従業員数が数名以上の企業であれば、業務と財務に関するデータおよび機能をより緊密に結び付けることでメリットを得ることができます。これらの結び付きを自動化するほど、メリットはより大きくなります。これがエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムの背景にあるシンプルなアイデアです。
ただし、ERPを選択し、適切に導入することは、通常それほど簡単ではありません。オンプレミス、 Software as a Service(SaaS)、 クラウドのERPのどれを使用するかという問いから始まるこのプロセスは、多くの企業にとって複雑で混乱を招く可能性があります。
これは、ビジネスをどのように進めているかや、ビジネスが成功しているかどうかとは無関係なテクノロジー・アーキテクチャに関する問いのように思えるかもしれません。財務、人事、生産、流通、在庫、注文、購買を統合したERPシステムがデータとレポートの統合ソースとして機能する場合、基盤となるデプロイ方法は本当に重要でしょうか。
実際、デプロイ方法は重要です。ERPへの各アプローチには固有の利点と欠点があるため、ビジネスによって、そのアプローチが適切に適合する場合とそうでない場合があります。たとえば、通常、SaaS ERPは迅速に導入でき、初期費用も抑えることができますが、クラウドERPでは、カスタマイズ性が高くなる可能性があります。
オンプレミスERPからの移行を想定して、クラウドとSaaS ERPに焦点を当てます(IDCの調査によると、現在のERP顧客のうち、ほぼ4分の3がオンプレミス・システムを放棄したいと考えています)。これらの2つの用語を同じ意味で使用する人もいますが、実際にはSaaS ERPは、特別な特徴を備えたクラウドERPのサブセットです。
クラウドERPとは
クラウドERPは、2つの重要な特徴を持っているテクノロジー・インフラストラクチャと考えることができます。つまり、サーバーはオフサイトのデータセンター(多くの場合、それを使用する企業が所有していない)にあり、企業はインターネット経由でソフトウェアにアクセスします。
一方の例は、シングルテナントのクラウドERPです。このモデルでは、企業がメンテナンスやアップグレードを含むソフトウェア管理を行うため、クラウド環境で利用できるオンプレミスERPに近いものです。もう一方の例は、マルチテナントのSaaS ERPであり、ベンダーが、パッチ適用、アップグレード、その他のメンテナンスなど、ハードウェアとソフトウェアを管理する責任を負います。このタイプのERPはマルチテナントであるため、コアERPプラットフォームに対する変更は、すべての顧客に一度に提供されます。これはすべて、企業が月単位または年単位で支払うサブスクリプション料金(ユーザー数や必要な処理能力やストレージに応じて決まる)に含まれています。
クラウドERPの利点
オンプレミスERPに比べてクラウド・ソリューションがどの程度の利点をもたらすかは、クラウドERPのタイプによって異なりますが、次のようないくつかの普遍的な差別化要因があります。
- ハードウェアを購入する必要がないため、コスト(特に初期費用)を削減できます。
- 迅速かつ簡単に導入できます。
- システムおよび内部の重要なビジネス情報へのアクセス性が向上します。
- 一貫して最新のソフトウェア・アップグレードが適用されます。
- ほとんどの組織が独力で構築できるものに比べ、セキュリティ、データ・ストレージ、耐障害性、ビジネス継続性の機能が優れています。
クラウドERPの欠点
同様に、オンプレミス・ソリューションと比較したクラウドERPの潜在的な欠点には、さまざまなものがあります。たとえば、次のようなものがあります。
- オンプレミスERPから脱却する企業には、データ移行の課題があります。
- データやその他のセキュリティ上の懸念に対する管理がクラウド・サービス・プロバイダーに移行される可能性があり、自社でそれらを十分に管理できなくなります。
- 顧客情報のホスティングとアクセスに関するセキュリティおよび規制コンプライアンス(HIPAAやGDPRなど)の課題が生じます(一部のクラウド・ベンダーにはコンプライアンスが組み込まれています)。
- ビジネス固有のニーズに合わせてソリューションをカスタマイズする機会が少なくなります。ただし、多くのクラウドERPプロバイダーがこの機能をさまざまな形で提供しています。
SaaS ERPとは
SaaSの概念は、実際にはクラウド・コンピューティングが登場する前に存在しました。インターネットの黎明期の1993年に最初のグラフィカル・ユーザー・インタフェースが登場した(一般市民がWorld Wide Webにアクセスできるようになった)後、少数のスタートアップ企業は自分たちの会社をアプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)と呼んでいました。ASPは、またたく間に消滅してしまいました。そのコンセプトは強力でしたが、当時のインターネット・インフラストラクチャは、そのようなクラウド・サービスをサポートするには不十分でした。これらのクラウド・インフラストラクチャ・プロバイダーは、インターネットを介してサブスクリプション・サービスとして提供できるクラウド・ソフトウェア・アプリケーションの道を開きました。
SaaS ERPが多くの企業にとって非常に魅力的である大きな理由は、プロバイダーがサーバーを設定および管理するため、組織がテクノロジー・スタックについて心配する必要がないことにあります。高度なERPの導入は潜在的に複雑で難しいことを考えると、これは企業にとって大きな価値をもたらす可能性があります。企業は、ソフトウェアのインタフェースのみを使用してシステムを操作し、従業員はインターネット接続を使用して任意のデバイスからそのインタフェースにアクセスできます。
また、SaaSの特徴により、ERPが「民主化」され、予算やスタッフの技術リソースがないためオンプレミスERPを検討できない中小企業の多くもアクセスできます。
次に説明するSaaS ERPの利点の多くは、プロバイダーのコア・ビジネスが一般的な企業とは異なり、ERPの構築と販売であるという事実がもたらす直接的または間接的な結果です。一般的な企業では、目指しているものが大きく異なり、業界もまったく異なる可能性があります。
SaaS ERPの利点
- コストは、低いことに加え、資本的支出よりも予測しやすい運用費です。コスト効果も高く、実際にシステムにアクセスする必要があるユーザーの分のみを支払います。
- 優れた機能をすぐに利用可能で、会計から人事、サプライチェーン、顧客関係管理(CRM)まで、幅広いビジネス・ニーズを満たすことができます。
- 弾力性に優れ、迅速なスケーラビリティという、もう1つの大きな利点をもたらします。ビジネスの成長に合わせてユーザーを追加したり、逆に次の請求サイクルでユーザー数を減らしたりできます。追加のハードウェアを購入して構築する必要がありません。
- 自動アップグレードにより、時間と負担を軽減しながら、最新の機能にアクセスできます。
- より現代的で直感的なユーザー・インタフェースを備えているため、ユーザーはより多くのシステム機能を利用でき、導入数の増加にもつながります。
SaaS ERPのその他の利点は、クラウドERPの場合と同様であり、たとえば、接続されたデバイスからシステムにアクセスする機能、高速で簡単な導入、さらに、セキュリティ、データ・ストレージ、耐障害性、ビジネス継続性の機能が、ほとんどの組織において独力で構築できるものよりも優れていることが挙げられます。
SaaS ERPの欠点
ほとんどの企業では、SaaS ERPの利点は欠点を大きく上回りますが、次の理由から、SaaS ERPは、特定の企業にとって最適ではない可能性があります。
- ソフトウェアをあまり柔軟にカスタマイズできないため、独自のビジネス・プロセスや業務に対応できない場合があります。ただし、多くのSaaS ERPプロバイダーは、いくつかのカスタマイズ機能を提供しています。
- クラウド・ソリューションでは、セキュリティが実際に強化される場合もありますが、特に厳格な組織(政府など)や規制の厳しい市場で事業を展開する組織が従う必要があるルールを満たしていない場合があります。
- 組織がユーザーを追加するとコストが増加するため、十分に監視しないとすぐに急増する可能性があります。非常に大規模な企業では、SaaS ERPのコストが最終的にオンプレミスERPの導入とメンテナンスのコストを上回る場合があります。
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どちらのERPシステムが最適か
非常に大規模な組織、非常に珍しいビジネス・モデルの組織、厳格なセキュリティ要件を持つ組織では、オンプレミスERPを脱却する際にシングルテナント・クラウドERPが最適な選択肢になる可能性があります。このタイプのシステムの場合、ソフトウェアをより詳細に制御でき、また、これらの組織では、ITスタッフや財務リソースを確保できるため、パッチ、アップグレード、その他のシステム改善を組織内で処理できる可能性が高いと考えられます。
他のほとんどの組織は、SaaS ERPのビジネス・ケースがより適していると判断することでしょう。これは特に、迅速な導入、初期コストの削減、シームレスなスケーラビリティを求めている組織や、組織内でのソフトウェアのインストールやメンテナンスにかかる時間と経費を回避したい組織に当てはまります。また、これらの企業は、主要なソフトウェア・プロバイダーがサイバーセキュリティに精通しており、自社またはサードパーティのサーバーよりも優れたデータ保護を提供していることも認識しています。
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