最新のエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムは、コスト削減とプロセス改善、生産性の向上を促進し、分析に必要な情報を自動的に生成してそれらの情報に基づく意思決定を支援することから、今日の不安定な経済状況で事業を成功させるために非常に重要となっています。そのため、ERPのグローバル市場の勢いが衰える兆しはありません。実際、クラウド・コンピューティングや機械学習といった新しいデジタル・プラットフォームやテクノロジの台頭に伴ってERPは進化を続けています。企業はERPを利用して、事業運営に関するあらゆる情報を常時、リアルタイムで可視化できます。

最新のERPとは?

ERPの前身(opens in new tab)となるのは、1960年代の資材所要量計画(MRP)システムです。MRPは主に、製品在庫と生産量を追跡するために製造業者によって使用されていました。1990年代初頭にはERPが開発され、他業種の企業も、会計、販売、調達、さらには人事といった多数の部門で財務の健全性と運用効率(またはそれらの欠如)に関する洞察をERPから得られることを認識しました。これらのシステムはオンプレミスに配置され、ハードウェアとソフトウェア、またすべてを実装、アップグレード、保守するためのITコンサルタントへの多額の初期投資が必要でした。

過去20年にわたり、サービス指向アーキテクチャの出現と、その後の高度なクラウドおよびモビリティ・フレームワークの導入によって、ERP 2.0への道が切り開かれました。そのため、最新のERPはクラウドベースという特徴を備えています。これは、クラウド・ベンダーが設定、ストレージ、保守、セキュリティの責任を担うことを意味します。

最新のERPは、リアルタイムで意思決定できるように組織のあらゆる部分からのデータを一元化し、デバイスに依存せず、従業員の役割にあわせてパーソナライズできます。たとえば、調達の管理者は人事や給与管理者とは異なるデータを参照する必要があります。ただし、ERPのすべてのデータは統合されているため、最新のERPでは非常に有益な関連データを生成できます。各部門のすべての管理者には、その特定の役割のニーズにあわせて構造化されたデータが表示されますが、そのデータは組織の唯一かつ共通データベースから得られるものなので、表示されるデータも全社で一貫しています。

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最新のクラウドERPの機能

クラウド・コンピューティング(インターネットを介してコンピューティング、ストレージ、アプリケーションをオンデマンドで提供するもの)は、ERPを含め、企業の業務システムの運用方法を急速に変化させました。最新のERPは当然のごとくクラウドベースです。ビジネスの様々な領域に接続する個別のモジュールからデータが取得されて統合されるため、意思決定者は使用するデバイスやタイミングを問わず、分析情報にアクセスできます。

最新のERPの機能には、次のものがあります。

  • リアルタイム分析: 企業は、問題に早く気付くのが早いほど、それだけ早く解決できます。そのため、特定の役割向けのリアルタイム分析に、ERPダッシュボードから直接アクセスできることが、戦略的な意思決定と運用の改善にとって重要です。それは、効率、コスト削減、顧客満足度の向上につながります。たとえば、自動のリアルタイム分析によって、注文配送が突然停滞したことを企業に警告できます。これは、荷揃えプロセスまたはサプライチェーンに問題があることを示している可能性があります。このように分析を活用して即時に対応できます。
  • パーソナライズされたダッシュボード: データは、ダッシュボードを使用するユーザーの役割に合った主要業績評価指標(KPI)とともに、パーソナライズされたダッシュボードに表示されます。たとえば、倉庫管理者は給与管理者やマーケティング担当とは異なるKPIを確認する必要があります。ただし、すべての業務データは統合されているため、全員が同じ情報源を利用します。
  • 組込みセキュリティ: ある推定によれば、全企業データの実に50%がクラウドに保存されています。ユーザーが様々なデバイスを使用してクラウドにアクセスすることを考えると、セキュリティの侵害によってデータが失われる可能性があることは明らかです。その結果、企業に経済的な損失の発生や、ブランドの評判や顧客からの信頼を損なうことになりかねません。最新のERPには、強力な暗号化を備えたセキュリティ・ツールが組み込まれています。企業はこのツールによって、セキュリティ・ポリシーの確立、ユーザー認証、アクセス権限の設定を行えます。また、シングル・サインオンや多要素認証などの保護も設定できます。
  • 拡張性: 従来のオンプレミス・システムとは異なり、クラウドベースの最新のERPは、サポートするビジネスの成長にあわせて迅速に拡張できます。ビジネスの成長は、新しい部門や部署の追加、新しい場所や国への事業拡張、吸収合併など、様々な形で行われます。最新のERPはモジュール(opens in new tab)で動作します。各モジュールは財務や顧客関係管理といった特定のビジネス機能向けに設計され、それぞれを必要に応じて追加できます。つまり、ビジネスの要件が拡大しても、同じERPをそのまま利用できます。
  • 高度なテクノロジ: 最新のERPには、ミスが発生しやすい手動の業務プロセスやタスクを自動化し、詳細な予測データ分析を行う新しいテクノロジも導入されています。企業はこれを利用して、たとえば、購買パターンを予測して、それにあわせて製品の生産を調整することができます。最新のERPでは、携帯スキャナやワイヤレス・センサーなどのInternet of Things (IoT)デバイスからのリアルタイムのデータ収集もサポートされます。

ERPの利点

企業は最新のERPを利用することで、中核となる業務プロセスを包括的にリアルタイムで把握できます。これらはクラウドで提供され、ハードウェア、ソフトウェア、アップグレード、ストレージなど、システムに関するあらゆることにプロバイダが対処するため、企業のIT担当者はそのような作業から解放され、競争上の優位性に直接貢献できる他の重要なプロジェクトや新領域に従事できます。

もう1つの重要な利点: 企業はオンプレミスのERPの購入、実装、保守に伴って発生する多数の初期インフラ・コストを大幅に削減できます。これは、予算の少ない成長中の企業にとっては特に魅力的です。会社の全般的な業績やワークフローなどに関するデータをリアルタイムで利用できるため、企業の部門管理者は働く場所や、使用するデバイスを問わず、より充実した情報に基づき、協力して意思決定できます。

また、最新のERPは、ビジネスが成長および変化した際に対応できる、大幅な柔軟性、俊敏性、スケーラビリティ(opens in new tab)も備えています。モジュール型の設計により、新しい機能を迅速かつ簡単に導入できます。最新のERPは、ソーシャル・メディアから外部のデータ分析まで、他のクラウド製品やデータ・ソースと連携することもできます。このため企業は出来事を関連付けて認識し、傾向を特定して、生産性を高め、必要に応じて戦略を再調整できます。

これらすべてのデータとその処理、保存、共有は保護され、各業種の規制を遵守するものである必要があります。データ・セキュリティは、ユーザー認証およびアクセス管理、データの暗号化、および多要素認証を用いてクラウドERPベンダーとシステムが担当し、サイバー攻撃からデータを守ります。

ERPのROI

クラウドベースのERPを選択することでコスト削減を実現できることは、短期的にも長期的にも明らかです。まず最新のERPでは、オンプレミスでの導入では必要なハードウェアとソフトウェアの多額の初期購入費用が不要で、すべての機器を設置するための施設も不要です。かわりに、クラウド・ベンダーがソフトウェアを提供して管理し、インターネットを介してサービスとして提供します。

さらに、ERPを計画、導入、保守するIT担当者が必要とするコストと時間も節約できます。その分、IT部門は自社のビジネスや組織構造、文化を反映したERP導入の戦略的アーキテクチャの開発に充てる時間が増え、長期的にビジネスの成長と収益増加につながる他の戦略的プロジェクトや新領域に注力することもできます。ビジネスの拡大に伴って新機能を迅速に追加できることによっても、同様の効果があります。

自動化も最新のERPの価値が発揮される機能の1つです。これは、特に、非常に複雑なデータ処理のパフォーマンスや組織の様々な機能間の統合に関連するためです。自動化による分析によって、たとえば、より充実した情報に基づいて意思決定できるようになり、業務プロセスとワークフローを迅速に改善できるようになるため、大幅なコスト削減につながります。

最新ERPの導入

最新のERPを選択する際には、組織レベルと部門レベルの両方で、ビジネスの戦略的目標を事前に考えておく必要があります。実際の導入はクラウド・プロバイダの仕事であり、これも魅力の1つです。計画では次のようなことを考慮します。

  • 既存の環境と課題を特定し、分析する。これには、プロセスの非効率性、成長に対する障壁、顧客の期待に応えるための能力不足、リアルタイムの意思決定のためのデータ不足、および既存システムのコストの特定などがあります。
  • ERPの利点を評価する。達成可能な目標のリストを作成します。これには、製造遅延の軽減、給与プロセスの高速化、顧客満足度の向上、キャッシュ・フローの改善、従業員定着率の向上などがあります。
  • コストを推定する。クラウドERPは様々な方法で企業の費用を削減できますが、サブスクリプション・ライセンスの数、ユーザー数、カスタマイズ、サードパーティ・ソフトウェアの統合とトレーニングに応じて、コストが多額になることがあります。そのようなコストを事前に把握しておけば、企業は適切な予算策定を行い、想定外のコストを避けられます。
  • リスクを特定する。最新のERPに関する事実の1つに、クラウド・プロバイダが自社(および顧客)の機密データにアクセスできるということがあります。これを懸念するのは当然です。また、データ漏えいやインターネットが一定期間ダウンする懸念もあります。クラウド・プロバイダがあらゆるシナリオで障害復旧および事業継続性計画を実施していることを確認してください。

NetSuiteが最新のERPとして優れている理由

NetSuite ERPは、クラウド向けに設計、構築され、特に成長中の企業に適したツール、サービスおよびモジュールを備えています。ERPモジュールは、会計、サプライ・チェーン管理、製造、マーケティングの自動化など、特定のビジネス機能向けに設計されています。NetSuiteの最新のERPは、企業の運営に関するリアルタイムの可視性、コスト削減と生産性向上を促進する詳細な洞察、およびより充実した情報に基づく意思決定につながる自動化機能を提供します。

まとめ

ERPは、1960年代にメインフレーム・コンピューティングの中から誕生して以来、大きく発展してきました。最新のERPはクラウドベースという特徴を持ち、高度な分析と自動化機能が組み込まれており、企業の様々な機能領域からリアルタイムの統合された洞察を提供します。このような特徴があるため、企業は独自のシステムを購入、インストールおよび保守する必要がなくなり、時間と予算を節約できます。そして、成長と拡大に投資し、運用を改善する新しい方法を見つけ、新領域領域に注力できるようになります。

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最新ERPに関するFAQ

ERPの最近の傾向はどのようなものですか。

企業は、社内のIT要求を削減し、ビジネスの状況に関するより広範で詳細な洞察を得て、データ・セキュリティと規制対応、コンプライアンスを向上させるために最新のERPへと移行しています。クラウドベースのERPを使用すれば、データと情報を新しい革新的な方法で接続し、最終的により優れた洞察を得ることができます。

最新のERPはどのような仕組みになっていますか。

プロバイダがクラウド内のシステムで、ERPを提供します。モジュール型のアプリケーションは必要に応じて追加でき、常時使用可能です。また、アップデートと差分プログラム適用は自動的かつ透過的に行われます。そのため、企業は常に最新かつ最も安全なバージョンのソフトウェアを使用できます。

『ポストモダンERP戦略』とは何ですか。

調査会社であるGartner社は、ポストモダンERPを"ベンダーが提供する統合の利点とビジネスの柔軟性と俊敏性のバランスを考慮した適切なレベルの統合で、企業の管理機能および運営機能(財務、人事、購買、製造および流通など)を自動化し、連携させるテクノロジ戦略"と定義しています。