男性用グルーミング製品メーカー、急成長中の引越し業社、そして専門物流業者の共通点とは何でしょうか?この3社はいずれも、以前ある難題を抱えており、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムを導入することでそれを解決しました。

いずれのケースも、その取り組みのスタートはERPの導入でした。稼働後、これらの企業は必要な結果を得ることができました。新しい従業員を増やすことなく販売オーダーを増やし、給与計算をより迅速かつ正確に処理し、1日に何万件ものオーダーを遅延やミスなく納品できるようになりました。

ERPの導入とは

ERP導入とは、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)ソフトウェアを導入し、チームがそのテクノロジーを最大限に活用できているかを確認するプロセスです。プロセスには主に3つのステップがあります。

  • オンサイト・ソフトウェアのインストール、またはSaaSプロバイダーとの契約。多くの場合、企業はERPの専門知識や導入実績があるベンダーや導入パートナーに支援を求めます。
  • 従来のシステムから新しいERPへのデータ移行。
  • 新しいソフトウェアを使用するための財務部門のトレーニング。このプロセスでは、以前システムを使用したことがある従業員から使用方法を学んだり、導入パートナーから正式なトレーニングを受けたりする場合があります。

シンプルなインターフェイスによるユーザー・エクスペリエンスの向上や、より柔軟な構成、モバイル機能、自動化の促進になどにより、ERP導入の成功率が向上しています。実際、IDCが2021年に実行したSaaSPath調査によると、財務アプリケーションを購入する際のベンダー選定基準として「使いやすさ」が最も重要視されているとのことです。

導入を成功させるためのベストプラクティスとして、営業や会計、業務まで、社内のすべての分野のリーダーからなる強力な実装チームを編成することが挙げられます。彼らに、「この新しいシステムでどのような問題を解決したいですか?」と聞いてみましょう。

ERPを選択する際には、他の財務システムや主要なパートナーのシステムと容易に統合できることを確認しましょう。また、合理的な期間、できれば90日以内で稼働開始できることが望ましいでしょう。最後に、新システムを最大限に活用するために、財務方針と手続きの整合性を確認する必要があります。

要点のまとめ

ERPの導入には、段階的なプロセスが必要です。ERPベンダーも評価者も、導入を開始する前に、ERPベンダーやパートナー候補を徹底的に評価することを勧めています。徐々に進め、現実的な計画スケジュールを確立し、自社のシステム目標に沿った包括的なチェックリストを活用することが重要です。

ERP導入の3つの成功事例

ではここで、ERP 導入プロジェクトで成功を収めた 3 社の事例と、プロジェクトから得られた主な教訓についてご紹介します。

ERPのお客様事例 #1:Fulton & Roark

男性用グルーミング製品の小売業者であるFulton & Roarkは、ERP 導入をみごとに成功させました。

ノースカロライナを拠点とする同社は、フル機能を備えたERPにアップグレードする以前、スプレッドシートを使って在庫を追跡し、デスクトップ会計ソフトの Sage Live を使って財務データを追跡していました。同社の売上が、毎年のように前年比で倍増し始めたとき、経営幹部は現在のプロセスでは不十分だと感じるようになりました。スプレッドシートでは在庫コストの変化を考慮できず、会計ソフトには重要な財務指標である売上原価(COGS)を記録するのに必要なワークフローがありませんでした。

その結果、Fulton & Roarkのチームは二重のデータ入力を手作業で行っていました。

すべての作業を1か所に集中させるため、同社の共同設立者はNetSuite ERPを導入しました。チームメンバーによると、3週間の導入プロセスの後、変化はすぐに現れました。最終的に、Fulton & Roarkのチームでは以下のことが可能になりました。

  • 在庫に関する簿記ミスの発見と、その修正。
  • 外部の会計士との協業の必要性をなくし、人員を増やすことなく、販売個数と販売額を大幅に増加。
  • 人員を増やすことなく、売上を前年比で約50%増加。
  • 利益率と在庫をより正確に把握し、eコマース事業の成長に貢献。

要点のまとめ

  • 迅速なERP導入が可能です。Fulton & Roarkの導入チームは、20 日ほどで導入を完了させました。
  • 同社の事例では、主要な導入成功要因の一つである「EPRプロジェクトに対する経営陣のコミットメントの獲得」が強調されています。この例では、共同設立者がプロジェクトを開始しています。コンサルタントによると、このような場合、導入が促進されるケースが多いとのことです。

ERPのお客様事例 #2:N&N Moving Supplies

N&N Moving Suppliesは、家族経営の引越し用品販売会社です。同社は、ジョージア州の1つの拠点から複数の州の3つの拠点に拡大し、従業員数を4倍以上に増やした後、ERPシステムの導入に成功しました。

同社は以前、QuickBooksとサードパーティの給与計算プロバイダーを使っていましたが、勤怠管理を正確に行い、給与計算と総勘定元帳の勘定照合を行うことは非常に困難でした。そこでN&Nは、会計と給与計算のプロセスを管理するために、ERPを導入しました。NetSuite ERPの導入プロセスにおいて、N&NはNetSuiteのパートナーであるNOVAtimeと協力し、メインシステムに勤怠管理ソリューションを追加しました。

これにより、N&Nは以下を実現しました。

  • 給与処理時間を84%短縮。
  • より迅速な勘定照合。
  • 労働時間数と休暇時間数の精度を向上。
  • 3つの拠点全体の人件費の傾向を把握。
  • 各拠点の従業員が、パーソナライズされたERPダッシュボードにiPadでアクセス可能。

要点のまとめ

  • N&Nの事例では、もう 1 つの主要な導入成功要因である「従業員の士気管理」が強調されています。ERPプロジェクトは、経営幹部や他の従業員が導入に乗り気でない場合、失敗することがよくあります。 パーソナライズされたダッシュボードを提供し、理想的には導入前にその利点を従業員に説明することで、N&Nはこの失敗を回避することができました。
  • また、この事例からは、ERPシステムを企業のニーズに合わせてカスタマイズする際、サードパーティのパートナーが役立つことが分かります。

ERPのお客様事例 #3:Green Rabbit

あるとき2人の友人が、お菓子の卸売業を始めました。しかし2人は、「夏場に溶けやすいチョコレートバーの出荷」という問題にぶつかりました。彼らが熱に配慮したサプライチェーンを設計した後、別の食品会社が彼らに助けを求めました。そこで2人は、生鮮食品の迅速な配送を専門とするサプライチェーン・ロジスティクス・プロバイダー、Green Rabbitとして再出発することにしました。

この戦略の転換により、QuickBooks、Excel、電子メールに頼っていた同社の現在のプロセスが試されることとなりました。Green Rabbitの複数のデータベースは互いに通信ができなかったため、リアルタイムのデータ分析は不可能となっていました。倉庫も、ITチームのヘルプ待ちという状況が多くありました。

そこでGreen RabbitはNetSuite ERPを選択し、NetSuiteプロフェッショナル・サービスチームの支援を受けて3か月でシステムを稼働させることができました。

現在、Green Rabbitは以下を実現しています。

  • 顧客がキャンディやスナック菓子などを、3つの異なる倉庫のいずれかから、24時間以内に在庫ミスなく全国に発送できるようサポート。
  • 1日あたり数万件の注文を遅延なく配送。
  • ERPシステムからエラーのない正確なデータが確実に取得できるため、手入力データのミスの可能性を排除。
  • システムに影響を与えることなく、必要に応じて注文量を3倍に増加することが可能。

要点のまとめ

  • Green Rabbitの事例から分かるように、ERPを正しく導入することで、複雑なサプライチェーンの管理が容易になります。
  • ERPは企業の成長に欠かせない要素です。Green Rabbitは、同社が大きく成長した後、さらなる拡大が見込まれていたため、ERPの導入を決定しています。

ここで紹介したような成長企業の多くは、「ERPのビジネスケースは何か?」を考えています。

前述のお客様事例で紹介したポイントの他に、企業のアジリティの向上が挙げられます。財務部門が何十枚ものスプレッドシートや紙の記録を参照するのをやめれば、戦略的に行動できるようになります。経営幹部やビジネス担当者がデータを可視化できれば、企業は将来のトレンドを予測し、競合他社に打ち勝つために迅速に対応することができます。

ERPの成功要因

ERPシステムは、ビジネスを変革し、拡大への道を促進する可能性を秘めていますが、導入に成功した事例にはいくつかの共通点があります。1つ目は、従業員による理解と賛同を得ているという点です。エンドユーザーにどのような直接的な利益があるのかが分かるような方法でERPを紹介することで、賛同を促す必要があります。各業務に合わせたダッシュボードやソリューションを提供することは、これに役立ちます。また、サードパーティのパートナーに協力してもらい、導入をカスタマイズすることも、これを達成するための効果的な方法です。同様に重要なのは、タイムラインに対する現実的な期待値を設定して、導入を効率的に計画、実行することです。

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ERP導入の課題とは

ERPを導入することで、企業が抱える障害を克服することが可能になります。しかし、ERP導入に関して、以下のような二つの課題がよく挙げられます。

適切なベンダーの選択。企業のニーズに合わないERPシステムを選択してしまうと、その導入が失敗する可能性は間違いなく高くなります。多くのアドバイザーは、購入するERPを選択する前に、約5社のベンダーを評価することを推奨しています。

企業は、貴社の業界、ビジネス形態(製品またはサービス)、規模において実績のあるベンダーを選ぶ必要があります。また、ベンダーが、実際のデモを提供できること、貴社のビジネスに適用される税法や規制を理解していること、5年後も確実にビジネスを継続できていることも重要です。

変化に対する従業員の賛同を得ること。前述したように、新しいシステムがなぜ役に立つのかを示さなければ、各部門は ERP への移行に反対するかもしれません。導入前に、ERPが各部門の日常業務をどのように楽にするのかを説明しましょう。また、導入プロセス中に、十分なトレーニングを提供するようにしましょう。

ERP導入が失敗する理由

ERPの導入は、適切なリスク管理を行わないと失敗する可能性があります。言い換えれば、リーダーはプロジェクトを頓挫させる可能性のある要素を特定し、計画を立てる必要があります。

たとえば、ある多国籍販売会社のERP導入が大失敗し、出荷の大幅な遅れと売上の損失を招いたという有名な事例(opens in a new tab)があります。同社は、別の会社を買収したばかりで、新しい子会社の事業を自社に統合するのに苦労していたため、実装が始まる前から業務上の問題があったことが判明しました。同社の経営陣は、ERPの導入が始まる前に、業務上の問題を特定し、解決することで、リスクを管理すべきでした。

EERP導入は段階的なプロセスです。そのため、導入を成功させるためには、多くの計画が必要となります。幸い、ERP導入を経験されるのは貴社が初めてではありません。導入に成功した事例を参考にし、適切なパートナーを選択することで、システムの利点を迅速に享受することが可能になります。

ERP導入を検討されている場合は、NetSuiteとのミーティングをご予約(opens in a new tab)ください。