エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)ソリューションは、データを一元化し、自動化することで、事業運営のほぼすべての側面で組織をサポートするように設計されています。このソリューションのプラットフォームによって内部プロセスが制御されるため、財務、購買、資材、商品、サービス、顧客および従業員に関する事業計画が容易になります。

すべてのERPシステム (新しいタブで開きます)の中心的な機能は、様々なビジネス・ユニットで使用される複数の機能をサポートする共有データベースです。これは、実際には、会計、営業、人事などの異なる部門の従業員がそれぞれのビジネス・プロセスのニーズについて同じ情報を使用できることを意味します。

ERP実装プロセスとは何ですか?

ERP (新しいタブで開きます)実装には標準テンプレートがないため、それぞれが少々異なりますが、全体的に見ると、各インスタンスの実装プロセスには中心となる類似点があります。大まかなレベルでは、ERP実装戦略には、ソリューションの購入から、ライセンスやソフトウェアのインストール、財務データとトランザクション・データの転送、各部門やユーザー・グループ、業務分掌に対するビジネス・プロセスとシステム・アクセスのマッピングに至るまで、類似したフェーズが含まれています。

ERP実装方法論の段階

ERP実装の方法論は、組織の規模、プロジェクトの複雑さ、オンプレミスとクラウドのどちらのソリューションを実行しているかなどの要因に基づいて、単純なものから複雑なものまであります。

オンプレミス・ソリューションには、ハードウェア・インフラの導入に加えて、インフラを維持するためのスタッフの追加など、さらなるステップがあります。構成のホスティングや設定などのすべてのサポート活動は社内で管理されるため、追加されるこれらのフェーズは変わる可能性があり、多くの場合、実装が長引く可能性があります。

クラウドERPの実装では、オンプレミス・システムを利用する事で必要な従来のステップの一部をスキップできます。ソリューション・プロバイダがインフラを管理して、企業がデータ移行、プロセス変更および従業員トレーニングに集中できるようにします。ホスティング、サーバーおよびメンテナンスの追加のステップは、通常、ERPベンダーによって管理されます。

ERPプロジェクト・チーム

プロジェクト・チームは、実装プロジェクトの全体的な健全性に対して責任を担い、ERP実装チェックリストを通じてメンバーをガイドする日々のイニシアチブとタイムラインを監視します。会社の規模と、デプロイしているERPソリューションがクラウドベースかオンプレミスかによって、プロジェクト・チームのメンバーは異なります。

ERPプロジェクト・チームのメンバーは、ERPベンダーと組織のプロジェクト・マネージャーに加え、アナリスト、開発者、主要ユーザー、エンジニアで構成されます。各メンバーは、構成、インストール、テストおよび移行の各タスクの実行に焦点を当てた、独立した戦術的な役割を果たします。

小規模で比較的複雑でない実装またはクラウドベースのシステムの場合、プロジェクト・チームは若干異なります。チームは、プロジェクト・マネージャー、主要ユーザー、および多くの場合は新しいソリューションのインストール、移行およびテストを支援するERPベンダーのコンサルタントで構成されます。

大企業の複雑な実装には、多くの場合、導入プロジェクトチームがあります。チームは企業の幹部と管理者で構成され、投資を正当化する戦略や優先順位などの全体像を確立します。委員会は予算を決定し、通常は大局的な目標を設定します。

ERP実装予算

実装プロジェクトの成否は、現実的な予算の設定に左右される可能性があり、会社が予算を超過する主な理由は、ERPプロジェクトの範囲 (新しいタブで開きます)の拡大です。ERPの実装予算は、技術費、人件費およびデータ移行費の3つのカテゴリに分類できます。

技術費には、すべてのソフトウェア、ライセンス、ハードウェアおよび既知の技術実装の費用が含まれます。これには、インフラのハードウェアとソフトウェアのアップグレード、データベース構成、メンテナンスとサポート、カスタマイズ、さらにはホスティングなどの要素があります。

人件費には、教育とトレーニングの費用、プロジェクト管理費用、コンサルティング費用、その他の変更管理費用(追加従業員の採用など)を含む、社内および社外の人件費が含まれます。

ERPデータ移行費には、レガシー・システムのデータ抽出や廃止のコストに加え、新しいERPソリューションへのクリーン・データの転送などの領域が含まれます。

ERPの実装にはどのくらいの費用がかかりますか?

ERP実装費用の単純な数字はありませんが、事業規模、必要なユーザーまたはライセンスの数、トレーニング・セッション、必要なカスタマイズ、アプリケーションおよびデータの移行、ERPがオンプレミス・ソリューションかクラウド・ソリューションかなどの要因に基づいて見積ることができます。

経験則として、ベスト・プラクティスでは、組織の運営予算の少なくとも1パーセントを計画することをお薦めします。この数字は、組織の規模に応じて増減します。

オンプレミス・ソリューションでは、永久ライセンス料金の購入と管理に多額の先行投資と継続的な費用が必要になるため、より多くの設備投資が必要になります。さらに、オンプレミス・ソリューションでは、必要なハードウェア、サーバーおよび設備を備えたソリューションのITインフラの維持に関連する費用の他に、これらのシステムを維持するための人員が追加されます。

通常、クラウドERPシステムの実装では、重視する必要があるのがソフトウェア要件とシステムへの接続のみであるため、初期費用がかなり低くなります。これが、ERP導入プロジェクトのほぼ半分がクラウドERP (新しいタブで開きます)である理由です。これは、ERPプロバイダが組織のITインフラをホストおよび維持することで、時間とリソースの需要を最小限に抑えることができるためです。

ナンバー1クラウドERP
ソフトウェア

導入前のお問い合わせ

ERP変更管理計画

ERP実装での最大の難関の1つは、従業員を新しいビジネス・プロセスに移行することです。従業員を新しいシステム、ルールおよび手順に移行するには、明瞭性とトレーニングが必要であり、会社には、そのための堅実な変更管理計画が必要です。

変更管理計画には、次のいくつかの要素を使用して新しいプロセスの特定の目標を定義する、詳細なロードマップが必要です。

  • 分析 – 新しいプラットフォームの準備状況を分析し、チャンスとリスクを特定します。
  • 役割の評価 – 現在の労働状況を見て、人員のギャップを認識します。
  • コミュニケーション計画 – 目標、マイルストーン、成果物および移行プロセスを定義する詳細な移行計画を作成します。
  • ワークフォース・イネーブルメント – 新しい役割とトレーニング計画を実装することで、変革された組織で従業員が目標を達成するのを支援します。
  • トレーニングの実施 – 新しいシステムのオンボーディング・トレーニングを実施します。

設計と開発

ERP実装計画の設計および開発段階では、顧客とベンダーが手順を定義し、新しいERPソリューションでのデータの管理方法の新しいプロセスを文書化します。プロセスを定義した後、新しい要件と手順を満たすデータベース・フレームワークを開発します。

たとえば、オンプレミスからクラウドのERPソリューションに移行する場合、または新しいソリューションをPOSや在庫管理ソリューションなど、他のプラットフォームに接続する必要がある場合は、データを新しいシステムに移行する前に、プロジェクト・チームでこれらのカスタマイズまたはAPIを設計して開発する必要があります。次に、新しいソリューションに転送する必要がある古いソリューションのデータを特定します。

データ移行

実装が成功するためには、データの移行が不可欠ですが、あるシステムから別のシステムにデータを転送するのは煩雑な処理であり、予期しない障害が発生する可能性があります。データ移行の目標は、識別され、スクラブされ、マッピングされたクリーン・データを新しいシステムの対応する場所に移動することです。このプロセスをより効率的にするには、移行前にプロジェクト・アナリストと連携してデータ分析とマッピング分析を実行します。

トレーニング

ERPのメリットを引き出すには、エンドユーザーである従業員が新しいシステムの活用方法を確実に理解していることが必要です。トレーニングは包括的で、オンライン学習の機会を組み合せて従業員が利用できるようにしてください。

Eラーニングを使用すると、ユーザーは自分の都合にあわせてトレーニングを進めることができ、特に自分の役割を対象としているトレーニングに集中する一方で、幅広いすべてのトレーニングにアクセスできます。一部のソリューションは特に複雑であるため、実装フェーズを超えて継続的な学習を提供することで、ユーザーによる長期的な所有が促進されます。

テスト

インストールの後、管理者はベンダーとのテスト・フェーズでシステムとデータが期待どおりに実行されることを確認します。このフェーズは、問題をトラブルシューティングや、標準に達していない領域や正常に動作していない領域の改善をするチャンスでもあります。

プロジェクト・チームの開発者、エンジニアおよびその他のユーザーは、テストをしてデータ移行を検証し、最終的なデータ転送および運用開始日までにERPソリューションが最適に実行されるように微調整します。

運用開始とデプロイメント

システムを開発し、ほぼすべてのデータを転送し終え、製品のトレーニングとオンボーディング活動を実施し、テストを完了したら、いよいよ決定的な瞬間が訪れます。

しかし、まだいくつかのステップが残っています。トランザクションベースのデータ(在庫、注文、発注書、売掛金/買掛金および残高)は動的で頻繁に変更されるので、正確性を期すために最後の瞬間にデータを転送する必要があります。すべてを微調整した後、運用開始データを設定すると、システムの使用準備が整います。

ソリューションの効率を評価するには、次の質問に回答することで、顧客の反応や従業員の適応傾向といった要因を調査して、投資の実際の収益率を判断する必要があります。

  • 従業員の生産性に関して、従業員はテクノロジーを最大限に使用していますか?
  • ERPの自動化により、効率または顧客満足度の向上につながっていますか?
  • 顧客の維持率は高いですか、低いですか?
  • 委託および販売指標は時間の経過につれて改善していますか?顧客関係はどうですか?
  • 計画と管理を通じて、在庫レベルが低下し、ワークフローが改善していますか?
  • 生産の処理可能量はどのように見えますか?

無形の指標の測定は、評価が難しい場合があります。ERPの自動化されたプロセスを取り入れれば、組織全体でエラーが減少してワークフローの効率が向上し、時間の経過とともに収益が増加し、コストが節約されます。

従業員はまだ新しいソリューションに適応している途中の可能性もあるため、これらの無形の指標の評価を数か月から1年待ってから行えば、ERPと組織のパフォーマンスの全体像がより鮮明になるかもしれません。

サポート

実装後のサポートは、ERP実装プロジェクトの最後の部分です。すべてが稼働していても、常に計画どおりに進むとは限りません。経験豊富なサポート担当者が、予期しない問題を支援し、質問に回答できるようにする必要があります。実装の規模や複雑さに応じて、ベンダーはさらなるニーズを支援するために様々なレベルのサポートを提供する場合があります

事業の種類に関係なく、ERPソリューションの実装は慎重な計画と、組織全体からのコミットメントを必要とする重要なプロジェクトです。ERPの実装は大規模な作業になる可能性がありますが、適切な計画と実行によってシステムを実装すると、より少ないリソースで収益を増加できます。