経営状況の良好な企業は、常にビジネス・プロセスを分析し、効率化の方法を模索しています。また、複数の部門のビジネス活動を目標と同期させるため、プロセスを定期的に見直し、更新、変更、置換、または排除する方法を探っています。このプロセス管理は、様々な指標へのアクセス、監視、分析、マネージャーの継続的なトレーニング、および情報更新に依存しています。

ビジネス・プロセス自動化(BPA)とは?

ビジネス・プロセス自動化(BPA)とは、手動の反復的なタスクやプロセスを支援、またはそれを引き継ぐためにテクノロジーを使用することです。BPAは効率を大幅に向上させ、組織の時間と費用を節約し、エラーを削減し、透明性を高めることができます。この自動化は様々な形態を取り、業種を問わず、企業のすべての部門に成果をもたらすことができます。BPAが最も効果を発揮するのは、従業員の時間やスキルを最大限に活用できない、日常的で反復可能なタスクを実行する場合です。

BPAはビジネス・プロセス管理(BPM) とは異なります。BPAはタスク固有のワークフローに焦点を当て、通常は部門レベルで行われるのに対し、BPMは全社的なプロセスを管理する、より広範な取り組みを指します。BPAはBPMの一部ですが、それは大きなパズルの1つのピースにすぎません。

ビジネス・プロセス自動化はなぜ重要か?

BPAを使用すると、次のような大きなメリットがあります:

  • コストの削減 – 効率を高め、給与および関連コストを削減することができます。
  • プロセスの可視性の向上 – 早期には発見できない問題を早期に発見し、後の大きなコストを避けます。
  • プロセスの標準化 – 標準化により、情報の検索、タスクの完了、内外の規制へのコンプライアンス確保にかかる時間、労力、費用を削減できます。
  • コンプライアンスの向上 – 人的エラーや不均衡が減り、プロセスが設定されたルールに従い一貫して完了されます。
  • プロセスの簡略化 – 新しいテクノロジーやビジネス、市場の変化に対応し、プロセスを効率的なものに変えることができます。
  • アカウンタビリティの向上 – 可視性の向上と定期的なレポートにより、全体の状況が明確になり、問題の原因を特定しやすくなります。
  • 効率の向上 – 自動化により、人間よりも速く、少ないエラーでタスクを完了させることができます。
  • 人的エラーの削減または排除 – 毎回同じ方法でプロセスが実行され、逸脱やエラーの可能性を減らします。
  • プロセスの改善を企業目標と常に一致させる – BPAは、プロセスの高速化、効率向上、エラー削減、コンプライアンス改善、コスト削減を通じて、企業の競争力強化や予算遵守などの目標達成をサポートします。
  • 24時間体制の従業員対応および顧客対応サービスの実現 – 自動化により、タイムゾーンを問わず、効率的かつコストを抑えたサービス提供が可能になります。

BPAは、企業が成長のペースにあわせて従業員を追加する必要をなくすのみでなく、全従業員の作業の能力を高めることもできます。BPAを使用すると、従業員の満足度が向上する傾向があります。CIOのレポート(opens in a new tab)によって、「興味があってやりがいのある仕事に従業員がより多くの時間を費やすと、生産性と満足度が向上し、それによってさらに従業員の定着率も向上する」と報告されています。

ビジネス・プロセス自動化の進化

企業が基本的なビジネス・タスクを自動化し始めたのは、1960年代、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムの前身である資材所要量計画(MRP)システム(opens in a new tab)が出現したときです。70年代に独自のMRPソリューションを構築する企業が増え、80年代には新しい機能が追加されるにつれて、自動化への取り組みが拡大しました。最初の先進的なERPシステムが登場し、すぐに大企業に普及した90年代に、BPAはさらなる飛躍を遂げました。ERPソフトウェアにより企業全体に中央データベースが提供されたことで、MRPの主要な焦点である製造の枠を超えて効率を向上させることができました。

それ以降、何年にもわたるイノベーションにより、高度なデータ処理ツールが開発され、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)のようなテクノロジーを使用した自動化が促進されました。現在、BPAはプロセスと統合の自動化を超えて、機械学習と人工知能(AI)を使用するツールにまで拡張されています。

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)とは?

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)は、決められたルールに基づきタスクを実行する自動化の一形態です。例外処理を行行うことや、時間の経過と共に進化することはなく、繰り返しタスクを完了します。このため、基本的で反復的なプロセスに適しています。例としては、自動車組立を支援する工場のロボットや、特定の金額を超える注文に承認フラグを立てる調達システムのルールなどがあります。

たとえば、Gartner社によると、一般会計業務の89%、および財務管理と外部レポートの72%をRPAにより自動化できるとされています。RPAは大きなメリットをもたらす可能性があります。McKinsey & Company社(opens in a new tab)によると、RPAを導入した初年度の投資収益率(ROI)は30%から200%であり、そのほとんどは労働力の節約から得られるということです。

BPAとRPAの比較

RPAはBPAの一種ですが、両者にはいくつかの違いがあります。まず、BPAが労働者の作業能力を増強するような自動化であり、RPAは従業員の作業を全面的に代行します。また、BPAは状況の変化に適応する能力が限られているのに対し、RPAはより柔軟に適応することが可能です。

BPAは、フォームへの記入、ローンや休暇の承認、在庫補充などの反復的なタスクを排除することに注力していますが、プロセスやビジネス目標への変更を自動で行うことはありません。

一方で、RPAは比較的単純ながら時間がかかる作業に焦点を当てています。BPAが複雑なプロセスを想定しているのに対し、RPAはより単純な作業に特化しています。RPAがBPAの強化版というわけではなく、それぞれが異なるニーズに応えるものです。

5つの主要なビジネス・プロセス自動化のユース・ケース

BPAは広範囲にわたる分野で適用可能で、多くのタスクの効率向上に貢献します。特定のユース・ケースにBPAを使用するかどうかを判断する際、以下の特徴を持つプロセスが適しています:

  • 大量の反復的タスク:同じ手順を繰り返し実行するタスクはBPAによって自動化するのに理想的です。
  • 人手がかかるプロセス:複数人が関与する複雑なプロセスは、BPAによって効率化することができます。
  • 時間的制約があるプロセス:イベント、状況、期限に関連するプロセスは、BPAを利用して時間内に正確に完了させることが可能です。
  • 監査証跡の必要性:コンプライアンス、セキュリティ、監査などのために詳細な記録が必要なプロセスには、BPAが有効です。
  • 大きな影響を与えるプロセス:他のプロセス、期限、部門に大きな影響を与えるプロセスは、BPAによりその影響力を最大化できます。

どのようなビジネス・プロセスを自動化できるか?

ビジネス・プロセスの自動化は、ロールに従ってまたは特定のワークフローに基づいて実施できます。CEO、CFO、CIO、または各事業部門のマネージャーは、日次または週次のタスクの多くをロールごとに自動化することで効率化を図ることができます。

自動化を決定するもう一つの方法は、関連付けられたプロセスまたはグループ化されたプロセスに基づくことです。例えば、ソフトウェア・ベンダーが長年にわたり様々な業種の企業との作業から学んだベストプラクティスに基づいた基礎的自動化や、ビジネス・インテリジェンス(BI)のダッシュボードや指標における事前構築済レポートおよび事前構成済ロール、段階的なプロセス自動化などがあります。

どのビジネス機能にBPAを使用できるか?

ビジネス機能におけるBPAの使用には、コア機能とサポート機能の2つのカテゴリがあります。コア機能はビジネスの収益につながる活動で、サポート機能はこれを補助する活動です。

コールセンター、買掛金、売掛金、サプライチェーン管理など、コア機能とサポート機能の多くのステップをBPAやRPAにより自動化することで、効率を高め、コストを削減できます。

サポート機能は、アウトソーシング(opens in a new tab)インソーシング(opens in a new tab)またはニアソーシング(opens in a new tab)する可能性が最も高い活動です。例として、流通/物流、マーケティングと販売、ITおよび技術サービス、人事や給与などの管理業務があげられます。しかし、これらのサポート機能の多くはBPAに適しており、アウトソーシングコストを大幅に削減または排除することが可能です。

どの業種でビジネス・プロセスが自動化されているか?

現在、多くの業種でBPAがプロジェクト管理、ポートフォリオ管理、知識資産、セルフサービス・ポータル、ワークフロー、データフローなどの管理に使用されています。BPAの利用が特に顕著な業種には銀行、ヘルスケア、電気通信、製造業があります。

製造業では、プロセス自動化が初めて導入され、現在もその普及が顕著です。特に、生産ラインにロボットを使用することが多いため、RPAも広く使われています。しかし、今日ではほぼ全ての業界でプロセスの自動化が進んでいます。

Gartner社の調査によると、財務部門では効率、コンプライアンス、生産性向上のためにRPAが定期的に導入されており、約80%の財務担当者が現在RPAを使用しているか、今後使用する予定です。買掛金と契約管理は、BPAとRPAが主要に使用される分野です。

カスタマーサービス部門でもBPAの普及が見られます。調査会社Forrester社(opens in a new tab)によると、この業界では一般的なエージェント・タスクをデジタル化するためにRPAを戦術的かつ短期的なアプローチとして利用しています。顧客体験の向上に注力している他の業界でもBPAが利用されています。

人事部門では、オンボーディングや従業員向けセルフサービスツール(福利厚生への登録など)を単純化し、高速化するためにプロセス自動化が利用されています。高等教育機関では、BPAを使用して学生や従業員の効率とエクスペリエンスを向上させ、電話サービスや寮の割り当て、ミールプラン、医療サービスなど幅広い領域を管理しています。

ビジネス・プロセス自動化を開始するためのステップ

BPAの導入方法は組織ごとに多少の違いはあるものの、どの状況にも適用できる開始するためのステップがいくつかあります。企業がBPAを組織全体に一度に導入するように決定することもありますが、多くの企業は部門レベルで自動化を開始するほうが簡単で生産性が高いと考えています。BPAを開始するためのいくつかのステップを次に示します:

  1. ビジネス目標を要約し、一致させる – 短期及び長期のビジネス目標に合わせて、自動化すべきプロセスを特定し、優先順位を決めます。
  2. 小さく始める – BPMシステムやプロセス・マップをレビューし、反復的なタスクが多く含まれるプロセスを選びます。例えば、従業員やクライアントのオンボーディング、基本的なカスタマーサポートなどが適しています。
  3. BPAのツールを評価および選択する – プロセスレビューから明らかになったタスクに対応するBPAツールを選びます。
  4. 特定のプロセスを合理化する方法を探る – 自動化されたメール、マーケティング自動化または自動化されたフォームなどを活用して、作業を高速化し、簡略化します。
  5. データと他のソフトウェアを統合する – 情報を自動的にプロセスに取り込み、データの正確性と完全性を確認します。
  6. 変更管理 – 自動化が影響を受ける事業部門にとって有意義であることを確認し、支持を得ます。
  7. 自動化する – 選定したツールを使用して、特定し優先順位を付けたプロセスの自動化を開始します。
  8. テストする – 自動化されたプロセスが期待通りに動作し、望ましい結果を得られることを確認します。
  9. フィードバックを得る – ユーザーや部門から自動化の効果に関するフィードバックを得ます。
  10. 指標を設定および監視する – 自動化のメリットと効果を測定し、必要に応じて調整を行います。

ビジネス・プロセス自動化のフェーズ

BPAには、4つの一般的なタイプと4つの一般的なフェーズがあります。これらのタイプは複雑さによって分類され、フェーズは機能によって分類されます。企業では、BPAを一元化された形ではなく、複数のタイプおよびフェーズに分けて活用することが一般的です。言い換えれば、各プロセスのタイプとフェーズが異なっていても問題ありません。

ビジネス・プロセス自動化の4つのタイプ:

ビジネス・プロセス自動化の4つのタイプ:
  1. エントリレベルのBPA – 低レベルの基本的で反復的なタスクとプロセスを自動化します。
  2. 中間レベルのBPA – 税金フォームの記入やコール・センターのカスタマー・サービスでよく見られる、複数のフォームおよびフィールドから取得したデータを使用する計算など、中間レベルのタスクを自動化します。
  3. RPA – すべてのプロセスまたはほぼすべてのプロセスを自動化します。
  4. ハイパーオートメーション(opens in a new tab) – 複数の自動化テクノロジを組み合せたエンドツーエンドの自動化です。

BPAプロジェクトの4つの一般的なフェーズ:

BPAプロジェクトの4つの一般的なフェーズ:
  1. 分析 – 組織のインフラストラクチャをレビューします。
  2. 実装 – テクノロジーを設定およびカスタマイズします。
  3. 統合 – APIおよびその他の統合ツールを使用してデータとワークフローを結合し、自動化をサポートします。
  4. メンテナンスとサポート – 破損の修復、欠陥の修正、ボトルネックの除去、プロセスの改良と合理化を行います。

ビジネス・プロセス自動化ツールのメリット

ビジネス・プロセス自動化ツールを使用することで、タスクの自動化が容易になり、手動での入力が不要となるため、運用コストの削減や労働リソースの効率的な使用が可能になります。これらのツールには、チームが一般的なプロセスを自動化するために使用できるテンプレートが多く含まれており、一貫性と簡素化が向上します。

ビジネス・プロセス自動化のベスト・プラクティス

特定のテクノロジを導入する際にはいつも、先人たちによる教訓を活用することが賢明です。BPAを導入する際に役立つベスト・プラクティスのいくつかを次に示します:

  1. 大きく考え、小さく始める。 戦略を開発する際は、自動化の部分ではなく全体について考えます。しかし、自動化の導入にあたっては、最終的な全体像の完成に向けて着実に前進するような小さなステップを踏むことに重点を置きます。
  2. データを編成する。 BPAの効果は、実行の基礎となるデータの質によって決まります。データがクリーンで完全であり、サイロ化されていないことを確認することが重要です。フィールドやデータの形式(住所の略語やその他の違いなど)を標準化し、重複する古いデータは削除してください。
  3. まずBPMを使用してプロセスを合理化する。 BPMソフトウェアは、ビジネスプロセスを整理・最適化するよう設計されています。また、BPMは、データアクセスや他のプロセスとの統合が必要なプロセス内およびプロセス間のギャップを特定するのに役立ちます。
  4. ERPシステムを活用する。 既に中央データベースとして機能しているERPシステムを活用して、事業部門全体のプロセスとデータをまとめ、プロセス間のギャップを埋めます。また、ERP内の一部の自動化ツールにアクセスし、IoTデバイスとの統合も可能です。
  5. 継続的な改善を目指す。 自動化は「設定して忘れる」ものではありません。BPAが人間の介入なしにスムーズに実行されることが理想ですが、競争力を維持するためには常に変化が必要です。プロセスおよび自動化の定期的なレビューを行い、どのような改善を目指すべきかを特定します。

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ビジネス・プロセス自動化の例

現在、企業で実施されているビジネス・プロセス自動化の例は数多くあります。一般的な6つの例を以下に示します:

  1. チャットボットによる自動化された知識資産 – BPAは、顧客が企業に尋ねる一般的な質問への回答を自動化し、セルフサービスを効率的な従業員支援ツールにします。チャットボットとBPAを組み合わせることで、サポートおよび人事の従業員は、基本的なよくある質問に対応する必要がなくなり、従業員コストが削減されます。また、カスタマーサービスや人事で文書を探す時間も減り、さらなる節約が実現できます。
  2. 自動化された従業員のオンボーディング – 自動化されたオンボーディング・プロセスにより、企業は従業員が提供する身分証明書類や、事業主が従業員に提供する必要がある法的通知書に関するコンプライアンス要件を確実に満たすことができます。追加の標準的なオンボーディング・タスクは、BPAを使用して完了できます。たとえば、BPAは、新入社員を福利厚生プランに加入させてから、一連のオプションを提供し、最終的には従業員が選択したプランの書類をその従業員に送信できます。
  3. 自動化されたカスタマー・サポート – カスタマー・サポート・エージェントは、必要なすべての顧客情報と製品情報に即座にアクセスし、顧客の問題解決をより効率的に支援できます。チャットボットおよび自動化された電子メールを使用すると、一部のサポート問題は、すべて自動化を通じて解決できます。
  4. 自動化された元帳 – BPAは元帳および貸借対照表にデータを追加できるため、それぞれに同じ情報を手動で追加する必要がありません。たとえば、在庫受領書を在庫元帳と貸借対照表の資産列に自動的に追加できます。
  5. 自動化された買掛金 – 新しい在庫が受領され、正確性と適切な状況を確認するために処理されると、BPAがその金額を買掛金に追加し、最終支払までのプロセスを処理できます。
  6. 自動化された従業員のスケジュール設定 – BPAは、計画された販売活動、給与予算の削減、予測される季節的な上昇、市場要因(地域の主要な慣習や悪天候イベントなど)、およびその他の要因に従って、従業員のスケジューリングを自動化できます。さらに、BPAは従業員にスケジュールを通知し、従業員の出勤、欠勤およびパフォーマンス指標を適切に記録できます。