ブランドへのエンゲージメントを改善し、オンライン販売を促進するために、eコマース企業は主要業績評価指標(KPI)を追跡する必要があります。この記事では、eコマース企業にとって最も重要なKPIの詳細と計算式について説明します。これらのKPIを定期的に注視することは会社の業績状況を推し量るのに役立ちます。
eコマースKPIとは
商品をオンラインで販売する企業にとって、eコマースKPIは、特定の期間における自社の業績や進展を注視するのに役立つ指標となります。これらは成功を推し量る重要な指標であり、ビジネス上の重要な意思決定に役立つ可能性があります。
eコマースKPIと指標の違い
eコマースKPIは、企業が最も重要なものと判断した指標です。したがって、eコマースの指標は必ずしもKPIであるとは限りません。実際、eコマースKPIは多くの場合、全体的なビジネス目標の進展を測定する2つ以上の指標の組合せです。
たとえば、「コンバージョン率」はKPIとして一般的であり、価値を有します。コンバージョン率を決定する場合、通常は他の2つの指標を追跡する必要があります。その2つとは、自社のウェブサイトへの訪問者の合計数と、自社が望むアクションを実行した訪問者の合計数です。たいていは、そのアクションによって訪問者は何かを購入することになります。
指標とKPIの違いの詳細は、「eコマース指標のガイド」をご覧ください。
主なポイント
- KPIは基礎的な指標の次なるステップであり、企業が自らの成功にとって不可欠であると理解したものを測定します。
- KPIの選択にあたっては、自社の目標、成熟度、また自社のeコマース事業に特有のその他の要因について検討する必要があります。
- 大半のeコマース企業にとっては、コンバージョン率と平均注文金額が重要なKPIになります。
KPIの4つの特徴
KPIが測定に値するものである理由一般に、適切なKPIには次の4つの重要な特徴があります。
- 自社の収益に変化をもたらします。
- 高い精度で測定できます。
- リアルタイムで測定できます。
- アクショナブル」です。つまり、自社のプロセスに影響を及ぼす変更を即座に加えることができます。
SLAとKPIの違い
サービス・レベル契約(SLA)とは、取引先が顧客に対して(多くの場合、契約を通じて)何かを提供することをコミットメント(約束)の形で文書化したものです。これらのコミットメントは通常は数値に反映されます。たとえば、毎月、または稼働時間ごとに納品する一定量の在庫数量などです。KPIにはeコマース事業の運営のあり方やその目標が反映されますが、必ずしもそれらのベンチマークを達成するためのコミットメントが反映されるわけではありません。
SLAの例としては、たとえば取引先がコンピュータ・ネットワークを中断なく稼働する時間や、金銭的なペナルティを科されずに許される停止時間の割合などがあります。KPIには、取引先の契約やペナルティは含まれません。KPIは、企業がeコマースの目標をどこまで達成しているかを示すものです。
KPIがeコマースにおいて重要な理由
多くの場合、eコマースは数値をめぐる競争です。注文数が多いほど、またコンバージョン率が高いほど、さらなる収益の発生につながります。オンラインで販売を行う企業が成功するかどうかは、多くの場合、こうした特定の指標に直接結びついています。KPIを使用することで、企業のeコマースの進展を業績に基づいて正確に測定し、必要に応じて変更を加えることができます。
主要業績評価指標のタイプ
業種ごとに、数十または数百の主要業績評価指標が存在します。eコマースKPIは、概ね5つの大きなカテゴリに分類されます。
- セールス
- マーケティング
- カスタマー・サービス
- 製造
- プロジェクト管理
自社にふさわしいeコマースKPIを選択する方法
自社のビジネス目標に実際に影響を与えるKPIを選択し、変更可能なものを測定することが必要です。また、自社の成長段階に合ったKPIを選ぶ必要があります。たとえば、スタートアップ企業であれば収益の成長や新規顧客の獲得を測定する必要がありますが、既存の上場企業であれば利益の増加や株主価値の向上を中心としたKPIを選択する場合があります。
KPIはeコマース業界内部でも業種ごとに異なります。自社の目標を最もよく反映し、その成功を決定づけるKPIを選択します。最も重要なKPIを少数、特定します。数十ものKPIを同等に重視して注意を払うことは負担となり、経営陣が注力を失ってしまうおそれがあります。
KPIを効果的なものにするには
eコマース企業はかつてないほど多くのデータを追跡できるようになっていますが、自社の業績に測定可能なインパクトを与えることのできる効果的なKPIを作成するためには、次のことがKPIに必要になります。
- 最終的な収支目標にインパクトを与えることができる
- 高い精度で追跡できる
- リアルタイムで測定できる
- 即座にアクションを実行できる
売上拡大を目指すうえで最も重要なKPIである
売上を追跡するうえで、いくつかの重要なKPIがあります。これらのKPIにはさまざまな指標が含まれます。たとえば、訪問者がどれだけの頻度でお金を使ってくれる顧客へとコンバーション(転換)するのかなどの指標が含まれます。
コンバージョン率
コンバージョン率は、自社のウェブサイトの訪問者または顧客が自社の望むアクションを実行する頻度を測定します。企業の多くは、実際の購入を追跡する「販売コンバージョン率」を注視しますが、ニュースレターの購読登録やコンテンツのダウンロードといったアクションを測定することもできます。
コンバージョン率 = 訪問者が自社の望むアクションを実行した数の合計/訪問者数の合計 x 100
eコマースの販売コンバージョン率の場合、一般的なベンチマークは2%から3%程度です。
詳細は、「オンサイト検索を活用してコンバージョン率を向上させる方法」をご覧ください。
トラフィック・チャネルごとのコンバージョン率
自社で利用しているさまざまなチャネルがどれだけの新規購入客を引き寄せているかを追跡することもできます。たとえば、Facebookの広告から自社のウェブサイトにアクセスして意図したアクションを実行した訪問者の数を追跡できます。トラフィック・チャネルごとのコンバージョン率は、マーケティング予算の最適な配分を決定するのに役立ちます。
チャネルごとのコンバージョン率 =
マーケティング・チャネルから誘導されたコンバージョン数の合計/マーケティング・チャネルからの訪問者数の合計 x 100
平均注文金額(AOV)
平均注文金額とは、1人の平均的な顧客が1回の注文で支払う金額のことです。
平均注文金額 = 総売上金額/取引件数
企業はいくつかの方法で平均注文金額を増やすことができます。購入品に関連するアイテムを勧めたり、アクセサリーなどの付属品を割引で販売したり、一定の注文額を超える場合に送料を無料にしたりできます。
顧客生涯価値(CLV)
顧客生涯価値は、平均的な顧客が自社から購入したことで自社に生じる獲得収益の総額を、購入の全期間にわたって測定します。
顧客生涯価値 =
自社の平均注文金額 x
平均的な顧客の期間ごとの購入頻度 x 平均的な顧客が自社との取引を続けている期間
この指標は、平均的な顧客が自社との取引を続けている間、その顧客が自社の収支にとってどれほど重要なのかを示すものであり、新規顧客獲得のために費やすリソースを分析するのに役立ちます。
顧客維持率
顧客維持率は、特定の期間において自社が維持している顧客の割合を測定します。
顧客維持率=
(期間の期末時点での顧客数 - 期間中に獲得した顧客数) /
期間の期首時点での顧客数) x 100
すべての顧客について、初回購入後も自社との取引を継続してもらえるようにすることが目標になります。リピート購入者からの収益獲得に要する費用は、新規顧客獲得に要する費用よりも少なく済むため、維持率が高ければ利益は増加します。ロイヤルティ・プログラムやカスタマー・サービスの向上を通じて、顧客維持率を高めることができます。
年間リピート購入率
このKPIは、数年にわたって注文を継続している顧客の数を測定します。消費財を販売する企業やB2B企業にとっては、このKPIもまた顧客ロイヤルティを推し量る重要な測定値となります。
年間リピート購入率 = 当年と前年の両年にわたって購入した顧客の数/当年に購入した顧客の数 x 100
年間リピート購入率は多くの場合、カスタマー・サービス、ロイヤルティ、エンゲージメントと相関性があります。年間リピート購入率が60%を超える企業は一般に「維持モード」にあり、現在の顧客の満足度を高めることに注力できます。年間リピート購入率が40%を下回る企業は「獲得モード」にあり、現在の顧客の維持よりも新規顧客の獲得に注力します。
純利益
純利益とは、事業収益からすべての経費を差し引いた金額のことです。
純利益 = 収益総額 - 費用総額
粗利益
粗利益とは、収益総額から売上原価を差し引いた金額のことです。
粗利益 = 収益総額 - 売上原価(COGS)
この指標から、自社が成長しているかどうか、成長が持続可能かどうかがわかります。
カート追加率
このKPIは、サイトの訪問者が仮想のショッピング・カートに商品を追加する割合を測定するのに使用します。この数には、カートに商品を入れても購入はしない人も含まれます。
カート追加率 =
特定の期間中に訪問者が商品をカートに追加したウェブサイト・セッションの合計数/期間中に訪問者によって生じたウェブサイト・セッションの合計数 x 100
カート放棄率
このKPIは、顧客が仮想のショッピング・カートに商品を追加したものの、その後購入せずにサイトを離れた頻度を測定します。
カート放棄率 = 1 – 購入完了数/チェックアウト前に放棄されたカート数 x 100
カート放棄率から、ショッピングやチェックアウトの手続きが顧客に受け入れられているかどうかがわかる場合があります。特に、チェックアウト手続きの個々の段階を測定して、成果の悪いステップを最適化することが可能な場合に役立ちます。たとえば、請求(支払い)の段階で顧客の離脱が均等して多くなっている場合、請求方法の選択肢を増やすことで改善できる可能性があります。
アクティブな顧客当たりの注文数
この指標は、ある期間中に「アクティブな(購入に積極的な)」顧客が行う注文数を測定します。たとえば、特定の期間(多くの場合、1年)に少なくとも1回購入したことがある人をアクティブな顧客とすることができます。
アクティブな顧客当たりの注文数 = すべてのアクティブな顧客が行った注文の数/アクティブな顧客の数
このKPIから、自社がロイヤルティの高い顧客をどれだけ効果的に引き寄せてリピート購入を促進しているかがわかります。
流通取引総額(GMV)
このKPIは、ある期間に売り上げたすべての商品の収益総額を決定します。
流通取引総額 = 商品またはサービスの売上価格 x 販売した商品またはサービスの数
GMVの総額を計算する場合、通常は、自社が売り上げたすべての商品またはサービスに対してこの計算式を用いる必要があります。
投資回収率(ROI)
ROIは、投資がどのくらいの収益と(理想的な)利益を生み出しているのかを測定します。
投資回収率 = N純利益または投資収益/投資費用 x 100
企業が大規模な投資を行った場合、特に新規の事業戦略や販売チャネル、あるいはマーケティング・キャンペーンを試している場合に、投資後にこのKPIを分析することが重要になります。
インフルエンサーROI
自社ブランドへの意識を高めてから商品を販売することを狙って、ソーシャルメディアの「インフルエンサー」への投資を増やしているeコマース企業が増えてきています。このKPIでは、インフルエンサーによるキャンペーンを通じて生み出された収益や利益を追跡し、それらの個人への金銭的な投資がプラスの成果をもたらしているかどうかを測定します。
インフルエンサーROI = インフルエンサーへの投資によって生じた純収益/インフルエンサーへの投資費用
広告費用対効果(ROAS)
広告費用対効果は、ROIのうち、広告への投資によってどれだけの収益を創出しているかを測定するものです。企業は通常、このKPIを注視することで、特定の広告への投資またはチャネルの業績を評価します。また、ある期間におけるすべての広告のROASを追跡することもできます。
広告費用対効果 = 広告への投資により生じた収益/広告費用
eコマースではROASの一般的なベンチマークは4です。つまり、広告費用1ドル当たり4ドルの収益を生み出しています。
マーケティング投資回収率
マーケティング投資回収率は、すべてのマーケティング活動から獲得した収益総額を測定します。
マーケティング投資回収率 = ある期間でマーケティング投資により生じた収益/その期間のマーケティング投資費用
顧客当たりの平均利益
このKPIは、自社が個々の顧客から獲得した平均利益を測定します。またこの数字から、自社が顧客獲得のためにどれだけの費用を注ぎ込めるのかもわかります。
顧客当たりの平均利益= 期間内の利益総額/その期間の顧客数
サイト訪問者当たりの売上
このKPIは、ウェブサイト訪問当たり生じる自社の収益総額を測定します。
サイト訪問者当たりの売上 = T期間内の収益総額/期間内のウェブサイト訪問数
サイト滞在時間/平均セッション時間
サイト滞在時間は平均セッション時間とも呼ばれ、訪問者がウェブサイトに滞在する平均時間を測定するエンゲージメントKPIです。この数値が大きいほど、訪問者が自社に関わる度合いが増え、購入の可能性が高くなります。サイトでの滞在時間が長すぎると売上の機会損失につながる可能性があるため、この指標はコンバージョン率と一緒に測定するようにします。
直帰率
直帰率は、ウェブサイトにアクセスしたものの1ページだけ閲覧して離脱した訪問者の割合です。このKPIは次の式でも計算できます。
直帰率 = 期間内の1ページのウェブサイト訪問数/期間内のウェブサイト訪問の総数
直帰率が高くなる要因としては、トラフィック・ソースの質が悪い、期待感に応えていない、ユーザー・エクスペリエンスの設計が十分でない、技術的な問題がある、などが挙げられます。
オーガニック検索ランキング
検索エンジンは現代において主要なトラフィック・ソースとなっていることから、Googleやその他の検索エンジンにおける自社のウェブサイトのランク付けを追跡することが不可欠です。自社のビジネスにとって最も重要な検索キーワードはどれかを調査して決定し、検索エンジンの結果ページで自社がどれくらいの順位にランク付けされているかを綿密に測定する必要があります。
検索エンジン最適化の取り組みを強化する方法の詳細は、「eコマースのSEOについて知っておくべきこと」をご覧ください。
eコマースのマーケティングの測定に欠かせない主なKPI
eコマースのマーケティング活動や広告活動を追跡するいくつかのKPIが、専門家から推奨されています。たとえば、ウェブサイト全体のトラフィックを測定するKPIや、ソーシャル・メディア・チャネルのパフォーマンスを測定するKPIなどが推奨されています。
サイト・トラフィック
このKPIは、特定の期間におけるウェブサイトへの訪問の合計数を示します。一般に、訪問数が多いほど購入増につながります。通常は週単位、月単位、または年単位で測定し、経時的な成長を把握します。
モバイル・サイト・トラフィック
このKPIは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル・デバイスを使用してウェブサイトにアクセスした訪問者の数を追跡します。サイト・トラフィックをモバイルとデスクトップとで区分けし、モバイルのカスタマー・エクスペリエンスを分析することで、モバイルのカスタマー・エクスペリエンスを完全なデスクトップ・エクスペリエンスと同様にコンバージョンできます。
ソーシャル・フォロワーおよび愛好者
このKPIでは、Facebook、Instagram、Twitterなどのソーシャル・メディア・プラットフォームを通じて自社に関わり、フォロワーや愛好者になる人の数を調べます。
トラフィック・ソース
このKPIは、オンライン訪問者が自社のウェブサイトを見つけるきっかけとなった、オーガニック検索や有料検索、ソーシャル・メディアの広告、アフィリエイト紹介者などのソースを示します。この情報は、的確なマーケティング投資を行うのに役立ちます。
eコマースのカスタマー・サービスの測定に欠かせない主なKPI
オンライン購入客に対するカスタマー・サービスの質を追跡するうえで、いくつかのKPIが不可欠です。
顧客満足度(CSAT)スコア
通常、企業は顧客満足度(CSAT)スコアを決定するために、簡単なアンケートに答えてもらうよう顧客に依頼します。アンケートはしばしば1つの質問のみで構成され、0から10までの範囲で回答します。たとえば「当社の体験にどのくらい満足していますか?」といった質問をします。
ネット・プロモータ・スコア(NPS)
ネット・プロモータ・スコアは、顧客が友人、フォロワーまたは同僚に自社を勧める可能性を測定します。NPSのアンケートでは回答者に対し、自社を勧める可能性を0から10までの評価で回答してもらいます。自社を9または10と評価した人は「プロモータ」です。7または8のランクを付けた人は「パッシブ」です。0~6のランクを付けた人はすべて「デトラクタ」です。
ネット・プロモータ・スコア =
アンケート対象顧客のうち「プロモータ」である人の割合 - アンケート対象顧客のうち「デトラクタ」である人の割合
平均苦情解決時間
このKPIは、顧客の苦情やカスタマー・サポートに関連する他の問題を解決するのにかかる時間を調べます(通常は日数単位)。顧客から初めて問題の通知を受けてから自社で解決するまでの時間を追跡します。
カスタマー・サービスを改善する方法の詳細は、「eコマースのカスタマー・サービスの改善に関する投稿記事」をご覧ください。
eコマースのストア実績の測定に欠かせない主なKPI
これらのKPIは、eコマース・サイトがどのくらいの成功率で顧客を引き寄せて商品を販売しているかを追跡します。
獲得当たりの費用(CPA)
このKPIは、新規顧客の獲得費用を決定するのに使用します。eコマースでは、これらの費用はマーケティング活動や広告活動に関連付けられます。顧客の「獲得」とは、商品の販売を指す場合もあれば、ウェブサイトの訪問者がニュースレターへの登録などの望ましいアクションを実行したことを指す場合もあります。
マーケティング・キャンペーンのCPAを最適化すれば、広告費の投入により得られるキャンペーンのインプレッション数やウェブストアのトラフィックを増やすのに役立ちます。
獲得当たりの費用 =
新規顧客獲得のために投入したキャンペーン費用の総額/獲得した新規顧客または新規ユーザーの数
顧客獲得単価(CAC)
CACは、新規顧客獲得のために要する費用の総額であり、顧客が購入する可能性のある商品の生産、保管、出荷に関連する費用が含まれます。
顧客獲得単価 = マーケティングおよび販売費用の総額/獲得した顧客数
顧客獲得単価は、個々の顧客を引き寄せるために支出している費用の全額を示します。
コンバージョン当たりの単価
このKPIは、自社の商品やサービスを購入する1人の訪問者を引き寄せるのに要する広告費用の総額を測定します。
コンバージョン当たりの単価 = 広告またはマーケティング・キャンペーンの費用総額/キャンペーンによって訪問者からコンバージョンした購入の数
eコマース責任者にとって欠かせない主なKPI
eコマース責任者が把握すべきeコマース指標の数は非常に多く、大きな負担となる可能性があります。企業の経営陣が最も重要なeコマースKPIの測定を必要としている場合、eコマース責任者はそれらを注視することを求められます。
- コンバージョン率: 自社のeコマース・ストアの総合的な業績を評価するうえで、このKPIは大きな役割を果たします。
- 平均注文金額、顧客獲得単価、顧客生涯価値: これら3つのKPIは個別に追跡しますが、分析はまとめて行います。これらを結びつけて分析することで、自社の投資が顧客の獲得と維持に結びついているかどうかを判断できます。また、顧客の獲得のために、それに見合う分よりも多くの資金を投入していないかを明らかにすることもできます。
- 顧客維持率: このKPIを注視することで、長期的な成功に不可欠となる顧客の満足度とロイヤルティの度合いを判断します。
- ネット・プロモータ・スコア: NPSスコアは顧客満足度の測定値でもあり、顧客の獲得と維持のために改善を必要とする際の警告となります。
KPIダッシュボード
ダッシュボードを活用すると、自社のすべてのKPIを1か所で簡単に追跡できます。自社で eコマース・プラットフォームを導入すると、ほとんどの場合カスタムのダッシュボードが提供され、自社にとって最も重要なKPIを追跡するように設定できます。
分析ツールには、KPIごとにドリルダウンする機能が備わっているのが一般的です。それぞれのKPIについて、背後に隠れている数字がどのような動向を示しているのか、それらが自社の目標と比較してどうなのか、といったことを調べることになります。これらの統計情報から、実際にビジネスの成功にインパクトを与える変更を加える際に、その方法やタイミングを知ることができます。

eコマース・ダッシュボードに含めるべきKPI
eコマースKPIは会社の目標と合致させる必要があるため、どれをダッシュボードに含めるかは組織によって異なります。オンライン販売会社の多くは、次の一般的なKPIを追跡しています。
- コンバージョン率
- 顧客生涯価値
- 平均注文金額
- 顧客獲得単価
- カート放棄率
- マーケティング投資回収率
- 顧客当たりの平均利益
- 顧客維持率
- サイト・トラフィック
- ネット・プロモータ・スコア
売上の拡大につながるKPIダッシュボード
売上の拡大を目指すにあたっては、自社のサイトで顧客が行っている買い物の状況を明らかにするKPIを追跡する必要があります。このデータをもとに、何がうまくいっているのか、どの部分でオンラインのカスタマー・エクスペリエンスを改善できるのかを分析できるようになります。たとえば、次のKPIがeコマースの販売ダッシュボードでよく使用されています。
- コンバージョン率
- カート放棄率
- カート追加率
- 直帰率
- アクティブな顧客当たりの注文数
マーケティング活動を測定するためのeコマースKPIダッシュボード
有料広告、検索エンジン最適化、インフルエンサー・マーケティングなど、どの手段を利用している場合でも、ダッシュボードを活用することで、どの活動が最大のROIをもたらしているか、また経時的にどのような業績を上げているかを把握することができ、その情報を踏まえたうえで、必要に応じて調整を図ることができます。たとえば、次のKPIがeコマースのマーケティング・ダッシュボードで代表的なものとして使用されています。
- サイト・トラフィック
- モバイル・サイト・トラフィック
- トラフィック・ソース
eコマース・ストアの業績を測定するためのKPIダッシュボード
eコマース企業にとって、サイトの業績状況を絶えず監視することは不可欠です。サイトに訪問者が来てくれなければ販売は成立しません。このダッシュボードは、顧客を自社のストアに引き寄せるような巧みな投資をしているかを判断するのに役立ちます。たとえば、次の一般的なKPIがeコマース・ストアの業績の測定に使用されています。
- 獲得当たりの費用
- 顧客獲得単価
- コンバージョン当たりの単価
追跡やレポート生成に最適なeコマース分析ツール
eコマースKPIは自社の他のプロセスと連携させながら追跡することが重要です。オンライン店舗と実店舗の両方で販売を展開する企業では、それらのチャネル全体にわたって統合された方法で業績を追跡する必要があります。
孤立した部門に作業を任せられるような余裕はすでになくなっています。マーケティング、販売、マーチャンダイジング、在庫といったすべてのプロセスがどのように連携して機能しているかを把握する必要があります。Google Analytics、Eメール・マーケティング・プラットフォーム、配送業者、デジタル決済業者、ソーシャルメディア管理ツールなどのツールは、どれも重要な情報を提供してくれます。しかし、これらすべてのツールを単一のプラットフォームに統合すれば、時間とコストを節減できます。自社のビジネスのあらゆる領域にわたってKPIを特定しそれらを追跡するのに役立つソリューションを見つけることをお勧めします。
多くの場合、eコマース企業、特に実店舗を同時に展開する企業は、リアルタイム分析機能を備えたクラウドベースのプラットフォームを活用することで、大きなメリットを得ることができます。詳細は、「自社にとって適切なのはオンプレミス・プラットフォームかクラウド・プラットフォームか 」をご覧ください。
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eコマースKPIの追跡と改善に役立つNetSuite
eコマース企業にとって、適切なKPIを選択して定期的に注視できるかどうかが、成否の鍵となります。そのため、企業のリーダーは、製造からマーケティング、販売に至るまでのあらゆるプロセスについて、リアルタイムで分析を実行できるツールを求めています。
NetSuiteのプラットフォームは、B2CとB2B eコマースの両方に必要な機能をすべて備えており、ERP、CRM、在庫管理とも統合されています。NetSuiteによって、財務責任者やeコマース責任者を含む組織全体がKPIやeコマース指標を完璧に把握できるようになり、事業の発展に役立てることができます。システム間で統合が必要になることはなく、それらの連携が消失したり、データ更新の頻度が大幅に低下したりするリスクが排除されます。NetSuiteのeコマース・ソリューション で自社全体の情報を1か所にまとめることで、さまざまな部門間の関係を把握することがずっと簡単になります。たとえば、財務部門は、顧客獲得単価の増加が全体の四半期利益率にどのような影響を与えているかを把握できます。
また、NetSuiteは、パーソナライズや、高度な分析によるインサイトを提供するEメール・マーケティング・ツールも備えており、カート放棄率の低減に役立ちます。NetSuite eコマースが提供する完璧なオムニチャネル機能は、オンライン・チャネルと実店舗チャネルを連携させ、優れたカスタマー・エクスペリエンスを実現します。
詳細は、「先進のeコマース機能を提供するNetSuite」の関連資料をご覧ください。