中小企業は、多くの点で、大企業を双眼鏡の反対側から見たようなものです。会計、予算策定および予測から在庫管理や給与管理まで、多国籍企業が行わなければならないことはすべて、小規模とはいえ中小企業(SME)でも実行する必要があります。

NetSuite社の創業者でありエグゼクティブ・バイス・プレジデントのEvan Goldberg氏がこの事に早くから気づいて実践していたことは、今ではシリコン・バレーの伝説になっています。

「結局、インターネットが普及し始めた時にNetSuiteを立ち上げる羽目になりました」とGoldberg氏は冗談交じりに語っています。彼は、Oracle社を退社してわずか3年後の1998年に、Oracle社の創業者であるLarry Ellison氏の指導を受け、NetSuiteを立ち上げました。「私は古参です」と彼は付け加えます。

彼が入社した1987年のOracle社は、設立からわずか10年で、従業員も1000人に満たない会社でした。現在では、従業員数は13万2,000人、404億ドルを超える収益を上げています。1995年、Goldberg氏はOracle社のもとから離れ、彼自身の事業であるWebサイトをよりインタラクティブにする支援を行う会社を始めました。Larry Ellison氏もサポートしたベンチャーです。

「それは成功しませんでした。ただそれは私にとって、シリコンバレーで必要な失敗のようなものでした」とGoldberg氏は述べています。「しかし、経営やCEO、起業家としてのあり方について多くを学びました」

製品は成功しなかったかもしれませんが、事業を運営する過程で、一連のアイデアをもたらし、それがNetSuiteの起源となりました。当時、Larry Ellison氏はすでにクラウドについて考え始めており、アプリケーションは最終的にインターネット経由で提供されるという考えを持っていました。

「Larry氏との5分間の会話の中で、私はビジネスソフトウェアに軸足を移したいと彼に伝えました。すると彼は、インターネット上のソフトウェアから開始する必要があり、会計処理から着手するのがよいと言いました … それは私の考えではありませんでした」とGoldberg氏は説明し、彼の当初の考えは販売管理であったことを付け加えました。

「彼は会計から始めるのは、それが企業の業務の中核であるからだと言いました」

それから早18年、Oracle社はNetSuite – おそらく世界初のクラウドビジネス – を93億ドルで買収し、2016年にOracle NetSuiteを誕生させました。

それ以来、NetSuiteはビジネスソフトウェアの最大の変化の最前線に立ち、ソフトウェア・ソリューションやアプリケーションをオンラインで提供し、事業の運営環境を変革してきました。

Goldberg氏は、この変化のほとんどは、企業運営の経験に適ったシステムを必要とする顧客によって推進されていると述べています。そのため、NetSuiteでは問題点に注意深く耳を傾けて解決策を提供する必要があります。

「次世代の従業員からこんな要望があります。『このようなレガシー・システムを使うつもりはない、これはひどい』と」彼は続けます。「何年もトレーニングが必要なうえ、しかもシステムは遅く、不便であり、頻繁に更新されない、と彼らは苦情を言います」

「ソフトウェアを構築する技術は非常に進歩しており、より迅速に構築し提供できるようになっています」

NetSuiteでSaaS(Software as a Service)を提供することにより、ユーザーのアプリケーションのバージョンが1つのみであることを意味し、初期段階のスタートアップから急成長している企業や有名企業まで、あらゆる形態や規模の企業の製品全体を、効率化します。

「NetSuiteのメリットの1つは、財務、販売、Webサイト、オンラインストアなど、ビジネスの機能全体をカバーしていることです」と彼は述べています。「ユーザーにとって、それは単なる1つのアプリケーションであり、できれば使い方のトレーニングも必要なく、ただ選択して使い始めるだけがいいのです。」

Goldberg氏は、リトマス紙のようなよい判別方法の1つは、モニターじゅうに付箋が花飾りのように貼られている企業と話をすることだと述べています。

「企業にとって最も重要なことは、製品を作り、サービスを提供することであり、それが企業の命運を握っています。私たちの仕事は、企業にとって視界(見通し)を妨げたり運営を制限する可能性のあるものを取り除くこと。」

「いたるところに付箋が貼られているのを見れば、適切な情報がNetSuiteにないことがわかりますし、当然、次の課題はその付箋をどのようにして取り去るかということになります」

クラウドの生みの親はどのようにカスタマーサクセスを形成するのか

再利用可能な樽レンタル事業を展開するKegstar社のグローバルファイナンス・ディレクターであるChris Cynk氏は、NetSuiteは現在50名規模の従業員を抱える同社の事業にとって不可欠な存在になっていると語ります。

「私たちの成長に応じてサポートしてくれる、クラウドベースのERPを望んでいました」とCynk氏は述べています。さらに、Kegstar社は過去6年間で、オーストラリアの拠点から英国、アイルランド、米国、ニュージーランド、オランダへと事業を拡大したことを付け加えました。

「以前は別のソリューションを使用していましたが、私たちが展開していた複数の国、複数の通貨に及ぶ、成長の軌道をうまく管理するのに苦労していました」と彼は述べています。「私たちにとってテクノロジーは成功への鍵であり、NetSuiteなどのクラウドベースのシステムは、私たちが急速に成長し、新しい市場を迅速に活性化することを可能にしてくれました」

「よりよい情報とデータが意思決定をサポートしてくれ、さらに重要なことに、私たちがグローバルなチームとして協力し合い、洞察を行動に変えるのにも役立ちました」

「チームは少数精鋭で広範に分散しているため、リアルタイムでの意思決定が可能なプラットフォームを持つことが目標でした。それを提供してくれたのがNetSuiteです」

NetSuiteの将来についてGoldberg氏は、最終的な目標は、プラットフォームを人工知能と機械学習を使用して予測ソリューションを提供するインテリジェントアシスタントとして機能させることであると述べています。

「インテリジェントな洞察とは、明白になっていない可能性のあるデータからパターンを簡潔に引き出すことです」と彼は述べています。「そして、それを非常に得意とするのが機械学習であり、要因を見抜いて明らかにします」

現在開発中の分野の一つは、企業の履歴全体に基づいて仕入先または供給者のリスクをインテリジェントに予測するNetSuiteのSupply Chain Control Towerです。このシステムは、リスクが特定されると、様々な選択肢や代替え案を提示する事ができます。

パイプラインには、機械学習を利用してNetSuiteをより簡単により使用しやすくするための要素も含まれています。

「例えば、何かを頻繁に使用していて、それが5回クリックをする必要があると気付いた場合、それを画面上のすぐ上に配置し1回のクリックで済ませられます」とGoldberg氏は述べています。

AFR 帰属