クラウドERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の導入は近年飛躍的に増加し、この傾向が弱まる兆しはありません。調査会社であるGartner社は、2021年4月のプレス・リリースで、2021年にビジネスがSoftware as a Service (SaaS)アプリケーションに費やす費用は前年を15%程度上回る1,210億ドル近くになるだろうとしています。
この人気には十分な根拠があります。クラウドERPは、オンプレミス・システムと比較しても多くの利点があり、組織が全面的に運用改善を推進するのに役立ちます。それでも、その切替えは、容易に決断できることではありません。通常、移行には大量の作業が必要となりますが、クラウドERPには、移行が賢明な選択であることを示す十分な理由があります。
クラウドERPとは
クラウドERPは、単一のプラットフォーム上で複数の部門とビジネス機能を接続し、ビジネス全体からのプロセスおよび情報を統合するという点で、オンプレミスERPと似ています。ただし、オンプレミス・システムとは異なり、クラウドERPは、ERPソフトウェア・ベンダーが所有および管理するハードウェア上で実行されます。これにより、会社の時間、資金および場所が節約されます。このモデルにより、ユーザーは、オフィスにいる必要も会社支給のノートPCを使用する必要もなく、単にWebブラウザを使用して、どこからでもシステムを使うことができます。
クラウドERPを導入する10の理由
一般的に、従来のオンプレERPは、今日のビジネスの要求の変化に対応するには、柔軟性に欠けています。これらはカスタマイズが難しく高価で、アップグレード時に作業に必要なサービスの長期間の中断が発生するため、多くの企業が古いバージョンのソフトウェアを使用し続け、新しいトレンドに適応しにくくなっています。
クラウドベースのERPは、インターネットの力を活用して、より高い柔軟性および拡張性を会社に提供します。
1. 資本リソースの削減
クラウドERPの管理に、ハードウェアの購入やIT担当者の追加採用は必要ありません。なぜなら、これらがベンダーによって提供されるためです。クラウドERPの初期コストは、通常、その他のソリューションより低価で、組織のコストをオンプレミス・システムよりおよそ30%削減できます。これは、クラウドERPユーザーがサブスクリプション料金を繰り返し支払うことで、ハードウェア、ソフトウェア、セキュリティ、更新および保守すべてが賄われるためです。オンプレの場合、ハードウェアおよびセキュリティは顧客の責任であり、保守とサポートのために、顧客は年間費を支払います。
2. ハードウェア不要
ERPベンダーがインフラを提供するため、会社には、ハードウェアの初期コストおよび継続的なコストがかかりません。オンプレには、エンタープライズクラスのサーバー、冷却システム、バックアップとストレージの機器、洗練されたネットワークおよびその他の高価な機器が必要です。これらの機器には当然電気料金もかかります。クラウドERPに必要なのは、インターネット接続、現行のWebブラウザ、適切な処理能力、および現在市場で販売されているほとんどのコンピュータやモバイル・デバイスが満たしている要件を備えたデバイスのみです。
3. コンプライアンス
ERPは、絶え間なく変化し続ける規制に準拠する必要がありますが、オンプレでは、それが困難な場合があります。特に、拡張前にアップグレードが必要な可能性のある、古いバージョンのソフトウェアでビジネスを運営している場合です。一方、大手のクラウドERPベンダーは、国内および国際法や、会計、課税および顧客プライバシーに関連する規制への準拠に先見的に対応します。HIPPA、GDPR、GAAPおよびその他の規制はクラウドERPソフトウェアに組み込まれ、会社で常にコンプライアンスが維持されるよう、定期的かつ自動的に更新されます。
4. 導入の迅速化および簡易化
クラウドERPを選択した会社は、通常、オンプレの場合よりも迅速に稼働を開始します。それは、ほとんど、クラウドERPが持つオールインワンという特性がもたらす成果です。つまり、適切なハードウェアの選定やIT担当者を探す必要がないためです。導入することで、クラウドERPの最新の設計とインタフェースを使用できるようになり、担当者の負担が軽減される可能性もあります。これにより、担当者が受ける必要のあるトレーニングの量が減り、準備期間が短縮されます。クラウドERPは、複数の場所や地域に迅速に導入することもできるため、導入チームの出張経費も削減されます。
5. 日々の信頼性の向上
クラウドERPベンダーは、通常、99.999%の稼働時間を目指します。これは、計画外のダウンタイムを年間8分未満に抑えることに相当します。個々の企業が同じ種類のリソースを独自のシステム・サポートに充てることはできませんが、クラウドERPベンダーならば可能です。
6. 信頼性の高い障害回復
この信頼性の向上は、まれに、火災、洪水、盗難およびその他の致命的なデータ損失が発生した際の迅速な回復にもつながります。クラウドERPサービスは、障害回復を考慮して設計されています。SaaSサブスクリプションに含まれる日常のバックアップ・プロセスにより、クラウドERPベンダーは、システム全体を即時に復旧できます。オンプレERPの顧客は、自分で障害回復対策を講じる必要があります。
7. 簡易化されたアップグレードと統合
クラウドERPベンダーがサポートする必要のあるバージョンは1つのみであるため、構成およびカスタマイズが簡易化されます。アップグレードのたびに、カスタマイズと統合が自動的に反映されます。アップグレードが大幅に簡易化されるため、会社は、経費や中断の懸念から更新を避けることなく、最新の状態を確実に維持できます。
結果として、クラウドERPと会社のその他既存のシステムおよび新しい技術を、より容易に統合できるようになります。
8. アクセスの拡大
クラウドERPを使用すると、従業員はどこからでもシステムを利用できるため、会社のあらゆる関連コンポーネントについての洞察を得ることができます。これには、運用、会計およびHRのバックオフィスの担当者、フロントオフィスの顧客サービス担当者、さらには顧客自身も含まれます。
このようにどこからでもアクセスできるということは、会社が面倒なVPN接続について心配する必要なく、職務に最適な人材を勤務地に関係なく採用して定着させることができることも意味します。
9. 事業成長の支援
クラウドERPは、小規模から中規模の企業の成長にあわせてより簡単にスケーリングできます。参入コストが低いことから、比較的小規模な企業がクラウドERPに早い段階でアクセスでき、新しいライセンスやモジュールを簡単に追加できるため、事業の成長とともに利用範囲を拡大できます。
また、リモート・アクセスにより、会社は、ERPインスタンスを新たに設定することなく、他の地域さらにはグローバルに拡大できます。少人数グループの従業員またはわずか1人のプロフェッショナルで、新しく支店を設立し、ERPにログインして、すぐに仕事に着手できます。移転してオンプレシステムを設定するために、場合によっては何日も、何週間も、何か月も待機することはありません。
10. その他のテクノロジの促進
クラウドERPは統合された1つのプラットフォーム上に構築されるため、パートナーは、補完的なソフトウェアおよび統合をより簡単に構築できます。ソフトウェア会社の関心がクラウドに移ることに伴い、チャネル・パートナーおよびその他のソフトウェア会社が、古いオンプレシステムの費用で、クラウド技術の開発に投資する傾向が強まりました。
クラウドERPプロバイダを見つける
クラウドERPは、財務、サプライ・チェーン、販売とマーケティング、人事、運用およびその他のビジネス機能を最適化するための、最もコスト効率に優れた最速の方法です。ただし、会社は、最初に適切なソリューションを見つけ、次に、ビジネスでテクノロジを最大限に活用できる方法で、そのソリューションを導入および構成する必要があります。
まず、企業が属する業種でのシステム導入経験が豊富なベンダーをパートナーにすると有益です。クラウドERPプロバイダまたはそのパートナー・エコシステムは、プロジェクト管理を支援し、テクノロジについてユーザーを教育して、イノベーションの推進をサポートできる必要があります。
この関係およびコラボレーションは、導入が完了した時点で終わりではありません。ベンダーは、問題への対処、質問への回答、継続的なガイダンスの提供が可能な体制を維持して、会社が新しいモジュールを導入したり、新しいビジネスモデルを開始したりしても、引き続きクラウドERPソリューションから最大限の価値を得られるようにする必要があります。
No.1 クラウドERP
ソフトウェア
NetSuite ERPを使用したクラウドへの移行
あらゆる規模の企業が、急速にクラウドに移行しています。NetSuiteは、クラウドERPソフトウェアの主要プロバイダとして、32,000を超える顧客の収益とマーケット・シェアの拡大を、コストを上昇させることなくサポートしています。NetSuiteのクラウドERPソリューションは、広範囲にわたる会社のニーズやプロセスに適合させることができる柔軟性を備えた統合プラットフォームで、幅広い機能を提供します。
NetSuiteのERPには、各種モジュールが提供されており、様々な会社の変化するニーズや、様々な業種におけるビジネスの要件を満たすのに役立ちます。一部のモジュールは基本のERPとはライセンスが別になるものの、NetSuite向けに構築されたものであり、システム上にネイティブに構築されています。モジュールにより、POS、プロジェクト管理、請求および倉庫管理など、追加機能が提供されます。
クラウドERPは、コストを削減し、拡張性を高め、オンプレERPよりも多くの拡張機能を提供します。いかなる業界の企業にとっても、クラウドへの移行が差し迫ったニーズであることを否定する余地はありません。NetSuiteはあらゆる企業のクラウド移行推進にお役に立ちます。