この記事の内容
- 倉庫におけるオーダーピッキング改善の重要性
- 倉庫のオーダーピッキングに関する55のヒントと採用するベスト・プラクティス
- 倉庫管理ソフトウェアを使用したオーダーピッキングの最適化
倉庫管理の分野を構成する在庫の移動と管理には、多くの入庫プロセスと出庫プロセスが関係しています。企業は、多くの場合、顧客満足度を高め、業務の非効率性とコストを削減するために、出庫プロセスに重点を置いています。
しかし、オーダーピッキングは、倉庫管理の出庫部分おいて重要な役割を担っています。オーダーピッキングは、顧客注文を満たすために倉庫に保管されているアイテムを物理的に取り出す際に必要なすべてのステップで構成されています。
倉庫におけるオーダーピッキング改善の重要性
賢明な企業では、オーダーピッキングは倉庫で最も労働集約的でコストのかかる活動であり、通常は倉庫の運営コストの半分以上を占めているという正当な理由で、オーダーピッキングの改善に目を向けています。
オーダーピッキングの改善は、企業が顧客に適切な製品をより迅速に提供し、関連するステップにかかる費用を削減するのに役立ちます。倉庫の注文セレクタは通常、ピッキング・リストを受け取り、倉庫内の様々な場所に移動してアイテムを取得し、倉庫の棚でそれらのアイテムを検索して抽出し、書類と照合して出荷前に注文の正確さを確保します。
ジョージア工科大学サプライ・チェーン・ロジスティクス研究所の調査によると、オーダーピッキング・プロセスの最も時間のかかる部分は、倉庫セレクタの時間。
時間の平均で55%を占める移動であり、書類作成やその他の活動(20%)、検索(15%)、抽出(10%)がこれに続きます。このため、オーダーピッキング・プロセスの改善に関する対策の多くは、非生産的な移動時間の短縮を目的としています。
最高レベルのオーダーピッキングを実現するには、製品がどこにあり、正確にいくつの製品が利用可能であるかを把握し、個々の注文を一度に1個ずつピッキングしなくて済むように必要な数を把握する必要があります。また、出荷に向けた迅速なピッキングと処理を容易にするために、それらの製品が戦略的に配置されていることを確認する必要があります。
それでは、企業は倉庫内での 正確な注文配送と従業員の安全を確保しながら、オーダーピッキング時間をどのように最小限に抑えることができるでしょうか?
倉庫のオーダーピッキングに関する55のヒントと採用するベスト・プラクティス
完璧な注文を実現する方法は1つではないため、オーダーピッキングを向上させるために企業が採用できる方法、ツールおよびプロセスは数多くあります。組織が採用すべき戦略、ベスト・プラクティスおよびテクノロジーの組合せは、業種、販売アイテム数、および倉庫内を移動する在庫の速度に応じて異なります。
倉庫の設計とその中で使用されているオーダーピッキング方法を確認すると、オーダーピッキングの改善に適切なプロセス、テクノロジーおよび機器を企業が選択する際に役立ちます。
オーダーピッキングのための倉庫設計のヒント
卓越したオーダーピッキングは、ビジネス・プロセス戦略に適した倉庫設計とフローを選択することから始まります。
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倉庫タイプとフローを選択します。倉庫は通常、次のいずれかのレイアウト(またはそれらのレイアウトの組合せ)で商品を移動するように設計されています。
- U字型フローは、搬入口と搬出口を建物の同じ側に配置し、製品は搬入から搬出にU字型で移動します。この設計は共有のドッキング・スペースを提供し、通常は小さい建物に最適です
- I字型フローは、建物の一方の端に搬入を配置し、もう一方の端に搬出を配置するため、すべての商品が単一の方向に移動します。I字型フローは、大量の商品を扱うビジネスの他、倉庫に出入りする商品に対する強力なセキュリティ管理を必要とするビジネスにも適しています。
- L字型倉庫フローでは、一方の端に入庫荷を降ろし、そのエリアに対して垂直な角度で出荷します。これにより、1台のトラックから荷を積み降ろし、即時に別のトラックに積み荷するクロスドッキングが容易になります。これは、製品をラックに在庫せずに、持ち込んだ直後に送り出すビジネスに適しています。
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選択したフロー内での製品の編成方法を決定します。これは、3つのゾーン(動きが速い、動きが普通、および動きが遅い製品)に分かれるいわゆる三分割の倉庫設計と呼ばれるものです。この設計を使用しない倉庫では、製品はゾーン化されません。多くの倉庫では、特定のセクションを自動化してそこにふさわしいアイテムを扱う一方、別の場所では、アイテムのピッキングに従事する作業者がある程度いる設計を採用しています。
- 最も動きが速い製品は、ピッキングしやすいように配送場所の最も近くに配置します。
- 一緒に販売することが多いアイテムは互いに近くに保管します。
倉庫のオーダーピッキング方法
ピッキング方法がない場合は、キュー内の他の注文を見分けることなく、各注文を時系列順にピッキングすることになります。この方法では、同じアイテムを取得するために1日を通して倉庫を横断することで、多くの時間を浪費します。
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少量または高級品や重量品を販売するオペレーションでは、個別のオーダーピッキング、ピース・ピッキングまたはpicker-to-part (ピッキング担当者がパーツまで歩行する方法)に目を向ける必要があります。これは、1人の作業者が注文を完全にピッキングする(倉庫を歩いて必要なアイテムをすべて取り出し、多くの場合、コンテナに統合する)最も簡単なオーダーピッキング方法です。
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複数アイテムの注文をすばやくピッキングして梱包する必要があり、SKU数および注文あたりのピッキング数が多い組織では、ウェーブ・ピッキングが適しています。ピッキングは、スケジュールされたウェーブで行われ、すべてのゾーンが同時にピッキングされます。アイテムは、個々の出荷に備えてダウンストリームで仕分けされます。ウェーブ・ピッキングでは、事前定義されたルールに基づいて類似注文を一緒に配置して配送されるようにリリースするため、ピッキング担当者はウェーブ全体を同時にピッキングできます。
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ピッキングの効率を上げるために、作業者は、1回の移動で、複数の注文をまとめてピッキングできます(類似アイテムや類似エリアにあるアイテムなど)。注文あたりのピッキング数が少ないビジネスでは、バッチ・ピッキングによって移動時間を短縮できます。オペレーターは倉庫に入り、必要なアイテムの全数量をピッキングし、それらを個々の注文に割り当てます。
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SKUが多い大規模な倉庫では、多くの場合、ゾーン・ピッキングが有利です。バッチ・ピッキングには、ゾーン・ピッキング方法を組み込むことができます。ゾーン・ピッキングでは、セレクターが倉庫内の特定エリアを担当し、担当するゾーンのすべてのアイテムを取得した後、注文をパスします。このため、ゾーン・ピッキングはピック・アンド・パスとも呼ばれます。アイテムは、たとえば、必要なアイテムがすべてボックスに入るまで、コンベア・ベルトに沿って移動できます。
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革新的な企業は、ピッキング・プロセスの効率を上げるためにgoods-to-person (GTP: 商品を作業者まで運搬する方法)設定と仕分けシステムを試みています。倉庫セレクターは1箇所に留まり、商品は、コンベア、ロボット・デバイスまたはその他の自動化テクノロジーによってセレクターに提供されます。個別ピッキング・プロセスの自動化としてgoods-to-personを検討してください。
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移動時間を短縮するもう1つの方法は、pick-to-box (ボックスへのピッキング)です。pick-to-boxは、バッチ・ピッキングに対してより多くの自動化を統合したものです。ピッキング・エリアは、それぞれがコンベア・ベルトで接続された複数のピッキング・ステーションに編成できます。セレクターは、自分が担当している製品をボックスに積み込んで、注文が満たされるまでそのボックスを移動させます。
倉庫のオーダーピッキングの機器とテクノロジー
倉庫管理のもう1つの重要な側面は、施設に対する最適な戦略とビジネスの性質をサポートするテクノロジーです。たとえば、SKU数が少なく、ピッキングされるライン数が少ないビジネスでは、個別のオーダーピッキング方法を採用し、pick-to-belt (ベルトへのピッキング)テクノロジーを活用したり、パレットからピッキングする場合があります。多数のSKUを大量に移動するビジネスでは、バッチ・ピッキングと、音声や表示器のランプに従ったピッキング・テクノロジーを選択する場合があります。
倉庫に適した機器やテクノロジーを検討する際は、次のことを実行します。
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SKU数と数量にあわせてテクノロジーを調整します。1日あたりの処理ライン数と製品数を比較します。一般に、SKU数とライン数が多いほど、自動化の必要性が高くなります。
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倉庫管理システム(WMS)の実装から開始します。最も簡単な倉庫オペレーションでも、なんらかの形の倉庫管理システムが必要です。SKUおよびアイテムの場所を保存して追跡し、顧客注文からのピッキング・リストの作成を自動化する基本的なオーダーピッキング機能を探します。WMSは、利用可能な在庫と照合して顧客注文をチェックし、ピッキング・リストの形式で指示を提供します。倉庫のレイアウト、利用可能な労働力、機器の場所を考慮して効率を最大化し、オーダーピッキングの精度を確保します。
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モバイル・ピッキング・テクノロジーを統合します。基本的なモバイルRFスキャナから、ピック・パスの棚でボタンを光らせてピッキングを指示したり(pick-to-light)、ヘッドセットを付けたセレクターを音声でガイドするテクノロジー(pick-to-voice)まで、正確なオーダーピッキングに不可欠なモバイル・テクノロジーが数多くあり、これらは最も論理的なパスでユーザーを正しい通路、棚または保管棚に誘導します。不必要な複雑さを伴わないように、現場で使用されているテクノロジーがWMSと簡単に対話できるようにします。
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WMSがERPシステムと統合されていることを確認します。倉庫内の移動と商品を追跡することで、購買や顧客サービスなど、他の部門に対して豊富で貴重なデータが提供されます。これらの他の部門の機能が、それぞれのジョブで使用するソフトウェア内で同じデータにアクセスできるようにします。
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適切なマテリアル・ハンドリングシステムを選択し、SKUと数量の増加に応じてシステムを調整します。SKUの数が増えるほど、倉庫のロジスティクスがより多く必要になります。SKUと数量が少ない場合は、フォークリフトのようなシンプルなマテリアル・ハンドリング・システムが機能する可能性がありますが、数量と複雑さが増すにつれて、より多くの機械化が必要になります。マテリアル・ハンドリング機器は、多くの革新的なアイデアやテクノロジーを活用した革新的なスペースとなります。
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狭い通路構成を可能にするために、機器の向上を検討します。倉庫内の利用可能なスペースを最適化すると、オーダーピッキング・プロセスで移動時間の短縮にも役立つという、保管以外の利点が得られます。従来の倉庫通路の幅は12〜14フィートです。狭い通路は通常8〜10フィートですが、わずか6フィートにできます。適切なテクノロジーと機器を組み合せることで、倉庫はより狭い通路でオーダーピッキングの利益を達成できます。
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適切な機器を使用して倉庫スペースを最大化します。リフト・トラックのテクノロジーは絶えず改善されており、狭い通路を通って狭いスペースに入ることができる多関節フォークリフトのなどのトラックがあります。Amazonは、掃除機のルンバに似たロボットを活用しています。これらのロボットは、必要なアイテムを棚からピッキング担当者まで運搬して渡し、すべてのアイテムが取り出されたとき、それらのアイテムを狭い場所に押し戻します。
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コンベア・テクノロジーを実装します。より効率的なピッキングのために使用でき、作業している従業員の人間工学的な健康のためにも使用できるコンベア・テクノロジーが、数十種類あります。
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仕分けテクノロジーの進歩に注目します。仕分けテクノロジーは、コンベア・テクノロジーと組み合せることで、精度と効率が向上し、リード・タイムの短縮と精度のさらなる向上が実現します。
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ビジネスに適した保管方法を見つけ出し、自動化テクノロジーのメリットを見落とさないでください。たとえば、カルーセルは、棚板が回転してピッカーに商品を運ぶ仕組みで、ピッキングを自動化します。これらは、ビジネスで選択したピッキング方法に対して構成できます。
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利用可能なすべての自動ピッキング・テクノロジーのオプションを理解します。一部の企業は、pick-to-light (PTL: 表示器のランプに従ったピッキング)またはpick-to-voice (音声ガイドに従ったピッキング)機器を使用して多くの成功を収めています。pick-to-lightでは、ピッキング担当者が注文バーコードをスキャンすると、アイテムの数量と場所が点灯します。Pick-to-voiceはピッキング担当者をガイドし、ヘッドセットを介して確認を提供します。今日、拡張現実テクノロジーは、pick-via-smart glasses (スマート・グラスによるピッキング)などの進歩を可能にしています。Pick-via-smart glassesでは、ウェアラブル・ヘッドセットを介してアイテムの場所と数量をデジタルで表示します。これにより、音声ガイド付きの指示と、ヘッドセットで直接スキャンする機能を提供し、作業者が両手を使用できるように解放し、より少ない接触で効率を最大化します。
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スマート・テクノロジーを実装します。IoTテクノロジーはリアルタイムの在庫棚卸を提供するのに役立ちますが、スマート・グラスのようなウェアラブル・テクノロジーの進歩により、在庫の動きの追跡や、最初に適切な数があることの確認が容易になっています。これにより、ピッキング担当者の時間を節約し、存在しないアイテムを探すフラストレーションから救済します。
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ピッカー・ロボットの可能性を探ります。ピッカー・ロボットは、高い棚に到達して梱包するアイテムを取ってくる能力のみでなく、人や棚にぶつかるのを防ぐセンサーも装備しながら、実際にピッキングを行うことができます。
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コボット(協働ロボット)について把握します。コボットは、ある程度の繰返しがあり、人間の介入を必要とするタスクに対してデプロイすると役立ちます。コボットは、たとえば、ボックスをまとめたり、シューズボックスなどの予測可能な形状や重量のアイテムを取得することができます。
倉庫のオーダーピッキングのベスト・プラクティスと戦略
倉庫の設計、オーダーピッキング方法およびテクノロジーは、次のどの戦略を実装してオーダーピッキング・プロセスを改善するのが最も適切かを決定する際に役立ちます。
改善内容に対する明確な目標とその測定方法から開始し、次に、最も有用なヒントを選択します。
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ボトルネックはどこにあるかを、倉庫で作業する人々に尋ねます。オフィス管理者、機器オペレーターなど、プロセスを頻繁にサポートする多くの人々を忘れないでください。
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平均的なオーダーピッキング・ターゲットを基準にしないでください。季節性と経済動向は、在庫が倉庫に出入りする方法に大きく影響します。浮き沈みを確認し、統計を適用し、アルゴリズムを使用して妥当な目標を決定します。
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ピッキング担当者の生産性を追跡します。生産性レベルを把握することで、倉庫マネージャーは作業を最適に分割する方法に従ってシフトを設計できます。マンアワーあたりの平均ピッキング数と、その逆の、ピッキングあたりの平均マンアワーを確認します。注文あたりの平均作業は、注文あたりの平均ピッキング・ライン数にピッキングあたりの平均マンアワーを乗算したものです。
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合計注文処理時間または内部注文処理時間を測定し、改善します。オーダーピッキングは、注文の処理にかかる合計時間の計算の大部分を占めます。この数値を追跡すると、ピッキング効率の指標が提供されます。
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在庫棚卸の精度を場所別に確認し、ピッキング場所の問題(在庫切れ/バックオーダーなど)を探し出します。これは、指定された場所に十分な数量がないことを示します。
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充足率(ラインおよび注文別)を測定して、その日に出荷されたアイテムとその日に注文された合計アイテムを比較します。充足率は、倉庫オペレーションが顧客の需要を満たしていることを確認する適切な方法で、通常は毎日計算されます。
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オーダーピッキングの精度を測定します。オーダーピッキングの精度は、2020年のDC測定ベンチマーク・レポートにおける倉庫の最も重要なベンチマークの第3位です。低いオーダーピッキング精度は、より効率的なプロセス、より適切な管理基準、より詳細なトレーニングなどの必要性を示しています。
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従業員の生産性を測定するKPIを忘れないでください。これには、1時間あたりのピッキングされた発送ライン数、直接時間あたりの発送ライン数、合計配送センター(DC)時間あたりの発送ライン数、年間合計DC時間/合計DCコスト、および使用された合計労働あたりのDCコストが含まれます。
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倉庫をより効率的に管理し、複数の施設の効率を比較するのに役立つメトリックを対象とする、6つ以下のベンチマークを選択します。
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実地棚卸を実行するたびに倉庫スペースを確認します。動きが速い消費財倉庫は、製品の範囲、消費者の購買意欲、およびより大きな経済的要因のすべてが変化するため、少なくとも5年ごとに更新する必要があります。倉庫の設計を進化させないと、オーダーピッキングの戦略と改善が妨げられることになります。
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循環棚卸を習慣的に実施して、SKUの複雑さと無駄をなくします。
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ABC在庫分析のような手法(様々な種類がある)を使用すると、企業はSKUをランク付けして編成し、オペレーションを妨げている製品を除去または移動できます。
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SKUについては、売上高によるランキングのみでなく、各SKUが労働力やスペースなどのリソースをどのように消費しているかを確認します。SKUを、特定の間隔でピッキングされた回数、収益性、製造困難などでランク付けします。
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無駄のない原則をいくつか実装します。定期的に現場視察(倉庫のプロセスを観察し、その完了方法を実際に理解する時間を過ごす)を実施して、施設内の非効率性を特定します。企業は、ポカヨケ(オペレーションの誤りを防止し、不注意なエラーの回避方法を見つける)技術を実装することもできます。一例として、クロスドッキングによって倉庫内のフローがどのように改善されるかを調べます。
倉庫のオーダーピッキングのヒント
倉庫スタッフは、会社がどこに注力して取り組んでいるかを把握した後、効率と精度を高め、作業者の安全を向上させるために、次のヒントを実装し始めることができます。
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人気のあるSKUは一緒に保管します。ピッキング密度は、少なくとも場所に関しては、最も人気のあるSKUを一緒に保管することで増加できます。結果として、オーダーピッキング担当者は、小さいエリアでより多くのピッキングができるため、カバーする必要があるスペースの量が減り、生産性が向上します。
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製品のスロッティングに細心の注意を払います。スロッティングとは、倉庫内で個々のケースを慎重に配置し、同様のタイプの在庫が一緒に保管されるようにすることを意味します。在庫は、物理的なサイズ、一緒に注文されることが多いアイテム、季節性などによってグループ化できます。Supply Chain Secretsは、「製品を正しくスロッティングすることで、組織は30%もの労働力を節約し、倉庫内での人間工学を向上させることができる」と述べています。数量と動きに応じてスロッティングを行い、年に1回から2回は戦略を再検討します。WMSは、適切なスロッティング戦略の特定を支援でき、ここで役立つ多くのアルゴリズムが存在します。
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単一ラインの注文はまとめて処理します。単一ラインの注文とは、1つのみのアイテムに対する顧客注文です。したがって、ピック・パスの最後での仕分けは不要であるため、ピッキング担当者が1回の移動でできるだけ多くのアイテムを取得することで効率を上げることができます。
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在庫の補充とピッキングのバランスを取って、アイテムが常にそこにあるようにします。Supply Chain Secretsは、「経験則は5人のピッキング担当者ごとに1人の補充者であるが、この数字はフローの特定のパターンに応じて異なる」と述べています。倉庫では、製品の動きを確認した上で数量と売上を考慮すべき場合に、売上収益のみで製品を測定するという失敗を犯すことがあります。
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適切な書類が正しい注文に関連付けられていることを確認します。ジョージア工科大学によると、倉庫セレクターの時間の5分の1は、書類が正しいことを確認するために費やされています。この問題は、注文の梱包票を印刷することによってプロセスを自動化し、正確性を確保するRFスキャナを導入することで大幅に緩和できます。
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ピッキング・リストは、効率的に梱包できるように構成します。出荷されるボックスの中にアイテムが最適に収まる方法を考えます。WMSでは、たとえば、大きいアイテムが最初にピッキングされるように、ピッキング・リスト内でピッキングを順序付けできます。
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ヒット密度を最大化します。これを行う1つの方法は、ピッキングの密度を高め、ピッキング間の距離を最小限に抑えてスポットあたりのピッキング数を増やし、生産性を高めることです。
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同じ保管棚の場所に複数のSKUを混在させないでください。多くの倉庫には、依然として10種類ものSKUを保持する棚レベルにのみ関連付けられた保管棚の場所があります。そのため、従業員は、適切なアイテムを見つけるために複数の製品を検索する必要があります。
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商品への接触を最小限に抑えるようにします。ほとんどの倉庫では、入庫から出庫、倉庫管理までに7人から8人がアイテムに触れますが、クラス最高の企業では、3人から4人の接触しかありません。接触を最小限に抑える1つの方法は、セレクターがアイテムを選択し、それらのアイテムをカートのプラスチック製の容器ではなく、配送用のボックスに直接入れる方法です。
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重量測定をWMSと統合します。大きいアイテムや重量のあるアイテムを出荷する企業は、アイテムの重量に関する情報をピッキング・リストに結び付けることで、オーダーピッキングの精度を高めることができます。たとえば、ピッキングが1ユニット不足している場合、システムでは重量が低すぎることを作業者に自動的に通知し、もう1ユニットを追加するように指示します。
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床のスタックからピッキングします。1つの製品スロッティング戦略として、回転の速いアイテムは、セレクターがパレット・トラックやパレット・ジャッキを使用して、床のパレットの上にあるカートンからピッキングします。この方法は、これらの売れ筋のアイテムを高いパレット・ラックに保管するよりも効率的です。
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作業者は、垂直リフトではなく水平カルーセルを使用してピッキングする必要があります。長年にわたる複数のベンチマークの取組みにより、垂直にピッキングするほうが水平にピッキングするよりもコストがかかることが実証されています。ただし、倉庫の稼働率を上げるには、物品を垂直に保管する必要もあります。最も動きが遅いアイテムは垂直の保管場所からピッキングし、動きが速いアイテムは床レベルで保管するようにします。
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フォワードまたは高速ピッキング・エリアからピッキングします。複数の企業は、人気のあるSKUを1階に置いて収容し、DCの他のエリアからの在庫で補充するように、自社の倉庫のエリアを設計しています。ジョージア工科大学は、「最も一般的なフォワード・ピッキング・エリアは、上の階からパレットを下に移動することによって補充される1階のパレット・ラックである」と述べています。他の例として、一括保管場所から補充されるカートン・フロー・ラックや、別の場所から保管されるカルーセルやAフレームなどの特殊な機器があります。
倉庫で働く作業者をトレーニングおよび管理するための対策を取ることは、効率的、正確かつ費用対効果の高いオーダーピッキングを確保する上で重要な要素の1つです。
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倉庫管理戦略の背後にある根拠とそれがビジネスにとって重要である理由が、マネージャーのみでなくすべての倉庫スタッフに理解されていることを確認します。この確認が重要である理由の素晴らしい例がSI Systemsから来ており、多くの企業は二重バーコード検証を実装し、オペレーターが製品のSKUとパレットを順にスキャンすることで精度を向上させていると指摘しています。しかし、オペレーターは、多くの場合、そのほうが手っ取り早いという理由でパレットを二重スキャンします。このような操作を行うのは、従業員が生産性またはスループットのレベルを満たしたいと考えており、両方のスキャンが在庫精度にとって重要である理由を認識していないためです。チーム・メンバーとともに正式なトレーニング・プロセスを実施して、プロセスの各部分について業務上の正当性を説明する必要があります。
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実際のメトリックを使用して、倉庫作業者にとって現実的なパフォーマンス基準を設定します。1時間あたりのピッキングされた注文ライン数や、各注文ラインのピッキング・コストなどのメトリックを使用し、効率と精度を容易に向上させるpick-to-lightやpick-to-voiceなどの適切なテクノロジーをセレクターに提供することで、それらの改善を試みます。
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協力を促進します。品質ダッシュボードやコントロール・センターは、倉庫全体のパフォーマンスを監視して、チームに報酬を与えたり、勇気付けたりするのに役立ちますが、個々の従業員の報酬についてハイライトすることもできます。好成績者の統計を表示し、強力な生産性と安全性のパフォーマンスを奨励します。
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残業を減らすように作業します。全体の時間を出力と比較し、たとえば、労働効率を測定するために、労働時間あたりのピッキングされた注文ライン数を確認します。通常の作業時間と残業時間、1日あたりのピッキングされたライン数、および期間あたりのピッキングされたカートンの数やパレットの数をそれぞれ考慮します。この期間を一定期間にわたって比較します。これらの数値は低い状態で、残業が多い場合は、その理由を調べます。
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職場をより安全にし、OSHA基準に準拠するための措置を講じます。最良の倉庫オペレーションには、正式な安全トレーニング・プログラムと継続的なトレーニングがあります。適切な人間工学的健康を確保するために、製品をいわゆる「ゴールデン・ゾーン」に配置します。通路や作業エリアに安全マーカーを明確にマークし、破片や危険のない状態に保ちます。倉庫作業者が、適切なすべてのPPE (ヘルメット、防護メガネ、手袋、マスク、適切な制服などを含む)を常に着用していることを確認します。
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プロセスを定期的に見直して調整します。製品戦略の変更に従って、倉庫戦略も同様に変更します。サプライ・チェーンの課題とサプライ・チェーンの回復力を高めるための取組みでは、倉庫オペレーションを長年にわたって導いてきたジャストインタイム在庫管理の原則の多くが課題となります。多くの場合、より多くのスペースが必要になり、急増や不足に備え、在庫はより長い期間保持される可能性があります。実際、倉庫スペースの需要は高まっています。ウォール・ストリート・ジャーナルは、「2020年4月から5月に工業用不動産活動が43%増加し、100,000平方フィートを超える倉庫の需要が最も強まった」と報告しています。
倉庫管理ソフトウェアを使用したオーダーピッキングの最適化
顧客注文は、ピッキング担当者が履行するショッピング・リストのように考えてください。リストの各エントリー(注文ラインと呼ばれます)には、アイテムと数量が記載されています。理想的には、倉庫管理システムを導入して、利用可能な在庫とそれをどこで見つけるかを確認するとともに、注文を倉庫のレイアウトを考慮して速度を向上させるピッキング・リストに再編成します。ピッキング・ラインの数は、注文に必要なアイテムを取得するために作業者が倉庫内をいかに多く移動する必要があるかを示している場合があります。
企業は倉庫管理システム(WMS)に目を向けて、倉庫の入庫および出庫プロセスを容易に管理し、在庫のあるすべてのSKUとその場所を可視化できます。WMS機能は、在庫管理ソリューションの機能に基づいており、保管戦略と要員管理に役立つ機能もあります。WMSは、倉庫内のすべてのアイテムに関する詳細(物理的な寸法、梱包方法、保管場所、およびアイテムに到達するための最も効率的なパス)を提供します。
WMSは、予定のスケジューリング、受領、品質保証、棚入、場所追跡、ワーク・オーダー管理、ピッキング、梱包と統合、および出荷をサポートします。WMSは顧客注文をピッキング・リストに変換し、注文のアセンブリを追跡します。WMSは、倉庫内の入庫プロセスを管理して、在庫の保管場所を示し、作業者の生産性を追跡し、注文が出荷スケジュールを満たしていることも確認できます。また、注文管理システムおよびERPシステムに接続することもできます。具体的には、ピッキング機能の場合、堅牢なWMSは、pick-to-light、RF指向操作、労務計画、SKUスロッティングなどをサポートできます。
適切なWMSは、新しい機能が必要になると拡張され、プロセスの変化に応じて適応します。建物自体は動かせないかもしれませんが、ビジネスのプロセスとテクノロジーは固定すべきではありません。システムを常に確認し、作業者が各自の作業を達成するためにシステムをどのように使用しているかを確認することにより、倉庫管理は絶えず改善できます。その結果、従業員はより効果的にジョブを実行できるようになり、顧客は貴社を信頼して購入し続けるようになります。