企業がビジネスチャンスを無駄にしないためには、情報を正確かつリアルタイムに更新・閲覧できる必要があります。企業が成長し、複雑化するにつれて経営幹部は効率的にデータを確認できなかったり、正確ではないデータによく悩まされます。このような状況は現場で何が起きているのかを把握できないだけでなく、意思決定ができないことに繋がります。実際には、シンプルであるべき業務プロセスが理想の状態ではないのです。このような状況において、多くの企業がERPシステムの導入を検討します。企業はERPをどのように評価して導入に踏み切るのでしょうか。

ERPは、単なる業務アプリケーションではなく組織全体の業務に影響を与えます。そのため導入を検討する企業は、過去の実績を考慮することや、そのERPがもつ特長やメリットを正しく評価することが重要です。そして、最終的には自社に即した最適なERPを選択するのです。

ERPとは何か?

ERPシステムは、 財務会計から在庫、生産管理、注文管理、顧客管理、そして人材管理にいたる事業運営に必要不可欠な業務を統合し、プロセスの効率化と情報の一元管理を実現するためのアプリケーションと統合データベースです。ERPシステムは、この統合データを活用して業務フローを自動化し、企業内の情報を統合し、業務の進捗を追跡/分析します。これにより迅速かつスマートな意思決定を実現することが可能になります。

ERPシステムを購入すべき理由

ERPシステムを導入するメリットは、直接/間接費用の削減、収益の拡大、そして事業効率や生産性の向上の3つに集約されます。

ERPを購入する最大の理由

企業はしばしばERPを以下の理由で採用します。

  1. 既存システムが、硬直化し業務プロセスに無駄なリソースを使ってしまう。例えばグループ企業や子会社の会計を統合できず、在庫管理と会計システムが連携されていないなどのケースです。
  2. 企業の成長には、作業にかかる労力を最小化することを優先しなければなりません。そして、従業員を単純作業から解放して重要な仕事に打ち込ませるが重要です。

ERPシステムの3つのメリット

  1. 直接/間接コストの削減:ERPシステムはコスト削減を複数の方法で推進します。例えば、複雑な業務プロセスを簡素化、自動化し、手作業に費やされていた時間を節約します。また、価値のない業務プロセスを取り除き、ビジネス全体に波及する重要な機能を統合することで、従業員に必要な情報を伝達しビジネスを加速できるようにします。

    また、業務プロセスを標準化し、反復可能なプロセスを通じて、業務品質の向上と省力化に貢献します。一般的に複数のシステムを導入している場合、無駄なプロセスを排除して統合されたソフトウェアシステムになるため管理が簡素化されます。その結果、ライセンス費用やインテグレーションにかかるコスト、アプリケーション管理コストを節約することに繋がるだけでなく、各プロセスに関する教育費用の削減にも繋がります。

    また、クラウドベースで提供されるSaaS型のERPを導入すれば、インフラにかかるコストや、パフォーマンス維持費用、可用性の担保、バージョンアップにかかる労力はベンダー側に作業になるため、企業はよりコアの事業に集中できるようになります。

  2. 収益の拡大:ERPシステムは、需要に即した在庫の最適化を実現し、優れたカスタマーサービスを通じてリピート客を増やすことで収益に貢献します。また、統合されたプロセスとデータにより、担当者は顧客からの問い合わせに素早く回答することも可能になります。例えば、正確な注文処理や納期を厳守した納品で顧客からの高評価を達成することになります。さらに、顧客が欲しいときにいつでも購入できるようにセルフサービスの選択肢を組み込むことも可能です。

    ERPは、財務情報などを含む統合されたデータベースを通じて、企業にとって最も収益性の高い製品を瞬時に識別、キャッシュフローの改善や需要予測などに貢献します。

  3. 事業効率や生産性の向上:今日のERPシステムは、簡単かつ迅速な導入に加えて、業務プロセスのベストプラクティスと自動化を提供します。そのため企業の業績などについてリアルタイムでのデータを提供することが可能です。その結果、事業効率の大幅な改善に貢献します。ERPを利用することで新たに出現するトレンドや市場機会を特定し、戦略戦術上の意思決定の支援を手助けします。ERPを導入すれば、レポートを作成するのに精度の低い情報を手作業で統合する必要は無くなります。また、ERPは企業の成長と変化対応のためのプラットフォームとして、より迅速かつ簡単に製品の提供や新規市場への参入を助けます。

一般的な特長

ERPシステムの多くはモジュールで構成されます。そのため、基本機能から始めて準備ができたらモジュールを追加して拡張します。もしくは貴社の業界または事業特性と関連する特定モジュールを導入することも可能です。

大半のERPシステムでは、基礎となるデータベースに加え、 財務会計, 購買, サプライチェーン管理, 製造管理, CRM, 注文管理、フルフィルメントの機能を備えます。さらに堅牢な製品には、eコマース、サービス事業への対応、人材管理などがあります。また、ERPシステムでは、分析/ビジネスインテリジェンス機能、業務プロセスの統合と自動化、ダッシュボードなども含んでいます。

ERPシステムの選び方

ERPの導入は、企業の重要な意思決定と同様に、ERP導入の目的と期待を明確にすることから始めます。実現を成功させるためには、効果を得られる可能性がある関係者を導入に関与させましょう。ERP推進チームができれば、貴社事業に適切と思われる製品を特定することも容易になります。

最初は、ERPを提供するベンダーに、自社の狙いを大まかに伝えて、RFI(情報依頼書)の作成から始めます。また、詳細なRFP(提案依頼書)やRFQ(見積依頼書)に精通したコンサルタントの力を借りることも検討すると良いでしょう。(ERPベンダーを特定したコンサルタントもいますのでご注意ください)

ERPベンダーを絞り込むときには、実現チェックリストを作り、技術支援、問題解決、費用など、詳細かつ特定の質問をしましょう。例えば、次のような項目。

  • 導入期間: 実現にどのぐらいかかりますか? 詳細スケジュールはどのような感じでしょうか? どんなリソースの提供が必要で、いつ必要でしょうか? 運用の切り替えをいつおこないますか?
  • カスタマイズ: システムはどれだけ自社ニーズに合わせてカスタマイズ可能ですか? 実際に必要なカスタマイゼーションはどこですか? プロバイダが自社業界向けに既に作成したモジュール、レポート、その他の資料はどこで使えますか? プロバイダは自社プロセスと要件が特異であるところを理解していますか? 考えていたことと全く違わないかも知れない部分は理解していますか?
  • プロジェクト管理: プロジェクトをどう管理しますか? 今までの問題点は何ですか? 実現に関わるのはチームメンバーの誰でしょうか? プロバイダは進捗の把握をどのようにサポートしますか? 問題があれば、問い合わせできる先はありますか? 素早く対応しますか?
  • 使いやすさ: ユーザーへの適用は成功するERP展開の基本要素です。 アプリケーションがさまざまな役割全体でどれだけ直感的で使用が簡単なのか、判断しましょう。
  • サブスクリプション費用: サブスクリプション契約の費用構造はどうなっていますか? どの費用が前払いで、どの費用が月額で、契約ではどのように変化(例えば使用量の増加)がありますか?
  • プロジェクト費用: 導入実現に際して何が追加費用の可能性があるでしょうか? 他の顧客はどこで追加費用が生じましたか? プロジェクトスコープについて特に理解に注意すべきことは何でしょうか?
  • データ移行: 既存データ移行について何を知るべきでしょうか? レガシーシステムからの移行の複雑さの評価、データのクリーニング、冗長または陳腐化したデータの除去などで、ERPプロバイダと整合していますか?
  • 更新とメンテナンス: 導入後に、ERPシステムはどのように更新されますか? 新規機能追加、ユーザ数の変更、新規レポートのカスタマイズ、他の変更などのプロセスはどうなりますか? どのような変更ができますか? 例えば、新規レポートや問い合わせの作成は? どのアクティビティに、ベンダー、専門コンサルタント、プログラマから助けが必要になりますか?
  • プラットフォームの柔軟性: ベンダーはシステムをカスタマイズするプログラミングツールを提供していますか? 部門別、業界別のアドオンアプリケーションや他のアプリケーションと事前構築されたインテグレーションを提供するパートナーコミュニティがありますか?
  • トレーニング: どのような種類のオンサイト、遠隔トレ-ニング、トレーニング資料が提供されていますか? その費用はいくらですか、それとも無料ですか? 更新と拡張の頻度は?

導入担当チームが、ユーザエクスペリエンスを確認して、実際に使うことでイメージを描けるようにデモンストレーションを要求しましょう。

同一ソフトウェアを実装した貴社と類似した企業のリファレンスを必ず要求して、そのリファレンスを完全にチェックする時間をかけることも重要です。問題があった場合、何が起こったか、問題解決のために真摯に対応してくれる窓口があったか、ソフトウェアはどれだけうまく動作したか、ユーザエクスペリエンスがどのように生産性に役立ったか、もしくは機能しなかったかについて尋ねましょう。新環境をすぐに信用するようになったか(または外部で回避策を探したか)、ERPプロバイダと働くことはどうだったか、価値を見出し始めるにはどれだけ時間がかかったか、今どこにいて次の段階はどこかも尋ねましょう。

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ERP購入のためのビジネス事例の構築法

ERP製品に投資をする前に、事業価値の確認が必要です。ビジネス事例によって、費用に対する価値と実現リスクを比較して決定できるよう、組織はERPシステムが提供する価値を推定する上で役立ちます。

ERP用のビジネス事例の構築では、解決すべき問題と導こうとする利点から始めます。この利点を迅速にとらえることが期待できます。例えば、月末決算の早期化、サーバ廃棄、もはや不要なソフトウェア更新の回避などです。その他、描いていた自動化されたワークフロー全てを検査し実装した後、10〜20%の生産性向上など、長期的なものもあります。

計画、導入、トレーニング、移行期間費用などの費用も、考えているシステムを貴社のような企業に展開する場合に一般的にかかる費用の現実的評価に基づいて、慎重に定量化しましょう。

かつてERPシステムは大企業向けで、導入作業は圧倒されるほど複雑でした。業界はそれから大きな発展を遂げました。ERPシステムは管理が簡単化され、価値を容易に引き出せるようになりました。企業経営にとってERP導入は競争力を高めるために必須と言えるのです。