トムソン・ロイター・プロフェッショナル株式会社
東京都千代田区
一ツ橋1-1-1
パレスサイドビル5階
長尾 正樹 氏
2009年5月1日
455百万円
特許、医薬、学術文献に関す
る専門情報のデータベース提
供
世界的なネットワークを誇る報道機関を持ち、企業や専門家に向けて高度な情報を提供するトムソン・ロイター・グループの、日本法人であるトムソン・ロイター・プロフェッショナル株式会社 トムソンブランディ事業部様(以下、同社)。さまざまなサービスを通じて、金融、法律、税務会計、科学、医療、メディアなどの分野における主要な意思決定機関に、特許、医薬、学術文献に関する専門情報を提供しています。
国内外に広がる顧客との取引における販売管理や売上管理のため、異なる3つのシステムを使用していた同社。システムの運用と相互連携のため、膨大な作業負荷とマニュアル処理が発生していました。こうした状況を改善するために採用されたのが、富士通マーケティングが提案する「NetSuite」です。今回はその導入の経緯と効果について、同社 トムソンブランディ事業部CTOの柿澤氏、営業・マーケティング部次長の鶴岡氏、テクノロジー部リーダーの野村氏にお話を伺いました。
柿澤 芳雄 氏
トムソン・ロイター・プロフェッショ
ナル株式会社
トムソンブランディ事業部
CTO
これまで同社の顧客は、国内の企業や機関が中心でしたが、近年になって海外企業や機関との取引が増えてくるにしたがい、既存のシステムが抱えていたさまざまな問題が浮き彫りになってきました。その1つが、目的の異なる管理システムの併用です。
「当社では、販売管理用にパッケージソフトを使用していましたが、このソフトウェアは海外との取引にうまく対応できていませんでした。そのため、海外顧客との取引の管理に別途CRMシステムを導入しましたが、このシステムは過去のデータを持つことができず、売り上げの分析ができませんでした。そこで2つのシステムを補完する『顧客データベース』というシステムを、自社開発し利用し始めました。こうして目的が違う3つのシステムを、社内で併用することになりました。しかしながら、互いのシステムが思うように連携できなかったため、手作業で行うデータ移行やマスター修正などが膨大で、ミスも散見されていました。」(柿澤氏)
既存のシステムでは、海外顧客とのやり取りに必要な多言語・多通貨対応ができず、その点でも担当者の手間がかかっていました。さらに、すべてのユーザが申請から承認までの全機能を利用できていたため、内部のシステム監査から、社員の職責に応じたシステム権限を付与するよう指摘を受けていました。
一方で、海外本社から全社的に同一のERPシステムを導入するという話もありましたが、実際にはなかなか計画が進みません。そこで同社は、2008年11月より独自に問題解決を図るべく、新たな統合システムの検討を開始しました。
同社が、システムを選定する上で重視していたポイントは、目的が異なる3つのシステムを1つに統合し、膨大なマニュアル処理の負荷を解消できること。海外顧客・機関との取引が円滑にできるよう多言語・多通貨に対応していること。そして、内部のシステム監査で指摘された58の業務改善ポイントを解消し、かつ承認プロセスの可視化でした。加えてコスト面でも強い要望があったと、柿澤氏は振り返ります。
「当時は、グループ全体で同一のERPシステムを導入する話が遅々として進まない中、速やかに現場の課題を解決しなければならない状況にありました。そのためのシステム導入に多くの時間やコストはかけられません。当事業部が独自にシステムを導入する場合、初期投資をできるだけ抑えつつ、フレキシブルにビジネスに対応できるソリューションが求められました。こうした状況を全て考慮した結果、クラウド型のERPシステムが適しているという結論に落ち着いたのです。」(柿澤氏)(柿澤氏)
そこで2010年の夏から、システムの比較検討を開始した同社。多くの候補の中から、最終的に富士通マーケティングが提案した、クラウド型ビジネスアプリケーションスイート「NetSuite」を選定しました。初期投資としてハードウェア・ソフトウェア購入の必要が一切無いこと、導入費用が比較的低額なこと、年2回の自動バージョンアップ、自社のビジネス状況に応じてフレキシブルに対応できる提供形態、一定の制約はありながらも利用者側でいろいろなカスタマイズが容易にできること等が、選定のポイントとなりました。
野村 卓央 氏
トムソン・ロイター・プロフェッシ
ョナル株式会社
トムソンブランディ事業部
テクノロジー部 リーダー
「NetSuite導入前は、システム間の不都合を補うため、人が一生懸命働いているような状況で、社員がMicrosoft Excelを神業のごとく使いこなしていました。」(柿澤氏)
柿澤氏がこのように振り返る管理部門の膨れ上がったマニュアル作業は、2012年1月の「NetSuite」導入を境に解消されました。システムの統合のみならず多言語・多通貨に対応できるようになったことも業務がスムーズになった大きな要因の1つです。
加えて同社では、これまで月締めで運用していた売上処理を、「NetSuite」導入を機に都度請求に変更するという大きな決断を下しました。結果的に、これが月末月初に偏っていた社員の仕事量が均一化することにつながり、システム統合による手作業からの解放との相乗効果で、社員の残業時間を20~25%と大幅に減らすことができたそうです。
また、システム部門においても、利用者からのさまざまな要望に柔軟かつ短時間で対応できるようになり、社内サービスの品質向上とシステム部門としての作業時間短縮が実現できました。
「各部署の社員から、データの項目を追加したいなどの要望をたくさんもらいます。そうした場合にも、逐一ベンダーのSEに相談するのではなく、私たちで簡単に対応できます。その意味で、『NetSuite』の柔軟なカスタマイズ性をあらためて感じました。」(野村氏)
同社は、インターネット接続があればいつどこからでも利用できるというクラウドのメリットも十分に活用しています。特に、承認権限を付与された営業マネージャーは、担当者からの見積もり承認依頼を海外の出張先や電車で移動中であっても、スマートフォンで即座に決済できるようになり、NetSuite導入による利便性を実感しています。一方、営業担当者としても申請した見積もりがすぐに承認されるおかげで、顧客への迅速な対応も可能になりました。
さらに、NetSuiteのリアルタイムなBI(ビジネスインテリジェンス)と柔軟なカスタマイズレポートにより、各種会議におけるデータ集計作業や資料作成作業を一人につき1.5日程度省力化したそうです。
「これまでは、月末に売り上げを締めるまで、確定した数字を見ることはできませんでした。しかし、今ではリアルタイムに確実なデータを閲覧できるようになり、営業担当者は債権回収会議のためにデータを集計し資料を作成する必要がなくなりました。予測できる数字の精度は上がり、必要な分析資料は営業マネージャーが自らNetSuite上でレポートを作成できるようになりました。毎週の営業会議では、『NetSuite』の画面をプロジェクターで投影しながら討議しています。」(鶴岡氏)
「富士通マーケティングやNetSuite社には、海外本社に承認してもらうための提案書を作成する際にもご協力をいただき、無事導入までこぎつけました。今後も、当社の事情を考慮いただき、引き続き適切なアドバイスや迅速なサポートをいただけることを期待しています。」(柿澤氏)
同社は、今後も世の中の動向や顧客ニーズに合わせて、さらに新たな情報システムを導入し活用していく予定です。そして、「NetSuite」とデータ連携することで、さらに効果が発揮されることを期待しています。
(注)記載されているお役職等の情報につきましては、2012年7月現在のものです。 (注)記載されている製品名は各社の商標または登録商標です。
※本原稿は、株式会社富士通マーケティングのWebサイトに掲載されたNetSuite導入事例記事からの転載です。
http://www.fjm.fujitsu.com/solution/casestudies/thomsonreuters/