どの業界の企業であれ、在庫管理ソフトウェアの検討のタイミングは、自社ブランドに重大なダメージを与えるような事態が起こりうる状況になったときです。その事態とは、在庫を追跡できない、納期どおり配送できない、いつ問題が解消されるのかはっきりと把握できないことなどです。有効な商品がない、納期を確約できないとなれば、お客様は見限って他のところへ行ってしまいます。

今がそのときかもしれません。

今まで、堅牢な在庫管理ソフトウェアやシステムは業界の大手企業や多国籍企業のみが使用するものでした。幸い、クラウドベースのソフトウェアが登場したことでこれがもっと身近になりました。在庫の注文と管理、キャッシュ・フローの把握、および在庫の所在の追跡に関連するプロセスの自動化ができる仕組みを、あらゆる企業が導入できる時代になりました。

さらに、中小企業が大企業や先進企業と同様のレポーティングと追跡の能力を確保できるうえ、クラウドシステムならではの柔軟性とスケーラビリティがもたらすメリットも得ることができます。クラウドによって、在庫のリアルタイムでの可視性を簡単に確保でき、重要な情報にいつでもどこでもアクセスできます。これはERPシステムの基本機能で動作でき、需要計画、財務およびロジスティクスとシームレスに統合します。さらに、自動化された機能によって手作業が減り、在庫ライフサイクル全体での効率性が最大化されます。

ソフトウェアを選択する際は、要件を定義し、コスト面と使いやすさの間でニーズのバランスをとることが非常に重要です。ただし、あらゆる会社がどのようなシステムを評価する際にも必ず重要視される、在庫管理ソフトウェアの主要な機能があります。

それは、次のようなものです。

自動補充:

サービス・レベルをサポートするために適切な量の在庫を維持すること、そしてそのプロセスを自動化することは不可欠です。システムには、望ましい在庫水準、リード・タイムおよび再オーダー・ポイントを自動的に計算し、注文アイテム・リストで提案することが求められます。流通が複数の倉庫に跨る組織の場合、組織全体で需要と供給のバランスを調整できるよう、ソリューションはより高度な業務要件を考慮したものであることが必要です。在庫管理ソフトウェアには、主要な設定の自動計算、組織全体の在庫数量表示と管理、そして複数倉庫計画の実現および、とりわけ重要な、その計画のスケーリングが求められます。

循環棚卸:

主要アイテムの在庫管理の正確性を定期的にチェックすることは特に重要です。アイテム数の正確性を確実化することによって在庫管理者は安全在庫の水準を下げ、コスト削減につなげています。在庫管理ソフトウェアには、在庫管理者が取引の量または金額、あるいはその両方に基づいて在庫を分類することでこのプロセスをサポートする機能があります。また、在庫の正確性を保つために、管理者がソフトウェアで手持アイテムの定期的な棚卸の結果を反映させることも必要です。さらに、ソフトウェアによって自動的に棚卸対象のアイテムの入力要求が通知され、アイテムが量や金額に基づいて分類されることが必要です。

トレーサビリティ:

顧客の期待の高まりと規制の強化の両方によって、製品ライフサイクルに対する可視性の強化が必要になっています。堅牢な在庫管理ソフトウェアであれば、管理者が在庫およびアセンブリ・アイテムをロットまたはシリアル・トラッキングの対象として定義することを可能にし、また、各取引に関する全情報を取得および識別できるSoR (記録のシステム)を提供することで、トレーサビリティを完全なものにします。一方、ユーザー・インタフェースではロット番号やシリアル番号で簡単に検索およびドリル・ダウンしてすべての関連取引にアクセスできるようにします。

このような在庫管理ソフトウェア機能が導入されると、倉庫が複数ある企業であっても、複数倉庫のトラッキング、階層型の保管場所定義、保管棚のトラッキングなどの高度な機能を適用することで在庫水準をエンドツーエンドで確認できるようになります。

在庫管理は巧みな技術を要します。しかしその肝要な点は、需要を満たすために最適な手持在庫が適切な倉庫に確実にあるようにするということにあります。その需要とは、サービス・レベルで顧客の期待を満たすことでもあり、製造施設で製造プロセスに供給することでもあります。

適切な在庫管理ソフトウェアとは、これらの実現を支援する、複数倉庫における在庫のトラッキング、安全在庫、再オーダー・ポイント、循環棚卸、需要計画、物流所要量計画などを行う多くのネイティブ・ツールおよび機能を備えたソフトウェアです。