グローバル対応

グローバル対応


オンプレミス型のシステムによるERPの導入は、日本(本社)における導入は比較的容易に行えますが、海外拠点への導入の際に、各国の事情の違いに合わせるためにカスタマイズや、各国ごとのシステム基盤の整備のために、導入コストが膨大になりプロジェクトが頓挫してしまうことも少なくありません。

一方、クラウド上で利用できるアプリケーション(Saas)の最大のメリットの一つは、サーバーやネットワークといったシステム基盤を自前で用意することなしに、世界中どこからでも利用できることです。このメリットのおかげでクラウドERPは、グローバル展開する企業において特に高い導入効果があります。

しかし、グローバル対応はシステム基盤だけで解決する問題ではなく、アプリケーションレベルでの様々な機能が要求されます。このような機能は、二つのレベルに整理することができます。一つ目は、国や地域で異なる言語、通貨、制度などに対応する機能です。これらの機能により、少なくともそれぞれの国や地域において独立したシステムとして利用することが可能になります。

しかし、真のグローバル対応とは、このような基本的な機能だけでは達成できるものではありません。たとえばグローバルに展開した企業は、それぞれの国や地域で子会社として運営されていますので、会計的な連結機能が必要です。また、国や地域をまたがって在庫を移動させる場合、各国のシステムが別々の独立したものであっては、容易には処理できません。つまり、グローバル・ビジネスを展開するためにERPに求められる機能とは、異なる地域や国で利用されるシステム及びデータを統合的に管理・運用する機能といえます。

適切なクラウドERPを選択するためには、グローバル対応機能を、単に各国の事情に合わせられるという観点だけではなく、本社においてすべての国や地域のデータを管理でき、グローバル・ビジネスの状況を把握し、統制できるかどうかの観点で検討する必要があります。

ERPのグローバル対応

クラウドERPを構成する基本コンポーネントであるERP機能においては、言語、通貨などの標準的なグローバル対応はもちろんのこと、それ以外にも重要な検討ポイントがあります。具体的な項目は以下の通りです。

グローバル会計と連結管理:売掛金、買掛金、在庫、請求、支払、注文などの基本的なデータは、各国・地域で把握するだけではなく、本部からも把握できる必要があります。また、個別の状況だけではなく、企業全体、すなわち連結ベースでの状況も把握できなければなりません。そのためには、為替換算調整と連結調整の機能が必要となります。

販売管理プロセスにおける多通貨の管理と統制:販売目標管理、営業予測、見積と注文、受注管理、コミッションなどの販売管理プロセスを通じて、多通貨換算機能が必要とされます。また、過去の販売データの正確性を担保するためには、単に現在の為替レートで変換するだけではなく、注文の発生、コミッションの支払いが発生した時の過去の為替レートを保持していなければなりません。

グローバルな在庫管理機能:複数子会社からなる多国籍企業では、商品の注文から発送までのフルフィルメント業務の途中で、子会社間での在庫の移動が発生します。クラウドERPのグローバル対応機能には、このような組織の中での子会社間での在庫の移動を、在庫の移転価格の管理も含めて処理する機能が必要となります。

各国における税制への対応:
消費税(売上税)の制度は国によってまちまちです。クラウドERPのグローバル対応機能には、これら各国の税制への対応が必要です。全ての国の制度に対応するのは難しいかもしれませんが、アメリカ、日本といった主要国の税制には標準機能として最初から備わっていることが望ましいといえます。

グローバルでの粗利管理機能:
原価計算基準は、製品よって異なる場合もあれば、子会社によって異なる場合も考えられます。このような異なる原価計算基準に基づいた原価計算を、他通貨の環境において処理する機能があれば、全社レベルでの粗利を素早く把握することができます。また、これに売上フォーキャスト・データと標準原価のデータを追加することで、企業の収益性とその見通しを知ることができます。

CRMのグローバル対応

顧客とのコミュニケーションやセールス・パイプラインといった以前は各国、各子会社の中で完結していたものが、グローバルに展開するビジネスにおいては、複数の国や子会社をまたがって管理されなければなりません。そのためには、CRMにおいても、顧客やセールス・パイプラインをグローバルで共有し、管理できなければなりません。

グローバルでの顧客、パートナー管理:BtoBビジネスにおいては、顧客やパートナーもグローバルに展開しています。そのため、営業担当者は他国、他子会社の顧客やパートナーとの営業活動の状況を知る必要があります。従って、顧客やパートナーとの間で発生する営業活動の履歴や状況は、本社と全ての子会社からアクセスでき、かつ更新できることが必要です。

グローバルでのセールス・パイプライン管理:グローバル・ビジネスにおいては、一つの商談に対して、複数の国、子会社の営業担当者がチームになって営業活動を行う必要があります。そのためには、セールス・パイプラインをグローバル組織全体で共有し、進捗を管理するための仕組みが必要です。

グローバルでのマーケティング・キャンペーン管理:
インターネット中心にマーケティングが行われる時代には、マーケティング・キャンペーンのレスポンスやインバウンドが、適切な営業担当者のいる国や地域で発生するとは限りません。従って、適切な営業担当者がアサインされるためには、全てのマーケティング・キャンペーンに関わる情報がグローバルで共有されなければなりません。また、キャンペーン効果測定においても、マーケティング担当者がグローバル全体での営業リードや営業パイプラインを知ることで、初めてコンバージョン率の計算などができるようになります。

グローバルでのセールス・フォーキャスト管理:
ERPのグローバル対応のところで説明した粗利管理を実現するためには、全ての国や子会社のセールス・フォーキャストが多通貨対応機能によってローカル通貨と標準通貨の両方で金額と達成率として計算できなければなりません。

eコマースのグローバル対応

インターネット上で行われるeコマース・ビジネスでは、もともとグローバル対応が当たり前のことかもしれません。しかし、それを低コストかつ効率的に実現できるかどうかは、グローバル対応機能の内容しだいといえます。

単一サイトでのグローバル対応:もっとも基本的なeコマースのグローバル対応は、単一のサイトであっても、多言語、他通貨に対応することです。サイト訪問顧客が自分の使用したい言語を選択でき、かつ決済に使用する通貨も選択できなければなりません。そのためには、単一のサイトにおいて、複数言語のコンテンツを管理し、複数通貨での価格の計算ができなければなりません。また、決済手段や消費税(売上税)についても、言語や通貨、あるいは顧客プロファイルから自動的に適切な表示と処理が行われなければなりません。

マルチサイトでのグローバル対応:単一サイトのグローバル対応により言語、通貨の違いは吸収できても、国や地域に合わせたブランドや商品の品ぞろえまでは対応できません。よりきめ細かなグローバル対応のためには、複数のサイトを運営し、かつ一元管理できなければなりません。

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