Naka Co.

Company

株式会社ナカ アンド カンパニー

所在地:

神奈川県横浜市港北区
新羽町570番地

代表:

品村 綱二

設立:

1979年1月

業務内容:

電子部品(水晶発振器)設
計、開発、製造及び販売

Webサイト:

http://www.nakaco.co.jp/

株式会社ナカ アンド カンパニー

株式会社ナカ アンド カンパニー(以下、ナカ アンド カンパニー)は、横浜市港北区に本社を置く、高精度水晶発振器のメーカーです。1979年に設立され、これまでに、放送機器やレーダー、医療用画像診断装置など高品質の発振器を必要とする産業系の分野で着実に実績をあげてきました。しかしながら、水晶含めた半導体のマーケットは、新興国メーカーの台頭や、過度の円高、東日本震災以降のサプライチェーンの変化などの影響から、厳しい状況が続いており、このようなグローバルでの競争を勝ち抜くためには、業務の標準化、内部統制の構築をはじめとした、経営基盤の強化が急務でした。そして、その最初のフェーズとして、それまでアウトソーシングしていた経理部門を、社内に取り込むプロジェクトがスタートしましたが、新年度に間に合わせるというゴールが設定されたため、新しい経理システム導入に割ける期間は、わずか1ヶ月しかありませんでした。しかし、ナカ アンド カンパニーは、NetSuiteのクラウドERPを選択することで、この非常に短い期間で、経理システムの稼働と月次レポートを実現することができました。今回はその経緯と今後の拡張ビジョンについて、ナカ アンド カンパニー 最高財務責任者兼執行役員の井岡 周久 氏にお話を伺いました。

会社概要

ワールドビジネスセンター(株)

株式会社ナカ アンド カンパニー(以下、ナカ アンド カンパニー)は、高精度水晶発振器の開発、設計、製造、販売をおこなうメーカーです。特に、低位相ノイズ(VCXO)の水晶発振器のトップメーカーであり、水晶の選別から加工・アナログ回路の設計・品質保証までユニークなノウハウを持ち、業界では高周波数・低位相ノイズの製品で知られています。1979年に設立され、これまでに、放送機器やレーダー、医療用画像診断装置など高品質の発振器を必要とする産業系の分野で着実に実績をあげてきました。特に多品種少量生産の優れた生産技術を有し、大手企業も追従できない優れた製品特性と信頼性は国内外でも高い評価を得ています。最近では、モバイル通信の発達により需要が拡大している基地局間のマイクロ波通信機器にも採用されています。

ナカ アンド カンパニーの主力製品である水晶発振器。携帯電話の無線基地局、無線通信アクセス、地上放送用中継局などの通信機および放送インフラ機器に、心臓部のキーデバイスとして使用されている

しかしながら、成長著しい中国や台湾の水晶発振器メーカーの台頭や、東日本大震災以降のサプライチェーンの変化、過度の円高の影響から、市場では苦戦を強いられており、経営の効率化や収益の拡大を実現するためには、業務の標準化や内部統制の構築をはじめ、経営基盤の整備が急務となっていました。

最高財務責任者兼執行役員(以下、CFO)の井岡 周久氏は、次のように語ります。

「スマートフォンの普及により国内通信キャリアは、通信インフラの可及的速やかな整備拡充が必要とされています。そのため、弊社の既存製品に対する需要も高まり、一時的に回復基調にあるのは事実です。しかしながら、水晶をとりまく半導体関係のマーケットは非常に厳しくなっています。とりわけ、昨年の3月11日の東日本震災以降、サプライチェーンが大きく変わりました。また、グローバル化のなかで、台湾や中国の水晶製造販売メーカーの価格競争力やクオリティレベルの向上がお客様の間でも認知されはじめており、国内のメーカーは弊社をはじめ苦戦を強いられている状況です。さらに、思いがけないところで、中国メーカーが、国内系のメーカーのポジションに、知らず知らずのうちに入って来ています。台湾勢にしても国内メーカーと十分に競合できる体力を持っているので、日本は今後どうあるべきか、根本的に考え直さなければなりません。そうしなければ、国内メーカーは弊社も含め、最終的に淘汰されてしまいます。」

課題

ワールドビジネスセンター(株)
株式会社ナカ アンド カンパニー
最高財務責任者兼執行役員
井岡 周久 氏

井岡氏は、2011年7月にCFOのポジションで、ナカ アンド カンパニーに入社されました。井岡氏のロールは、ナカ アンド カンパニーの経理、財務をはじめ、バックオフィス全般を見ること、そして業務の効率化と内部統制の構築を達成することです。井岡氏は、ナカ アンド カンパニーを取り巻く現状を、次のように語ります。

「今、マーケットは海外にシフトしています。国内でも大手メーカーだけでなく、中間より下の企業でも、生き残りをかけて、設備を海外へ持って行ってしまうなかで、国内の牌は非常に小さくなってきています。半導体の業界も、3.11の震災、それから過度の円高のインパクトが大きく、ネガティブな方向へ動いています。その中で生き残りをかなければならないということで、KPIのタイムリーな管理が不可欠となりました。鮮度ある情報を、タイムリーに迅速に入手しながら、お客様に対して、他社に先駆けて提案できる企業に脱皮しなければなりません、今までは、大手メーカーからの受注で仕様が決まったものを作るというところでやって来ましたが、これからは、逆に技術提案やコストメリット含めて、企業努力やボトムアップ、社員のクオリティの向上が必要です。」

また、井岡氏は、ERP導入の目的について次のように語ります。

「ナカ アンド カンパニーには、数字の部分では、財務会計しかり、管理会計は全くありませんでした。財務会計のところも、すべてアウトソーシングしており、出て来る数字は過去のヒストリーでした。ブッキングして、財務会計で処理して、税金を払う。これは基本的に経営のイロハでは

ありません。数字はやはり、予算をつくって、そこと実績を比較し、収益性を見ながら、KPIを的確に把握するという、経営の本来あるべきところのベースをつくらなければなりません。ERPの導入は、できるだけ業務を標準化、オープン化し、マネージメントの効率化を実現する。そのためのひとつのトリガーだと考えています。ERPを導入することが目的ではありません。最終的な目的は経営の効率化と収益の拡大にあります。」

そこで、井岡氏がナカ アンド カンパニーに入社後、最初に着手したプロジェクトが、それまで税理士事務所にアウトソーシングしていた経理の部分を社内に取り込み、入力と月次レポートを新システムでおこなうことでした。ナカ アンド カンパニーの決算は9月末ですので、プロジェクトのゴールとして新システムの稼働開始は、新年度の10月に設定されました。

「社内で新システムの導入が決まったのは8月のお盆前後でしたが、ターゲットとしては10月からデータ入力をおこない、11月中旬までに、新年度の最初の月のレポートを出すというプロセスが定められました。」

NetSuiteの選定

新しい経理システムの選定が始まったのは2011年の8月半ば頃でしたが、Terry’s & Company(株式会社テリーズ)というコンサルティング会社から提案されたNetSuite が、会計分野でのシステム早期立ち上げの実績もあることが分かり、金額も含めて最適だと判断されました。提案時には、実際のデモを通して、パフォーマンスも確認しました。NetSuite選定のポイントについて、井岡氏は「やりたいことの切り分け」であったと語ります。

「もし予算が許せば、他のソリューションを選択する可能性もあったと思います。ただ、いずれにしてもSAPはとても難しいし、私が前職で使っていたオランダのExactでは、基本的なところは、ある程度出来上がっており、カスタマイズには限りがありました。重要なことは、私たちが、どのレベルで何をしたいのかという部分の切り分けだと思いますが、あの時期、私たちにとって最も重要だったのは、経理の月次レポートの部分をうまく切り分けることでした。NetSuiteでは、ERPという非常に重たい概念のなかで、その部分をうまく切り分けることができ、初期費用を抑えつつ短期間でもなんとかなるということが見えました。」

また、NetSuiteの将来的な拡張性の高さや、バイリンガルに対応できるという点も重要な選定ポイントであったと語ります。

「経理の月次のレポートというのは、目的のひとつでしたが、NetSuite導入を決めた一番大きな決め手は、NetSuiteをもとにして、将来的に、業務の標準化、内部統制など制度をつくっていけることが分かったことにあります。また、海外展開を視野に入れた場合、英語が原則になるので、バイリンガルで使えるというアドバンテージは大きいです。多通貨に適用できるというのは、なおのこといいですね。」

NetSuiteの導入

今回の新システムの導入については、もともとクラウド型のサービスを前提に探していたと井岡氏は語ります。

「インターネット環境があれば、どこからでもLiveでデータを自由に見られるというのは非常に重要です。時と場合によっては、土日でも海外でも、常に共通のデータをLiveで見ながらディスカッションすることができます。また、3.11の地震の経験もありましたので、データを安全に担保できる方法として、クラウドは私たちのような中小企業にとってメリットが大きいと考えていました。データをどこに退避させるかは、BCM(Business Continuity Management)含めて非常に重要ですから。」

バックアップの負担を低減できることも、クラウド型を選択した大きな理由のひとつでした。

「以前の会社では、バックアップ用のテープは14本用意して、自宅に持ち帰っていました。サーバは専用のボックスに入れて、温度も湿度も24時間管理でモニタリングしていましたが、それでもサーバが壊れてしまい、復旧させるのが大変でした。」

井岡氏はNetSuiteは非常に導入が簡単であったとも語ります。

「ERPと聞くと誰もが構えてしまいます。すべての業務フローが出来上がらないと導入できないとか。それには1年以上かかるとか。ひとつひとつマイルストーンを置いてつぶしながら進めるとか。私たちのような中小企業の経営者は、初期費用の負担も含めて、ERP導入を非常に重く捉えがちです。そのため、安易に国産パッケージソフトウェアで済ませようと考える経営者も多いと思います。しかし、NetSuiteは、一番欲しいファンクションだけを選んで、すばやく導入できる。これをやるには、これが必要とか、上流がないとこれはできないとか、そういう制限が無いので、導入が非常に簡単でした。ただ、私の過去の経験上、これだけ短い間(約1ヶ月)で導入を実現したケースはありませんでした。」

実際のNetSuite導入は2011年9月におこなわれました。導入支援を担当したTerry’s & Company(株式会社テリーズ)が2週間程度で基本的なコンフィギュレーションをおこない、その後の2週間で移行データを入力しました。この際、ナカ アンド カンパニー側での導入作業はほとんど無く、別途、作業時間を取る必要は無かったと言います。

NetSuite導入後の効果・活用

NetSuiteの導入は1ヶ月で完了しました。最初のターゲットであった新年度10月の月次レポートを11月中旬までに出すことも無事達成することができました。導入自体は9月に完了したため、翌月10月の新年度のスタート時からは、新しいデータはNetSuiteで入力をおこなうことができました。2012年2月現在、NetSuiteの利用開始から5ヶ月経ちましたが、基本的には業務に定着していると井岡氏は語ります。

「私自身は、国産の小さなパッケージをはじめ、ERPを何種類も経験しているので、もともとERPに抵抗感はありませんでしたが、実際に運用開始後、2ヶ月目くらいでシステムとしての癖は覚えました。NetSuiteは、癖さえ分かれば特に大きな問題はありません。その後のオペレーションも、そんなに複雑ではありません。実際に使ってみて、PCAや奉行シリーズよりもはるかにパフォーマンスがいいですし、拡張もしやすい。」

また、多くの企業がシステム入れ替え時に重く捉える既存データの移行について、次のように語ります。

「私の経験からすると、ロジ回りでも、経理でも、既存で使っているデータがありますが、新しいシステムに移行する場合、データのトランザクション含めて、データの移行に大きなハードルがあると思ってしまいがちです。そこでみんな気持ちをそがれてしまう。しかし、NetSuiteでは非常にスムーズにデータ移行をおこなうことができました。もちろんデータ移行にはリスクは伴いますが、何よりも、NetSuiteにデータを移行することで、業務の標準化、内部統制の構築含めて、今まで手つかずのところを、どんどん作り込んで行けるようになることが重要でした。」

しかしながら、今回の導入スコープは、あくまでも最初のフェーズです。井岡氏は将来的なNetSuiteの具体的な活用イメージを次のように語ります。

「今回の経理システムの導入は、あくまでも最初のフェーズを達成しただけです。入力したデータを、必要な経営情報のテンプレートに落として、常に鮮度よく見ることができる。早くそういったものを実現させたいと思います。私のような立場だと、基本的にそこが一番大事です。常に先を見ながら、今現状はこうだけれども、三ヶ月先、あるいは半年先はどうなのかを考え、そのためのアクションプランを、常に営業サイドや工場にフィードバックしなければなりません。早くそういったところに持って行きたい。NetSuite導入の本来の目的はそこにあります。」

NetSuite導入後の効果・活用

ナカ アンド カンパニーでのNetSuiteの将来的な拡張ですが、当面のスコープは、在庫、製造、サプライチェーンが中心になると言います。

「最初のフェーズで切り分けた経理の部分が終わりました。次は、現在、大塚商会のスマイルαでおこなっているロジ関係、販売仕入を、なるべく早くNetSuiteのフローに取り込みたいと考えています。そして、仕入れ、販売、経理を結びつけるかたちで適正在庫量を、きちんと把握したいと思います。その次は、当然、管理会計的なところでの原価計算ですね。」

また、井岡氏は、NetSuite導入やKPI設定をトリガーとして、社員の意識含めた会社全体のボトムアップを図ることが重要であると語ります。

「収益性の指標を、客観的に誰もが分かるかたちで明示したうえで、例えば製品についても、単に製造コストだけでなく、管理コストや維持コストなど、様々な付帯コストを含めて、ほんとうに製品の収益性がどうなのかを、各マネージャはマインドとして持っておくべきです。そのために必要なものは、KPIとして常にタイムリーに情報を自主的に入手できる、共通の統一データベースです。そして、NetSuiteが実現するプロセスのなかにアサインされる人間が、コストの意識、コストの計算がどうなのかを学んで行くことが大切です。そこから、自分のデイリーの業務のなかで、本能的にこれはおかしいぞと思えるようにならなければならない。そのためには、外部から人間を入れるというのも、ひとつの方法ですが、やはり、自社の人間をトレーニングしながら、全体的にボトムアップを図り、シナジーをあげていく。それには、少し時間がかかると思いますが、あるレベルまで来ればチームとして非常に強くなるはずです。」