)テクノロジー、AIの統合が含まれ、人の介入を最小限に抑えながら、変化するニーズに適応できる効率的、スマート、柔軟な倉庫環境を実現します。
自動化された倉庫も割合はどのくらいですか?
倉庫の自動化への対応は、なんらかの形で増加傾向にあります。2027年までには、全倉庫の4分の1以上がなんらかの形で自動化されると推定されており、これは10年前の自動化比率のほぼ2倍にあたります。
完全に自動化された倉庫はありますか?
はい。自動化への投資は増加していますが、まだ一般的ではありません。完全自動化倉庫を導入している企業には、スロバキアのIKEA Components社、British Sugar社、Blechwarenfabrik社、Symbotic社などがあります。