人工知能(AI)は会計プロセスを大きく変えており、それに伴い会計士や監査人の仕事も変化しています。同時に、企業にも大きなメリットがもたらされています。この流れは今後も続き、さらに加速すると思われます。AIは会計部門が長年抱えてきた課題を解決するとともに、組織における会計の役割をさらに重要なものにする可能性も秘めています。ここでは、会計業務で実際に活用されている主要なAI技術と、その利点や課題、そしてそれらの技術をビジネスや専門職の成長に役立てる方法を見ていきましょう。
会計業務でのAI活用とは
現代の多くのAI活用事例と同様に、会計業務におけるAIも機械学習、ディープラーニング、自然言語処理(NLP)、生成AIといった密接に関連する技術によって支えられています。これらの技術を組み合わせることで、会計部門や会計業務に大きな変革がもたらされます。AIツールは、膨大なデータを分析し、パターンを特定し、将来を予測し、構造化データや非構造化データを抽出・統合することができます。また、データ入力や取引の照合、財務報告などの作業を自動化することも可能です。AIは、会計業務における負担の大きい作業を効率的に処理できる点で特に有用です。その結果、チームの生産性向上、精度の向上、コスト削減、そして経営判断の質の向上につながります。
主なポイント
- AIは、業務の自動化や膨大なデータの分析、トレンドの予測を可能にし、会計業務に革命をもたらしています。こうした変化は、一部の人々には魅力的に映る一方で、不安を感じる人もいます。
- AIを導入することで、コスト削減や効率化、精度向上、スケーラビリティの強化、顧客対応の改善、不正や異常の検出、意思決定の支援といった多くの効果が得られます。
- AIによって、会計部門は単純な処理業務ではなく、アドバイザー的な付加価値の高い業務に集中できるようになります。こうした変化は大変価値がありますが、新しいスキルや考え方への適応が求められる場合もあります。
- 現在のAIに関する課題の多くは、技術の進化と普及に伴って次第に解消されていくと考えられます。
- 最先端の会計ソフトには、蓄積されたデータを活用できるAI機能が組み込まれています。
会計業務でのAI活用の概要
AIは、あらゆる業界の会計部門で活用が進んでおり、記帳、税務申告、財務監査などのさまざまな業務に利用されています。「Big4」と呼ばれる大手会計事務所(Deloitte、EY、PwC、KPMG)はすでにAIを導入し、財務監査プロセスや監査レビュー、承認管理といった内部業務の効率化を図っています。現在、大小さまざまな企業の会計・監査部門がこれに続く動きを見せており、今後さらに導入が進む見込みです。
たとえば、AIは会計データ全体を素早く分析できるため、監査担当者はこれまでのように、一部の取引だけを抜き取ってチェックする手間や、この手法に伴うリスクをなくすことができます。また、従来は監査の現場で不審な取引を発見するのが一般的でしたが、AIを監査の計画段階やリスク評価段階で活用することで、異常を早期に特定し、監査体制を一層強化できるようになりました。一方、中小規模の会計事務所ではAI導入のスピードはやや緩やかで、主に調査業務や税務申告、帳簿管理などにAIを活用しています。ただし今後は導入のペースが加速する見込みです。
全体として、さまざまな規模や業界の企業の会計部門が、業務の効率化、精度の向上、意思決定の改善を目的としてAIを導入しています。これらの目的を達成する方法は各社で異なりますが、たとえば、請求書処理の自動化、より頻繁かつ包括的な予測の実施、データ分析やシナリオ・プランニングの簡素化・迅速化などによって実現できます。その結果スタッフは、戦略的計画など、より高度な判断力や洞察が求められる業務に集中できるようになります。このことは、会計・財務部門の役割を進化させ、従来のレポート中心の業務を超え、ビジネスの発展に貢献するアドバイザー的な存在として付加価値の高いインサイトを提供したいと考える最高財務責任者(CFO)や財務管理者にとっては魅力的に映るでしょう。
会計業務向けの主要なAIテクノロジー
「AI」という言葉は、正式・非公式を問わず、さまざまな技術を指す総称として使われています。前述した4つの密接に関連する技術(機械学習、ディープラーニング、自然言語処理、生成AI)は、会計業務におけるAI活用の基盤であり、他の多くの分野でも同様に主要な技術となっています。これらの技術なくして、AIは高速かつ正確にデータを活用することはできません。一方で、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)や光学文字認識(OCR)など、AIを使用しない従来技術も存在します。これらはAI機能と組み合わせて利用されたり、AIと混同されることもあります。本稿では、これらの技術についても取り上げています。
1. 機械学習
機械学習とは、コンピューターが明示的なプログラム指示を受けずに「自ら学習」できるようにする技術です。経験を重ねることで進化するアルゴリズムを活用し、データから記述的・予測的・処方的なインサイトを導き出します。機械学習はスマートな自動化を支え、人間では到底処理しきれない膨大なデータからパターンを抽出できます。たとえば、POSの履歴データをもとにSKUレベルまで精緻な売上予測を生成したり、取引パターンを分析して潜在的な不正を示唆する異常値を検出したりして、内部統制を強化します。さらに、請求書の仕訳コードを自動で割り当てるなど、日常的な記帳作業の効率化にも貢献します。
2. ディープラーニング
ディープラーニングは、機械学習の一種であり、ニューラルネットワークと呼ばれる多層構造の人工的な「ニューロン」をソフトウェア上に構築したものです。ディープラーニングが登場する以前のAIシステムも、画像認識や自然言語処理、予測分析などの分野で長年にわたり成果を上げてきましたが、最新のディープラーニングを用いたAIシステムは、これらを一貫して上回る性能を発揮します。ディープラーニング技術は、先ほど説明した機械学習を活用する会計業務全般のパフォーマンスをさらに向上させることができます。
3. 自然言語処理
自然言語処理(NLP)は、数値データではなく文章や言葉を読み取り、解釈する技術です。従来のNLP技術も依然として有用ですが、現在主流となっているNLPの多くは、ディープラーニングをベースにしています。NLPは、たとえば大量の財務ニュースや顧客フィードバックといったテキストデータを要約し、会計業務に役立つ構造化データとして整理することができます。たとえば、NLPを使って何万件もの顧客レビューをまとめ、その情報を基に将来の製品返品の引当金を見積もったり、在庫不足のリスクを早めに察知したりできます。また、契約書の分析にもNLPを活用することができます。契約書や法律文書を確認し、肝心なポイントを抜き出して契約内容がきちんと守られているか、リスクがないかをチェックするのに役立ちます。さらにNLPは、政府・業界・税務・会計当局の規制文書を精査するなど、会計コンプライアンスの支援にも役立ちます。
4. 生成AI
生成AIは、特定のディープラーニングAIモデルが、テキストで与えられた指示(プロンプト)に対してコンテンツを生成できる画期的な技術です。生成AIモデルは、自然言語を理解するだけでなく、自ら文章を作り出すことができる点で、AIの大きな進歩といえます。生成AIツールは、多くの情報源から知識を統合し、さまざまな専門分野における問題解決に役立てることが可能です。たとえば会計分野では、生成AIはレポートや財務諸表の下書きを自動で作成することができます。また、会計担当者や監査担当者が企業の財務データを分析して、効率的な経営のための改善ポイントを見つける際にも、生成AIは役に立ちます。
5. ロボティック・プロセス・オートメーション
RPAソフトウェアはAI技術ではありませんが、かつて人が行っていた作業を自動化できるため、AIと混同されることもあります。RPAは構造化されたデータだけを扱う仕組みで、基本的にはルールに沿った作業に適しています。ただし、最近はRPAが機械学習と組み合わされることで、その特徴は急速に変化しています。RPAの主な強みは、作業の速さと一貫性にあります。そのため、機械学習を使わなくても会計分野で多く活用されています。たとえば、自動の買掛金(AP)システムにおいて、RPAは仕入先の請求書と発注書の照合や、出張精算内容と会社の規程との比較、勘定照合などを行うことができます。売掛金管理でも、RPAは顧客宛ての請求書について、「承認が正しく行われているか」「価格や商品・サービスの説明が正しいか」といった点を確認し、有効性をチェックできます。そのうえで、請求情報を自動的に会計システムの売上勘定へ記録することができます。さらに、機械学習ベースのAI技術と連携するRPAボットは、インテリジェントな請求書処理、不正検出、自動コンプライアンスチェックなど、より高度な会計業務に対応できます。
6. 光学文字認識
OCRはAI技術ではなく、スキャンした文書やデジタル文書の文字を機械が読み取れるテキストに変換する技術です。最近では、機械学習を使った自然言語処理(NLP)システムでも同じことが簡単にできるようになっていますが、今でも「OCR」と呼ばれることが多いのは、ビジネスの現場で理解されやすいためです。従来のOCR機能も新しい技術も、手作業でのデータ入力をなくすことで時間の節約になり、入力ミスのリスクも減らせます。また、紙の文書をデジタル化して検索できるようにすることで、書類の管理もしやすくなります。こうした機能は多くの場合、優れた会計ソフト、特に請求書の処理を行う自動買掛金管理システムなどには標準で備わっています。
会計業務でのAI活用のメリット
AIは、会計業務において特に大切な「正確さ」「効率」「拡張性」のすべてを高めてくれます。さらにAIには、圧倒的なスピードという強みもあります。ここでは、会計業務でAIを活用する主な利点をご紹介します。
- 効率の向上: AIが日常的な業務を担うようになると、会計担当者は付加価値の高い仕事により多くの時間を使えるようになります。このバランスによって全体の生産性が上がり、会計担当者の専門知識や経験を、より有効に活用できるようになります。
- 正確さの向上: 仕訳の自動入力などの自動化によって手作業によるミスが減り、正確さが向上します。これにより、仕訳ミスの修正といった手戻り作業も減ります。
- 意思決定の質の向上: AIは、意思決定に必要な正確な情報を素早く提供できます。AIを使った分析は、組織全体のデータを活用して今まで見えなかったビジネスの傾向や課題を明らかにするのに役立ちます。
- 不正検出の強化: 異常値や外れ値を特定するデータ分析により、不正取引の兆候をつかむことができます。AIは大量のデータも短時間でチェックできるため、不正防止の取り組みを大きく支援します。2024年の米国公認不正検査士協会(ACFE)の調査によると、今後2年間で不正防止プログラムにおけるAI活用は3倍に増加すると見込まれています。
- コスト削減: 日常業務の自動化により、スタッフが単純作業にかける時間を減らすことができ、その分、会社のコスト削減につながります。また、業務全体の流れが改善されることで、支払いの遅延やそれに伴う手数料・違約金なども減らすことができます。
- 優れた拡張性: AIが計算や照合、データ入力といった単純作業を自動で処理してくれるため、会社の規模が大きくなっても、増加する会計業務に無理なく対応できます。燃え尽き症候群により会計担当者の人手不足が続く中、この点は特に有益です。
- コンプライアンスの向上: 会計業務におけるコンプライアンス上の課題は、法律や規則、基準に従って正しく取引を処理できる仕組みを作ったうえで、データの誤り、GAAPの解釈ミス、報告ミスなどのエラーを特定することにあります。AIを活用した予測分析によって、より広範かつ詳細にエラーをチェックできるようになり、コンプライアンス違反のリスクを減らせます。会計データ内の異常値の早期発見は、コンプライアンス問題に対する最善の防御策となります。また、AIは、法律の改定など、外部情報のモニタリングにも役に立つ可能性があります。
- カスタマーサービスの向上: AIツールを活用することで、会計部門は、社内外のクライアントや取引先に対して、より優れたサービスを一貫して提供できるようになります。たとえば、生成AIを活用すると、よりプロフェッショナルなメールを作成することも可能です。データの正確性も向上するため、すでに請求書の支払いを終えている顧客に督促状を送ってしまう、といったトラブルも防げます。
会計業務でのAI活用の課題
どのような新しいツールでも同じですが、会計業務でAIを活用するには学習や慣れが必要であり、トップが率先してAI活用を推進する必要があります。こうした土台があってこそ、次に挙げる他の課題への対応も現実的になります。
- 初期費用: AIにかかる初期費用は、長期的にはコスト削減やさまざまなメリットが見込めるとしても、導入の際の障壁になることがあります。これはソフトウェアのライセンス費用や、他のシステムとの連携費用、さらにIT担当や従業員向けの研修費用などを含みます。ただし、すでに使っている業務ソフトにAI機能が組み込まれていれば、個別の追加費用がかからないこともあります。クラウド型のSaaSでは、AI機能が無料で搭載されていることもあり、導入時のコストも抑えられ、導入もスムーズです。この仕組みにより、普段使い慣れた業務フローの中で無理なくAIを使えるため、大掛かりな研修もなくて済みます。
- スキルギャップ: 会計については詳しくても、AI技術については詳しくないといったスキルギャップも、財務部門へのAI導入の障壁となります。特に中小企業のように人的・技術的リソースが限られている場合は、この差が大きな課題となり得ます。また、従業員の世代によってスキルギャップが顕著な場合もあるため、それぞれのケースに適した丁寧かつ継続的な研修が必要となります。
- 規制への対応: 会計の分野は、さまざまな基準設定機関が定める多層的な規制の対象となっています。そのため、AIがこれらの規制の変化を常に察知できるようにするのは容易ではありません。また、財務関連の規制だけでなく、AIが機密情報にアクセスする場合には、個人情報保護やセキュリティに関する規制にも注意が必要です。最新の規制の変更をすぐに反映できるよう、頻繁に更新される会計システムにAIを組み込むことで、こうした問題に対処できます。
- システム連携の課題: 古いシステムの場合、そのままではAIソフトと連携できなかったり、連携に高額なカスタマイズが必要な場合があります。また、データに不足や誤りがあると、AIが出す結果の質も下がります。既存システムのデータが分断され、未検証・不完全である場合は、まずデータを整理する必要があります。これを怠ると、AIから十分な価値を得られず、誤った結果を生み出す恐れがあります。AI機能を標準搭載したクラウドベースの統合会計ソフトを活用すれば、こうした問題が起きにくくなります。
会計分野におけるAIのトレンド
会計担当者がAIに慣れ、日々の業務でAIを使うことが当たり前になりつつある今、会計の現場は大きな変革期にあります。大手ソフトウェア会社も、ERPや会計、財務システムといった自社製品にAI機能を組み込むことで、より充実したサービスを提供しています。今後もAIの勢いは増していくと考えられます。ここでは、注目すべきトレンドをいくつかご紹介します。
AIアシスタントやAIアドバイザーの登場
AIは、ビジネス会計の現場においてアドバイザー的な役割を果たすようになっており、会計担当者がより的確な分析や判断を行う上で大きな助けとなっています。AIが搭載された会計ソフトは、従来よりもはるかに多くのデータを分析できるため、これまで見えなかったデータのパターンや傾向を可視化できます。これは、会計部門が組織に対し戦略的な提案やアドバイスをする際にも役立ちます。さらに、AIは予測精度を高める方法、税務対策の最適化、コンプライアンスチェックの自動化なども提案できます。また、AIシステムは疲れず何度でも新しいシナリオを生成してくれるため、予測や提言のニュアンスを調整する際にも役立ちます。
AIが競争上の差別化要因に
オンラインショップによる「おすすめ商品」の提案などからも分かるように、AIが営業やマーケティングの現場で大きな武器になることは明らかです。では、会計部門ではどうでしょうか?たとえば、より正確な予測ができれば、在庫の最適化やスタッフのスケジュールを調整する際に大きく役立ちます。AIは過去のデータや市場動向を分析し、スタッフがより正確な需要予測を立てられるよう支援します。これにより、適切なタイミングで適切な量の在庫を確保できるようになるため、陳腐化による損失を減らし、保管コストも最小化できます。
予測分析の強化
多くの企業では、確率論的・定量的分析やモデリング技術を用いて、特定の条件が満たされた場合に何が起こるかを予測する「予測分析」を行っています。しかし、この作業は非常に複雑で高度なスキルを要します。しかし現在では、AIが自動的にデータからパターンを発見したり予測モデルを作成できるため、より多くの企業が売上やキャッシュフローなどの予測にこれらのモデルを活用できるようになっています。さらにAIは、SNS投稿や顧客通話、動画、画像、メール、外部Webサイトなどの非構造化データを取り込むことで、ビジネス・インテリジェンスや予測分析といった分野を大きく前進させています。こうした情報を取り入れることで、顧客行動や市場動向といった変数を考慮した、より精度の高い予測が可能になります。その結果、多くの経営者がAIによる高度な予測分析を活用し、より深いインサイトを得て的確な意思決定を行うようになると予想されます。
リアルタイムのデータ分析
AIを活用したシステムは、リアルタイムのデータ分析を自動化でき、人が作業するよりもはるかに速く、しかも正確に処理できます。これにより、レポート作成のスピードと品質が向上するだけでなく、迅速な対応が可能となり、競争力の強化にもつながります。リアルタイム分析は、カスタマーサービスの品質向上や不正検出、予測精度の向上などにも大きな効果を発揮します。このような理由から、リアルタイム分析機能は今後の会計ソフトにとって標準機能となっていくと考えられます。
AIとブロックチェーンの連携
ブロックチェーンが持つ記録管理機能は、会計や監査との相性が非常に良い技術です。ブロックチェーンは、一度記入された取引データを後から書き換えできない形で管理できるため、データ・ガバナンスや信頼性、コンプライアンスの観点からも有効で、とりわけ監査業務で大きく役立ちます。AIは膨大なデータを素早く分析し、ブロックチェーン上の取引に異常や改ざんがないかを調べることが可能です。この2つの技術を組み合わせれば、財務取引の監査業務を効率化・迅速化し、監査担当者の負担を軽減できます。
会計業務におけるAI活用事例
AIは、会計部門の働き方をさまざまな面から効率化・強化することで、業務の進め方を大きく変えています。全体として、AIの活用により業務の効率や正確さが大きく向上していることは、さまざまな事例からも明らかです。ここでは、会計業務における具体的なAIの事例をいくつかご紹介します。
- 予測分析: AIは、膨大な過去データを分析してパターンを特定し、今後の傾向や結果を予測することができます。こうした予測型の財務分析では、データ分析から得られたインサイトをもとに、キャッシュフローや売上、経費など、さまざまな財務指標の見通しを立てることが可能です。AIを使った予測モデルは、データが増えるほど精度も向上し、従来の統計的な手法による予測よりも高い精度で将来を見通すことが可能になります。
- スケジューリング: AIは、繁忙期や閑散期の予測にもとづいて人員や在庫などのリソースを最適にスケジューリングするのに役立ちます。また、現金回収のスケジュールや各部門のカレンダー、月次決算など、さまざまな業務の予定管理や一元的な進捗管理にも活用できます。
- キャッシュフロー管理: AIは、売掛金(AR)や買掛金(AP)など、複数のシステムから得られるデータをもとに、資金の流入・流出を予測してより正確なキャッシュフロー見積もりを作成できます。これにより、企業は資金状況をより正確に把握し、投資収益の最大化や不要な借入コストの削減につなげることができます。
- ワークフローの自動化: AIは業務プロセスの自動化をさらに洗練させることができます。単に業務を振り分けるだけでなく、過去の経験やルールに基づいて、自動で判断し処理できる業務と、確認や承認が必要な業務とを区別して処理することが可能です。これにより、スタッフの負担を軽減し、作業の抜けや漏れといったミスも防げます。自動化できる代表的な業務には、出張・接待経費の精算、請求書処理、勘定照合、監査資料の確認などがあります。
- メール作成と受信箱管理: AIは受信したメールを内容や優先度などで仕分けし、返信すべきメールに印を付けたりすることができます。また、メールの返信内容を作成する際には、文法や言葉遣い、文章のトーンもチェックしてくれます。さらにAIを活用したメールアシスタントは、必要な情報を自動で抽出して顧客管理システム(CRM)を更新したり、お問い合わせに対する返信文の下書きを作成したりすることも可能です。
- 請求書処理と経費管理: AIは仕入先から届く請求書の内容を自動的に読み取り、必要なデータを記録します。また、発注書や納品書、領収書などと照合する作業も自動で行えます。これにより、作業効率が向上し、ミスの減少や支払処理のスピードアップにつながります。
- データ分析: AIは、さまざまな場所に分散しているデータを統合し、人間では到底及ばないスピードと詳細さで分析レポートを作成します。たとえば、予算との差異分析や、社内外のベンチマークとの比較なども自動で行えます。こうした下準備が自動化されることで、会計担当者はデータをまとめる作業ではなく、課題の把握や今後のアクションプランの検討に、より多くの時間を使えるようになります。
- ビジネスコミュニケーション: 顧客、投資家、同僚などとのやり取りにおいても、AIは業務の効率化や信頼関係の強化に役立ちます。たとえば、AIは顧客からのメール内容を分析して感情を読み取り、適切な担当者(売掛金管理やカスタマーサービス担当など)に振り分けたり、返信文の作成を支援したりします。
- プロジェクト管理: 会計業務のプロジェクトを進める上で、AIはさまざまな場面で役に立ちます。まず、AIはプロジェクト文書の整理やバージョン管理に秀でているため、資本予算策定のような何度も見直しが必要なプロジェクトに特に役立ちます。また、会議の議事録を自動で文字起こしし、要点をまとめてチーム全員に共有することもできます。さらに、予測分析を活用して、新しい自動請求システムの導入などでプロジェクトのコスト超過や遅延が起こる前に警告を出すこともできます。最後に、AIは進捗レポートを自動で作成し、CFOやチームが計画通りにプロジェクトを進められるようサポートできます。
NetSuiteのAI搭載ERPが、貴社のビジネス管理を支援
AIは、会計部門の生産性や成果を大きく高めてくれる強力なツールです。AIは、データを収集・分析・統合できる革新的な存在です。しかし、AIツールを最大限に活用するには、クリーンで信頼性が高く、完全なデータが必要です。そこで重要になるのが、AIをERPと連携させることです。ERPは会計データと業務データを一元管理するため、AIの効果を最大化できます。NetSuiteのERPにはNetSuiteのAIが組み込まれており、企業はその利点をすぐに活用できます。
たとえば、NetSuite Bill CaptureはAIを活用して請求書処理における手入力を不要にし、発注書・出荷書類・仕入先請求書の3点照合を自動で実行します。これにより、ミスが減り、生産性が向上し、会計部門と取引先との良好な関係構築にもつながります。同様に、NetSuite Analytics WarehouseはAI機能を活用して、より迅速な分析とレポート作成を実現します。会計部門は、NetSuiteだけでなく、CRMやECプラットフォームからのデータも含めたリアルタイム情報に簡単にアクセスできるため、タイムリーで正確、かつ実践的なインサイトを得ることができます。また、自由にカスタマイズできるダッシュボードや直感的なレポート作成ツールも備わっており、短期間でAIの価値を実感できます。
AIを会計業務に取り入れることで、企業は大きなメリットを得ることができます。主な利点として、コスト削減、優れた拡張性、正確性の向上、コンプライアンスや不正検出の強化、予測精度の向上、カスタマーサービスの改善、そして意思決定の強化などが挙げられます。AIが手間のかかる日常的な作業を自動化することで、会計部門はより高付加価値の業務に集中できるようになります。これにより、戦略的な分析や課題解決、経営判断など、専門知識を活かした仕事により多くの力を発揮できるようになります。さらに、AIは膨大なデータの分析や予測分析、プロジェクト管理やビジネスコミュニケーションなどでも会計部門をサポートします。こうした変化は、会計の現場にこれまでにない革新をもたらし、会計部門がさらに大きな影響力と成果を発揮できる時代を切り拓いていくことでしょう。
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会計業務でのAI活用に関するよくある質問
AIは会計士に取って代わるのでしょうか?
人工知能(AI)は、データ入力など日常的な単純作業を自動化することで、初歩的な会計事務の仕事を置き換える可能性があります。しかし、適切なスキルと姿勢を持つ会計士は、引き続き組織にとって不可欠な存在です。AIは会計士に取って代わるのではなく、取引処理から高付加価値業務へシフトできるよう支援するツールとなります。
AIは会計業務のどのような場面で使われていますか?
AIは予測分析、スケジュール管理、請求書処理、ワークフロー管理、ビジネスコミュニケーションなど、幅広い会計業務に活用されています。また、監査リスクの評価や従来の監査サンプリングの代替としても利用可能です。
AIは会計業務そのものを置き換えるのでしょうか?
いいえ。会計そのものがAIに取って代わられることはありません。ただし、AIの導入によって会計業務の進め方は大きく変わり、会計ソフトもどんどん進化しています。
どのような会計事務所がAIを利用していますか?
会計事務所では、記帳や税務申告、財務監査など、さまざまなクライアント・サービスでAIを活用し始めています。Deloitte、EY、PwC、KPMGなど、「Big4」と呼ばれる大手会計事務所が先行して活用していますが、中小規模の会計事務所でも調査や税務申告、記帳業務などにAIを導入する動きが広がっています。
生成AIは会計業務で使えますか?
生成AIは、AIの中でも独自に文章や内容を生み出すことができる、人間に近い能力を持っています。従来のAIが既存のルールや学習パターンに基づいて動作するのに対し、生成AIは自ら新しい回答を生成できます。会計業務においても、業務の効率化、コミュニケーションの改善、大量データからの価値ある洞察の抽出などに活用できます。
Rebeca Bichachi