エンタープライズ・リソース・プランニング（ERP）システムは、組織全体のさまざまな業務機能を統合するキーとなります。データがサイロ化されて存在するのではなく、単一のデジタル・スペースに統合されるため、サプライチェーン、1つのポータルから顧客関係、財務管理などのすべてのビジネス・プラットフォームにアクセスでき、結合されたデータは企業全体の信頼できる唯一の情報源（SSOT）となります。ERPシステムの導入が大幅に拡大していることは、ビジネスを成功させる上でERPシステムが重要であることを示しています。

なぜ、ERPシステムはこれほどまでに普及したのでしょうか?従業員と意思決定者が情報を共有するデータベースは、ビジネス・パフォーマンスを最高レベルに引き上げるための最短ルートだからです。

把握すべきERP市場の60の重要な統計

ERPソフトウェアとその成長を推進するテクノロジー、市場動向、導入は急速に変化しています。クラウドベースのツールは、より多くの企業にプラットフォームを開放しています。今回は、ERPソフトウェアのトレンドに関するインサイトを把握するのに役立つ統計をいくつかご紹介します。

ERP市場の統計

企業の基幹システムであるERPツールは、デジタルの普及、活発なグローバル取引、および追跡、維持、分析が必要な膨大な量のデータなど、市場の特性によって導入が推進されます。ERP市場の統計は、利用拡大とグローバルな需要の高まりを示しています。

  1. 近年、グローバルERPソフトウェア市場は劇的に成長し、2022年には480億ドル（約7兆2,000億円）にまで拡大しています。
  2. ERP市場は今後も急速な成長が続くと見込まれており、2032年までに960億ドル（約14兆4,000億円）に予想されています。
  3. 財務セグメントでは、2022年に収益シェアの約26%を占めました。一方で、人事セグメントは、2023年から2032年の間に9%の割合で大幅に成長すると予想されています。
  4. 製造、情報技術（IT）、医療・福祉は、ERP市場の成長の大きな割合を占めています。
  5. 大企業は、ERP市場シェアの39%を占めています。一方、中小企業の市場は、2025年まで年率7%で成長すると予想されています。
  6. 北米のERP市場は、2024年に200億ドルを超える規模で、2029年には320億ドル近くに達すると予想されています。
  7. アジア太平洋地域では、ERPソフトウェアの市場が急速に拡大しており、2032年までに最も急速に拡大すると予想されています。
  8. グローバル市場の成長は、2023年から2032年の間にCAGR 7%で成長すると予想されています。
  9. 2023年のIT意思決定者に関する調査では、62%がデジタル・トランスフォーメーション（DX）が最優先事項であると回答しています。一方、76%はコンポーザブルERPについて聞いたことがあると回答しており、そのうちの84%がコンポーザブルERPへの投資を計画していると回答しています。
  10. 50%の企業が、ERPシステムの導入、アップグレード、または近いうちに更新することを計画しています。
  11. 企業が新規にERPシステムを導入する主な3つの理由として、古いレガシー・システムの置き換え、異なるアプリケーションの統合、より新しいテクノロジーへの更新が挙げられています。
  12. グローバルERPソフトウェア市場は、2026年までに784億ドルに達すると予想されています。

ERP導入の統計

ERP導入を成功させるには、組織全体で連携を図るために、新しいシステム要件について明確なビジョンを持つ必要があります。適切なベンダーを選定し、社内に導入チームを設置することにより、プロジェクトの成功の可能性が高まります。

ERPの導入は困難な場合もありますが、データや統計によると、多くの企業が導入効率の期待値を上回り、さらにそれを上回る結果を出していることを示しています。

  1. 2023年の小売者、製造業、流通業の調査では、ソフトウェア・コンサルタントを雇って新しいERPまたはビジネス・システムを導入した企業では、85%の成功率を達成しました。
  2. ERPの導入を完了した企業のうち、77%が最も重要な成功要因は組織的なリーダーシップ・サポートであると回答しています。さらに、60%の企業が、導入を成功させるために最も必要なスキルは、すべての利害関係者との効果的なコミュニケーションであると回答しました。
  3. システムを同時にすべて稼働させるという、「ビッグバン」のアプローチを導入に採用した組織は約21%にすぎませんでした。
  4. 新しいシステムに移行する際、組織の50%以上は、事前に決められた手順に従って、より段階的で、ゆっくりとしたアプローチを選択しました。
  5. 中小企業は通常、3～9か月以内にERPシステムを導入しています。大規模な企業の場合は、スケジュールはより長期にわたる傾向があり、6か月から18か月の期間になります。
  6. ほぼ半数の企業が予定のタイムラインでプロジェクトを完了しました。一方で、約31%がプロジェクトが予想よりやや長引いたと回答し、約12%が予想よりかなり遅れて完了したと回答し、8%が予想より早く完了したと回答しました。
  7. プロジェクトが予想よりも長引いた場合、最も一般的な理由は技術的な問題であり、43%近くの企業がそのように回答しています。さらに40%は、当初のプロジェクト範囲が拡大したことによりスケジュールが超過しました。
  8. ERP予算を一般化することは困難ですが、経験則として、導入費用をカバーするために、企業の営業予算の1%を見込むことが推奨されます。
  9. ERPプロジェクトのユーザー当たりの平均コストは9,000ドルです。ユーザー数は企業の規模によって異なりますが、平均すると従業員の26%がシステムを利用しています。
  10. 予算超過を経験した組織のうちの38%が、その理由をプロジェクト当初の人員配置が過小評価されていたためと回答し、約35%が当初のプロジェクト範囲が拡大したためと回答し、約34%が技術的な問題と回答しました。
  11. 4分の1を超える組織で、ソフトウェアをカスタマイズなしで導入しています。一方で、約45%は中程度のカスタマイズを選択し、約21%は自社のプロセスに適合させるためにソフトウェアを大幅にカスタマイズすることを選択しました。
  12. 製品を選択する前に、約3分の1の企業がERPの導入について協議しており、56%が選択プロセス中に協議し、13%が本稼働直前に情報共有を行っています。

ERPの投資利益率（ROI）統計

組織では、ERPを使用して効率を高め、コストを削減しています。ERPの投資利益率（ROI）に関する統計では、テクノロジーのメリットを示しています。

  1. プロジェクト実施前にROI分析を実施し、1年以上運用されている組織のうち、83%がプロジェクトはROIの期待を満たしたと回答しています。
  2. プロジェクトのうち、少なくても1つのフェーズが1年以上稼働している企業の約91%が実感した最も一般的なメリットは、在庫水準の最適化でした。
  3. プロジェクトから付加的なメリットの報告があった組織では、ほぼ78%が生産性を向上させ、77%がサイロ化を排除し、76%がサプライヤーとのやりとりを促進し、75%がコンプライアンスを改善し、70%がカスタマー・エクスペリエンスを向上させました。
  4. 2023年のレポートによると、66%の組織が、ERPシステムによって業務効率が改善されたと回答しています。
  5. 調査回答者の62%が、ERPシステムはコストを削減し、ERPシステムは購入や在庫管理に特に効果的であることを指摘しています。
  6. 企業がERPシステムからメリットが得られたと回答したトップ3は、処理時間の短縮、コラボレーションの強化、データシステムの一元化です。
  7. 中堅企業（収益が10億ドル未満）の場合、ERPシステムの所有コストは概算で年間収益の3%から5%です。
  8. 年間収益10億ドルを超える大企業の場合、ERPシステムの所有コストは年間収益の2%から3%です。

ERPの利用状況の統計

ERPの導入状況は業種によって異なり、組織ではさまざまな理由でERPシステムを使用しています。最近のERPの利用状況に関する統計では、現在の利用動向に関するいくつかのインサイトを提供しています。

  1. 製造業の企業は、ERPソフトウェアのNo.1ユーザーです。
  2. 製造会社は、ERPソフトウェアの購入を検討している企業の47%で、最大の割合を占めています。
  3. メーカーに次いでERPソフトウェアを使用する可能性が高い他の業界は、流通（18%）、サービス（12%）、建設（4%）です。
  4. ERPソフトウェアの購入を検討している企業の調査では、89%が会計を最も重要なERP機能として挙げました。その他の回答には、在庫と流通（67%）、CRMと販売（33%）、テクノロジー（21%）が挙げられていました。
  5. 企業の40%は、ERPシステムを導入した主な理由として、より優れた機能性を挙げています。
  6. ERPソフトウェアの購入に最も影響力があったものは、財務および会計部門の従業員（23%）とIT部門の従業員（23%）でした。
  7. 平均すると、従業員の26%が自社のERPソフトウェアを使用しています。

クラウド・テクノロジーの統計

企業では、ビジネス効率の向上、オンデマンド・サービス、ネットワークの柔軟性、ネットワークアクセスの拡大を実現するために、オンプレミス・テクノロジーらクラウド・テクノロジーに移行する動きが世界的に広がっています。クラウド・テクノロジーの増加に関する統計では、ERP市場に関連するクラウド・アプリケーションの劇的な成長が示されています。

  1. 全世界のパブリック・クラウド・サービスの収益は、CAGRが19%に上昇すると予想されており、全世界の収益は2027年までに1.3兆ドルに達すると予測されています。
  2. 2023年には、クラウドERPの市場規模は500億ドル近くまで大幅に成長しました。
  3. クラウドERP市場は、2030年までに1400億ドル、CAGR 16%で急速に成長すると予想されています。
  4. ERPソフトウェアを使用している組織の半数以上（53%）では、オンプレミスのエンタープライズ・プラットフォームではなく、クラウドベースのソリューションを使用しています。
  5. 2023年の調査では、ERPソフトウェアに関心のある企業の95%がクラウド環境モデルに前向きであると回答しました。一方で、50%以上がオンプレミスERPの導入を検討する意向を示しました。
  6. 2023年のレポートでは、約65%の企業がクラウドベースのシステムを選択し、約35%がオンプレミス・ソリューションを選択しています。
  7. 組織がERPクラウドを選択しなかった主な理由は、セキュリティ侵害のリスク（32%）、統合に関する懸念（25%）、データ損失のリスク（19%）でした。

ERPのトレンド

ビジネス・ニーズがより複雑になるにつれ、ERPソフトウェアは、よりカスタマイズ可能な機能と、より広範な統合に対する需要に応えるために進化しています。現在のERPのトレンドは、クラウドの採用拡大と、プロセスを合理化および自動化するインテリジェントなシステムへと移行することが示されています。

  1. 65%以上の組織が、AIはERPシステムに重要であると考えています。
  2. CIOは、競争優位性を獲得するために最も重要なERPテクノロジーとして、予測分析とディープラーニングを挙げています。
  3. 2024年には世界全体のIT支出が約5兆ドルに達すると予想されており、2023年から7%近く増加する見通しです。
  4. 調査対象企業の40%が、ERPアプリケーションへの投資についてAIが重要な考慮事項であると回答し、16%近くがERPソフトウェアには組込みAIが必須であると回答しました。
  5. 最近の調査によると、一部のビジネス・プロセスにAIを追加することにより、組織のERPパフォーマンスが劇的に向上することがわかりました。たとえば、33%の組織が、AIがプロジェクトの管理指標を向上させるのに役立ったと回答しています。
  6. 英国の2023年の調査によると、ITの意思決定者の43%がカスタマー・エクスペリエンス・ソフトウェアに投資すると回答し、26%がERPへの投資を予定していることがわかりました。
  7. 組織の38%が、ERPによって変化する顧客の需要への対応能力が向上したと回答しています。

ERPの課題

一般的なERPの課題は、プロジェクト管理の不備、導入コストや期間の管理不足、新しいシステムに対する社内からの抵抗、ソフトウェア統合の問題、データ品質の低さなどです。これらの問題は、ERP導入の目標が不明確、ERPベンダーの選択の誤り、自社に適さないソフトウェアの購入などに起因しています。

ERPシステムはビジネスを飛躍的に向上させることができますが、ERP統計における失敗事例の1つにならないように、適切なプラットフォームと導入チームを選択する必要があります。

  1. 長年にわたるERP導入に関するデータ収集の結果は、50%が初回で失敗したことがわかりました。
  2. 導入のほとんどにおいて、最初に予算計上された費用の3倍から4倍かかります。
  3. 導入にかかる時間は、予想よりも30%長くなります。
  4. 51%の企業では、稼働中に業務の混乱を経験しています。
  5. ユーザビリティを向上させるために必要なシステム変更により、予定よりも65%の時間を多く費やしています。
  6. ユーザーにとって、ERPシステムがトップ3に入らない理由は、データの正確性、ユーザー・エクスペリエンス、分析です。
  7. そのうち、導入時に最もよく上げられる課題は、不十分なテストとプロセス再構築の不足の2つです。

適切なERPパートナーの選択

優れたERPパートナーは、会計や人事管理などの企業運営の基本をカバーする一連のサービスを提供しますが、顧客関係管理（CRM）、製品ライフサイクル管理（PLM）、サプライチェーン・マネジメント（SCM）、倉庫管理システム（WMS）など、幅広いアプリケーションも提供します。

高度なテクノロジーを備えたクラウドネイティブなERPシステムは、効率性の向上、コスト削減、迅速な導入時間など、ERPのメリットを求める先進的な組織に適しています。クラウドの導入により、大企業から中小企業にいたるまで、あらゆる規模の急成長中の組織でERPソフトウェアが利用可能になりました。

NetSuite ERPでビジネスを拡大する

NetSuiteは、あらゆる業界の中小企業にサービスを提供するNo. 1クラウドERPソフトウェア・ソリューションです。NetSuiteは世界中の41,000社を超える顧客に選ばれており、柔軟性を備えたクラウドネイティブのERPシステム、コマース対応のアプリケーション、データ分析機能を提供しています。

成熟した組織では、重要なビジネス情報の追跡と整理を行うために、スプレッドシートを超えるものが必要となります。ERPシステムは、CRM、SCM、PSAなど、企業全体にわたるビジネスソフトウェアを1つのデジタル・エコシステムに統合します。ERPの市場は、潜在的なROIやクラウド・アプリケーション、統合された機械学習、自動化機能の恩恵を受け、目覚ましいペースで成長を続けています。新しいERPシステムの導入には困難が伴いますが、適切なERPパートナーを選ぶことにより、導入にかかる時間を短縮し、最終的に利益を生み出すことができます。NetSuiteは、あらゆる業界の中小企業を対象としたトップクラスのクラウドベースのERPプラットフォームです。

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よくある質問

統計におけるERPとは?

ERPプラットフォームは、企業内のさまざまな領域からデータを整理および統合する上で、ビジネスにとって重要な役割を果たします。サイロに存在するのではなく、販売、会計、顧客との関係、サプライチェーンなど、あらゆるデータが単一のデジタル・エコシステムに存在します。これにより、単一の項目のみに絞ってデータ分析を行うよりも、より高度な統計分析を行うことができます。たとえば、サプライチェーンの混乱が収益に影響を与える影響や、新規採用者が利益与える影響を調査できます。ERPプラットフォームを使用してビジネス・パフォーマンスをモニタリングするために追跡できる指標は数多くあります。

ERPを導入している企業の割合はどのくらいですか?

クラウドベースのERPプラットフォームの成長に伴い、ERPソリューションを導入する企業が増え続けています。ただし、導入率は業界によって異なります。ERPソフトウェアを最も活用しているのは製造業、メーカーです。一般的に、基本的なスプレッドシートや初級レベルの会計ソフトウェアでは限界がある中規模の企業では、ERPソフトウェアを採用する可能性が高くなります。

データ分析におけるERPとは?

ERPシステムは、会計情報と業務情報を巧みに融合します。これにより、これまで不可能だった分析を行うことができます。このデータを単一のソースにまとめることにより、過去と現在の情報を調査して、将来の状態を予測するのに役立てることができます。見やすいダッシュボードは、業績の理解を深めるための視覚情報を提供し、エグゼクティブとインサイトを共有できます。ERPプラットフォームは、データのクリーンアップ、構造化、マイニングを行い、インパクトのあるインサイトを得るのに役立ちます。

ERPシステムとはどのようなものですか?

エンタープライズ・リソース・プランニング（ERP）システムは、ビジネス向けの一連のソフトウェア・プラットフォームです。ERPプラットフォームは、会計、人事、サプライチェーン、倉庫管理などの業務に対応するツールを提供します。ただし、これらの異なる分野のデータが別々に残るのではなく、すべてが1つのデジタル・エコシステムに統合されます。これにより、ユーザーとそのチームは、シングル・サインオンでこれらのすべての情報にアクセスできます。また、部門をまたいで全体を把握し、より強固なデータ分析を行うことができます。プロセス改善やその他の効率化、営業、人事の取り組みが収益や成長にどのような影響を与えるかを分析できます。世界でも最大で、最高の経営を行っている企業の多くがERPツールを使用しています。クラウドベースのソフトウェアと成長に応じて拡張できるアクセシビリティにより、中小企業でもERPを活用する企業が増えています。

ERPの現状

エンタープライズ・リソース・プランニング（ERP）ソフトウェアを活用する企業が増えています。さらに、より多くの企業がその機能を活用し、より大きなビジネスの成功、プロセスの改善、顧客との対話を実現しています。ERPの市場規模は、2025年までに年間500億ドルに迫ると予想されています。トレンド、市場成長、導入、課題について、詳細をご説明します。

ERPの市場

7%

2023年から2032年までに予想される年間成長

ERPの導入

85%

導入を支援するソフトウェア・コンサルタントを雇うことにより成功したと報告している組織の割合

投資利益率（ROI）

95%

ERPの導入により、業務プロセスが改善した企業の割合

利用状況

No. 1

製造業の企業は、ERPを採用する可能性が最も高い企業です

クラウド・テクノロジー

53%

ERP導入企業のうち、クラウドベースのソリューションを利用している割合

ERPのトレンド

85%

AIと機械学習がビジネス・プロセスを置き換えると回答したIT開発者の割合

課題

トップ2

導入上の課題は、テストとプロセス再構築が不十分であることです