新しいERPシステムへの移行は、あらゆる組織にとって大きな作業になります。さまざまな企業のケース・スタディ によると、重要なプロジェクトと同様に、適切な導入戦略を選択することで、その導入が成功する可能性が大幅に高まることがわかります。

ERPシステムは、会計から製造、在庫、流通、販売に至るまで、組織の隅々まで効果をもたらす統合ソフトウェア・スイートです。このシステムはビジネスの多くの部分に影響を及ぼすため、最初の分析と設計からデプロイとサポートまでの段階を含むロールアウトを慎重に計画することが重要です。

重要なデプロイ段階に関しては、いくつかの戦略があり、それぞれにさまざまな潜在的な利点とリスクがあります。

ERP導入の段階

ERPの導入は通常、 6つの主要な段階(フェーズ)に分割され を立ち上げ、さまざまなビジネス・グループの要件とERPシステムで解決する必要がある問題に関する意見を収集します。同チームは、ベンダーの簡潔なリストの作成、提案に関するリクエストの発行、ERPシステムの選択、導入の管理を行い、さらに、ERPシステムがさまざまなグループのニーズを満たし、全面的に採用されるよう取り組みます。

これらのフェーズは重複する可能性があり、企業によって多少異なる場合があります。しかし、一般的に多くの企業は、この流れをたどることでしょう。

  1. 発見と計画: 組織は部門横断的なプロジェクト・チームを立ち上げ、さまざまなビジネス・グループの要件とERPシステムで解決する必要がある問題に関する意見を収集します。同チームは、ベンダーの簡潔なリストの作成、提案に関するリクエストの発行、ERPシステムの選択、導入の管理を行い、さらに、ERPシステムがさまざまなグループのニーズを満たし、全面的に採用されるよう取り組みます。しっかりとしたERP導入計画は、おそらく最も重要な成功要因であるため、入念に計画を準備してください。
  2. 設計: ここで、プロジェクト・チームは既存のワークフローを分析し、新しいシステムではワークフローがどのように変更されるかを確認します。日々の業務を担当する管理者やビジネス・プロセス所有者は、タスクの実行方法の調整に関して協力的である必要があるため、柔軟性が重要になります。

    チームは、そのワークフローを使用して、会社にとって重要なERP機能は何か、各ビジネス・グループの ニーズを満たすためのモジュールの追加またはソフトウェアのカスタマイズをどのように行うか、新しいシステムに移行するデータはどれかを正確に判断します。

  3. 開発: ベンダーまたは統合パートナーはチームと協力して、ビジネス要件にあわせてソフトウェアを構成し、トレーニング資料やドキュメントの準備、データのインポート開始など、デプロイに向けた準備のために他のアクティビティを実行します。クラウドベースのSaaS ERPではなくオンプレミスERPシステムを使用している場合は、ハードウェア、接続性、クライアント・ロールアウト、長期的なメンテナンスとセキュリティの取り扱い方法を決定する必要があります。ハイブリッドERPシステムでも同じことを考慮する必要があります。
  4. テスト: システムを本番稼働する前にテストします。これには、さまざまな従業員によるすべてのシステム使用方法を網羅した包括的な評価を含める必要があります。テスト中に検出された問題を修正するために微調整が必要になる場合もありますが、システムを稼働させた後に、従業員が問題を検出するよりもよいでしょう。
  5. デプロイ: 構成、データの移行、テストが完了したら、本番稼働を開始します。しかし、まだ喜ぶことはできません。スタッフが日常の業務のためにシステムを十分に使用しない限り、企業は投資に見合った利益を得たことになりません。トレーニングを優先し、各部門で「エバンジェリスト」を指名することを検討してください。これらのパワー・ユーザーは貴重なピア・リソースとなります。
  6. サポート: プロジェクト・チームは、ユーザーが必要なサポートを受けられるようにし、システムのアップグレードを続け、必要に応じて問題を修正します。オンプレミスERPシステムを選択した場合は、セキュリティ、パッチ適用、メンテナンス、問題のトラブルシューティングに関する専任のITリソースが必要になります。
つのERP導入戦略

優秀なERP導入チームを実現するための5つのステップ

経営幹部の支援を獲得する。非効率的な手続きを打ち破り、予算を確保し、組織を結集させてプロセスを更新するのは誰でしょうか。

さまざまな部門の人々を取り込む。大規模なチームは扱いにくいかもしれませんが、それに対処するさまざまな方法があります。ERPシステムを使用する財務部門やその他の部門にIT部門が指示すればよいという考えは間違いです。

メンバーを優先順位にマッピングする。このチームは、オプションを適切に評価できるように、発見プロセスに合わせてユーザー・パターンとビジネス・プロセスに関する深いインサイトを提供する必要があります。

計画を優先する。このプロジェクトでは、一部の従業員がかなり多くの時間を費やすことになります。チームが大きくなるほど、仕事の範囲が拡大します。そのため、一部の職務の再割当が必要になる場合があります。

役職ではなくスキルに注目する。専門知識と取り組みに基づいてチーム・メンバーを選択します。既に経営幹部の支援は得ています。有意義な貢献につながるように、スキルセットを持っている人材をチーム・メンバーに選びましょう。

4つのERP導入戦略

新しいERPシステムに移行するための実績のある戦略は数多くあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。ERPソリューションの導入 では、関係者が1つの目標(ビジネスの成功)に向かって協力することが重要です。

最も一般的な4つアプローチを次に示します。

  1. ビッグバン

    「単一ステップ方式」とも呼ばれるこのアプローチでは、すべてのユーザーが同時に新しいシステムに移動します。本番稼働開始日までに、新しいシステムの構成とテスト、およびトレーニングをすべて完了しておく必要があります。

    この場合の利点は、生産性の向上、インサイトの改善、運用コストの削減など、ERPのメリットがすぐに表れることにあります。ただし、システムをロールアウトすると元に戻すことは困難であるため、作業を正しく進めることが重要です。エラーや不具合は、比較的軽微なものであっても、従業員、ビジネス・パートナー、顧客に影響を及ぼす可能性があります。また、従業員が新しいシステムに慣れるにつれて、一時的に生産性が低下する場合があります。

  2. 段階的ロールアウト

    段階的なアプローチでは、機能、ツール、およびコンポーネントのデプロイが数週間または数か月に及ぶ、長期間にわたって行われます。この慎重なアプローチでは、ビッグバン戦略よりもリスクが低くなる可能性があります。また、企業は「クイック・ウィン」(最も迅速にメリットをもたらす機能)に焦点を当て、最初のデプロイ・フェーズから学んだことを適用して、後続のフェーズのプロセスを改善することもできます。

    ただし、短所もあります。新しいERPのメリットを十分に享受するには時間がかかり、企業は2つのシステムを同時にサポートして、コストをかける必要があります。

    このアプローチには、3つの主要な方法があります。組織は、1つのERPモジュールをオンにし、バグやプロセスの課題を解決してから、別のフェーズに取り組むことができます。ほとんどの組織では、コア機能から始め、そこから拡大します。考えられるもう1つの方法、人事、財務、ロジスティクスなどの事業部門別にデプロイしてから、ニーズと階層に基づいて推進するものです。

    3つ目の方法は、ロールアウトを地理別に段階的に進めることです。企業は、ある場所でシステムをテストして完成させてから、他のオフィス、工場、または施設にロールアウトすることができます。

  3. 並行導入

    この戦略の場合、組織はレガシー・システムを新しいERPと並行して一定期間使用し続けます。問題が発生した場合はレガシー・システムに戻すことができるため、これは一般的に最もリスクの低いアプローチと考えられています。この安全策があるため、一部の組織では、常に運用を継続することが求められる重要な機能に対してこの戦略を使用しています。

    また、このアプローチでは、ユーザーが新しいシステムに徐々に適応することができます。ただし、2つのシステムを同時に稼働させるには、スタッフの時間とリソースがより多く必要になるため、並行導入はコストがかかる可能性があります。また、平行導入では特有のリスクが生じる可能性があります。たとえば、2つの異なるシステムにデータを2回入力すると、エラーの可能性が2倍になります。

    それでも、このアプローチは、組織的に拡大した場合や、合併や買収を行った場合によく見られる2層ERPアーキテクチャを使用している企業にとって最善の策である可能性があります。

  4. ハイブリッド

    その名前が示すように、このアプローチでは、前述の戦略の要素を組み合わせています。たとえば、組織はビッグバン戦略を使用してコアERPモジュールをオンにしてから、他のモジュールを特定の場所や部門に段階的にロールアウトできます。

ERP導入戦略を選択する方法

単一のERP導入戦略が、すべての企業およびすべての状況でうまくいくことはありません。導入戦略の選択は、いくつかの要素に左右されます。たとえば、次のようなものがあります。

  • 組織の規模: 中小企業では、従業員と拠点の数が少なく、組織全体を一度に移行するプロセスの管理が容易になるため、多くの場合、ビッグバン戦略が最も効果的です。大企業、特に組織構造が複雑な企業の場合、このアプローチはリスクが非常に高い可能性があります。
  • リスク許容範囲: 従業員が新しいERPシステムの使用を開始したときに大きな問題が発生した場合、ビジネスにどのような影響があるでしょうか。24時間365日稼働するシステムに完全に依存している企業は、ビッグバン・アプローチに関連するリスクを取る傾向が低く、少なくとも最も重要なモジュールには並行導入を選択する可能性があります。
  • 投資利益率(ROI)の望ましいペース: 段階的な導入の場合、ビジネス上の特定のボトルネックに対処するERPモジュールをロールアウトできるため、比較的迅速にROIを生み出すことができます。もちろん、ビッグバンではERPへの全体的な移行が迅速に完了し、すべての従業員が同じ統合的なシステムを使用する場合に得られるメリットを組織としてすぐに実感できるため、ROIがさらに大きくなる可能性があります。
  • コスト: プロジェクト全体のコストが最も重要な懸念事項である場合、古いシステムと新しいシステムを同時に運用するコストを排除できるビッグバン戦略が魅力的である可能性があります。
ERP Implementation Timeline

ERPの導入ステップ

組織がどの導入戦略を選択しても、実際のステップはほとんど変わりません。ユーザーに新しい機能をロールアウトする際に、組織はソフトウェアを構成し、トレーニング、データ移行、幅広いテストなどの準備ステップを実行してから、ユーザーにソフトウェアをデプロイし、トレーニングとサポートを提供します。

ビッグバン戦略では、プロジェクト・チームはこれらの各ステップに連続的に取り組みます。本番稼働の開始日後は、サポートと必要な機能強化のみに集中できます。

段階的なアプローチでは、チームは、組織内のさまざまな部門や部分に関する複数のステップに同時に取り組む可能性があります。たとえば、チームは、コア財務モジュールのデプロイ段階を進めながら、CRM機能の設計と開発に取り組んでいる場合があります。

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ERP導入のヒント

ERPへの移行は、組織の運営方法に大きな変化をもたらし、あらゆる変化がリスクにつながります。これらのヒントは、成功への取り組みを円滑化するのに役立ちます。

  • 上級経営幹部の同意を得る。複数の部門にまたがる上級経営幹部の支援がなければ、ERPの導入が行き詰まる可能性があります。また、Cレベルの全面的な支持者を獲得することもベストプラクティスの1つです。
  • 期待を管理する。このような広範囲にわたるプロジェクトを成功させるには、多少の問題は付き物です。移行に対する従業員の期待が現実的なレベルであることが重要です。それには、導入プロセス全体を通してプロジェクト・チームが意志の疎通を図る必要があります。
  • カスタマイズの影響を考慮する。ほとんどの組織およびさまざまな部門は、ビジネス・プロセスをサポートするカスタマイズを求めます。ただし、オンプレミスERPソフトウェアを使用する場合、大規模なカスタマイズを行うと、新しいリリースへのアップグレードが難しくなり、望ましい新機能を活用できなくなります。SaaS ERPの場合、IT部門または統合パートナーがカスタマイズを行うことができますが、それによってコストが増加します。カスタム・コードを追加する前に、プロセスを調整できないかを十分に検討してください。その結果、作業をより効率的に行う方法が見つかる場合があります。
  • 適切なKPIを使用する。ERPシステムは、組織が進捗や結果を測定するための >重要業績評価指標(KPI)を追跡するのに役立ちます。しかし、売上の拡大を追跡する場合でも、または業務効率を追跡する場合でも、ビジネスの目標にとって最も意味のある指標に焦点を当てることが重要です。