国際的にビジネスを展開する企業では、ドルなど主要通貨の大きな変動による影響をできるだけ避けるため、多通貨会計の知識やツールを強化しています。この分野は非常に重要で、外国為替レートの変動により、企業のコストが増加したり、売上の価値が低下したり、キャッシュフローが混乱したりする可能性があります。

綿密に計画された財務戦略と専用ソフトウェアを活用することで、為替変動によるリスクを最小限に抑え、ビジネス状況を正確に把握し、経営判断や投資に役立てることができます。この記事では、海外でビジネスを行う企業のために、多通貨会計のポイントをわかりやすくご紹介します。

多通貨会計とは

多通貨会計とは、複数の通貨で発生した取引を記録・報告し、集計して分析するために使われる財務管理の仕組みです。海外での資金の流れを自社の基準となる通貨に換算することで、正確な会計記録を残し、期間をまたいだ比較や報告もしやすくなります。また、為替レートの変動もきちんと会計に反映することができます。

複数の通貨で取引をしている会社では、次の2つの財務取引をサポートするために多通貨会計を活用しています。

  • 会社が実際に取引を行っている外国通貨で記録するため。
  • 親会社など本社が使っている基準通貨で処理・報告するため。

たとえば、ニューヨークに本社がある会社のパリ支社でユーロ建ての売上が発生した場合、まずユーロで売上を記録します。その後、本社の会計部門が適切な為替レートで米ドルに換算し、連結財務諸表には米ドルで報告します。

当然のことながら、多通貨会計は単一通貨での会計よりも複雑になります。

主なポイント

  • 為替レートは大きく変動することが多く、国際取引を行う企業にとって、業務面でも会計面でもさまざまな課題をもたらします。
  • 多通貨会計を導入することで、こうした通貨の変動リスクを和らげることができます。
  • 国際取引に関する記録、処理、報告、分析を会計基準に沿って行うことで、財務管理の精度を高めることができます。
  • 国際的なビジネスでは、リアルタイムで世界中の取引や為替レートのデータを扱う、専門的な多通貨会計ソフトを活用するのが一般的です。

多通貨会計の解説

多通貨会計で特に難しいのが「タイミング」の管理です。このタイミングによって主に2つの為替リスクが生まれます。取引リスクと、換算リスクです。

  • 取引リスク: 取引の発生から実際の支払いまでの間に為替レートが変動することで、最終的に自社の基準通貨での受取額や支払額が変わってしまう恐れがあります。
  • 換算リスク: これは、海外子会社の財務諸表を本社の連結財務諸表にまとめる際、通貨を換算する過程で生じるリスクです。この換算は通常、月末や四半期末、年度末など決まった日に行われます。この時点の為替レートを使うことで、実際の業績が変わっていなくても、帳簿上は為替差損益が生まれることがあります。

換算による損益が、そのまま純利益に反映されてしまうと、経営成績が本来より大きく上下してしまうことがあります。こうした影響を避けるため、通常は「為替換算調整額」として貸借対照表の「その他包括利益」に記載します。企業はこのような場合、できるだけ「為替の影響を除いた業績」を開示することで、事業自体の実績をわかりやすく伝えるようにしています。

為替変動がどのような影響をもたらすかを例で説明します。たとえば、2025年の最初の4か月間で米ドルがユーロに対して約10%下落した場合、利益率の低い会社にとっては、こうした為替の変動で利益が損失に転じてしまうこともあります。その理由には、「運営コストの上昇」や「財務数値の歪み」などがあります。

実際の業務面では、自国通貨が弱くなると、輸入する原材料や部品の価格が上がり、コストが増加するとともに、完成品の価格も値上がりします。一方、逆に自国通貨が強くなれば輸入コストは下がり、生産費用を抑えられる可能性がありますが、今度は自社の製品が海外市場で割高になり、輸出の需要や売上が減ることもあります。

帳簿上では、自国通貨が安くなると、外貨建ての売上や資産、負債、資本を自国通貨に換算したときの金額が増え、未実現の為替差益が発生します。反対に、自国通貨が強くなると、外貨建ての資産や売上は自国通貨で見ると減り、外貨建ての負債は少なく見えます。自国通貨高は帳簿上の債務を減らす効果はありますが、海外事業での利益が減ってしまうため、連結決算の業績にも影響します。

多通貨会計の仕組み

多通貨会計では、まず各取引を実際に使われた通貨で記録し、その後、自社の基準通貨に換算して、正確に 総勘定元帳へ記帳し、財務諸表にも一貫性を持たせて報告します。この換算の際は、取引発生日、決済日、月末・四半期末・年度末など、重要なタイミングごとに適切な為替レートを使います。為替レートには、その時点の市場レート(スポットレート)と、あらかじめ契約した固定レートがあり、どちらの方法が為替変動による損失の影響を受けにくいかを会社が判断して決めます。

外貨建ての資産や負債などの項目の価値を、財務報告時点での最新の為替レートで計算し直す作業を「換算」と呼びます。これによって、財務諸表がもっとも新しい状況を正しく反映できるようになります。項目の種類によって、使う換算方法も異なります。

  • 現行レート法: これは主に貸借対照表の資産や負債に使われます。貸借対照表はある時点での会社の財政状態を表すため、その日(決算日)の為替レートで換算します。
  • 過去レート法: 資本や非貨幣性資産などの場合は、取引が発生した当時の為替レートで換算します。これによって、投資したときの本来の価値を保つことができます。
  • 平均レート法: 収益や費用など、損益計算書の項目に一般的に用いられます。損益計算書は月や四半期、年度全体といった一定期間をカバーするため、その期間の平均為替レートが使用されます。

こうした多通貨会計の手続きは、アメリカの一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)や国際会計基準(IFRS)などの会計ルールに沿って行われています。

なぜ企業に多通貨会計が必要なのか

多通貨会計は、複数の通貨で発生する取引を正確に管理し、報告するために必要です。たとえば、海外の仕入先からの購入、海外顧客への販売、外国子会社の経営、または親会社と子会社間の資産移転などのグループ内取引に使用されます。多通貨会計を効果的に行うことで、こうした取引が正しく記録され、自社の基準通貨へ一貫して換算され、さらに会計基準や国ごとのルールを守って報告できるようになります。

さらに、多通貨会計は為替レートの変動リスクを管理するうえでも欠かせません。為替の変動は財務諸表やキャッシュフロー、利益にも影響します。多通貨会計を導入することで、価格設定や仕入先の選定、その他重要な経営判断を行うための明確なデータが得られるほか、投資家などの関係者に対しても会社の状況をわかりやすく伝えることができます。

特に重要なのは、多通貨会計が海外子会社や国際部門の本当の業績を評価するのに役立つという点です。事業としての実力と為替の変動による影響を切り分けて、それぞれの部門がどれだけ会社全体に貢献しているのか、よりはっきりと把握できます。

多通貨会計における基本的な用語と概念

多通貨会計では「どの拠点で」「どの目的で」使う通貨なのかによって、異なる用語を用います。たとえば、「機能通貨」「基準通貨」「取引通貨」「報告通貨」などが代表的です。ほかにも、外国通貨取引やその換算を行う際のタイミングや性質にかかわる重要な用語として、「スポットレート」や「固定レート」などがあります。ここでは、多通貨会計で使用される用語や概念について簡単に説明します。

  • 機能通貨: 会社が日々の業務で主に使う通貨のことです。国際的な企業では、本社で使う機能通貨(=本国の通貨)がひとつあり、海外子会社ごとにそれぞれの機能通貨を設定している場合もあります。
  • 基準通貨: この用語は「機能通貨」と同じ意味で使われることもありますが、より一般的には、親会社が連結決算時に海外子会社の会計を換算する際に使う通貨を指します。そのため、基準通貨は機能通貨や報告通貨と同じ場合が多いです。
  • 報告通貨: しばしば「表示通貨」 と呼ばれることもあるこの通貨は、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書といった財務諸表を作成・提示する際に使用されます。先述のとおり、多国籍企業は一般的に自社の基準通貨を報告通貨として使います。
  • 取引通貨: 取引通貨は、海外での購入または販売において使用される元々の通貨のことです。
  • 外貨建取引: 会社の機能通貨とは異なる通貨で行われる取引全般を指します。
  • 外国為替レート: ある通貨を別の通貨に交換する際の比率のことです。通常は「USD/EUR」のような通貨の組み合わせで表します。為替レートは日々変動するため、会社はどのタイミングでどのレートを使うかというルールを決めておく必要があります。たとえば、スポットレートは取引日の市場レートを指します。一方、固定レートやフォワードレートは将来の特定の日に適用する為替レートを事前に決めておくもので、主に為替リスク管理のために使われます。日常的な取引や迅速な決済が求められる場合はスポットレートを、金額が大きい取引や長期契約、将来の収支を予測したい場合には固定レートやフォワードレートが使われることが多いです。
  • 換算と再評価(再計算):「換算」は、主に財務諸表全体を他の通貨に変換する際に用いられる用語です。「再評価」または「再計算」は、個別の取引や残高について再度金額を見直す作業を指します。

多通貨会計の主な課題

財務諸表の歪み、キャッシュフローの問題、規制対応の難しさなど、多通貨かつ複数拠点にまたがる会計業務には、多くの課題が存在します。そして、下記のような理由から、正しく対応するのは決して簡単ではありません。

  • 為替レートの変動: 通貨の価値は常に変動するため、外貨建ての資産や負債、売上や費用の金額も日々変わります。事業の運営自体は順調であっても、為替レートの管理ができていないと、 損益計算書や貸借対照表その他の財務諸表が実際よりも悪く見えたり、利益の大きな増減を示してしまい、株主を混乱させる恐れがあります。企業の経営者にとっても、歪んだ数値によって予算や見通しの管理、価格や投資の判断が難しくなってしまいます。
  • 複雑な財務報告: 多通貨会計では、すべての事業部門で同じ基準を守りながら、取引を会社の報告通貨へ一貫して換算することが求められます。一部の取引に古いレートを適用し、別の取引には現行レートを適用するなど、取引ごとに使う為替レートがバラバラだと、財務諸表が歪んでしまいます。簡単な計算ミスなど、換算にミスがあると同じように正確な数値を出すことができません。
  • 規制対応の難しさ: GAAPやIFRSといった共通のルールに従うだけでも大変ですが、さらに国ごとの会計基準にも従う必要があります。新興国などでは、先進国と比べて細かなルールや厳しい規則が定められている場合もあります。たとえば、外国為替の取引について当局への報告が義務づけられている国もあります。
  • 取引手数料やコスト: 通貨を換算する際には、銀行手数料や仲介手数料、不利な為替レートによる見えにくいコストが発生することがよくあります。特に利益率が低い会社や、海外との取引が頻繁な場合には、こうした費用をきちんと管理しないと利益を圧迫する原因になります。
  • データ入力ミス: 多くの中小企業や小さな事業部門では、今でもスプレッドシートに頼っているケースが多く、また多通貨処理が完全に自動化されていない会計ソフトを使用している場合もあります。たとえば、為替レートの入力ミスや換算式の間違いなど、ちょっとしたミスが大量の取引に及ぶと、すぐに大きな問題に発展します。こうしたミスが原因で、外貨取引と総勘定元帳の残高を照合するのに余計な時間がかかったり、子会社間の数値のズレや連結決算時の調整が難しくなったりすることもあります。
  • 多重課税の問題: 国ごとに外貨建取引に対する税の扱いが異なるため、税務面での対応が複雑になります。たとえば、ある国では為替差損益を課税所得や控除対象経費として計上するよう求められる一方、別の国では事業活動による為替差損益を課税対象から除外する場合もあります。この違いによって、親会社と子会社それぞれの課税所得を計算するのが難しくなり、場合によっては二重課税や本来受けられたはずの控除漏れにつながるリスクもあります。
  • 為替差損益: 先ほど述べたように、為替レートの変動によって思いがけない利益や損失が発生し、特に損益計算書や資本勘定で予想しにくい利益の増減が表れることがあります。たとえば、決算期間中に自国通貨が大幅に強くなった場合、たとえ本業の業績が良好でも、外貨建ての売上や資産に為替損失が計上されることがあります。同じように、貸借対照表でも為替レートの変動によって海外子会社の資本価値が変動し、連結の資本勘定に影響を及ぼすことがあります。
  • 銀行勘定照合の複雑さ: 企業と銀行との間の照合作業も、難しい課題のひとつです。国際的なビジネスでは、複数の通貨で銀行口座を持つことが一般的で、会社の総勘定元帳の残高と、各銀行口座の残高を一致させなければなりません。この照合は時間がかかりやすく、ミスも発生しやすい作業です。取引のタイミングの違いや銀行手数料、為替レートの違いにより、入出金や送金の金額合わせが難しくなり、特に為替レートが動くことで自国通貨での金額が変動し、さらに照合が複雑になります。
  • 会計システムの制約: 一部の会計システムには多通貨対応機能が十分に備わっておらず、その結果、会社側で手作業や別の方法で対応せざるを得ない場合があります。たとえば、リアルタイムでの為替レートの自動更新がサポートされていなかったり、決算時の外貨残高の再評価ができなかったりします。このような機能の不足は、ミスの発生リスクを高めたり、業務効率を下げたりする要因となります。
  • 業務効率の低下: 通貨換算のための追加作業が発生すると、請求書発行や支払い、決算処理が遅れることがあります。これにより、入金のタイミングが遅れ、キャッシュフローが悪化することもあります。また、為替関連の課題で仕入先への支払いが遅れたり、うまく管理できなかったりすると、ペナルティの対象となったり、取引先との関係が悪化したり、早期支払い割引を逃したりといった問題が発生し、キャッシュフローにも悪影響を与えます。こうした遅れは、社内での財務報告の正確性や迅速性にも影響を及ぼします。

多通貨会計におけるベストプラクティス

多通貨会計の複雑さに対応するため、成功している企業は最新テクノロジーを積極的に活用しています。手続きの自動化や、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)、会計、資金管理、銀行、為替管理などさまざまなシステムを国内外の業務で連携させています。次に挙げるベストプラクティスを実践することで、正確さ、効率性、財務管理の向上が期待できます。

  1. 信頼性の高いソフトウェアを使う: 多通貨にしっかり対応し、リアルタイムで為替レートを更新できる会計システムに投資することが重要です。ERPや会計、その他の財務・業務システムを連携させ、正確かつ最新の為替データを利用することで、手作業を減らし、財務報告の信頼性を高めることができます。その結果、より優れた経営判断が可能になります。
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    この図は、190を超える通貨に対応したNetSuiteのクラウド会計ソフトウェアの機能を示したものです。リアルタイムで為替レートを更新し、レートの適用を自動化することで、エラーを減らし、グローバル業務における会計処理を効率化します。
  2. 機能通貨を明確に設定する: 親会社および各海外子会社は、それぞれの主要市場に基づいて機能通貨を決める必要があります。機能通貨を明確にすることで、財務報告がシンプルになり、子会社間でも一貫性を保てます。
  3. 通貨換算を自動化する: 取引時や決算時の為替レート適用を自動化することで、ミスを減らし、会計業務の流れをスムーズにできます。自動化システムにより、迅速かつ一貫した通貨換算が可能になり、履歴も追いやすくなります。
  4. 為替レートの変動を常に監視する: 成功している企業は、レポートツールやダッシュボードを活用して、為替の動きが自社の業績へどのような影響を与えているか常にチェックしています。為替動向の定期的な分析やシナリオプランニングを行うことで、より良い意思決定やリスク管理が実現します。
  5. 法令遵守を徹底する: 会計システムや業務プロセスは、GAAPやIFRSといった国際基準、そして各国の規制にも合致するよう設計する必要があります。管理やチェック機能をあらかじめ組み込むことで、違反や罰則のリスクを減らし、監査対応も強化できます。財務諸表で通貨に関する情報を開示する際は、為替リスクやヘッジ取引、為替変動が財務結果に与える影響などについて、どのように情報を開示するかを明確に定めておくことが重要です。
  6. レポートを標準化する: 財務諸表は、すべての事業部門および通貨に対して一貫した手法と前提を用いて作成する必要があります。レポートを標準化することで、財務データの統合が明確になり、市場間での業績比較が容易になります。
  7. 定期的に照合を実施する: 財務の正確性を確保するには、銀行口座や補助元帳、グループ内取引について頻繁に照合を行う必要があります。自動照合ツールを活用すれば、作業を効率化でき、数字の不一致も減らせます。
  8. グループ内取引の改善: 異なる通貨で行われるグループ内取引の記録、照合、消去には特に注意を払う必要があります。たとえば、グループ内でネッティングシステムを活用することで、国境を越えた支払いや換算作業の回数を減らすことができます。
  9. 海外取引に伴う手数料の管理: 企業は、為替レートが有利で手数料が安い銀行サービスを選ぶことでコストを抑えることができます。たとえば、マルチカレンシー口座を活用すれば、複数通貨を一つの口座で管理でき、手数料も削減できるほか、為替管理の自由度も高まります。複数口座や多通貨を一括管理・最適化できる資金管理システムを導入すれば、通貨に関する費用を見える化しやすく、コントロールもしやすくなります。
  10. ヘッジ戦略の活用: 先物為替予約や通貨スワップといったヘッジ手法を使えば、為替変動リスクを減らせます。たとえば、米国企業が3か月後にユーロで大きな入金を見込む場合、あらかじめ決めた為替レートでユーロを売却する先物契約を結ぶことで、ユーロ安による損失を防ぐことができます。こうしたヘッジ戦略を会計システムと連携させることで、収益の安定や予算管理の精度向上につながります。ただし、ヘッジ取引を行うことで、新たな会計上の課題が発生することがあります。企業は、書類作成、ヘッジ効果検証、公正価値評価など、ヘッジ会計に関する複雑なルールを遵守する必要があります。
  11. 会計担当者の育成・研修: 継続的な研修を通じて、会計担当者が最新の多通貨会計プロセスや技術、法規制に精通できるよう支援することが求められます。よく訓練されたチームであれば、複雑な通貨管理にも対応でき、IT投資の効果も最大化できます。
  12. 包括的な文書管理: すべての通貨関連取引、ヘッジの判断、為替レート適用の記録などを詳細にドキュメントとして残すことで、監査対応がしやすくなり、法令遵守の面でも有利に働きます。

多通貨会計ソフトを選ぶ際に重視すべきポイント

複数の国で事業を展開したり、複数の通貨を扱う企業では、財務業務を効率化し、正確なレポートを作成し、各国の報告基準にも対応するために多通貨会計ソフトを活用しています。こうしたソフトを選定する際、財務担当者がチェックすべき主な機能は以下のとおりです。

  • 自動通貨換算機能: 取引を自社の基準通貨に自動で換算しつつ、為替レートもリアルタイムで追跡・更新できること。
  • システム連携機能: ERPや銀行プラットフォームなど、他の業務システムと簡単に統合できること。
  • コンプライアンスの更新機能: 国ごとの税制や報告要件、その他の法令に関する最新情報を自動で反映できること。
  • 統合管理機能: 1つのシステムで複数の子会社を管理できること。この際、グループ内取引を管理・照合する機能も備わっているかが重要です。
  • 柔軟なレポート作成機能: 利害関係者ごとに異なるニーズに合わせ、複数通貨・多様な形式でレポートを出力できること。

さらに高度な会計システムでは、AIが上記の多くの機能を強化しています。たとえばAIを活用した予測機能は、多通貨データを分析する際に為替変動を考慮し、キャッシュフロー予測の精度を向上させることができます。

多通貨会計ソフトのメリット

多通貨会計ソフトを導入することで、多通貨およびグローバルな財務管理の複雑性を大幅に軽減できます。通貨換算の自動化や報告プロセスの改善、グローバルな財務状況のリアルタイム分析を通じて、この専用ソフトウェアは、海外取引の処理や為替変動リスクの管理、複雑な国際規制への対応をより効率的かつ正確に行えるよう支援します。主なメリットは次の通りです。

  • 国際取引への対応: 高度な会計ツール を使えば、複数通貨での取引をスムーズに処理できるため、企業が新しい市場へ進出したり、海外の仕入先や世界中の顧客と取引したりする際も、通貨の壁に悩まされることがありません。
  • リアルタイムでの為替レート反映: ソフトが為替レートを自動で最新のものに更新するため、すべての財務データが常にその時点の市場レートを正確に反映します。これにより手作業での更新が不要になり、古いレートを使ってしまうことによる財務上の報告ミスも防げます。
  • コンプライアンスとレポートの強化: 業務の自動化によって、GAAPやIFRSといった国際会計基準への対応も容易になります。会計ソフトは、外貨取引や通貨換算時に、適切な会計処理を自動で適用できるため、複数の国の会計基準に準拠した財務諸表をスムーズに作成できます。主要なシステムであれば、同一の会計データから、各基準にも準拠したレポートを作成することが可能です。
  • 為替リスクの軽減: 自動化によって、通貨換算のミスや不一致を減らすことができます。手作業の削減は、正確性を向上させるだけでなく、時間を節約し、為替リスクをより効果的に特定・管理するのに役立ちます。
  • 財務の透明性向上: 外国通貨と自国通貨の両方で財務データを表示できるため、グローバルな売上や費用の状況を明確に把握できます。この透明性により、経営陣は海外事業の本当の業績や為替変動が事業に与える影響をより正確に理解できます。
  • 意思決定の改善: ダッシュボードなどのツールにより、国別や全体の財務情報を一目で確認できるので、より根拠のある、分析に基づく意思決定が可能になります。たとえば、世界中の事業を共通の通貨でまとめて見ることで、各地域や部門ごとの業績比較も容易になります。
  • 効率化と自動化: 会計ソフトを活用すれば、多通貨の取引や換算を効率よく処理でき、業務にかかる時間や手間を削減できます。通貨の換算・再評価を自動化することで、月末締めなどの作業も大幅にスピードアップし、全体の業務効率も上がります。
  • コスト削減: 通貨換算を自動で行うことで手作業が減り、管理にかかる時間や人件費などのコスト削減にもつながります。
  • 取引先や顧客の利便性: 取引先や顧客が自分の国の通貨で取引できるため、海外の顧客やサプライヤーとの関係がより円滑になります。
  • 事業の拡大:多通貨会計ソフトがあれば、新たな通貨や海外拠点を追加する場合にも簡単に対応でき、事業拡大にも柔軟に対応できます。

NetSuiteで通貨管理をもっと簡単に

NetSuiteのERPシステムクラウド会計ソフトは、多通貨会計に幅広く対応できる機能を備えており、国際的にビジネスを展開する企業の財務管理をサポートします。190以上の通貨に対応し、為替レートも自動で更新されるため、これまで手間がかかっていた通貨管理業務を大幅に効率化できます。リアルタイムの通貨換算機能により、取引データを外貨と自国通貨の両方で同時に記録しながら、財務データが常に最新の市場状況を正確に反映していることを確保できます。

NetSuiteでは、1つのシステムで複数の子会社を管理できるため、国ごとの報告要件にも柔軟に対応しながら、グローバルな経営状況を一元的に把握できます。レポートもさまざまな通貨でカスタマイズして出力できるので、関係者は各市場の業績を一目で把握することができます。さらに、一体化された多通貨管理により、グループ内取引がよりスムーズになり、地域ごとの税務対応も簡単になります。また、海外市場への事業拡大にも柔軟に対応できる拡張性を備えています。

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NetSuiteの自動通貨換算機能や財務情報の統合機能により、業績をリアルタイムで把握できるため、より適切な意思決定につなげることができます。

国際的にビジネスを展開する企業にとって、為替の変動や各国ごとの規制への対応など、多くの大きな課題があります。しかし、適切な財務戦略と多通貨会計ソフトを組み合わせることで、財務管理の効率化や為替リスクの軽減、そしてグローバルな事業拡大に向けた的確な意思決定が可能になります。

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多通貨会計に関するよくある質問

マルチカレンシー口座とは何ですか?

マルチカレンシー口座とは、会社が複数の通貨で資金を管理できる銀行口座のことです。国際取引が多い企業にとっては、異なる通貨ごとに残高を管理できるため、タイミングを気にせず支払いや受取を行い、為替差損のリスクも軽減できます。さらに、通貨換算にかかるコストを抑えたり、国際的な資金管理の柔軟性が高まるなどのメリットもあります。

なぜ多通貨が関わると会計は複雑化するのですか?

複数の要因により、多通貨会計は単一通貨での会計よりも複雑で難しいものとなります。理由の一つは、為替レートが常に変動しているため、資産や負債、売上や費用の金額が変動し、正確なレポートが難しくなることです。

さらに、国や地域ごとに会計基準や規制が異なるため、コンプライアンス対応も大きな負担となります。また、取引日、決済日、報告日など異なるタイミングで換算が必要になり、その都度為替差損益が発生するため、それらを考慮して正しく記帳・管理することが求められます。十分な機能を持ったソフトウェアを使わず手作業で換算している場合は、ミスが起きやすくなり、リスクもさらに高まります。