Tochigi Brex

Company

株式会社リンクスポーツエンターテインメント

所在地:

〒320-0833
栃木県宇都宮市
不動前2-2-33
スズキビルIII 2階

代表取締役社長:

鎌田 眞吾

代表取締役:

山谷 拓志
(2012年5月末に日本バス
ケットボール協会要職就任の
ため社長を退任)

設立:

2006年6月

Webサイト:

http://www.linktochigibrex.com/


株式会社リンクスポーツエンターテインメント

2012年の春、JBL(日本バスケットボールリーグ)に所属するリンク栃木ブレックスに、NetSuiteの導入が決まった。適用される業務領域は主にCRMだ。プロチームとしての経営基盤の強化を進めるなかで、さらなる収益の確保のため、本格的な顧客のロイヤリティ管理が必要になったからだ。リンク栃木ブレックスは栃木県宇都宮市に本拠地を構える地域密着型のプロチームとして2007年に設立され、3年目の2010年にリーグ制覇を成し遂げた。プロスポーツ不毛の地と言われた栃木県におけるサクセスストーリーは、スポーツ紙だけでなく多くのメディアで取り上げられた。特にこの快進撃の立役者として注目されたのがリンク栃木ブレックス運営会社の代表取締役であり創業者である 山谷 拓志 氏だ。リンク栃木ブレックスの活動は、最初、資金も実績も、チームも選手も全くないゼロからのチャレンジだったと山谷氏は振り返る。今回のNetSuite導入事例では、経営基盤のクラウド化というお客様のIT分野でのチャレンジだけにフォーカスするのではなく、企業スポーツの衰退というスポーツ界の大きな環境変化のなかでのリンク栃木ブレックスのチャレンジ、そしてこのチャレンジを推進された山谷 拓志 氏の情熱の源や経営哲学について迫ってみたいと思う。

藤澤 宏氏

リンク栃木ブレックス、
チーム設立3年目で日本一を達成

リンク栃木ブレックス(以降、ブレックス)は、2007年1月に設立された宇都宮を拠点とするプロバスケットボールチームだ。現在、JBL(日本バスケットボールリーグ)に所属している。設立当初に「5年以内に日本一」という目標を掲げ、1年目はJBL2(日本バスケットボールリーグ2部機構)にて優勝。2年目はJBL(日本バスケットボールリーグ)に昇格し、プレーオフ出場は逃したものの5位という成績を収め、3年目にして当初の目標であった日本一を達成した。昨シーズンはリーグ6位と苦戦したが、会社としては3期連続で単年度黒字を継続、リーグにおいて平均観客動員数が最も多いチームだ。ブレックスの運営会社である「リンクスポーツエンターテインメント」の代表取締役 山谷 拓志 氏は、当初から高い目標を掲げた背景を次のように語った。

「過去の実績がなかったので、未来に対して自分達のウリをつくらなければなりません。だから、5年後に日本一という目標を掲げました。もちろん、それが絶対に実現できる目標だとは思っていませんでした。ただ、高い目標を最初に掲げていなかったら、これだけ短期間で日本一になることはできなかったと思います。何かやりたいと思ったら、まず、目標を立てることで、確率は0.1%くらい上がると思います。目標を達成するためは、目標を立てることが、その第一歩です。」

ワールドビジネスセンター(株)

リンク栃木ブレックスは栃木県宇都宮市に本拠地を構える地域密着型のプロチームとして2007年に設立され、3年目の2010年にリーグ制覇を成し遂げた。

地方都市におけるスポーツビジネスの可能性

ワールドビジネスセンター(株)
リンク栃木ブレックス運営会社
の代表取締役であり創業者であ
る 山谷 拓志 氏

山谷氏がブレックスの本拠地として、栃木県宇都宮市を選んだ背景には特別な理由はなかった。もともとコンサルタントという立場でスポーツチームの集客やチームの強化を担当するなかで、いつか自ら経営してみたいと考えていた。

「ある日突然、栃木県でプロバスケットボールをつくりたいというお電話をいただきました。初めて宇都宮に来て話を聞くと、いきなり社長をやってくれと言われました。では、何か準備があるのかと思うと、お金も無ければ、実績も無い、選手も居ない、チーム名も決まっていない。あるのは15,000名の署名だけという状況で、お声がけいただきました。」

しかし、栃木県はプロスポーツ不毛の地と言われており、ブレックス設立当時、関東1都6県で、唯一Jリーグのチームがない県だった。実際に、設立準備を始めてみるとネガティブな反応が返ってくることが多かったと言う。

「地元のバスケットボール関係者、企業、行政を回ると、必ず『栃木でプロスポーツは難しいですよ』と言われました。僕自身は、やってみなければ分からないと思っていました。逆に、栃木県に人気のサッカーチームや野球チームがある方が不利なのではないかという見方もできるわけで、ピンチはチャンスということで、プラスになることがあると考えました。」

ただ、山谷氏は、商品としてのバスケットボールには自信を持っていたと言う。また、宇都宮という地方都市においても、バスケットボールの観戦が、人々の余暇を楽しむ選択肢のひとつになれば、必ず市場を拡大できると考えていた。

「バスケットボールは、アメリカでは野球よりも人気があります。日本でも、野球、サッカーに次いで競技人口が多い。オリンピックでは最終日に決勝をおこなう、大トリの競技です。そんな競技の人気がないというのはどう考えてもおかしい。それは、あくまでもプロモーションや流通の問題です。今、日本の地方都市では、エンターテインメント・コンテンツがそれほど充実していません。休日に何をするか考えた場合、顕在している商品や市場のなかで考えると、選択肢は限られます。そこに、2時間2000円お金を使うなら、バスケットボールを観に行きませんか?ということを訴求できるかどうかがポイントです。」

ワールドビジネスセンター(株)

宇都宮という地方都市においても、バスケットボールの観戦が、人々の余暇を楽しむ選択肢のひとつになれば、必ず市場を拡大できると山谷氏は考えていた。

ブレックスの魅力、
現状を打破し常に王者を目指す

ワールドビジネスセンター(株)
チーム名であるBREXには、「現状を打破し、
常に王者を目指す」という意味が込められている

山谷氏はブレックスのチームの魅力は、チーム名に凝縮されていると語る。そこには、今後50年、100年先までも受け継がれていくチームのDNAが織り込まれている。山谷氏は特にチーム名のネーミングにこだわったと語る。

「BREXは造語ですが、由来はブレイクスルーであり、その発音を縮めてブレックスにしました。そして、BREXをBとREXに分解した場合、REXというのはラテン語で王者という意味であり、Bはバスケットボールです。だから、常に日本一になることを目指す、どんなに弱くても、お金が無くても、優勝を目指す。そして、毎年、ブレイクスルーし続ける、壁を破って行くというのが、チームのDNAだと思います。これは、50年後、100年後も残って欲しいと思います。毎年変って行くチームのなかで、この選手が居なくなったらダメとか、このコーチが居なくなったからダメではなくて、現状のなかで、最大限努力する。お客さんに喜んでもらうチームにするにはどうするか?を常に考える。そして、スポーツは勝ち負けを争うものですから、どんな状況になっても、頂点を目指すということを忘れてはいけません。」

ワールドビジネスセンター(株)

どんなに弱くても、お金が無くても、優勝を目指す。そして、毎年、ブレイクスルーし続ける、壁を破って行くというのが、チームのDNAだと山谷氏は語る。

優勝した時に考えたこと、
ピンチがチャンスなら、チャンスはピンチ

山谷氏は、常に先を見て次どうすべきか考えるのがマネジメントの努めだと言う。2010年にリーグ優勝した時も、「ピンチがチャンスであるなら、チャンスはピンチ。今はまさにピンチの時」だと考えていた。

「優勝した時、『このまま上手くいくはずがない』と感じていました。お客さんが入っている状況、有名選手がいたとか、優勝したとかは、その瞬間にすべて過去のものになってしまう。次もうまくいくと発想してしまうと、絶対になまけてしまう。だから、優勝した瞬間にこれは終わったことだと考えました。むしろリスクの方が高くピンチだと。ピンチの時こそチャンスで、チャンスの時こそピンチです。」

ブレックスは、リーグ制覇の翌シーズン、ヘッドコーチを日本代表に引き抜かれた。チームづくりがゼロからの再スタートとなった。選手のコンディションが整わない状況が続き、それは試合結果にも表れた。そして3/11の東日本大震災の影響により、試合会場の安全が確保できない状況が続き、リーグ側がシーズンの打ち切りを決断。リーグの最終戦績も6位となった。しかし、チームの戦績が振るわないなかでも、インターネットを活用した集客や、サービス品質の向上に積極的に取り組んでいた結果、最終的には会社として黒字を達成することができた。

黒字達成の背景、経営の精度向上

ブレックスは現在3期連続で黒字化を継続している。しかし、チーム設立当初は、会社の経営状態をタイムリーに把握できないという状態が長く続き、実は赤字だったということに後から気付くということがあった。会社の現状が分からないまま、前へ進んでいたため、方向修正のための意思決定ができなかったのだ。

「最初は、会計的な業務が後手に回っていたり、税理士に任せていたりしたこともあり、月次で締めて、そこで黒字か赤字か分からないまま、何ヶ月か過ぎて、振り返ってみると、実はすごい赤字だったとか。それでどうしようか?と考えながら、取り返しのつかない状況が続いて、1年で赤字になってしまいました。」

その後、ブレックスは経営基盤の整備に取り組み、経営の精度を向上させた。黒字化達成の背景としては、経営の精度が向上したことが、大きく寄与したと言う。会社の経営状態をタイムリーに把握することが重要だったのだ。

「3年前に株主が上場企業に変わったことにより監査が厳しくなりました。親会社の指示で毎月末にゼロデー決算をおこなうことになり、月末に締めたら翌日1日には月次収支を出すという、厳しい要求がありました。このおかげで、今では高性能な高度計が付いた飛行機のようになりました。人間だから、今置かれている状況が的確に分かれば、悪い方向へ進もうとは思いません。」

アメリカンフットボールから学んだ経営

山谷氏はアメリカンフットボールの元選手だ。慶応大学時代には学生日本代表にも選ばれ、リクルートでは2度の日本一を経験した。山谷氏は経営に必要なことの多くはアメフトから学んだと語る。

「僕自身の仕事の向き合い方に最も影響を与えているのは、アメリカンフットボールです。アメフトには競技の特性があり、僕はそれを『科学と根性』と呼んでいます。アメフトは、データや作戦、戦術が問われる、将棋やチェスのようなゲームです。得点するためには、どのように選手を使うか、相手を騙すか、プレイを組み立てるかを考えなければなりません。そこで逆算していく思考が芽生えて、今、すべきことは何かと考える癖が付きました。ただ、人間のやることなので様々な状況変化があります。ゲームの局面では、気合いや気持ちで相手にどう勝てるかも重要です。だから、アメフトは作戦だけでもダメ、気合いだけでもダメです。その両面性が必要です。」

山谷氏は選手時代にはオフェンスのポジションだった。経営者となった今でも、それは変らないと言う。ただ企業経営においては、ディフェンスのポジションも重要だと語る。

「僕はアメフトでもオフェンスのポジションでした。営業職にも就いていたので、先行投資とか、どちらかというとリスクテイキングするタイプです。その反面、リスクヘッジや自制することも必要でした。ですので、リスクが分かる情報やリスクを指摘してくれるスタッフが居ないと先走りしてしまうところがあります。だから、今、修正しなければならないこと、今、自分が置かれている状況を把握することが非常に大事です。経営には、オフェンスだけでなく、ディフェンスのポジションも必要です。だから、経営はオフェンスとディフェンスの両輪があって、はじめて上手くいくと思っています。」

ブレックスでは、今まさにオフェンスとディフェンスの両輪により、新シーズンに備えて経営基盤や体制を整えている。山谷氏は、コスト圧縮というディフェンスの強化と、売上げ拡大というオフェンスの強化のために、スタッフの役割見直しと新規採用を始めた。ディフェンス面では、経営企画部門を立ち上げることによって予実管理を強化する。オフェンス面では「集客」に重点を置いて、インターネットによるプロモーションを強化する。そして、収益性の向上のために顧客のロイヤリティ管理の実装にも取り組む。

NetSuiteの導入、
IT活用の転機はチームが優勝した後

ブレックスには、もともとIT活用のノウハウがそれほど多くなかったと言う。一般的な大企業のようなシステム部門は無く、ITの専門家を社内に配置できるほどの余力もなかった。しかし、IT活用の大きな転機になったのはチームが優勝した後だと山谷氏は語る。集客強化のために積極的にインターネットの活用を始めたが、同時に、それら施策を評価するための仕組みが必要だと感じるようになった。

「優勝した後、戦績が落ちて行くなかで、ポイントシステム、オンラインのチケット販売など、集客のための様々な取り組みを手探りでおこなうようになりました。しかし、それぞれの仕組みが実際に有効活用されているかどうかは、把握できていませんでした。お客様にとっては便利になったかもしれませんが、それ以上の驚きや発見を提供できていたか、チケットを売る、モノを売る以上に、その仕組みを活かすことができていたか、常に疑問がありました。」

このようにITの有効活用に疑問を持ち始めた時、NetSuiteの存在を知り、実際に導入の検討を始めた。特に、NetSuite導入の決め手としては、システムの柔軟性とコスト効果への期待が大きかったと山谷氏は語る。NetSuiteは、つまり、山谷氏が掲げたコスト圧縮(ディフェンス)と売上げ拡大(オフェンス)の2つを実現できるソリューションとして評価された。

「NetSuiteを知った時、最初、非常に高価なものだと思っていました。しかし、我々のような規模でも導入できるようなシステムだということが分かり、是非、検討したいと思うようになりました。導入した後のイメージが付き易かったこと、つまり、システムの柔軟性も大きかったです。」

NetSuiteの活用、お客様を理解するための環境整備

ワールドビジネスセンター(株)
ブレックスのマーケティンググループでCRM
を担当する根本亜紀子氏

ブレックスでは、現在、NetSuiteのクラウドCRMの実装が急ピッチで進められている。社内に分散している顧客データの一元化と有効活用のためだ。ブレックスのマーケティンググループでCRMを担当する根本氏は、集客の強化、そして会社の安定的な収益の確保のためにも、お客様を理解するためのプラットフォームの整備が重要だと語る。

「ブレックスは、ファンクラブ、スクールのファミリー、メルマガ会員など様々なお客様に支えられていますが、それぞれのお客様に満足いただくためには、お客様が欲している情報をアグレッシブに、こちらから提供しなければなりません。それにより、双方向のコミュニケーションを成立させ、興味を持ち、ゲームに足を運んでもらえるきっかけを作りたいと思います。そこで、バラついている情報をどのように活用すべきかと考えた時、NetSuiteのCRMが、ブレックスの状況に合っていました。今後、NetSuiteのCRMをうまく活用して、お客様に喜んでもらえるようなサービス展開ができると、集客という最終目標の達成に繋がると思います。」

根本氏はリピータービジネスでもあるスポーツ観戦において、安定的な収益の確保のためには、顧客ロイヤリティの管理が欠かせないと語る。

「お客様によって趣味趣向が異なります。設立当初からのコアなファンだけでなく、ライトユーザの方もいます。コアなロイヤリティの高い階層の方々に対して、より積極的にアプローチすることは、会社の安定的な収益

にも繋がりますので、そこは絶対に整備したいと思います。ロイヤリティを経営側でも把握できるようになると、ロイヤリティの高いお客様に対して、どのようなサービスを提供すべきかの経営判断を、スムーズにおこなえるようになると思います。」

根本氏はブレックスの魅力を、ファンの熱さだと語る。根本氏自身、ブレックスに入社前、観客のひとりとしてホームゲームを観戦した時、ゲームの内容もさることながら、熱い声援を送るファンの情熱に、大きな衝撃を受けたと言う。

「私は、最初は、どちらかというと、ゲームの内容よりも、むしろ、ブレックスの熱いファンに衝撃を受けました。こんなにも、人々を魅了するブレックスってどんなチームなんだろう?と興味を持つようになりました。栃木県内には、ブレックスのゲームを観たことがない人が、まだまだ、たくさんいらっしゃいますので、是非、一度、ホームゲームに足を運んで欲しい。そして、実際のゲームで、その熱さを味わってもらいたいと思っています。」

ワールドビジネスセンター(株)

根本氏はブレックスの魅力を、ファンの熱さだと語る。根本氏自身、ブレックスに入社前、観客のひとりとしてホームゲームを観戦した時、ゲームの内容もさることながら、熱い声援を送るファンの情熱に、大きな衝撃を受けたと語る。

経済環境の大きな変化、企業スポーツの衰退

ワールドビジネスセンター(株)
ブレックスは、ファンの裾野を拡大するため積極的に
地域貢献活動をおこなっている。

一般的には、プロスポーツの成功モデルとしては、アメリカやヨーロッパのクラブチームが注目され、海外と比べて日本のスポーツは遅れていると言われることが多い。しかし、企業の支援に頼るという今までの日本のスポーツの在り方は、戦後日本の経済発展における特殊性にあり、今まさに、そのパラダイムが大きく変わりつつあると山谷氏は語る。

「日本の経済は戦後、急速に発展しました。アメリカやヨーロッパでは経済の安定度が比較的、高い状態が長く続いたなかで、多くの人々でスポーツを支えるという文化が形成されました。日本の場合、企業に頼るという、ある意味リスクのあるやり方でスポーツが発展しました。経済が右肩上がりに成長しているなかで、経済のエンジンである企業から支援を受け、選手の雇用を安定させて、競技に打ち込める環境を整備するのは悪いことではありません。これが今までの日本のパラダイムでした。しかし、経済は右肩下がり、それどころか、波打つようなり、スポーツにとって最大のステークホルダーだった企業が、もはや、スポーツを支える理由も体力もなくなったというのが企業スポーツの衰退です。」

そして、スポーツの側から地域に根ざした活動を通して独立を目指す動きが出てくるのは、ごく自然な流れだと山谷氏は語る。

「企業とのパイプが途絶えたからといって、その競技が衰退してしまってはダメです。スポーツの側からも、今まで、太いパイプで繋がっていた企業に対して、リスクヘッジをしなければなりません。一社ではなく、いろんな企業から支援いただくとか、もっと言うと、経済環境に左右される企業ではなく、個人というロイヤリティの高いステークホルダーとのパイプを強くすることが大事です。そして地域に拠点を構えて興行するわけですから、エリアを定めようというのは自然な発想です。」

山谷氏はスポーツがビジネスとして成立する根拠として、スポーツそのものの価値について強く語る。

「スポーツは、どんなスポーツでも絶対に観て面白い。だから、選手や関係者たちは、自分の競技が面白いから支援したい人がいないわけがないというくらいの過度な自信を持って取り組んでもいいと思っています。自分が面白いと思うなら、もっと積極的にPRして対価をもらえるようにすべきです。最初から支援してくれる人がいないとか、国が税金で支援すべきだと考えてしまっては、成長はありません。基本的にスポーツは価値があるものなので、自ら対価を得て独立していくことを目指さなければ、衰退してしまいます。」

ワールドビジネスセンター(株)

山谷氏はスポーツがビジネスとして成立する根拠として、スポーツそのものの価値について強く語る。「基本的にスポーツは価値があるものなので、自ら対価を得て独立していくことを目指さなければ、衰退してしまいます。」

新リーグの設立、山谷氏の新しいチャレンジ

山谷氏は2012年5月31日付けでブレックスの社長(執行責任者)を退任した。そして、公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)・新リーグ運営本部の副本部長/COOに就任した。株主からの要請やJBAの理解もあり、新経営陣への引き継ぎ期間として、今後1年間はブレックスの代表取締役と新リーグのCOOを兼務する。

「ひとつのチームだけでは限界があります。プロスポーツでは、相手チームとの興行を通して試合という商品ができない限りビジネスが成立しません。しかし、試合を組むのは、リーグというプラットフォームです。ブレックスの立場からは、試合数を増やすなどリーグの在り様を変えないと限界があると感じていました。」

山谷氏はブレックスのさらなる発展のためにも、新リーグ準備室COO就任のオファーを受けることを決めた。

「もちろん、リーグのお仕事の話をいただいた時は、ブレックスのこともあったので悩みました。しかし、逆に、ブレックスの将来のためにも受けるべきだと思いました。今の日本では、企業だけではスポーツを支えきれません。だから、制度改革も含めて、誰かがやらないと、スポーツには先がないと思います。バスケットボールという、これだけ面白いスポーツ、魅力的な商品があるのに、日本では十分に市場が形成されていない。それなら、リーグを新たな制度や仕組みに変えることで、もっと価値ある商品をつくりたいと思っています。」

ワールドビジネスセンター(株)

山谷氏はブレックスのさらなる発展のためにも、新リーグ準備室COO就任のオファーを受けることを決めた。リーグを新たな制度や仕組みに変えることで、もっと価値ある商品をつくりたいと語る。

山谷氏の本当の夢、

日本にスポーツ文化が根付き人々が豊かになる 山谷氏は、ブレックスの栃木における成功を通して、日本の地方都市でも地域に根ざしたプロスポーツチームが成立するという可能性を示した。

「バスケットボールが変れば、間違いなく、他の競技も変ります。今までプロ化が難しいと日本で言われて来たインドアの球技においても、パラダイムが大きく変わると思います。それが発展して、観るスポーツの価値が向上することで、広告として投資したいとか、実際に観に行きたいとか、放送したいとか、経済活動が回るようになります。そういう状況になれば、それがチームや選手の強化に還元されて、オリンピックで日本がメダルを取る数も大きく変ります。世界大会レベルでも勝てるチーム、選手がもっと増えるはずです。そして、結果として、日本のなかでスポーツが文化となり、人々を豊かにするものになって欲しい。僕自身、その一助になりたいと考えています。」

日本において、このような厳しい環境は、スポーツ界だけに限られたことではない。企業、とくに中小企業が置かれている経営環境は非常に厳しく、競争に勝ち抜き成長し続けるためには、ブレックスの名前の由来でもある「ブレイクスルー(現状を打破する)」が、あらゆる側面で必要になるだろう。日本のスポーツ界の現状は、国内企業の置かれている状況と重なる部分が多い。では、現状を打破し、常に新しいことにチャレンジし続ける山谷氏を突き動かすものはいったい何だろうか?山谷氏は、自分自身のキャリアの信条を「与えられた機会、期待されている機会に対して全力を尽くすこと」だと語る。

「環境を変えることは難しいと思いますが、そのせいにしてはいけないと思います。自分たちが何をするかによって、可能性や確率が上がります。確かに、時代や環境、あるいはエリアなどのせいにすることは、それはリスクという意味では正しいのかもしれませんが、それらのせいにすることで可能性や実現性を低めてしまっていと思います。変えられることは、自分たちの取り組みや発想です。だから、そこにフォーカスして、自分たちができることに精一杯取り組み、結果を出すことが重要だと思います。」

ワールドビジネスセンター(株)

山谷氏は、「日本のなかでスポーツが文化となり、人々を豊かにするものになって欲しい」と語る。